カフェ ランバン:コンゴ ルゲンド・サンドライ・ステーション

カフェ ランバン コンゴ ルゲンド・サンドライ・ステーションです。

カフェ ランバン(Café RANBAN)は、1977年に創業した北海道札幌市にある自家焙煎珈琲店です。札幌市の自家焙煎の先駆けとなる珈琲店の1つです。

コンゴ ルゲンド・サンドライ・ステーション

コンゴ民主共和国(DRC)

コンゴ民主共和国(DRC)(Democratic Republic of Congo)は、中央アフリカに位置する250以上の民族で構成されている多民族国家です。旧国名はザイール(Zaire)で、1997年に現在の国名に改められました。同じコンゴでも、コンゴ共和国(Republic of the Congo)とは別の国です。

気候は熱帯性気候で、一年を通して高温で雨季と乾季がはっきり分かれています。アマゾンに次ぐ広大な熱帯雨林地帯を有しています。コーヒーは1900年代初頭のベルギー植民地時代に導入され、アラビカ種のコーヒー栽培は主に東部の北キブ州(Nord-Kivu)と南キブ州(Sud-Kivu)で行われています。

天然資源に関してアフリカで最も豊かな国の1つですが、同時にアフリカで最も貧しい国の1つです。天然ゴムや金鉱を豊富に有しているため、植民地主義の搾取の対象となりました。コンゴ民主共和国(DRC)には、現在のテクノロジーで用いられる金、銅、天然ゴム、コバルトの豊富な埋蔵量があり、これらをめぐる紛争のため、これらは政情の不安定化の大きな要因となっています。

現在のコンゴ民主共和国がヨーロッパ植民地主義の対象となったのは、19世紀終わりです。スコットランドの探検家デイヴィッド・リヴィングストン(David Livingston)は、ナイル川の源流を求めて当時「暗黒大陸」と呼ばれていたアフリカ大陸を横断した探検家として知られていますが、彼は第三次アフリカ探検でその消息を絶ちました。しかし、その約3年後の1870年11月10日、リヴィングストン捜索に向かったヘンリー・モートン・スタンリー(Sir Henry Morton Stanley)によって、リヴィングストンは「発見」されました。

「リヴィングストン博士でいらっしゃいますか?(Dr. Livingstone, I presume?)」 スタンリー(1872)『どのようにして私はリヴィングストンを発見したか』(原題:How I Found Livingstone)

スタンリーはタンガニーカ湖(Lake Tanganyika)湖畔でリヴィングストンを見つけたとき、「リヴィングストン博士でいらっしゃいますか?(Dr. Livingstone, I presume?)」という言葉を発したことで有名です。

スタンリーがコンゴ民主共和国(DRC)の歴史を考える上で重要なのは、彼がコンゴ川(Congo River)河口を発見したことです。彼のこの発見は植民地獲得に熱心だったベルギーのレオポルド2世(Léopold II)の注意を引き、それがベルギーによる長い植民地支配につながりました。

コンゴ民主共和国のコーヒーの歴史

コンゴ民主共和国(DRC)のコーヒー生産国のプロフィール

コーヒーは、1900年代初頭のベルギー植民地時代に導入されました。1948年までに、コンゴのコーヒーは、ロブスタコーヒー事務所(OCR)(Office for Robusta Coffee)、キブ農産物事務所(OPAK)(Office of Agricultural Products from Kivu)、キサンガニ農畜産物事務所(OPAEKI)(Office of Agricultural and Animal Products of Kisangani)と、地理的に分かたれた3つの事務所によって規制されました。この時期に、9種のアラビカ種と14種のロブスタ種が導入されました。20世紀前半の時期、コンゴのコーヒーは、ブリュッセルとローマで提供される高品質なコーヒーとして知られていました。

