丘の上珈琲(珈琲考房):ブレンドコーヒー

丘の上珈琲(珈琲考房)

丘の上珈琲

丘の上珈琲(珈琲考房)は、武山 敬二(たけやま・けいじ)氏が代表を務める自家焙煎珈琲店です。

武山氏は、中藤 滋氏とともに、1984年2月1日札幌市北区麻生に「シーボルト珈琲店」を開業しました。

麻布茶房は、コーヒー豆の販売専門店「シーボルト珈琲店」(北区麻布2丁目)が前身、中藤さんは、長沼町の「珈琲考房」で焙煎を担当する社長の武山敬二さんと共に、1984年(昭和59年)にシーボルト珈琲店を開く。

和田由美(2006)『さっぽろ喫茶店グラフィティー』,亜璃西社.p.128

「それまではどちらかと言えばコーヒーが苦手でしたが、宮の森のコーヒー店で飲んだ一杯のおいしさに衝撃を受けました。何とか自分でも再現したいと思って自宅のガスコンロで焙煎し、その豆を持って1年以上通い詰めました。店主に嫌がられながらもね(笑)。そのうち弟子として認められました」。1984年2月に札幌市北区に5坪の店をオープン。やがて知人から「麻生茶房」の店舗を譲り受け、店は大きくなりました。

【道新ポケットブックから】田園風景を眺めながら極上の一杯を 丘の上珈琲(長沼町)」,道新ぶんぶんクラブ 2019年2月12日.

この「宮の森のコーヒー店」は、襟立 稔規(えりたて・としき)氏の「リヒト珈琲」です。稔規氏は、大阪「なんち」の襟立 博保(えりたて・ひろやす)氏の三男です。

武山氏は大学生のときに「リヒト珈琲」を訪れ、そこで飲んだコーヒーの衝撃を受けました。そして、「リヒト珈琲」に通い、稔規氏に焙煎豆を見てもらうことを続けました。

 渋くもない、酸っぱくもない、それでいて焦げていない。どうしたらあんな珈琲が焼けるのだろう。武山さんはリヒト珈琲に通った。「最初の頃は『また来たよこいつ』という感じで(笑)。終いには『僕は教えないからね。僕は珈琲を作るのが仕事だから』と言われてしまった」。では武山さんはどうやって学んだのか。毎日、自宅で珈琲を焼いて、師匠に見てもらう。その繰り返しだった。学生の武山さんに焙煎機を買うお金などなく、コンロの上で手網を使って焼いた豆を毎日持って行ったという。師匠はその豆を見ただけで良し悪しがわかるのだ。「武山くん、これ火が強すぎるよ。後のほう」とか、「最初、まだ火が弱いほうがいいね」とか。武山さんは師匠のコメントを反復しながら家に帰り、また豆を焼くのであった。

『北の焙煎人』,クナウマガジン.p.22-p.23

武山氏は1989年12月、北海道夕張郡長沼町に「珈琲考房」(焙煎所)開業しました。

「好きな仕事が嫌にならないように。そう考えて選んだ場所が長沼でした」。札幌市内で珈琲店を経営していましたが、焙煎作業の音が周囲に迷惑をかけていないか気になり始めたのが移住のきっかけ。長沼町の友人の紹介で今の場所が見つかり、移住を決めました。

「開店した頃はお客さんが毎日0、1、0、1という感じ」と武山さん。コーヒー豆の選別作業。発酵豆、黒豆、石などを一粒ずつていねいに取り除き、妥協なく選別した豆で作った珈琲は透明度が高く、嫌味や渋みが最小限に仕上がっています。3年を越えたあたりで口コミで広がり、現在は一日の客が20人だったり、100人だったり。波はありますが珈琲を求めて恵庭、千歳、苫小牧、本州からも訪れる人がいるのだとか。丘の上の珈琲と人には、不思議な引力がある。

武山 敬二さん - ~となりのながぬま~ 」,長沼町観光協会公式サイト.

1991年6月、札幌市北区麻生に「麻生茶房」(喫茶室)開店し、中藤氏が店主を務めました。「麻生茶房」は、2008年3月に閉店し、中藤氏は「珈琲考房」に移りました。

2017年11月、「珈琲考房」は「丘の上珈琲」に店名を変更し、現在に至ります。

麻生茶房と丘の上珈琲(珈琲考房)を含む、札幌の喫茶店事情については、和田由美『さっぽろ喫茶店グラフィティー』に詳しいです。

そもそもこの本が世に出たのは、2006年。今から14年前のこと。かつてタウン情報誌やベストセラーとなった『札幌青春街図』など街の本をいくつも造ってきた私は、1970年代から80年代の喫茶店について少し詳しかった。普段から書籍編集者の井上哲に、「昔はああだった、こうだった」と無駄話をしていると、「もっと聞きたい、知りたい」という。それなら雑誌か新聞で連載しようかなとぼんやり思っていると、朝日新聞夕刊の文化面がリニュアルされることを元タイムスの論説委員で友人の宮内令子さんが教えてくれて、担当の阿部八重子さんを紹介してくれた。それからトントン拍子で連載が決まり、2003年9月からスタート。好評につき単行本化したものの、店の大半は閉店している。

喫茶店グラフィティー余話①」,和田由美の日々雑記 2020年5月27日.

