エチオピアの首相アビー・アハメド・アリとエチオピア・コーヒーの新たな戦略
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エチオピアとアリババの世界電子貿易プラットフォーム

「Nobel Lecture: Abiy Ahmed Ali, Nobel Peace Prize 2019」,Nobel Prize 2019年12月10日.

エチオピアは、アビー・アハメド・アリ(Abiy Ahmed Ali)が首相になってから、エチオピアの農産物を国際市場へ売り込むための新たな戦略を打ち出しています。

https://twitter.com/AbiyAhmedAli/status/1295655784391626759

アビー・アハメド・アリは、2019年4月25日にアリババ(Alibaba)の当時のCEOであった(現在は引退)ジャック・マー(Jack Ma)と会談しました。彼らは2019年初頭にダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)(World Economic Forum)で初めて出会いました。

エチオピアは情報通信技術(ICT)(Information and Communication Technology)に投資するパートナーを探していました。

2019年11月25日、エチオピアはアリババと、世界電子貿易プラットフォーム(eWTP)(Electronic World Trade Platform)の構築に関する了解覚書(MoU)(Memorandum of Understanding)に署名しました。アフリカではルワンダに続き2カ国目です。

世界電子貿易プラットフォーム(eWTP)は、2016年3月23日にボアオ・アジアフォーラムで、ジャック・マーによって提唱された貿易上のプラットフォーム構想です。

馬雲氏、世界電子貿易プラットフォームの構築を呼びかけ:http://japanese.china.org.cn/business/txt/2016-03/25/content_38110501.htm

eWTPとは何か?国際貿易システムの刷新を目指す、アリババのB2B遺伝子と野望の結晶:https://lxr.co.jp/blog/8976/

アビー・アハメドは了解覚書(MoU)に署名した後の短いスピーチで、「電子取引プラットフォームはエチオピアの技術開発の一部であり、今後10年間にエチオピアをアフリカの5大経済大国にするための一歩である。また、中小企業の限界も広がる。(Electronic trade platform is part of Ethiopia’s technological development [and is] “a step forward to making Ethiopia among the five economic giants of Africa within the coming decade. It also expands the horizon for small and medium enterprises.)」と述べています。

エチオピアとケニア GDP逆転で思うこと:https://globe.asahi.com/article/11535015

「Alibaba Co-Founder visits nation to ink transformative deals」,CGTN Africa 2019年11月28日.

ジャック・マーは、このプラットフォームによって、コーヒーの取引形態が変わり、コーヒーが直接消費者に販売できるようになるだろうと語っています。将来的には、コーヒー業界を介さない本当の意味でのダイレクト・トレード(直接取引)が可能になるかもしれません。

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アビー・アハメド・アリと各国首脳

https://twitter.com/mfaethiopia/status/1007648029283930112

アビー・アハメドは、2018年6月16日にアブダビの皇太子であるムハンマド・ビン・ザーイド・ビン・スルターン・アール・ナヒヤーンをコーヒー・セレモニーで歓待しました。

「ERi-TV, Eritrea: Prime Minister Abiy Visits President Isaias' Family Residence」,Eri-TV, Eritrea (Official) 2018年7月9日.

アビー・アハメドは、2018年7月9日にエリトリアの大統領であるイサイアス・アフェウェルキ(Isaias Afwerki)にコーヒー・セレモニーで歓待を受けました。

また、アビー・アハメドは2020年2月9日に、首都アディス・アベバのユニティ・パーク(UNITY Park)で、カナダの首相であるジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)と会談し、コーヒ・セレモニーで歓待しました。

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アビー・アハメド・アリと韓国の文在寅

「Moon highlights Ethiopia's support during Korean War and promise tighter alliance」,ARIRANG NEWS 2019年8月26日.

2019年8月26日に、アビー・アハメド・アリは、韓国の文在寅(Moon Jae-in、ムン・ジェイン)大統領とソウルで会談しました。両首脳は、貿易、投資、開発、気候変動、科学、技術の、様々な分野で協力関係を拡大することで一致しました。

2020年3月30日には、両首脳の電話会談で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のアフリカなどの途上国への支援が協議され、韓国は積極的に協力していく姿勢を示しました。

朝鮮戦争とエチオピア・ベット

「Korea and Ethiopia's evolving friendship」,ARIRANG NEWS 2016年5月26日.

