Direct Fire Roast 環:インドネシア ワハナ農園 コピ・ルアク

Direct Fire Roast 環のインドネシア ワハナ農園 コピ・ルアクです。Direct Fire Roast 環は2014年設立の長屋幸代女史が代表を務めるスペシャルティコーヒーのブランドです。中川正志氏のフレーバーコーヒーのスペシャルティコーヒーラインです。"Direct Fire Roast"は直火式の焙煎からその名がつけられました。

Direct Fire Roast 環のチラシ

インドネシア スマトラ島 ワハナ農園 コピ・ルアク

インドネシア

インドネシア(Indonesia)は一万数千にも及ぶ複数の島にまたがる東南アジアの島国です( 画像2枚目の太い線で囲まれている場所です)。首都はジャワ島に位置するジャカルタ(Jakarta)です。

インドネシアは世界第4位のコーヒー生産量を誇る世界有数のコーヒー大国です。インドネシアのコーヒー農園は小規模農園が全体の95%も占め、残りの大規模農園が国営と民営で半々です。インドネシアでは、17世紀にオランダ軍がアラビカ種をジャワ島に持ち込んだことにより、コーヒー豆の栽培が始まりますが、現在栽培されている品種はそのほとんどがロブスタ種です。これは19世紀後半にコーヒー栽培の大敵であるコーヒーさび病菌が流行し、従来のアラビカ種を栽培していた農園が壊滅的な被害を受けたため、病害に強いロブスタ種に切り換えられたためです。

具体的には、インドネシアのアラビカ種の主な品種は、カティモール種とジャワ・ティピカ種です。有名な銘柄としてマンデリンやトラジャ、ガヨ・マウンテンが挙げられます。1,000m以上の高地で栽培され、全体生産量の10%ほどです。残り90%以上を占めるロブスタ種は缶コーヒーやインスタントコーヒーの原材料となります。

主要産地は島ごとにスマトラ島がマンデリン、リントン、ガヨ・マウンテン、スラウェシ島がカロシ・トラジャを栽培しています。

ワハナ農園

ワハナ農園、Andy Sutionoより

ワハナ農園(Wahana Estate)はサリマクムール社( PT Sari Makmur)によって2005年に設立されたスマトラ島で唯一の単一農園です。

サリマクムール社は1995年メダン(Medan)に設立されたインドネシアで最大手のコーヒー輸出業者です。創業者はスーリョ・プラノト(Suryo Pranoto)氏です。サリマクムール社は、コーヒーと野菜の生産加工業を行うワハナ農園を運営するWAHANA GRAHA MAKMUR(偉大なる成功のための船、を意味する)、カフェ事業を行うオパール・コーヒー(Opal Coffee)を運営しています。また、同社は直営農園としてワハナ農園のほかに、約5000もの小規模農家と契約を結んでいます。

サリマクムール社は創業当時はコーヒーや野菜の精製加工を請け負う会社でしたが、高品質なコーヒー生産のためにはそれだけでは不十分であると考えたスーリョ氏は、自ら農園経営に乗り出し、2005年にワハナ農園を設立しました。

ワハナ農園はインドネシアのスマトラ島北スマトラ州ダイリ地区(Dairi)シディカラン(Sidikalang)Lae Mungkur村にあります。シディカランはインドネシアおよび世界最大のカルデラ湖であるトバ湖の北西部の山岳地帯にあり、歴史的にインドネシアで最もポピュラーな栽培地区のひとつです。インドネシアで第2位のマンデリン生産地域です。

シディカランはトバ湖周辺で最も標高が高い山岳地帯です。ワハナ農園は標高1,200~1,500mの高地に位置し、年間降水量は約2,000mmから3,000mmと十分な降雨量があります。気温は15~25℃の涼しい気候で、日中と夜の気温差が10℃を超えるため、豆が収縮を繰り返すことで、糖分を多く含んだコーヒー豆が生産できます。

ワハナ農園の農園主はサリマクムール社代表のスーリョ・プラノト氏とマリア・ゴレティ女史。二人は夫婦でもあります。面積は468ヘクタールの大きな農園です。具体的には、コーヒー農園用の土地が250ヘクタール、コーヒー苗床用の土地が30ヘクタール、コーヒー加工施設用の土地が10ヘクタール、自然保護区が100ヘクタール、その他野菜栽培用の土地、堆肥工場、労働者施設、その他施設およびゲストハウスです。

