丸美珈琲店:コスタリカ シン・リミテス農園 SL-28

丸美珈琲店のコスタリカ シン・リミテス農園 SL-28です。こちらは2006年4月に後藤栄二郎氏がオープンした札幌市中央区に本店があるスペシャルティコーヒー専門店です。現在札幌市内に4店舗展開しています。(ホームページはこちらから)。

コスタリカ シン・リミテス農園 SL-28

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コスタリカ

コスタリカ(Costa Rica)は中央アメリカの小さな共和国です。北はニカラグア、南東はパナマと国境を接し、南は太平洋、北はカリブ海に面しています。首都はサン・ホセ(San José)です。この小さな国土の中に、地球上すべての生物種のうち5%が生息しているといわれているほど生態系に富んだ豊かな国土です。環境保護先進国としても名高く、全国土の1/4以上が国立公園・自然保護区に指定されています。コスタリカは1988年からコーヒー栽培を法律によってアラビカ種のみに限定し、ロブスタ種の栽培が禁止されました。そのため、コスタリカはスペシャルティコーヒーがコーヒー生産量の約50%を占める、高品質なコーヒーを栽培する国として知られています。

コスタリカは18世紀の終わりにコーヒー栽培が始まり、それはセントラル・バレー地区の高地にゆっくりと広まっていきました。そして、コスタリカは中米でコーヒーを産業として確立した最初の国となりました。1820年代までに、コーヒーはコスタリカの主要な農産物輸出品となり、1846年にはプンタレナス(Puntarenas)への幹線道路が完成したことにより国内総生産が大幅に増大、コーヒーの農家は牛車によってより簡単に市場へコーヒーを運搬することが可能になりました。

1933年に設立されたコスタリカコーヒー協会(英語:Coffee Institute of Costa Rica、スペイン語:Instituto del Café de Costa Rica、略称ICAFE)がコーヒー農家の支援をしており、環境に配慮したコーヒー生産に取り組んでいます。

コスタリカのコーヒー産地

コスタリカのコーヒー生産地はコスタリカコーヒー協会(ICAFE)によって、7つの代表的な産地に区分されています。ブルンカ(Brunca)、オロシ(Orosi)、タラス(Tarrazú)、トレス・リオス(Tres Rios)、トゥリアルバ(Turrialba)、セントラル・バレー(Central Valley)、ウェスト・バレー(West Valley)の7つです。コスタリカ シンリミテス農園 SL-28を生産するシン・リミテス農園(Sin Limites)は、ウエストバレー地区(West Valley)ナランホ(Naranjo)に位置しています。

コスタリカは複雑な地形で、海から来る風がこの複雑な地形を通ることによってマイクロクライメット(微気候)がはっきりと生まれます。また、土地は隆起した時代によって土壌が異なるため、少しの場所の違いでも味に変化が生まれやすいです。コスタリカの中部に位置するウエスト・バレーは、明るく高い酸味、非常に優れたボディ、非常に優れたアロマを特徴とするコーヒーの名産地です。

コスタリカは、他の中米諸国とは異なり、農園規模が小さく、収穫したコーヒーチェリーを農協系、または大手の加工会社に搬入する分業制が主流でしたが、近年ではマイクロミルの導入が進んでいます。マイクロミルの導入によって、家族や親類などの農園が小規模な水洗処理設備、乾燥設備を共有し、地区特性を反映した高品質のコーヒーを一貫して生産することができるようになります。コスタリカでは現在、150を超えるマイクロミルが導入されていると言われています。

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ウェスト・バレー

コスタリカのコーヒー生産地、Valle Centoral Occidentalがウェスト・バレー、Cafe Importsより

ウエスト・バレーは首都サン・ホセから最も近い活火山であるポアス火山(Poas)周囲の太平洋側の山地に広がっています。ウエスト・バレーはセントラル・バレーの西側の地区で、肥沃な火山灰土壌、昼夜の寒暖差ある気候、豊富な降雨量など、高品質のコーヒー生産には恵まれた環境です。