エチオピアと韓国には、朝鮮戦争時に結ばれた友好関係があります。両国の関係は「血を分けた兄弟(Blood brothers、またはBrothers by blood)」と表現されます。1991年からは、韓国はエチオピアを政府開発援助(ODA)(Official Development Assistance)で支援しています。

朝鮮戦争開戦から、今年(2020年)で70周年です。

韓国のチュンチョン市(Chuncheon)(または、春川市)には、朝鮮戦争におけるエチオピア退役軍人記念館(英語:Memorial Hall for Ethiopian Veterans in the Korean War、韓国語:에티오피아 한국전 참전)があります。

その路地を歩いた先には、1968年に設立されたエチオピア・ベット(英語:Ethiopia Bet、韓国語:이디오피아집)というコーヒー・ハウスがあります。アムハラ語で「ハウス(House)」は「ベット(bet)」と発音されるため、この名前で呼ばれ始めたそうです。

「Emperor Haile Selassie visited Korea 1968」,Biniam Hirut's History Tube 2019年11月3日.

このコーヒー・ハウスは、1968年にハイレ・セラシエ1世(Haile Selassie I)が訪れてから、エチオピアの外交官や観光客の巡礼スポットとなりました。また、このコーヒー・ハウスは、ハイレ・セラシエ1世から直接コーヒーを仕入れていたために、韓国で淹れたてのコーヒーが人気となるずっと以前から、チュンチョン市で人気のコーヒー・ハウスとなりました。

コーヒー・パーク

2019年8月26日の会談以前の8月13日に、エチオピアと韓国政府は、エチオピアのスペシャルティコーヒーをグローバルに宣伝するための国家計画の一部として、コーヒー・パークを建設する計画を発表しました。首都アディス・アベバに30ヘクタールのコーヒー・パークが建設される計画で、エチオピア政府と韓国政府が共同で5,000万米ドルを出資予定です。

コーヒー・ミュージアムやコーヒー・マーケット・センターなどの、様々な施設を備えたコーヒー・パークは、完成まで3年を要する予定です。

第2回国際コーヒーイベントと新しいロゴ

2020年2月6日から8日まで、「起源の地からきたコーヒー(Coffee from the Land of Origins)」をテーマに、首都アディス・アベバで「第2回国際コーヒーイベント(ICE)(International Coffee Event)」が開催されました。このイベントでは、エチオピアはスペシャルティコーヒーをグローバル市場に売り込むために、新しいコーヒーのブランド・ロゴが披露されました。

山羊飼いカルディをイメージしたロゴに見えなくもありません。

The Second International Coffee Event opened today in Addis Ababa at the Millennium Hall.The three-day event is being...

Ethiopian Investment Commissionさんの投稿 2020年2月6日木曜日

この「エチオピアン・コーヒー(Ethiopian Coffee)」と呼ばれる新しい国家構想は、主にグローバル市場でのエチオピア・コーヒーの需要を促進することを目的としています。

2019年8月に開催された利害関係者による会議で、エチオピア・コーヒー・紅茶局(ECTA)(Ethiopian Coffee and Tea Authority)の局長であるアドゥグナ・デベラ(Adugna Debela)氏は、このブランドが多様な品種を持つコーヒー発祥の地を示し、それによってエチオピアのオーガニック・コーヒーの評判を構築すること期待できると語っています。

しかし政府主導によるプロジェクトは、イルガチェフェ(Yirgacheffe)、ハラー(Harrar)、シダモ(Sidamo)といった、エチオピアの主要なコーヒー・ブランドの、国際的な存在感とイメージの低下を招くといった懸念もあります。

Ethiopia introduces new policies to boost coffee production:https://www.cnbcafrica.com/videos/2019/02/15/ethiopia-introduces-new-policies-to-boost-coffee-production/

韓国山林庁の森林再生パートナーシップ・プロジェクト

P4Gパートナーシップ・プロジェクトのダイアグラム、The Korea Herald.

