スペシャルティコーヒーの専門家 ウィレム・ブート
ウィレム・ブートとブート・コーヒー
ウィレム・ブート(Willem Boot)(または、ウィリアム・ブート)は、オランダ出身のスペシャルティコーヒーの専門家です。彼はコーヒーの焙煎、官能評価 、品質などについての教育者であり、コンサルタントとして世界中のコーヒー会社、機関、開発銀行に助言を提供しています。また、パナマにコーヒー農園を所有するコーヒー生産者でもあります。
ウィレムは、14才の頃コーヒーの焙煎業を始めました。アムステルダム大学で経営経済学の修士号を取得した後、オランダで家族経営のスペシャルティコーヒー事業を開始しました。1998年にアメリカ合衆国に移住し、サンフランシスコ・ベイエリアにコーヒーのコンサルティング会社である「ブート・コーヒー(Boot Coffee)」を設立しました。その後、彼はエチオピア、コロンビア、ホンジュラスなど、世界のコーヒー生産各国でコーヒーの品質改善プログラムに携わり、エチオピアとエルサルバドルのコーヒー産業向けのマーケティング・プログラムを設計しました。2016年、ウィレムはマーカス・ヤング(Marcus Young)とともに、コーヒーのトレーニング機関として「ブート・コーヒー・キャンパス(Boot Coffee Campus)」を立ち上げ、アメリカ合衆国西海岸地域のコーヒー業界にサービスを提供しています。
ウィレムは、コーヒーに関する様々な記事を執筆しています。ウィレムおよびブート・コーヒーが提供するコーヒーの情報は、ブート・コーヒー・キャンパスの「コーヒーのプロフェショナル向けの資料(Resources for Coffee Professionals)」にまとめられています。このうち、「エチオピアのコーヒーに関する買い付けと輸入の案内(Buying and Import Guide for Ethiopian Coffee)」、「イエメンについての包括的な報告(Comprehensive report about Yemen)」、「アラビカ種栽培に関する手順(Manual for Arabica Cultivation)」、「コーヒー輸出の案内(Coffee Exporter’s Guide)」は、エチオピアとイエメンのコーヒー産業、アラビカ種コーヒー生産、そしてコーヒー産業全般について知る上で、非常に有益です。
パナマ
1990年代、ウィレム・ブートと彼の兄は、パナマのシングル・オリジンのスペシャルティコーヒーの買い付けを始めました。ウィレムはその時から、パナマのコーヒーがダイヤモンドの原石のようなものであることに気付いていました。彼は、2004年にベスト・オブ・パナマ(BoP)(Best of Panama)の審査員を務めた時、エスメラルダ農園が出品したゲイシャ(Geisha)に魅了され、自らゲイシャの生産をすることを決意しました。
2006年に、ウィレムはバル火山の斜面に5ヘクタールの土地を購入し、「フィンカ・ラ・ムーラ(Finca La Mula)」という農園を設立しました。2009年には、より標高の高い場所に「フィンカ・ソフィア(Finca Sofia)」という2つ目の農園を設立しました。
ソフィア農園 Finca Sophia:https://real-coffee.net/category/coffee-origin/central-america/panama/tierras-altas/volcan/finca-sophia
ラ・ムーラ農園 Finca La Mula:https://real-coffee.net/category/coffee-origin/central-america/panama/dolega/finca-la-mula
フィンカ・ラ・ムーラは、2014年のベスト・オブ・パナマ(BoP)のゲイシャ ナチュラル部門で第1位に輝きました。そして、2015年には、フィンカ・ラ・ムーラのマセレーション・ウォッシュトが「コーヒー・レビュー(Coffee Review)」で97点を獲得し、2015年のコーヒー・オブ・ザ・イヤー(Coffee of the Year)の第1位の表彰を受けました。
フィンカ・ソフィアは、2017年のベスト・オブ・パナマ(BoP)のゲイシャ ウォッシュト部門で第1位に、そして、2020年のベスト・オブ・パナマ(BoP)のゲイシャ ウォッシュト部門で再び第1位に輝きました。
ウィレムは、3つ目の農園であるフィンカ・ラ・カブラ(Finca La Cabra)の共同設立者となりました。
ラ・カブラ農園 Finca La Cabra:https://real-coffee.net/category/coffee-origin/central-america/panama/boquete/finca-la-cabra
エチオピア
ウィレム・ブートは、エチオピアのゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステート(Gesha Village Coffee Estate)の設立に携わりました。
ウィレムは、2006年にゲイシャの起源を探索する旅を企画しました。その後、2009年にアメリカ合衆国出身のドキュメンタリー映画製作者アダム・オーバートン(Adam Overton)とエチオピア出身の写真家レイチェル・サミュエル(Rachel Samuel)と出会い、彼らからエチオピアでコーヒー農園を始めるというアイディアを聞きました。アダムとレイチェルは、ゲシャ(Gesha)の町の近くに400ヘクタールの利用可能な土地を見つけ、2011年から土地の開拓が始まりました。
ウィレムとゲイシャの物語については、「ロースト・マガジン(Roast Magazine)」の2013年5/6月号「聖杯の探究、ゲイシャコーヒーの10年(Exploring the Holy Grail, Geisha Coffee 10 Years On)」に詳しいです。
コロンビア
ウィレム・ブートは、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)(United States Agency for International Development)が支援しコロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)(Federación Nacional de Cafeteros de Colombia)が主導する「平和のためのコーヒー(Coffee for Peace)」の計画立案に関わりました。
平和のためのコーヒー(Coffee for Peace)は、コロンビアの紛争地帯におけるスペシャルティコーヒー産業を活性化とコーヒーによる平和を目的に立ち上げられました。
デイヴ・エガーズ(Dave Eggers)『モカの修道僧(The Monk of Mokha)』
ウィレム・ブートは、デイヴ・エガーズ(Dave Eggers)が著した2018年のノンフィクション『モカの修道僧(The Monk of Mokha)』に登場します。
この本の主人公は「ポート・オブ・モカ(Port of Mokha)」のCEOであるモクタル・オーカンシャリ(Mokhtar Alkhanshali)です。
ウィレム・ブート(ウィリアム・ブート)(Willem Boot):https://real-coffee.net/category/person/willem-boot
<参考>
"Q&A: Willem Boot",STiR<https://stir-tea-coffee.com/features/q-a-willem-boot/>
"Coffee for Peace in Colombia Launches Micro-Lot Program"<https://coffeeforpeace.org/assets/images/media/Coffee-for-Peace-Launches-Micro-Lot-Program.pdf>
"Boot Coffee Campus Expands and Marcus Young Joins Boot Coffee",Boot Coffee Campus<https://www.scaa.org/PDF/press-release-05-2016.pdf>
"Introducing our USA brand ambassador: Willem Boot",Giesen<https://www.giesencoffeeroasters.eu/introducting-our-new-ambassador/>
"A Coffee Person’s Review of Monk of Mokha",Barista Magazine<https://www.baristamagazine.com/review-monk-mokha/>