ワハナ農園はこれまでのスマトラ島のコーヒー生産に変革をもたらし、最高品質のコーヒーを生産することとコミュニティの創造を目的としています。スーリョ氏は世界最高の農法でコーヒー生産をするために、メルボルン大学で農学を学んだスーリョ氏の息子ディエント(Diento)氏を含む、大学教育を受けた農学者の知識を借りています。どの品種がユニークなスマトラの気候条件で繁殖するかを追跡するために、世界中から集めた品種が区画ごとに整理され植えられます。

1ヘクタールに約2,000本のコーヒーノキが植えられ、ギンネム(Lamtoro)の木の木陰で栽培されます。

農園は800から1000人の労働者を持つ地元の重要な雇用主です。そのためCSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)を実施し、無料で労働者にサービスを提供する診療所を設立しました。 小規模農家にコーヒー農園の管理に関する情報を提供し、シェード、有機肥料、コーヒーの種子を農家に無料で配布することで農家を支援しています。

品種

ワハナ農園のコーヒーの銘柄はマンデリンです。マンデリンは、インドネシアのスマトラ島北スマトラ州及びアチェ州(タケンゴン地区を除く)で栽培されるアラビカ種のコーヒー豆です。

マンデリンは病害から生き残ったアラビカ種をもとに、インドネシア西部のスマトラ島のMandailing(マンデリン)族が中心となって栽培を行ったものです。Mandheling(マンデリン)はバタック族の一氏族である「マンダイリン(Mandailing)族」からその名が取られています。その生産量はインドネシアのコーヒー生産量の数%に過ぎないですが、その希少性と品質が認められ、同じくインドネシアのコーヒーであるトラジャと並ぶ高級ブランドとなっています。

マンデリン:インドネシアの北スマトラ州及びアチェ州(タケンゴン周辺のガヨ・マウンテン生産地区を除く)にて生産されたアラビカコーヒー豆をいう。

レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約(平成30年6月更新)

ワハナ農園では13品種のスマトラ島の在来種のコーヒーを栽培しています。主要栽培品種はスマトラ・ロングベリー(Sumatra Longberry)とラスナ種(Rasuna)です。(Direct Fire Roast 環のワハナ農園のロングベリーについてはこちらから)。今回のコピ・ルアクはジャコウネコの体内で精製されたコーヒーであるため、品種は関係ありません。

インドネシアの品種は非常にややこしいので、詳しく知りたい方は旦部幸博氏の百珈苑BLOG「インドネシアコーヒーの歴史と品種」、「インドネシア・ハイブリッドの誕生」、「他産地からの移入種」などを参照してください。

精製方法

ジャコウネコ、Coffee Kopi Luwak Facebookより

サリマクムール社は、スマトラ式以外の精製方法が困難だった状況を打開するために、2009年に農園内に大型の屋内精製工場を建設しました。これにより、ウォッシュト、ナチュラル、ハニー、スマトラなどのさまざまな精製方法が可能になりました。また、サリマクムール社は栽培から輸出までのコーヒー生産に関わるすべてのプロセスを一貫して取り扱っているため、高品質なコーヒー生産へのアプローチが可能になりました。

このコーヒーはジャコウネコ・プロセスによって精製されるコピ・ルアク(Kopi Luwak、ジャコウネコの糞から作られるコーヒー)です。 高級コーヒーの代表格として知られています。

コーヒーは収穫された後、通常は人工的に精製されます。しかし、コピ・ルアク(Kopi Luwak)はジャコウネコの体内を通ることによって精製されます。野生のジャコウネコは完熟した品質の良いコーヒーチェリーしか食べないために、その体内で処理され排泄されたコーヒー豆はジャコウネコの腸内の消化酵素や腸内細菌の働きによって発酵され、独特の香味を帯びた高品質のコーヒー豆に仕上がります。コーヒーチェリーの種子の部分にあたるコーヒー豆は、消化されずにそのまま糞と一緒に排出されますが、コーヒー豆は表皮に覆われているため、豆自体は糞と接しておらず綺麗な状態です。糞とともに排出されたコーヒー豆は綺麗に洗浄され、表皮を剥がして、天日で乾燥されコーヒー豆として出荷されます。ジャコウネコの消化過程で、消化酵素や腸内細菌がコーヒー豆に作用し、独特の複雑な香りを生むとされています。