韓国山林庁(Korea Forest Service)は、2019年9月からエチオピアの荒廃した森林をコーヒー農園として再生するプロジェクトに着手しました。2020年3月10日、このプロジェクトはP4G(Partnering for Green Growth)事務局より、2020年の「スタート・アップ・パートナーシップ(Start-up Partnership)」の1つに選ばれました。パートナーシップ・ネームは、"Agroforestry for People, Peace and Prosperity"です。

2020年6月17日、韓国山林庁、グローバル・グリーン成長研究所(Global Green Growth Institute)SKフォレスト(SK Forest)ツリー・プラネット(Tree Planet)の関係者がグランド ハイアット ソウルに集まり、プロジェクトの合意に署名しました。

このプロジェクトは、エチオピアの地域の様々な民族グループの住民を雇用し、地域に平和をもたらし、地域経済を活性化することに役立てます。民族間対立を経験したエチオピアの地域が、プロジェクトの対象地域となります。

韓国山林庁は、森林を回復し、土壌に害を及ぼさない環境にやさしい方法でコーヒーを生産する農園を発展させることを支援します。このプロジェクトには、2020年から2021年の間に、95,000ドルの予算が与えられました。

エチオピア初のカップ・オブ・エクセレンス

「CUP OF EXCELLENCE ለኢትዮጵያ ቡና ምን ይዞ መጣ 」,Asham Tube 2020年3月3日.

2020年にエチオピア初のカップ・オブ・エクセレンス(CoE)(Cup of Excellence)が開催されました。

2020年6月25日にオークションが開催され、91.04点を獲得し第1位に輝いたNiguse Gemeda Mudeは、日本の丸山珈琲、サザコーヒー、猿田彦珈琲が落札者に名を連ねています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響にも関わらず、オークションの落札価格は非常に高値を記録しました。

<参考>

「Ethiopia PM visits HQ of e-commerce giant Alibaba on China trip」,africanews<https://www.africanews.com/2019/04/26/ethiopia-pm-visits-hq-of-e-commerce-giant-alibaba-on-china-trip/>

「China is going digital in Africa」,How we made it in Africa<https://www.howwemadeitinafrica.com/china-is-going-digital-in-africa/63928/>

「Alibaba, Ethiopia sign MoU on eWTP to boost digital economy」,EXPLORE XINHUANET<http://www.xinhuanet.com/english/2019-11/25/c_138582636.htm>

「NEWS: ALIBABA GROUP TO HELP ETHIOPIA SET UP FIRST EWTP HUB,THE SECOND IN AFRICA」,ADDIS STANDARD<https://addisstandard.com/news-alibaba-group-to-help-ethiopia-set-up-first-ewtp-hubthe-second-in-africa/>

「Ethiopia presents new coffee logo at the International Coffee Event 2020」, Comunicaffe International<https://www.comunicaffe.com/ethiopia-presents-new-coffee-logo-at-the-international-coffee-event-2020/>

「Ethiopia to build 50-mln-USD coffee park to promote local coffee products」,EXPLORE XINHUANET<http://www.xinhuanet.com/english/2019-08/14/c_138306809.htm>

「Project will turn degraded forests into coffee farms」,Korea JoongAng Daily<https://koreajoongangdaily.joins.com/2020/06/17/business/industry/Korea-Forest-Service-Ethiopia-SK-Forest/20200617201100225.html>

「Korea, Ethiopia expand cooperation for forest restoration, sustainability」,The Korea Herald<http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20200617000393>

「History of Ethiopian and South Korean relations」,Ethiopia Observer<https://www.ethiopiaobserver.com/2019/07/19/history-of-ethiopian-and-south-korean-relations/>

「70 years of the Korean War: Why Ethiopia jumped into a distant war and remained unvanquished」,The Indian EXPRESS<https://indianexpress.com/article/research/70-years-of-korean-war-why-ethiopia-jumped-into-a-distant-war-and-remained-unvanquished-6473991/>

「Ethiopia 'breaks' tree-planting record to tackle climate change」,BBC News<https://www.bbc.com/news/world-africa-49151523>

「Can Ethiopia's Abiy Ahmed make peace with 'Africa's North Korea'?」,BBC News<https://www.bbc.com/news/world-africa-44771292>

「First Ethiopia Cup of Excellence Auction Generates Record High $1.34 Million」,Daily Coffee News<https://dailycoffeenews.com/2020/06/29/first-ethiopia-cup-of-excellence-auction-generates-record-high-1-34-million/>

「Ethiopia Breaks Cup of Excellence Record for Coffee Submissions」,Daily Coffee News<https://dailycoffeenews.com/2020/02/24/ethiopia-breaks-cup-of-excellence-record-for-coffee-submissions/>

「CUP OF EXCELLENCE ETHIOPIA」,EXPOSURE<https://fintrac.exposure.co/cup-of-excellence-ethiopia>

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