神楽珈琲店と南 綾子
江別珈琲豆屋Tuttiと神楽珈琲店
神楽珈琲店は、北海道札幌市豊平区平岸2条13丁目2-21にあったスペシャルティコーヒー店です。
神楽珈琲店は、2008年1月にオープンした江別市文京台にあった江別珈琲豆屋Tuttiが前身です。
2008年に今の家に越してきた当時、近くに「tutti」というコーヒー豆屋さんがありました。その頃は今ほどコーヒー好きではありませんでしたが、それまで飲んだコーヒーの中では「美味しいな」と感じて時々購入していました。
数年利用する中で久しぶりに行った「tutti」、焙煎をしていた店長さんがいつの間にかいなくなり、それまで接客をされていたシャキシャキと明るい女性が焙煎をし1人で切り盛りしていました。
その女性がタイトルに書いた『あの人』。
コーヒーマイスターの南綾子さん。その後、テナントの関係だったか「tutti」は閉店することに。
「あの人の珈琲 」,Cafe心麦(まめ) 2018年11月14日.
近くで美味しいコーヒー豆が買えたのに残念だなと思っていると、少し離れた札幌市の平岸で「神楽珈琲店」と屋号を変えて南さんがお店を構えると聞きひと安心。
とある珈琲店のモカにものすごい衝撃を受けたのは数年前のこと。
コーヒーの世界に足を踏み入れてはいたものの、まだ経営を引き継いで間もない頃のことでした。振り返って考えてみると、コーヒーに関して私が本気で覚醒したのは、あの瞬間だったのかもしれません。
あの時のモカと同じ豆を焼けるようになった今でも、あの衝撃は忘れられない。
「明日7月12日(土)は臨時休業です」,神楽珈琲店 2014年7月11日.
あの味に近づいているかどうか、あの感動を自分のお客様に与えられてるのかどうか。
いつも振り返り、立ち戻る。
原点みたいなものです。
5年間の営業後、2013年6月25日に札幌市豊平区に移転し、「神楽珈琲店」としてオープンしました。
「神楽珈琲店」の名前の由来を訊かれることがよくあります。
私の苗字でもなく、旭川出身でもありません。お店の名前を付けるとき考えたこと。
日本語がいい。(カタカナや外来語ではなく)
難しくない、やさしくて読みやすい漢字を使いたい。
発音しやすいこと。覚えてもらいやすいこと。
これらがまず第一条件。そして、出来れば神様の名前を付けたいと思っていました。
古事記や日本書紀に出てくるような神様の名前を一部いただけないかと思っていました。特別な宗教は持っていないけれど、信仰心はあります。
目に見えない存在に対する畏敬の念というものを、年々強く感じるようになってきていました。紆余曲折を経て悩むこと数ヶ月、「神楽」という言葉に出会ったとき、これにしようと思いました。
神様が楽しんでくれるなんて、何より素晴らしいことではないか!!名前の由来、一言では説明できないんですけど、思い入れもありますし、とても気に入っています。
「「神楽珈琲店」店名の由来」,神楽珈琲店 2014年4月23日.
これからもずっと、大事にしていきたいと思っています。
神楽珈琲店が出来るまで~その1:http://kaguracoffee.blog.fc2.com/blog-entry-5.html
神楽珈琲店が出来るまで~その2:http://kaguracoffee.blog.fc2.com/blog-entry-6.html
オーナーは南 綾子です。北海道の女性焙煎士の先駆けでした。
焙煎機の掃除→生豆のハンドピック→焙煎機の余熱→焙煎→焙煎終了後再度ハンドピック
毎回これだけの過程を経て、お客様にお渡しできるコーヒー豆が出来上がります。
一度に焼く豆の量にもよりますが、作業をしていると一日はあっという間に過ぎます。
ああもうこんな時間かと思いながら、また明日の焙煎のためにとあれこれ準備しているとき、何とも言えない充実感があって、やっぱり自分は焙煎することが好きなんだと感じます。バリスタでもなくサイフォニストでもなくハンドドリップチャンピオンでもなく、私は一流のロースターになりたい。
という決意をあらたにする最近なのであります。
「What do you want to be…」,神楽珈琲店 2014年3月12日.