スマトラ島では湿度が非常に高く、乾式精製を行うことが困難だったため、通常「スマトラ式」と呼ばれる独特の精製方法を用いて精製されます。スマトラ式では生豆の水分状態が非常に高い状態で脱穀しますが、コピ・ルアク(コピ・ムサン)は一般的な精製方法と同じようにパーチメント(Parchment)の状態で水分量10数%まで乾燥させ脱穀します。

ワハナ農園では、完熟実のみが手摘みされ、果肉除去前に手で選別されて等級分けされます。精製されたパーチメントは湿度11%に管理された広いパティオで乾燥されます。

コピ・ルアクについて

コピ・ルアク(Kopi Luwak)またはコピ・ムサン(Kopi Musang)の"Kopi"は「コーヒー」、インドネシア語の"Luwak"とマレー語の"Musang"は「ジャコウネコ」の意味で、「ジャコウネコのコーヒー」という意味になります。ジャワ島で生産されると「コピ・ルアク」と呼ばれますが、スマトラ島で生産されると「コピ・ムサン」と呼ばれます。スマトラ島はマレー語の起源と言われているためです。以前は「イタチコーヒー」と呼ばれることもありました。"Kopi Luwak"は、日本語では「コピ・ルアク」とも「コピ・ルアック」とも表記されます。

ルアクコーヒーの歴史は、ジャワ島でジャワ戦争(1825)、スマトラ島でパドリ戦争(1821年-1837年)が起こり、反オランダ気運が高まっていた時期に遡ります。これらの戦争や財政運営に失敗によって財政難に苦しんだオランダは、ジャワ島で"Cultuurstelsel"という強制栽培制度を開始します("Cultuurstelsel"は普通「強制栽培制度」と訳されますが、オランダ語では単に「栽培制度」を意味します)。

この制度によって、現地農家はコーヒーはもとよりサトウキビや茶などの栽培を強制されました。現地農家の栽培したコーヒーはオランダ政府によって輸出目的に搾取され、彼らの個人消費のためのコーヒーは残されませんでした。そこで彼らは野生のジャコウネコの糞の中にコーヒー豆がまだ消化されずに残されているのを見つけ、それを処理して飲んでいました。やがてオランダの領主がこれに気付き、どこで入手したのかを彼らを問いただしました。個人消費のためにコーヒーを持っていることは窃盗を意味したためです。農家はジャコウネコの糞の中からコーヒー豆が採取できることを説明しました。オランダの植民者はこのジャコウネコのコーヒーが特別な香味を持っていることにすぐに気が付き、重宝した。これがコピ・ルアク(コピ・ムサン)の始まりだと言われています。

知名度の上昇

オプラ・ウィンフリー・ショー、Coffee Kopi Luwak Facebookより

1991年にインドネシアを訪れたトニー・ワイルド(Tony Wild)というイギリス人がコピ・ルアクを持ち帰り、ヨーロッパに紹介しました。2003年にはアメリカの女性テレビ司会者、オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)の『オプラ・ウィンフリー・ショー』(The Oprah Winfrey Show)で紹介されます(『オプラ・ウィンフリー・ショー』のコピ・ルアクの回についてはこちらを参照)。彼女は日本での知名度はあまり高くありませんが、アメリカでは絶大な人気を誇る司会者です。

この珍しいコーヒーを一躍有名としたのが2008年公開のジャック・ニコルソン(Jack Nicolson)、モーガン・フリーマン(Morgan Freeman)主演の「最高の人生の見つけ方(原題:The Bucket List)」です。日本では2006年の映画「カモメ食堂」で取り上げられたこともあります。

知名度が高まるにつれて、この希少で珍しいコーヒーの需要が急増し始めました。野生のジャコウネコはあちこちに糞を落とすため予測がつかず、糞から取れるコーヒー豆は量が少ない。需要が多すぎて、供給が追いつくことができなかったのです。コピ・ルアク(コピ・ムサン)は非常に高価なコーヒーとして売られ、糞から金が生まれることから、現地農家はコピ・ルアク(コピ・ムサン)生産のためにジャコウネコを閉じ込め、コーヒーチェリーを強制給餌し始めました。

