蕪木:エチオピア モカ ヤンニハラール

蕪木 エチオピア モカ ヤンニハラールです。

蕪木は、2016年11月に開業した東京都台東区のコーヒーとチョコレートの自家焙煎店です。店主は蕪木祐介(かぶき・ゆうすけ)氏です。

「OUR NEIGHBORS: 蕪木 Kabuki」,NOHGA HOTEL 2020年8月24日.

エチオピア モカ ヤンニハラール

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ヤンニハラール

エチオピア モカ ヤンニハラールは、エチオピア(Ethiopia)オロミア州(Oromiya Region)東ハラゲ地方(West Hararge Zone)ジェルジェルツー(Jerjertu)で生産されているコーヒーです。

「モカ(Mokha、Mocha)」は、コーヒーの最古のブランド名です。この「モカ」という名前は、イエメンの紅海に面した西海岸の港町「モカ」に由来しています。

「モカ」というブランド名の冠するコーヒーには、イエメン南西部サナア州(Sana'a Governorate)バニー・マタル地区(Bani Matar District)で生産される「モカ・マタリ(Mokha Mattari)」に代表されるイエメン産、エチオピア東部ハラリ州(Harari Region)で生産される「モカ・ハラー(Mokha Harar)」に代表されるエチオピア産の2つがあります。

 かつて輸出されていた「モカ」という港の名前から、エチオピア産の珈琲はモカと呼ばれる。エチオピアで生まれ、エデン湾を挟んだ対岸のイエメンでその飲用文化が花咲き、それが今世界中で飲まれている珈琲の原点となっている。モカは、なんとも形容しがたい独特の華やかな香りを持ち、この香りのことを「モカ香」と呼んでいるが、私もその虜となって昔から好み、今では店で使う珈琲豆の半分以上はモカの豆だ。

蕪木祐介(2019)『珈琲の表現』雷鳥社.p.92-93

ハラー産のコーヒーは、歴史的に最高級品として評価されてきました。ハラー産のコーヒーには、黄金色に輝くゴールデンビーンズが混じるためです。ハラーで生産されたコーヒーは、ディレ・ダワ(Dire Dawa)に集荷されます。

ジェルジェルツーは、このディレ・ダワ(Dire Dawa)から車で5時間、ガラ・ムラタ山(Gara Mulata、または、ガラ・ムレタ山(Gara Muleta))南斜面に位置しています。ジェルジェルツーは、標高1,800m - 2,000mの高地で、樹齢150年以上、樹高6mから8mのコーヒーノキが規則的に植えられています。ラダーと呼ばれる三脚梯子を使い、この樹高の非常に高い老齢のコーヒーノキから、完熟実が手摘みされます。

珈琲美美の森光 宗男(もりみつ・むねお, 1947 - 2016)氏は、1992年頃にNHKのエチオピアの取材記録でジェルジェルツーのコーヒーについて知りました。そして、1994年1月の第2回目のエチオピア産地視察で、モプラコ・トレーディング株式会社(MOPLACO TRADING PLC)(以下、モプラコ)のヤンニ・ジョーガリス(Yanni Georgalis)氏の案内で、ゴールデンビーンズを求めてジェルジェルツーを訪れました。

森光氏は、イエメンには、1987年2月、1996年1月、1997年1月、1998年1月、2005年1月に5回の産地視察、エチオピアには、1991年1月、1994年1月、2000年1月、2005年1月、2009年1月、2010年11月、2016年1月の7回の産地視察に訪れています。

2009年1月の第5回目のエチオピア産地視察で、2008年に亡くなったヤンニ氏の娘のエレアンナ・ジョーガリス(Heleanna Georgalis)に「ヤンニ・ハラール・モカ」と名付けたコーヒーの輸入を申し出ました。「ヤンニ・ハラール・モカ」の「ヤンニ(Yanni)」という名前は、モプラコのヤンニ(Yanni)氏の名前から取られています。

森光氏が幹事に名を連ねる「ジェルジェルツー ワールドヘリテージの会」は、ジェルジェルツーのコーヒー農園を世界最古のコーヒー農園として世界遺産に登録するための運動を行っていました。森光氏は第5回目の産地視察で、この会が集めた5千人以上の署名をエチオピアの文部省に渡しました。