この地域は標高1,500m級の高い山々に囲まれ、その周辺に数々のコーヒー農園が広がる高品質コーヒー生産地として知られています。コスタリカ国内の約25%がウエスト・バレー地区で生産されています。

セントラル・バレーは西はアラフエラ州(Alajuela)のサン・ラモン市(San Ramón)から伸び、東のカルタゴ州(Cartago)のパライソ市(Paraíso)にまで広がっていると考えられています。セントラル・バレーの北に位置する山々は中央山脈の一部で、ポアス、バルバ(Barva)、イラス(Irazú)、トゥリアルバ(Turrialba)の4つの主要な火山があります。高原を南に囲む山々はタラマンカ山脈(Talamanca)の一部を形成しています。

サンホセ州(San José)とカルタゴ州(Cartago)の境を南北に沿って走るセロス・デ・ラ・カルピンテラ(Cerros de la Carpintera)の丘陵がセントラル・バレーを西と東で分けており、西側がウエスト・バレーです。

ウエスト・バレーはコスタリカの太平洋沿岸の気候パターンの影響を大きく受け、セントラル・バレーはカリブ海沿岸の気候パターン影響を受けます。ウエスト・バレー地区は夏の貿易風の影響で、乾季と雨季がはっきりと区別されています。

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シン・リミテス農園

シン・リミテス農園は、2008年コスタリカCoE(カップ・オブ・エクセレンス)で第2位に輝くなど、CoEに幾度も入賞歴のある優良農園のひとつです。農園名のシン・リミテス(Sin Limites)はスペイン語で「限界がない」という意味です。

農園主はホセ・ハイメ・カルデナス氏( Jose Jaime Cardenas)です。シン・リミテス農園は標高1,500mと高い場所にあり、農園面積は2~3ヘクタールと小規模農園です。この地区はマイクロミル(Micro-mill、小規模精製処理施設)が集まる地区として有名で、シンリミテス農園は2005年にマイクロミルを設立し、Gaviota2500パルピングマシーンを導入しました。これによって、収穫から精製までを自分たちの手で行うことができるようになりました。2008年のCoEで2位に入賞するまで、自分たちのコーヒーの品質を高めました。

コスタリカのハニー・プロセス

精製方法はレッド・ハニー(Red Honey)です。

コーヒー豆の精製方法は、大きく2つに区分できます。1つは、収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日干し乾燥させ、その後、脱穀してコーヒー生豆を取り出す伝統的なナチュラル(Natural、乾式)です。もう1つの方法は、収穫したコーヒーチェリーの果肉と外皮を除去し、発酵、水洗いをしたパーチメント(Parchment)付きコーヒー豆を乾燥させ、完全乾燥後に脱穀するウォッシュト(Washed、湿式)です。ナチュラルでは果肉の風味や甘味、酸味がコーヒー豆に移りやすく、複雑で強い味わいに仕上がります。ウォッシュトでは水洗いするため綺麗な味わいに仕上がり、コーヒー豆が持つ本来の風味を楽しむことが出来ます。

ハニー・プロセスはその中間の半水洗式の一種です。ハニー・プロセスはパルピング・マシーン(Pulping machine、果肉除去機)によってコーヒーチェリーの外皮(outer skin)と果肉(pulp、パルプ)を剥がし、ムシレージ(Mucilage、粘液質のこと、一般的にはミューシレージとも)を残した状態で乾燥工程に入ります。ムシレージの成分によって、複雑な香味やボディを持つコーヒー豆に仕上がります。またハニー・プロセスでは、パルパー(Pulper、果肉除去)の工程で過熟豆、未熟豆を取り除くことが出来るというメリットもあります。

ハニー・プロセスによって仕上げたコーヒーの味わいは、ムシレージの量と乾燥時間によって大きく変化します。ハニー精製は、ムシレージの量と乾燥時間によって「ホワイト・ハニー」、「イエロー・ハニー」、「レッド・ハニー」、「ブラック・ハニー」に区別されますが、ムシレージの量と乾燥時間が実際にどの程度なのかは、農園や精製所、精製を指定する商社やコーヒー会社によって異なります。