丘の上珈琲(珈琲考房) ブレンドコーヒー

焙煎度と味 出典:丘の上珈琲

丘の上珈琲のブレンドコーヒーは、ライトブレンド、サワーブレンド、ソフトブレンド、フレンチブレンド、ビターブレンドの5種類です。

ライトブレンドは軽い味わい、サワーブレンドは酸味、ソフトブレンドはバランスが良く、フレンチブレンドは深い味わい、ビターブレンドは苦味が特徴です。

丘の上珈琲のブレンドコーヒーは、スペシャルティコーヒーのシングル・オリジンのブレンドです。それぞれ焙煎後にアフター・ミックスされています。

丘の上珈琲で取り扱われているシングル・オリジンについては、以下の記事を参照してください。

東南アジア

南米

中米

https://real-coffee.net/okanoue-coffee-costa-rica-la-candelila

アフリカ

ライトブレンド

ライトブレンド

ライトブレンドは、ブラジル、コロンビア、エチオピア、グアテマラのブレンドです。ブレンド方法は、焙煎した後にブレンドするアフターミックスです。

ライトブレンドは、丘の上珈琲が取り扱うコーヒーのなかでは、最も軽い味わいのコーヒーです。

苦味を抑えた軽やかさ。 珈琲が苦手な方にこそお飲みいただきたいブレンドです。苦味を抑えようとすると焼きが甘くなり酸味が強調されがちですが、豆の内側と外側を均一に焼き上げることで、その豆の持つ特徴を引き出しました。 苦味、酸味が少なく、香り高い豆を厳選したブレンドです。

丘の上珈琲

味 出典:丘の上珈琲

酸味、甘さ、苦味、どれも突出せず、バランスのとれた優しい印象のコーヒーです。非常に飲みやすく、軽い味わいに仕上がっています。






サワーブレンド

サワーブレンド

爽やかな酸味と上品な香り。苦いだけの珈琲にうんざりしている方のためのブレンドです。珈琲の持つ雑味を取り除くために深く焙煎すると焦げることで苦味が強くなります。豆の内側と外側を均一に焙煎する技術があれば、焦がさずに雑味を取り除け、その豆の持つ特徴を引き出すことができます。 苦味が少なく、爽やかな酸味と上品な香りを楽しめるブレンドです。

丘の上珈琲

サワーブレンドは、ブラジル、コロンビア、タンザニアのブレンドです。タンザニアのコーヒーを使うことによって、爽やかさを強調しています。ブレンド方法は、焙煎した後にブレンドするアフターミックスです。

サワーブレンドは、丘の上珈琲が取り扱うコーヒーのなかでは、最も酸味の強いブレンドです。

味 出典:丘の上珈琲

スッと抜けていくようなスッキリした味わいが特徴です。酸味も上質で目立たず、苦味も少なめです。爽やかで飲みやすいブレンドです。






ソフトブレンド

ソフトブレンド

苦すぎず、酸っぱくない。当店の目指す珈琲を体現したブレンドです。独自の焙煎技術によって焦がすことなく雑味を取り除き、豆の持つ特徴を最大限に引き出しました。 香り、苦味、酸味それぞれの特徴を持つ豆をブレンドしバランスの取れた味を求めた当店の味の中心です。

丘の上珈琲

ソフトブレンドは、ブラジル、コロンビア、エチオピアのブレンドです。

味 出典:丘の上珈琲

酸味、甘さ、苦味、どれも突出せず、全体のバランスに優れた、柔らかくスッキリした味わいのコーヒーです。

ビターブレンド

ビターブレンド

焦がさない珈琲本来の苦味。長年、珈琲を飲まれている方のためのブレンドです。苦味を強調するために深煎りした豆は酸味や旨味が減ってしまう。 豆の良さを損なわないよう、焦がさず焙煎し、舌離れの良い上質な苦味が楽しめる。そんな特徴を持つ豆をブレンドしました。

丘の上珈琲

ビターブレンドは、ブラジル、コロンビア、インドネシアのブレンドです。インドネシアのコーヒーをブレンドすることで、苦味を表現しています。

味 出典:丘の上珈琲

クリーンで調和の取れた味わいの中に、苦味のアクセントが効いています。深煎りですが、酸味の残る焙煎度です。

フレンチブレンド

フレンチブレンド

深い苦味とかすかな甘み。エスプレッソを愛飲されている方にもおすすめできるブレンドです。珈琲の持つ酸味が苦手な方は少なくありません。その酸味を極力抑えるため、豆の内側と外側を均一に焙煎し、 焦げる寸前で釜から取り出す。そうすることで舌離れの良い苦味と、かすかな甘味を楽しめます。アイスコーヒーにもおすすめです。

丘の上珈琲

味 出典:丘の上珈琲

支配的な苦味の奥にわずかに酸味を感じるコーヒーです。まろやかな口当たりとほのかな甘さがあり、深煎りですが透明感のある澄んだクリーンな味わいです。

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