やがて「動物の倫理的扱いを求める人々の会( People for the Ethical Treatment of Animals 、略称PETAまたはPeTA)」のような動物の権利団体が、このコーヒー生産が動物の虐待にあたると、その残酷さについて消費者に周知するキャンペーンを開始しました。ヨーロッパにこのコーヒーを紹介したトニー・ワイルド氏は、コピ・ルアク(コピ・ムサン)の消費を避けるよう声明を出すまでに至りました(トニー・ワイルド氏の声明についてはこちらから)。

しかし、コピ・ルアク(コピ・ムサン)は野生のジャコウネコから倫理的に調達された場合、地域社会に大きな利益をもたらします。野生のコピ・ルアク(コピ・ムサン)は現地農家の大きな収入源となるため、環境と動物の保護と現地農家の利益とをいかに共存させるかが課題となっています。

16世紀イスラム社会では、コーヒーが炭であるかどうかが法廷闘争となりました。イスラム教国であるインドネシアでは、2010年にこのコピ・ルアク(コピ・ムサン)を不浄なものとして禁止するシャリーア(イスラム法)が提案されましたが、この提案を却下されました(詳しくはこちらから)。

近年コピ・ルアク(コピ・ムサン)の知名と人気は非常に高まっていますが、、森林破壊による野生ジャコウネコの減少や、偽物の横行などもあり、野生のコピ・ルアク(コピ・ムサン)は希少なものになっています。

ワハナ農園ではジャコウネコが放し飼いされており、農園内で栽培されている完熟した高品質のアラビカ種のみを食べるために、野生のジャコウネコのコピ・ルアク同様に高品質なコピ・ルアクが生産できます。

ジャコウネコ科(Viverridae)はインドネシアの他にもフィリピンやアフリカ大陸、ユーラシア大陸に広く分布しており、エチオピアにはジャコウネコのコーヒーに関する伝承も残されています。ジャコウネコのコーヒーには、インドネシアの他にフィリピンやインドのシベット・コーヒー(Civet Coffee)があります。また、動物の体内によって精製処理するコーヒーには、猿の糞から作られるモンキー・コーヒー(Monkey Coffee)、タイの象の糞から作られるブラック・アイボリー(Black Ivory)、ブラジルのカモシム農園(Camocim)でジャクーの糞から作られるジャクー・バード・コーヒー(Jacu Bird Coffee)があります。

 気になるその味と香りですが、ジャコウネコの体を通過したからと言って、別に麝香や霊猫香の匂いがつくわけではありません。ただし、ジャコウネコの腸内微生物による発酵が独特の香味を生むと言われています。商品ごとにばらつきが大きくて一概には言えないのですが、全体として苦味が少なく、浅煎りで飲まれることが多く、柔らかな酸味とオレンジのような香り、そして生のナッツを思わせる、少しクセにある香りがあります。深煎りにするとこれらの特徴は薄れ、カカオのような香味に変化します。ただ、いずれも果肉を強めに発酵させるタイプのコーヒーにはときどき見られる香味なので、どこまでコピ・ルアク固有の特徴と言っていいか、よくわからないのが本音です。

旦部幸博(2017)『珈琲の世界史』,講談社現代新書.p34より

ジャコウネコの消化の過程で生まれる独特の香味が特徴です。旦部幸博氏によると、この香味がどこまでコピ・ルアク(コピ・ムサン)特有のものかはわからないそうです。

高品質のコピ・ルアク(コピ・ムサン)は「糞のコーヒー」というイメージとは反対に、非常にクリーンで透明感のある口当たりを特徴としています。

松屋式抽出方法

Direct Fire Roast 環とフレーバーコーヒーでは、松屋式という抽出方法を推奨しています。松屋式とは、1960年代に松屋コーヒー本店が編み出した抽出方法です。

松屋式ドリップ法とは、安定した味が出しやすくコーヒーの旨味成分だけを抽出し、時間が経っても味が劣化しない独自の抽出法です。中部地区の多くのカフェや喫茶店でも支持されています。

「松屋式ドリップ」,株式会社 松屋コーヒー本店ホームページより

上は50g用のレシピです。25g用のレシピは、以下の通りです。松屋式では3-5分の蒸らし時間をとりますが、このレシピでは4分を推奨しています。

【Drip$ de 松屋式 25gレシピ】
珈琲粉:松屋式用粗挽き 25g
(市販の粉よりかなり粗挽きです。ミルをお持ちでない方、粗挽きに挽けない方、豆ではなく、「粉:粗挽き」でご注文されることをお薦めします。)

