パナマ デボラ農園とバリスタ・チャンピオンシップ
デボラ農園
デボラ農園(Finca Deborah)は、パナマ(Panama)チリキ県(Chiriquí Province)ティエラ・アルタス地区(Tierras Altas District)ボルカン(Volcán)に位置する農園です。
農園主のアメリカ人のジャミソン・サベージ(Jamison Savage)は、アメリカ合衆国で投資会社を経営していました。しかし、リーマン・ショックを機に自然とともに生きる農業に目覚め、2007年にこの農園を購入し金融業界を離れました。
彼の妻であるレスリー・H・フレイタグ(Leslie H. Freitag)は、パナマ人です。レスリーの祖父母に当たるジョン・S・ヴァン・デ・ハンズ(John S. Van der Hans)とジェーン・マリー・ブレッソン・ヴァン・エプ(Jane Mary Bresson Van Eps)は、1915年に小さなカリブ海の島、キュラソー島からパナマに移り住みました。彼らはこの地域で当時数少なかった薬剤師として、パナマ運河の建設に携わっていた人々の病気の治療と根絶に取り組みました。レスリーは、彼らから数えて第4世代目に当たります。
環境
デボラ農園は、「花の谷(Valley of Flowers)」、「常春(Eternal Spring)」とも呼ばれる美しいカルデラ渓流を見下ろすバル火山の高地にあり、標高1,900mとパナマでも最も高い標高、最も遠隔の地に位置する農園の1つです。標高が高く、コーヒー栽培が難しい場所でしたが、2010年にゲイシャの初収穫がありました。
デボラ農園は、農園を複数のセクションに分ける3つの尾根により、3つの異なるマイクロクライメイト(微気候)が存在します。 また、珍しい動植物豊かな自然環境にあり、1年間のほとんどが熱帯雨林の雲に覆われています。コーヒー栽培には、有機肥料と有機抑草剤を混合したものが使用され、農薬や除草剤は使用されていません。高い標高に位置しているため、夜は10℃にまで気温が下がるほど、昼夜の寒暖差のある気候です。
設備
2014年と2015年には、コーヒー品質協会(CQI)(Coffee Quality Institute)仕様に基づいた気象ステーションと品質管理ラボが、それぞれ完成しました。
収穫
収穫期間は2月から5月です。完熟実のみが手摘みされます。
デボラ農園の主要な収穫労働者は、パナマの他の農園と同様に、パナマの先住民族であるノベ・ブグレ族(Nôbe-Buglé)です。農園では、彼らに快適な住居、社会保障、医療サービス、衣類、個人用の庭、食肉や卵用の鶏を提供しています。
品種
デボラ農園は、ゲイシャ(Geisha)、カツーラ(Caturra)、カツアイ(Catuai)などを栽培しています。
精製方法
デボラ農園は、競技会で優勝できる最高級のコーヒーを生産するために、新しい精製方法をいち早く取り入れた農園の1つです。
「プロジェクト・オリジン(Project Origin)」の創設者で2015年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(WBC)の優勝者であるオーストラリアのバリスタ、ササ・セスティック(Sasa Sestic)は、デボラ農園とともに、ホール・チェリー・カーボニック・マセレーション(Whole Cherry Carbonic Maceration)という精製方法を開発しました。
サベージ・コーヒーズ
デボラ農園は、サベージ・コーヒーズ(Savage Coffees)が経営しており、プライベート・オークションを開催しています。
デボラ農園とバリスタ・チャンピオンシップ
台湾のバリスタ、バーグ・ウー(Berg Wu)は、2016年にアイルランドのダブリンで開催されたワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(WBC)(World Barista Championship)で、デボラ農園のゲイシャのウォッシュト精製を使用し優勝しました。このことで、デボラ農園は有名農園の仲間入りを果たしました。
デボラ農園のゲイシャは、競技会で数々の業績を残しています。
デボラ農園 Finca Deborah:https://real-coffee.net/category/country/panama/tierras-altas/volcan/finca-deborah