1960年にコンゴ共和国が独立、1971年にザイール共和国(République du Zaïre, 1971年 - 1997年)と改称すると、 1972年にザイール共和国政府は上記の3つの規制機関をザイールコーヒー事務所(OZACAF)(Zairian Office of Coffee)として統合し、コーヒー部門を国有化しました。

1973年から1976年まで、すべての民間のコーヒー農園とドライ・ミルは政府の統制下に置かれることになりましたが、この時期のコンゴのコーヒーは農産物輸出の70%から85%を占める非常に重要な輸出品でした。コーヒー生産の好調(主にロブスタ種)は1990年代半ばまで続きましたが、1994年のルワンダ大虐殺と1997年のモブツ・セセ・セコ(Mobutu Sese Seko)の独裁体制の崩壊により衰退の一途を辿ります。

モブツ・セセ・セコ

2010年代以降、協同組合が設立され始めました。現在は欧米のフェアトレード団体やNPOの支援によって、ロブスタ種だけでなく、アラビカ種のスペシャルティコーヒーの生産に力を入れています。コンゴ民主共和国(DRC)では、コーヒーはグリーンゴールド(Green Gold)と呼ばれ、これからの産業として再び期待されています。

2018年には、ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)(World Coffee Research)によって、ロブスタ種の最初の多地域作物栽培学試験(MLAT)がコンゴ民主共和国に設置されました。

ルゲンド・サンドライ・ステーション

ルゲンド・コーヒー・ウォッシング・ステーション 出典:アタカ通商
ルゲンド・サンドライ・ステーション 出典:アタカ通商

ルゲンド・サンドライ・ステーション(Congo Lugendo Sundried Station)は、コンゴ民主共和国(DRC)(Democratic Republic of Congo)南キブ州(Sud-Kivu)カバール(Kabare)に位置するウォッシング・ステーションです。カバールは、ギブ湖を挟んで向かい側がルワンダです。ルゲンドコーヒー・ウォッシング・ステーション(Lugendo CWS)(Lugendo Coffee Washing Station)は、ヴィルンガ・コーヒー・カンパニー(Virunga Coffee Company)が経営会社です。

現在は3州に分割されているキブ州には、1994年のルワンダにおけるジェノサイド(虐殺)で、100万人以上のルワンダ系住民(バニャルワンダ)が逃亡してきました。キブ州は、第一次コンゴ戦争(1996 - 1997)と第二次コンゴ戦争(1998 - 2003)の2度にわたる内戦の起点となり、これらの内戦によってこの地域の経済はほとんど壊滅しました。ルワンダ内戦で被害を受けたのは、コーヒー栽培地域でした。キブ州では、1980年代に約120,000トンのコーヒーを生産していましたが、 2010年には約20,000トンにまで激減しました。内戦中、多くのコーヒー生産者はキブ湖の危険な密輸ルートにより、近隣諸国に豆を販売していました。そのため、コンゴ民主共和国のコーヒーは、近隣のルワンダやウガンダのコーヒーとして販売されていました。この「トロック(Troc)」と呼ばれる交換の過程で、多くの人々が命を落としました。

2011年、ヴィルンガ・コーヒー・カンパニーはこの状況を変えようと、生産者から標準よりも大幅に高い価格でコーヒーを直接購入し、自社ブランドで国際市場に紹介しました。ヴィルンガ・コーヒー・カンパニーが取り扱うキブ州のコーヒーは、アフリカファインコーヒー協会(AFCA)(African Fine Coffees Association)主催のテイスト・オブ・ハーベスト(Taste of Harvest)で、エチオピアやケニアを破り第2位に輝き、国際市場で知られるコーヒーとなりました。

現在ヴィルンガ・コーヒー・カンパニーのコーヒーは、南アフリカで初めてフェアトレード認証コーヒーの焙煎業者であるビーン・ゼア・コーヒー・カンパニー(Bean There Coffee Company)などで取引されています。

規格(グレード)

規格(グレード)は、K3(キブ3)です。コンゴ民主共和国(DRC)のアラビカ種の規格(グレード)は、K2からK7まであり、K2とK3がスペシャルティコーヒーに分類されます。

