『珈琲交響楽』発行ー味の素ゼネラルフーヅ株式会社 編集ー株式会社世界文化社 家庭画報編集部
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『珈琲交響楽』発行ー味の素ゼネラルフーヅ株式会社 編集ー株式会社世界文化社 家庭画報編集部

『珈琲交響楽』

『珈琲交響楽』

『珈琲交響楽』は、1982年から84年にかけて出版された全5巻の珈琲文化シリーズです。発行は味の素ゼネラルフーヅ株式会社、編集は株式会社世界文化社 家庭画報編集部です。

「珈琲文化シリーズ 1 珈琲交響楽 ワールド・コーヒー・レシピー」では、アレンジコーヒーとコーヒーを使用したお菓子を紹介しています。紹介されているコーヒーとお菓子には、すべて味の素ゼネラルフーヅ社(AGF社)のインスタントコーヒー「マキシム(Maxim)」が使用されています。

味の素ゼネラルフーヅ社(AGF社)は、1973年8月1日に味の素社とアメリカ合衆国のゼネラルフーヅ・コーポレーション(GFC社)(現モンデリーズ・インターナショナル)の合弁会社として設立されました。味の素ゼネラルフーヅ社(AGF社)は当初、スプレードライ製法による「マックスウェル(Maxwell)」を発売していましたが、その後フリーズドライ製法による「マキシム(Maxim)」を発売しました。

1973年、AGF社設立時の製品は、濃縮コーヒー液を熱風乾燥方式(スプレードライ製法)で顆粒状に仕上げた「マックスウェル」、高級な風味で評価が高かった「ユーバン」、カフェインレス「サンカ」のインスタントコーヒー3品種のほか、植物性クリーミングパウダー「マリーム」や粉末ソースミックス「ルーミック」、ドッグフード「ゲインズミール」でした。

その後フリーズドライ製法による「マキシム」を誕生させたほか、家庭用及び業務用レギュラーコーヒーにも進出しました。こうして、設立初年度の売上高106億円が1982年度には6倍近くの647億円と成長しましたが、90年代に入るとインスタントコーヒー市場の停滞と価格下落、生豆相場高騰により、売上げ低迷、赤字決算も経験しました。

「一杯の価値」を提供するAGF社、完全に味の素グループへ Vol.28」,味の素株式会社

「珈琲文化シリーズ 2 珈琲交響楽 珈琲を愛する人間讃歌」では、多種多様な人がスプーンやカップ、コーヒーやお菓子について語っています。標 交紀や伊藤 博が登場するのですが、個人的に気になるのが、諸橋 利明(デザイナー)が四万客のデミタスカップを収める建物を造ったとのことです。これは村上 和美の2000点のコレクションよりもずっと多いのですが、このコレクションはどうなったのでしょうか?

後半では、全国各地の「ユニークなコーヒー店ガイド」が紹介されています。

「珈琲文化シリーズ 3 珈琲交響楽 珈琲を愛する街々-ヨーロッパのキャフェ」では、ヨーロッパの歴史のあるカフェが紹介されています。国単位ではなく都市単位でカフェが紹介されていますが、やはりカフェ(喫茶店)は国ではなく都市に属するもので、国単位で語られるコーヒーの歴史とは異なった視点で語るべきだという印象を受けました。

「珈琲文化シリーズ 4 珈琲交響楽 珈琲を愛するアメリカの人々-アメリカのコーヒーライフ」では、アメリカ合衆国の人々のコーヒーライフが紹介されています。ちょうどスペシャルティコーヒーの運動が始まるか始まらないかの頃だと思いますが、コーヒー市場というよりもコーヒーのライフスタイルの紹介がメインです。当時のアメリカ合衆国は、「ヤッピー(yuppie, young urban professionals)」という言葉が使われ始めた頃で、紹介されている人々も皆裕福そうです。

帰山人の珈琲漫考の「攪拌と着香」で、この頃のアメリカ合衆国(ニューヨーク)のコーヒー事情とその後のスペシャルティコーヒーの関連について推察されています。

「珈琲文化シリーズ 5 珈琲交響楽 カップが語る珈琲生活史-付・いま使いたいコーヒーカップ」では、ヨーロッパのコーヒーカップの老舗ブランドとコレクターが紹介されています。

『珈琲交響楽』では、数多くの人がコーヒーについて語っています。バブル期だからこそ出版できた豪華本という印象で、現在このような本を出版するのは難しいでしょう。

全巻でラストにコピーライターの小田嶋 伸幸による「マキシム珈琲物語」が語られています。

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