エチオピア モプラコと森光 宗男『モカに始まり』
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エチオピア モプラコと森光 宗男『モカに始まり』

モプラコ

"MOPLACO",Moplaco & Galani Cafe 2016年3月22日.

モプラコ・トレーディング株式会社(MOPLACO TRADING PLC)(以下、モプラコ)は、エチオピアで最古のコーヒー輸出業者の1つです。「モプラコ(Moplaco)」という社名は、「モカ・プランテーション・カンパニー(Mocca Plantation Company)」の略です。

モプラコは、1972年にエチオピア東部ディレ・ダワ(Dire Dawa)に設立されました。創業者のヤンニ・ジョーガリス(Yanni Georgalis)は、12才の頃から麻袋の印刷と計量の仕事を始めました。

モプラコは、ディレ・ダワに近いハラー(Harar)を中心に1,000ヘクタールの土地を有しています。創業当時はハラーのコーヒーを取り扱っており、ハラーのコーヒーを世界に広めるのに大きな役割を果たしました。

ヤンニは、2008年に亡くなりました。現在はヤンニの娘であるエレアンナ・ジョーガリス(Heleanna Georgalis)が代表を務めています。

ロゴ

エチオピアの聖三位一体章

モプラコのロゴは、エチオピア最後の皇帝であるハイレ・セラシエ1世(Haile Selassie I)のシンボルである「聖三位一体章」に由来しています。ハイレ・セラシエという名前は「三位一体の力」を意味しています。

アディス・アベバ

アディス・アベバ(Addis Ababa)では、モプラコは4,000平方メートル以上の敷地面積の施設を運用しています。ウォッシュト精製とナチュラル精製を行うそれぞれ独立した精製所を有しています。1日に最大20トンのコーヒを処理できます。最終工程の選別は、女性によって行われます。

また、モプラコは、アディス・アベバで「ガラニ・コーヒー(Galani Coffee)」というカフェを経営しています。

ディレ・ダワ

ディレ・ダワは、モプラコが1972年に設立された最初の場所です。ディレ・ダワでは、ハラーと西アルシ地方(West Arsi Zone)のコーヒーが、処理されます。

イルガチェフェ

イルガチェフェ(Yirgacheffe)のコーヒー・ウォッシング・ステーション(CWS)(Coffee Washing Station)は、ナチュラル精製のスペシャルティコーヒーを作る目的で、2005年に買い戻されました。

モプラコのイルガチェフェのナチュラル精製は、アフリカファインコーヒー協会(AFCA)(African Fine Coffees Association)が主催するエチオピア・テイスト・オブ・ハーベスト(Ethiopia Taste of Harvest)で2年連続優勝を果たしました。イルガチェフェはウォッシュト精製が一般的ですが、このことはスペシャルティのナチュラル精製の変革の基礎となりました。

イルガチェフェでは、マイクロ・ロットの生産も行っています。

イルガチェフェ チェレレクト

イルガチェフェのチェレレクト(Chelelectu)にある精製所では、コチェレ(Kochere)のコーヒーが精製されます。

シダモ ベンサ

シダモ ベンサ(Sidamo Bensa)のコーヒー・ウォッシング・ステーション(CWS)は、2017年に買い取られました。このコーヒー・ウォッシング・ステーション(CWS)は、ココサ郡(Kokosa Woreda)に面しており、「ベンサ ココサ(Bensa Kokosa)」のロット名で販売されています。

シェカ

モプラコは、エチオピア南部諸民族州 (SNNPR)(Ethiopian Southern Nations, Nationalities and Peoples' Region)シェカ地方(Sheka Zone)マシャ群(Masha Woreda)に、カヨカミノ(Kayokamino)という農園を所有しています。

カヨカミノは、2017年にモプラコが購入した自社農園です。

森光 宗男『モカに始まり』

左 モカに始まり 産地紀行編 右 モカに始まり 焙煎・抽出・美美編

珈琲美美の森光 宗男(もりみつ むねお, 1947 - 2016)は、モプラコのヤンニの案内でエチオピアのジェルジェルツー(Jerjertu)を訪れ、「ヤンニ・ハラール・モカ(Yanni Harar Mokha)」と名付けたコーヒーの輸入を始めました。

森光は、イエメンに5回、エチオピアに7回、産地視察に訪れています。

森光氏の産地巡礼や珈琲の真実を求めてきた生涯は、2012年に刊行された『モカに始まり』にまとめられ、この本は2012年の「CCAJ賞(CCAJ Award)」を受賞しました。帰山人の珈琲漫考に寄せられたコメントによると、森光は「生涯一冊あれば事足りると思っています。」と考えていたようです。

「私が書く本は、生涯に一冊だけです」。

森光宗男さんはそう言って、推敲に推敲を重ねた原稿を私に託した。

手の間文庫 -モカに始まりのこと-」,手のマルシェ 2020年12月13日.

2016年12月、森光は韓国で「ネルドリップとねるっこの実演教室」を開催した帰途、仁川国際空港で倒れ急逝しました。68歳でした(『モカに始まり 産地紀行編』の150ページには、69歳と記されています)。

森光さんは、東京の有名店「もか」の標交紀(しめぎゆきとし)氏(故人)の元で修行しましたが、その標さんも68歳で亡くなられ、標さんの師匠ともいう関西の珈琲研究家の襟立保博さんも68歳でお亡くなりになられたのです。

また、標さんや森光さんのエチオピア珈琲の旅をすべて面倒見てくれた、恩人のモプラコ社のヤンニさんも68歳でお亡くなりになられたのです。ただの偶然とは思えないような偶然なのです。

珈琲の神になった「珈琲美美 森光宗男」」,今井利夫の珈琲三昧 2017年1月28日.

『モカに始まり』は、2017年に「絶版になった珈琲美美の故・森光宗男さん"モカに始まり"を再び!」というクラウド・ファンディングが立ち上げられ、2017年に産地紀行編、2018年に焙煎・抽出・美美編として改訂版が再刊されました。

モプラコ(MOPLACO TRADING PLC):https://real-coffee.net/category/coffee-origin/africa/ethiopia/exporter/moplaco

<購入リンク>

モカに始まり-産地紀行編-:https://tenomarche.theshop.jp/items/36347127

モカに始まり-焙煎・抽出・美美編-:https://tenomarche.theshop.jp/items/36347222

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