神楽珈琲店がオープンして間もなく、天海珈琲の藤原 瞬(ふじわら しゅん)が訪れています、
藤原は、美術家であり、焙煎士でありました。藤原は、神楽珈琲店がオープンした同じ年の2013年3月30日に、石狩市厚田に天海珈琲カフェ&アートギャラリーをオープンしました。2017年10月31日、膵臓がんで亡くなりました。
中村惠一のエッセイ「美術・北の国から」第10回 - ときの忘れもの:http://blog.livedoor.jp/tokinowasuremono/archives/53420919.html
アトリエモリヒコ(ATELIER Morihiko)の市川 草介(いちかわ そうすけ)もまた、神楽珈琲店を訪れています。
私が今まで出会ったコーヒーマンは、一人残らずみんな個性的で魅力的な人たちばかり。
今日その中のお一人、敬愛する大大大先輩の焙煎士が初めてお店に来てくれた。
(舞い上がりすぎて写真は撮れなかった)
私の淹れたコーヒーを一口、二口、三口…。
「うまいよ」と口を開いてくれるまで、緊張しすぎて心臓止まるかと思った。
コーヒーを一杯飲み干して風のように去って行ったけど、その間にしてくれたお話が、いちいち心に染みた。
まるで私の中のモヤモヤを見透かしていたかのようなお言葉の数々だった。9月24日(水)~26日(金)まで東京ビックサイトで3日間にわたり開催されるSCAJ2014。
年に一度のコーヒー業界のビッグイベント。
その中で開催される「ローストマスターズチャンピオンシップ」という競技に、北海道代表チームの一員として参加させていただくことになりました。
(注:選ばれたわけではないのです、参加しますと手を挙げたのです)本番に向けて、これからミーティングを重ねていくことになります。
百戦錬磨の先輩焙煎士達に必死に食らいついて、ガッツリ勉強して、技術を磨いていきたいと思います。
目指すは「チーム北海道」の優勝です。この大会を通じて、またたくさんの素晴らしいコーヒーマンと出会えることでしょう。
「Challenge」,神楽珈琲店 2014年8月6日.
それが何より楽しみで、何よりの財産になると思っています。
ロースト マスターズ チャンピオンシップ 2014
2014年に、南はスタンダードカフェ(STANDARD CAFE)(現在はスタンダードコーヒーラボ(STANDARD COFFEE LAB))の大磯 悟(おおいそ さとる)、くつわだ珈琲(現在はヨシノリコーヒー(yoshinori coffee))の轡田 芳範(くつわだ よしのり)、いわい珈琲の岩井 貴幸(いわい たかゆき)とともに、「チーム北海道」としてロースト マスターズ チャンピオンシップ(RMC)(Roast Masters Chamiponship)に参加しました。
競技開始前に緊張のあまりナイーブになっている私と、大会の司会進行役を務めてくださった、敬愛する大先輩、横井珈琲の横井さん。
プレゼンの順番は「北から順番に」とのこと。
北から、、、ていうと、もちろん北海道からですよね笑
はい、私、トップバッターです笑
せめて、誰か一人くらいお手本見せて欲しかった…(;_;)
そんな願いむなしく、トップバッター勤めてきました。
7分間、プレゼンしました。
どうだったかは、、、緊張であまりよく覚えてません笑
6チームすべてのプレゼンが終わり、試飲タイム。
先ほどバッグヤードで抽出したコーヒーを観客の皆さんに飲んでいただきます。
観客は6つのコーヒーを飲み比べして、自分が一番美味しいと思ったチームに投票。
その得票数で順位が決まります。
私も合間を見て6チームすべてのコーヒーを飲み比べしてみました。
同じ豆なのに、焙煎方法と抽出方法が違えば味わいもこんなに違うんだ!ということを、あらためて認識することができました。
投票タイムも終わり、ついに結果発表。
北海道チーム、、、残念ながら3位入賞ならずでした、、、(;_;)
「ローストマスターズチャンピオンシップ出場報告」,神楽珈琲店 2014年10月2日.