蒸らし時間:4分
抽出量:150cc
全量:300cc(150ccのお湯で薄める。※濃さはお好みで薄める湯量で調整してください。)

松屋式では、粉が動かず、すべての粉から均一においしい成分だけが抽出されます。また、雑味やえぐみが出る以前に抽出を止めるため、非常にキレイな味に仕上がります。

Direct Fire Roast 環のインドネシア ワハナ農園 コピ・ルアク

商品説明書
商品説明書

「焙煎が醸す香り高いGood Luck Coffee」
当店では、秋の恒例となりました「コピ・ルアク」が登場です。
 
昨今、ナチュラル精製等、発酵系の個性的な香味が人気を博してますが、
コピ・ルアクは、その対極に位置し、昔から伝統的に愛されてきた上質な珈琲です。
 
コピ・ルアクと言えば、「コーヒーの実を食すジャコウネコ(ルアク)の排泄物(未消化の種子)」であることから、
希少で高価な珈琲と一般的にも広く知られるようになりました。
 
これまでも説明してきましたが、ジャコウネコが完熟の実を好んで食べるため、
排泄物は自然と熟度が高いコーヒーとなることが美味しさの秘密です。
 
それ故、ジャコウネコの餌となるコーヒーの品質により出来上がる珈琲の香味が変わります。
 
当店ではアラビカ種100%のコピ・ルアクを取り扱いしてきました。
4回目となる今年は、「ワハナ農園のコピ・ルアク」に戻すことにしました。
 
というのも、「コピ・ルアクも精製によって香味は変わる」と経験を重ねて考えるようになってきたからです。
 
ワハナ農園は、園内でジャコウネコを放し飼いしています。
ジャコウネコの餌となるコーヒーは園内のコーヒーに限られます。
そして、何と言っても、雑味のないクリアなコーヒーを作る精製技術は、インドネシア屈指の高さです。
ワハナ農園が作り出すコーヒーは、中米のコーヒーと遜色ないクリアさで、抜きん出ています。
今夏販売した「インドネシア・ワハナ農園・ロングベリー・ナチュラル」等、ワハナ農園の珈琲を
一度飲めば、お分かり頂けます。
 
インドネシアらしいアーシーさが好みの方には物足りないでしょうが、
今年は、「インドネシア随一の透明なコピ・ルアク」をご提供致します。

Direct Fire Roast 環 ホームページより

今年のDirect Fire Roast 環のインドネシア ワハナ農園 コピ・ルアクは、テスト焙煎が4回行われました。コピ・ルアクを購入した人は、先着順でテスト焙煎4種がオマケとして付いてきました。焙煎による香味を比較するとてもよい機会となりました。

本焙煎

Direct Fire Roast 環の焙煎は、直火式と過熱水蒸気を用いた焙煎を特徴としています。発明家でもある中川氏は過熱水蒸気による焙煎で、特許を取得しています(詳しくはこちらから)。帰山人氏のブログに詳しい解説があります(帰山人氏の記事はこちらから)。

コピ・ルアク 本焙煎の様子、flavorcoffeeフレーバー放送局2019年9月2日放送より
コピ・ルアク 本焙煎の試飲、flavorcoffeeフレーバー放送局2019年9月10日放送より

欠点なく、キレイな大粒豆です。水分量の多い生豆であったため、コピ・ルアクとしては深めの煎りだと思います。

カッピングプロファイル:柑橘、ベリー、カシスフレーバー、ミルキー

Direct Fire Roast 環 商品ページより

ミルクのようなフレーバーと甘味と非常にまろやかでクリーンな口当たりが印象的です。オレンジのような酸味があり、冷めるとカシスのようなフレーバーが強くなります。高品質のコピ・ルアク特有の非常にクリーンな飲み口です。

最高品質のコピ・ルアクの非常にクリーンで透明感のある味わいは、他のコピ・ルアクにはない特徴です。

テスト焙煎4種

テスト焙煎4種
テスト焙煎4種の焙煎豆
「生焼け」と「完全火力不足」
「やや火力不足」と「本焙煎に採用」
環のたしなみ・コピルアックテスト焙煎の試飲、flavorcoffeeフレーバー放送局 2019年9月2日