コンゴ民主共和国(DRC)で、K2はほぼ存在しません。K3はヴィルンガ・コーヒー・カンパニーの中でも最高規格です。

品種

ヴィルンガ・コーヒーは主にブルボン(Bourbon)系統の品種のコーヒーを取り扱っていますが、このコーヒーは珍しいブルーマウンテン(Blue Mountain)です。

コンゴのブルーマウンテンは、ケニアのスコット研究所(Scott Laboratories 現在は国立農業研究所(NARL)(National Agricultural Research Laboratories))の種苗コレクションにあったブルーマウンテン・ジャマイカ(Blue Mountain Jamaica)とブルーマウンテン・ケニア(Blue Mountain Kenya)が、1933年ヤンガンビ(Yangambi)に設立されたベルギー領コンゴの農学研究のための国立研究所(INEAC) (L'Institut National pour l'Etude Agronomique du Congo Belge)へと渡り、試験栽培されたのが最初のようです。

ちなみに、コンゴには、イトゥリ県北東部アルバート湖湖畔にモン・ブルー(フランス語:Monts Bleus、英語:Blue Mountains)という山脈があり、西側斜面はイトゥリ川(Ituri River)が流れています。

精製方法

精製方法はナチュラル(Natural)です。

カフェ ランバン コンゴ ルゲンド・サンドライ・ステーション

コンゴ ルゲンド・サンドライ・ステーション

今回入荷のロットはベルギーの植民地時代にジャマイカからブルーマウンテンが持ち込まれた時のものです。精製方法はナチュラルでやわらかい甘みがあります。非常に珍しいブルーマウンテンのナチュラル精製をお楽しみ下さい。

カフェ ランバン

カフェ ランバンでは、コーヒーの焙煎度を選択できます。コンゴ ルゲンド・サンドライ・ステーションは、浅煎り(ライトロースト)、中煎り(ミディアムロースト)、深煎り(フレンチロースト)、極深煎り(イタリアンロースト)から選択できます。

浅煎り(ライトロースト)

浅煎り(ライトロースト)

酸味と甘さがクリーンに感じられる味わいです。

中煎り(ミディアムロースト)

中煎り(ミディアムロースト)

甘さに優れたまろやかな口当たりが印象的な味わいです。

深煎り(フレンチロースト)

深煎り(フレンチロースト)

甘さと苦味のバランスに優れた味わいです。深煎りになるにつれ、口当たりがよりまろやかになっています。

極深煎り(イタリアンロースト)

極深煎り(イタリアンロースト)

甘さと苦味のバランスに優れた味わいです。極深煎りになると、苦味が強く感じられます。

<参考>

ルゲンド・サンドライ・ステーション, ATC Specialty Coffee<http://www.specialtycoffee.jp/beans/2256.html>

"Virunga Coffee Company", African Fine Coffees Association<https://afca.coffee/wp-content/uploads/2016/12/Virunga.pdf>

"Democratic Republic of Congo",Mercanta - The Coffee Hunters<https://www.coffeehunter.com/coffee-country/dr-congo/>

"Congo Coffee's Comeback" ,Coffee Magazine<https://www.coffeemagazine.co.za/blog/1/5638/congo-coffees-comeback>

"Congo’s Specialty Brews Look to Be the ‘Future of Coffee’",The New York Times<https://www.nytimes.com/2017/08/23/world/africa/democratic-republic-congo-specialty-coffee.html>

"Understanding congo's coffee ; the RDC coffee county profile", SlideShare<https://www.slideshare.net/kamungele/understanding-congos-coffee-the-rdc-coffee-county-profile>

"From the Shores of Lake Kivu", Roast Magazine<https://equalexchange.coop/sites/default/files/Roast_JanFeb16.pdf>

Bean There Coffee Company<https://beanthere.co.za/>

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