ロースト マスターズ チームチャレンジ 2015
ロースト マスターズ チャンピオンシップ(RMC)は、2015年にロースト マスターズ チームチャレンジ(RMTC)(Roast Masters Team Challenge)に名称変更しました。南は2015年のロースト マスターズ チームチャレンジ(RMTC)に、この年の2015年4月5日にオープンしたばかりのヨシノリコーヒーの轡田 芳範、2013年のジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ(JCRC)(Japan Coffee Roasting Championship)で優勝し、2014年にイタリアで開催されたワールド コーヒー ロースティング チャンピオンシップ(WCRC)(World Coffee Roasting Championship)で第6位に入賞した丸美珈琲店の後藤 栄二郎(ごとう えいじろう)とともに、「チーム北海道」として参加しました。
コーヒーブームが叫ばれる昨今。
特に今、札幌の街は全国的にも注目されています。
もともと実力のあるロースターの揃う土地柄でもありますし、
最近では中心部に次々と新しいコーヒーショップがオープンしています。
今後もこの流れは続きそうで、
今月の横井珈琲さんのパセオ店のオープンも待ち遠しいところですし、
他にも続々とオープン情報がささやかれています。
また、今月27日(日)には
初開催となるコーヒーイベントが
札幌三吉神社境内にて開かれます。
札幌を中心とした自家焙煎店9店が出店し、
それぞれのコーヒーとペアリングフードを販売する
チャリティーイベントです。
神楽珈琲店にもお声かけ頂き、
出店させていただくことになりました。
トップクオリティのコーヒーをあれこれと飲み比べできるという、
かつてない、
コーヒー好きにはたまらないイベントになりそうです。
なんだか熱い、新しいムーブメントが起きそうな予感が
フツフツとしてるんです。
この流れにうまいこと乗っかって、
大会で優勝して、
更に北海道のコーヒーシーンを盛り上げていきたい!!
「第2回目MTG」,神楽珈琲店 2015年9月8日.
2015年のロースト マスターズ チームチャレンジ(RMTC)は、横井珈琲の横井 力(よこい ちから)が司会を担当していました。2015年は、ヨシノリコーヒーの他にも、2015年6月にはバリスタート コーヒー(BARISTART COFFEE)、2015年9月18日には、横井珈琲 パセオ店がオープンしました。
東川町の「yoshinori coffee」さんにて
焙煎の全国大会
「ローストマスターズチームチャレンジ」の
課題豆の焙煎をしてきました
自分のとは違うマシーンに
ドキドキワクワクして
先輩ロースターの焙煎方法に
新しい学びを得て
焼き方を少しずつ変えながら
その味の出方の違いをカッピングで確認して
とにかくものすごい楽しかったです!
北の大地の澄み切った空気の中で
チーム一丸となって焼き上げた豆
きっと素晴らしいコーヒーが出来たと思います
「チーム北海道」,神楽珈琲店 2015年9月25日.
無事に競技終了致しました。
1位と2位しか発表されませんでしたが
残念ながら北海道チームどちらにも入らず…。
さて何位なのかは後日とのことです。
結果はともあれ
やれることはすべてやったし
何よりとても楽しかったです。
またひとつ、いい経験をさせてもらいました^ ^
「競技終了」,神楽珈琲店 2015年10月3日.
また、2015年9月27日に、三吉神社で2015年10月4日開催された「料理人の休日レストラン2015」 のスピンオフ企画として、「珈琲屋さんの神社マルシェ」が開催されました。このイベントには、神楽珈琲店も参加しています。この珈琲屋さんの神社マルシェが、現在のSapporo 珈琲マルシェにつながり、ロースト マスターズ チャンピオンシップ(RMC)やロースト マスターズ チームチャレンジ(RMTC)に参加していたメンバーが、現在のSapporo 珈琲マルシェの常連店になっています。
北海道のスペシャルティコーヒー
2015年6月に丸山珈琲の丸山 健太郎(まるやま けんたろう)が札幌市のスペシャルティコーヒー店を訪問しています。
2016年4月9日、南は約5年間の闘病の末、がんで亡くなりました。
神楽珈琲店 店主南綾子君が亡くなった。ロースト見学においでと言ったら、嬉しそうに返事をしてくれた事を思い出す。女性焙煎士の登場に期待をしていた矢先のあまりにも若い昇天だった。
— 森彦|市川草介 (@frenchcoffees) April 13, 2016
Watch “神楽珈琲店” on @Vimeo https://t.co/Wl5a8u2P7V
2017年のロースト マスターズ チームチャレンジ(RMTC)では、「チーム北海道」は審査員大賞を受賞しました。
会長の田口氏がこんなことを仰っています。
「次の10年の間に、どこに行ってもスペシャルティコーヒーを飲めるように協会としても努力しなければならないと思います」本当にその通りです。
ようやく少しずつ認知されてきた「スペシャルティコーヒー」という言葉。
もっともっと普及させるために、今後私たちが努力していかなければなりません。
どこのカフェに入っても、喫茶店でも、自宅でも、「あぁ美味しかった…」と心から満足できるコーヒーが飲める。
コーヒー業界の片隅に身を置くものとして、そんな社会を私は夢見ます。
「スペシャルティコーヒー」,神楽珈琲店 2013年10月6日.