森光氏は、2010年11月の第6回エチオピア産地視察で、ゴールデンビーンズの採れる場所がもう1つの場所、ワユーを訪れました。

 初めてジェルジェルツー村を訪れた際、ゴールデンビーンズの採れる場所がもう一つ、谷の向こうにあるという話を仲買人から聞いた。ワユーというその土地はジェルジェルツー村への道のりよりもさらに険しく、ロバでしか行けないという。それを知って放っておくわけにはいかない。実際にこの目で確かめないことには、納得がいかない。

 帰国後、私は緻密な準備を重ねた。エチオピア最大のコーヒー輸出業者モプラコ社のエレアンナ社長に頼み込み、馬(ミュール)を手配してもらい、キャンプも辞さない覚悟でルート計画を練った。そして2010年の秋、コーヒー豆の収穫が始まる11月に合わせ、強行したのだった。

森光宗男(2017)『モカに始まり 産地紀行編』,手の間文庫.p.38

森光氏の産地巡礼や珈琲の真実を求めてきた生涯は、2012年に刊行された『モカに始まり』にまとめられました。この本は、2017年に産地紀行編、2018年に焙煎・抽出・美美編として改訂版が再刊されました。

 こんな私の独断の体験談を、このように皆さんにお伝えできる機会が与えられたことをうれしく思います。そして、強く遠くから私を支えてくださっている多くの方、何より、エチオピアでの生産地巡りに同行し、土壌の大切さを教えてくれたエチオピアコーヒー輸出業モプラコ社の故ヤンニさんに感謝せずにはおられません。

森光宗男(2017)『モカに始まり 産地紀行編』,手の間文庫.p.17

「モカに始まり」は、珈琲美美の「モカに始まり…」で、その一部を読むことができます。

いまや港は寂れ果てているが、珈琲はモカに始まり、モカに還る。珈琲の生命は、その香りにあるから。

森光宗男(2017)『モカに始まり 産地紀行編』,手の間文庫.p.147

品種

世界最古と呼ばれるコーヒー農園で伝統的に栽培されてきたコーヒーの原種です。

精製方法

精製方法はナチュラル(Natural)です。

 一口のモカ香といっても、生産地域や加工によって風味は著しく異なる。精製方法でいえば、東部のハラールや南西部のカッファなど、多くの珈琲は水を使わない非水洗式(63頁)を採っている。摘んだ豆をそのまま天日乾燥、脱穀して珈琲豆を取り出す一番シンプルな方法だ。完全に乾燥するまでには時間もかかり、わずかに発酵も進む。この発酵こそがモカ香の独特な風合いを作り出しているといわれている。

蕪木祐介(2019)『珈琲の表現』雷鳥社.p.93
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蕪木 エチオピア モカ ヤンニハラール

エチオピア モカ ヤンニハラール

エチオピア モカ ヤンニハラール

エキゾチックなモカの香りと深み。 濃厚なコクと甘み。 少し濃く抽出すると、良さがより発揮されます。 エチオピアハラール地域、樹齢80年以上の古木の残るジェルジェルツーの村から収穫された珈琲豆。 ー私にエチオピア珈琲の奥深い魅力を伝えてくれたエレアンナさん。彼女はエチオピア珈琲商社MOPLACO社の代表であり、農園や精選所も管理しています。 「ヤンニ」とは、彼女のお父さんで前社長の故ヤンニさんの名前から取ったもの。 とても愛着を持って使っている珈琲豆です。

蕪木

抽出

蕪木氏の『珈琲の表現』では、以下のような基本のレシピが挙げられています。

  • 粉量 - 20g [30g]
  • 抽出量 - 120cc[ 240cc ]
  • 挽き方 - 中挽き
  • 抽出時間目安 - 2分[ 3分]
  • 湯温 - 90〜95℃

実際の抽出については、『珈琲の表現』の「淹れ方の手順」に詳しいですが、コーヒーに「正しい」抽出も「世界一美味しい」レシピも存在しませんので、自ら創意工夫するのが良いでしょう。

しかし、珈琲の抽出に正解はありません。要はどんな味が作りたいか。こう淹れたら必ず美味しくなるといった黄金レシピなどは存在しません。さらに、年齢や経験によって嗜好も変化することもあるでしょう。味作りの指針はご自身で決めていただき、「美味しさ」を探してみてください。

蕪木祐介(2019)『珈琲の表現』雷鳥社.p.51

スパイシーでウッディな独特の複雑なモカフレーバーがエキゾチックな印象的です。濃厚に抽出すると、まろやかで甘さのある味わいになります。

このモカのエキゾチックなフレーバーは、「美しく芳醇な液体に陶酔することこそ意義深い」という蕪木氏の思想にふさわしいものです。

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