そんな生産技術が高いワハナ農園のコピ・ルアクでも生産年で水分量や硬さ等、豆の状態が変わります。
今年のルアクは、水分量12.2%と非常に水分が多い豆でした。
 
通常、水分が多い豆は、強い火力で水を抜きます。当店では水分量により水抜きの基準火力を決めています。
ですが、今年のルアクは豆の外側だけが固く、基準の火力で焙煎しますと、生焼けになりました。
それが、ライブ配信した「動画:コピ・ルアク(水分量12%以上の火力)テスト焙煎」です。
色ムラもなく、非常に綺麗な豆面で美味しそうな出来でしたが、見栄えに反して、収斂性のある酸味が強い珈琲でした。
この豆は、弱めの火力である程度時間をかけ、じっくり水を抜く必要があることが分かりました。
 
そこで、テスト焙煎では「豆の水抜きに最適な火力と必要な時間を」を探るため、火力を僅か0.05Kpaずつ変え、
焙煎の前半工程を徹底してテストすることに致しました。
それが、オマケのテスト焙煎4種です。
 
テスト焙煎の結果は、以下の通りです。
豆の水抜きには「水分量:11%~11.5%の火力で9分以上、時間をかける」必要があることが分かりました。
 
【テスト焙煎結果】
火力
水抜き時間
評価
最も強い火力(水分量12%以上の火力)
8分44秒
生焼け
2番目に強い火力(水分量11%~11.5%の火力)
9分02秒
香味が最も良い
3番目に強い火力(水分量10.5%~11.0%の火力)
9分16秒
香味は良いが、微かにカロリー不足の香味がする
最も弱い火力(水分量10.4%以下の火力)
9分15秒
水抜きに要する時間は、3番目に強い火力(水分量10.5%~11.0%の火力)
と変わらないが、香味はカロリー不足
※詳細は、【動画:コピ・ルアク テスト焙煎試飲】をご覧下さい。
 
では、何故、ここまで豆の水抜き工程に拘るのか?
 
水抜きの工程が香の質と強さ、そして、甘味を作る最も重要な工程だからです。
 
このようにテスト焙煎でしっかりと水抜き工程の火力を見極めた甲斐があり、本焙煎も無事終了しました。
正統派な珈琲と実感頂けるよう、香り高さと甘味のベストポイントを見極め、昨年より若干、焙煎度を深めました。
 
豆を挽く前から芳ばしい香りは一際強く感じられます。
液体となった珈琲からも心地良い香りは立ち昇り続けます。
一点のクスミもない透明感は、生豆の高い精製技術と緻密な焙煎が融合して作り出したクリアさです。
熟度が高いコーヒー豆を食したからこそ、生まれる甘い香味は焙煎により一段と輝きを増し、秀逸です。
飲み干した頃、楚々と感じる酸味と苦味は、透き通るクリアさの賜物であり、上質な珈琲の証です。
 
贅を極めただけの美味しさがあるGood Luck Coffee(開運珈琲)、今年も如何でしょうか?

Direct Fire Roast 環 ホームページより

生焼け(水分量:12%以上の火力)

「生焼け」と「本焙煎」

「生焼け」と「本焙煎」を比較すると「生焼け」の焙煎は浅く見えますが、コピ・ルアクは通常であればこの程度で焙煎されると思います。

コピ・ルアク(水分量12%以上の火力)テスト焙煎、flavorcoffeeフレーバー放送局 2019年8月27日

中には、この渋さを伴う強い酸味を明るい酸味と勘違いしている方もいらっしゃいます。
焙煎をする方なら、焙煎の良し悪しを判断する最も基本的な香味ですから、
この辺りはおさえておいて欲しい所です。
 
もし、自分の焙煎に自信がない場合は、珈琲を水出し(どぶ漬け)にしてみてください。
珈琲が、Woodyのような穀物のような、とても飲めた物ではない香味がするなら、
それは、焙煎が失敗しています。
上手く焙煎出来ている場合は、水出しにしても美味しいのです。
 
もっと言うなら、その珈琲を普通にドリップ(熱湯を使って)して、
強い酸味を感じる珈琲なら、それは、大方、生焼けです。
 
生豆が焙煎の失敗をカバーする程、品質が高いと生焼けを起こしていても、
酸味や香りを美味しい物と勘違いする人もいます。
 
特に短時間焙煎は、フルーティーな香りを強く出しますし、酸味も強く出せます。
短時間な分、生焼けになる可能性も高い訳で、品質が高い豆ですと
フルーティな分、勘違いする場合もあるのです。
 
水出しでの焙煎確認は、非常に分かりやすいので、お薦めです。

「ひとりごとープレスが一番美味かった??」,Direct Fire Roast 環 Diary 2019年9月18日エントリー.