コスタリカ シンリミテス農園 SL-28はレッド・ハニーで精製されているため、より果実の甘味や酸味がコーヒー豆に移ったコーヒーに仕上がっています。

コスタリカのハニー・プロセスは、コスタリカのコーヒー生産者であるファン・ラモン・アルバラード氏(Juan Ramon Alvarado)のハニー・プロセスのコーヒーが、2012年のカップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence)で93.47点を獲得し優勝、過去最高額で落札されたことから一躍有名になりました。このロットを落札した企業は、日本の丸山珈琲、工房 横井珈琲、株式会社ボンタイン珈琲、台湾の欧舎咖啡(ORSIR COFFEE)です。

品種

品種はSL-28です。SL-28は、ケニアのスコット研究所(Scott Laboratories、現在は国立農業研究所(National Agricultural Research Laboratories(NARL))から輩出された品種です。スコット研究所は1903年にケニアのカベテ(Kabete)に設立された東アフリカ初のコーヒー研究所です。SL-28は、この研究所から輩出された代表的な品種で、高品質なコーヒーとして知られています。

SLは"Scott Laboratories"の頭文字で、この研究所に集まられた種苗コレクションから選抜した品種に付けられます。SLの品種群は「SL選抜種(Scott Laboratories selection)」と呼ばれています。

SL-28はSLシリーズの28番目のセレクションです。

SL-28とSL-34については、旦部幸博氏の百珈苑BLOG「東アフリカの品種」に詳しいです。

味はケニアの品種に特徴的なグレープやカシスのような豊かな酸味とハニー・プロセスのハチミツのような甘味が特徴的です。柑橘系のフレーバーとチョコレートのような深いコクがあります。酸味と甘味が両立する非常にユニークな味わいです。

ケニアのSL-28は明るく豊かな酸味が特徴ですが、それが中米で生産されることによって、中米特有の酸味が加わり、さらにハニー・プロセスで仕上げることによって、甘味と酸味が両立する不思議な味わいを生み出しています。

丸美珈琲店のコスタリカ シンリミテス農園 ケニア

2018年春にオーナーの後藤が生産地を訪れた際にカッピングし、買い付けを決めたコーヒーです。

この農園は自分たちのコーヒーを精製する為に、2005年に独自のミルを所有しました。農園名の由来は無限、限界はないという思いからシン リミテスと名付けられました。
“品質を語るには精製が大事”との考えから、収穫から精製までを自分たちの手で行っています。生産者のハイメ カルデナスは、コスタリカのハニーコーヒーを新しい品質レベルに引き上げ、何度もCoEに入賞しています。
彼の農園はわずか2.3ヘクタール程ですが、性能の良い機械を導入し周辺の生産者の精製処理もおこなっています。

後藤栄二郎のテイスティング評、丸美珈琲店ホームページより
後藤栄二郎氏の紹介

後藤栄二郎氏は2013年の焙煎技術日本大会で優勝し、2014年のイタリア開催の焙煎技術世界大会で日本代表世界第6位になった方です。

焙煎

焙煎:ハイロースト(8段階中4番目)

中深煎りです。ちょうど真ん中、バランスのとれた焙煎度合いと言えます。1ハゼ(パチパチという音)と2ハゼ(ピチピチという音)の中間ぐらいの焙煎度です。ミディアムローストまでに比べ 酸味が押さえられ、苦味・甘味が強くなってくる段階です。酸味と苦味の調和が取れており、酸味は残っていますが、ほんのりと苦味も感じられる焙煎度です。

欠点豆少しあります。SL-28に特徴的な大粒の揃った豆です。

ハニー・プロセスの甘味がケニア豆に特徴的な豊かな酸味を引き立てています。他のコーヒーにはない非常にユニークな味わいです。

<参考>

「Origins: Costa Rica」,Cafe Imports<https://www.cafeimports.com/europe/costa-rica>2019年10月4日アクセス.

「Costa Rican Central Valley」,Wikipedia<https://en.wikipedia.org/wiki/Costa_Rican_Central_Valley>2019年10月4日アクセス.

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