Direct Fire Roast 環の長屋女史によると、生焼けの一番簡単な確認方法は、水出しで抽出することです。

こちらは水分量12%以上の最も強い火力で8分44秒水抜きを行った焙煎豆です。「生焼け」の焙煎で、酸臭が強いですが、焙煎豆の見た目はキレイです。

粉の状態では、水っぽい酸臭が感じられます。

温度の高い状態では、酸味はそれほど感じませんが口を縛るような渋みを感じます。温度が低くなるにつれて酸味が強く感じられるようになり、渋みと酸味が味全体を支配します。全体的に酸味よりの渋みの方が強く感じられます。穀物のような嫌なフレーバーと口を縛る渋み、強い酸味が、コピ・ルアクのフレーバーや甘味を消しています。体が拒絶反応を示すレベルです。これは飲めません。

完全火力不足(水分量:10.4%以下の火力)

「完全火力不足」と「本焙煎」
コピ・ルアク(水分量10.4%以下の火力)テスト焙煎、flavorcoffeeフレーバー放送局 2019年8月29日

こちらは水分量10.4%以下の最も弱い火力で9分15秒水抜きを行った焙煎豆です。水抜きに要する時間は水分量10.5%~11.0%の3番目に強い火力と変わりませんが、香味はカロリー不足です。

酸味が強めで、口を縛るような渋みがあります。本焙煎のコピ・ルアクにあったミルクのようなまろやかな甘味とフレーバーは感じられません。この「完全火力不足」も「生焼け」にあった穀物のような嫌なフレーバーが感じられます。こちらもやはり飲めません。

やや火力不足(水分量:10.5%~11%の火力)

「やや火力不足」と「本焙煎」
コピ・ルアク(水分量10.5~11%の火力)テスト焙煎、flavorcoffeeフレーバー放送局 2019年8月28日

こちらは水分量10.5%~11.0%の火力の3番目に強い火力で9分16秒水抜きを行った焙煎豆です。香味は良いですが、微かにカロリー不足です。

こちらは前の二つと違い普通に飲むことができるコーヒーです。「やや火力不足」は「本焙煎」と比較すると酸味が若干強く、ミルクのようなフレーバーやまろやかな甘味に欠けています。こちらは比較的クリーンな飲み口ですが、「本焙煎」ほどではありません。

本焙煎に採用(水分量:11%~11.5%の火力)

「本焙煎に採用」と「本焙煎」

「本焙煎に採用」よりも「本焙煎」の方が、少し深めの焙煎のように見えます。

コピ・ルアク(水分量11~11.5%の火力)テスト焙煎、flavorcoffeeフレーバー放送局 2019年8月28日

こちらは水分量11%~11.5%の火力の2番目に強い火力で9分02秒水抜きを行った焙煎豆です。「本焙煎」に採用された最も香味が良い焙煎度です。

こちらは「本焙煎」と同様にとてもクリーンな口当たりです。オレンジのような酸味は「本焙煎に採用」の方が強く、ミルクのようなまろやかな口当たりと甘味は「本焙煎」の方が強く感じられます。

<参考>

「The History of Kopi Luwak」 ,Gayo Kopi Luwak<https://gayokopi.com/history-of-kopi-luwak/>2019年10月29日アクセス.

Sari Makmur Tunggal Mandiri <http://sarimakmurtunggalmandiri.com/>2019年10月29日アクセス.

PT. WAHANA GRAHA MAKMUR<http://www.wahanaestate.com/>2019年8月9日アクセス.

Opal Coffe<http://opalcoffee.com.au/>2019年10月29日アクセス.

「Origin Stories: Wahana Estate with Paul Jackson, Danes」,Smudge Eats<https://smudgeeats.com/origin-stories-wahana-estate-paul-jackson-danes/>2019年10月29日アクセス.

旦部幸博「マンデリン:北スマトラのコーヒーの歴史」,百珈苑BLOG,2010年8月9日エントリー<https://coffee-tambe.hatenadiary.org/entry/20100809/1281326017>2019年10月29日アクセス.

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