ブラジルのコーヒー生産地域(ミナス・ジェライス州):マンチケーラ・デ・ミナス
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ブラジルのコーヒー生産地域 ミナス・ジェライス州 マンチケーラ・デ・ミナス

マンチケーラ・デ・ミナス

マンチケーラ・デ・ミナス(Mantiqueira de Minas)は、ブラジル(Brazil)ミナス・ジェライス州(英語:State of Minas Gerais、ポルトガル語:Estado de Minas Gerais)スル・エ・スドエステ・デ・ミナス・メソ地域(Sul e Sudoeste de Minas South and Southwestern Minas Mesoregion)に位置するコーヒー生産地域です。マンチケーラ山脈(英語:Mantiqueira Mountains、ポルトガル語:Serra da Mantiqueira)のミナス・ジェライス州側、ミナス・ジェライス州南部に位置しています。

マンチケーラ・デ・ミナスの25の自治体 出典:Mantiqueira de Minas

マンチケーラ・デ・ミナスは、保護地理表示の境界領域を形成する25の自治体から構成されています。この地域の生産面積は、56,000ヘクタールです。約8.200のコーヒー生産者がおり、そのうち小規模生産者が約82%です。年間生産量は、130万袋(1袋=60kg)です。

地理的表示(GI)

マンチケーラ・デ・ミナスは、2011年に高品質のコーヒーを生産する地域として、地理的表示保護(PGI)(Protected Geographical Indication)の地理的表示(GI)(Geographical Indication)の保護を取得しました。

農産物は、土壌、気候、品種、標高などの地理的要因に影響を受けるという特殊性があります。例えばコーヒーの場合、異なる地域に植えられた同じ品種は、地域ごとに異なった特性を表現し、特殊な個性を持つコーヒーとして成長します。

この地理的要因と生産者の取り組みの組み合わせと品質競争が、その地域特有の高品質なコーヒー生産を可能にします。それぞれに特殊性を持つ商品は、ブランド化や原産地名称保護によって、市場における同じカテゴリーの他の商品と区別することができます。

「地理的表示(GI)」という用語は、生産者、取引業者、および消費者が、特定の場所で生産された商品が、その地理に起因する特殊な品質を持っていることを認識し始めたときに確立された概念です。

EU の地理的表示(GI)保護制度:https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07001948/EU_GI_Report2015.pdf

アプロカム(Aprocam)

"APROCAM",Los Brown 2009年7月17日.

マンチケーラ・デ・ミナスの地理的表示保護(PGI)は、アプロカム(Aprocam)(英語:Association of Coffee Producers from the Mantiqueira Region、ポルトガル語:Associação dos Produtores de Café da Mantiqueira)という組織によって管理されています。

アプロカム(Aprocam)は、マンチケーラ・デ・ミナスでの高付加価値のコーヒー生産の開発を促進することで、マンチケーラ・デ・ミナスのコーヒーを、世界最高品質にまで高めることを目的としています。

また、ブラジルのコーヒー生産地域を代表する団体に、アボプカフェ(ABOPCAFÉ)(英語:The Association of Brazilian Coffee Producing Regions、ポルトガル語:Associação Brasileira das Origens Produtoras de Café do Brazil)があります。

Denominação De Mantiqueira de Minas:https://www.gov.br/inpi/pt-br/servicos/indicacoes-geograficas/arquivos/cadernos-de-especificacoes-tecnicas/MantiqueiradeMinas.pdf

原産地名称保護認定コーヒー

認定シール 出典:Mantiqueira de Minas

マンチケーラ・デ・ミナスの境界が定められた地域で、規制理事会によって定義された生産規則に従って生産されたコーヒーのみが、「マンチケーラ・デ・ミナス」の認定を受けることができます。

世界最大のコーヒー生産国であるブラジルは、同時に世界最大のスペシャルティコーヒー生産国の1つとなっており、ブラジルのほとんどすべてのコーヒー生産地域で、スペシャルティコーヒーが生産されています。この商品の差別化への動きは、その背後にある情報への希求を生みます。それは歴史の共有を可能にし、生産者と消費者を結び付けます。そして、商品のブランド化や原産地名称保護は、商品の差別化の強力なツールとなります。

マンチケーラ・デ・ミナスの原産地名称保護認定コーヒーは、以下のような要件が必要とされます。

  • マンチケーラ・デ・ミナスの境界領域内に農園があること。
  • コーヒーはロットごとに適切に管理され、協同組合の倉庫またはアプロカムが認定した倉庫に保管されていること。
  • これらの倉庫が境界領域内に配置され、合法的な運用条件下にあること。
  • 倉庫に保管されているロットの、物理的なトレーサビリティ・システムがあること。
  • それぞれのロットが、生産された場所の特性、生産プロセス、乾燥プロセスの情報を有していること。

原産地名称保護認定コーヒーの特徴としては、アラビカ種、伝統的な生産方法、アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)(Specialty Coffee Association of America)(現スペシャルティコーヒー協会(SCA)Specialty Coffee Association)方式で83点以上の品質の高さ、社会的および環境的持続可能性への取り組み、トレーサビリティが挙げられます。

収穫

収穫は、場所の特性に応じて、機械または手摘みで行われます。

品種

地理的表示保護(PGI)を取得することができるのは、アラビカ種のみです。

マンチケーラ・デ・ミナスで生産されている主な品種は、ブルボン(Bourbon)、アカイア(Acaiá)、カツアイ(Catuaí)、イカツ(Icatu)、ムンド・ノーボ(Mundo Novo)、カツカイ(Catucaí)です。

精製方法

精製方法は、ナチュラル(Natural)、フリー・ウォッシュト(Fully Washed)、パルプト・ナチュラル(Pulped Natural)です。

ナチュラル

ナチュラルは、コーヒーチェリーを天日乾燥させる、伝統的な精製方法です。

フリー・ウォッシュト

フリー・ウォッシュトは、ハスク(殻)を機械的に除去し、ムシラージをタンクで発酵によって除去します。

パルプト・ナチュラル

パルプト・ナチュラルは、ブラジル特有の精製方法です。天日乾燥の前に、ハスクとムシラージの一部を機械的に除去します。

マンチケーラ・デ・ミナスのカルモ・デ・ミナスにおいて、パルプト・ナチュラルをいち早く取り入れた生産者の1人が、カルモコーヒーズ(CarmoCoffees)に所属するサンタ・ルシア農園(Fazenda Santa Lúcia)のエルシオ・カルネイロ・ピント(Hélcio Carneiro Pinto)です。

カルモ・デ・ミナス

カルモ・デ・ミナス(Carmo de Minas)は、マンチケーラ・デ・ミナスの代表的なコーヒー生産地域です。

標高1,100m - 1,450mに位置し、穏やかな気候、肥沃な土壌、年間降水量2,000mmの適度な降雨量、十分な日射は、コーヒー栽培にとって理想的な環境です。

カルモ・デ・ミナスのミナスという言葉は、「鉱山」という意味です。20世紀が終わるまではコーヒー産地としては無名で、むしろ鉱山や「ミナス・チーズ(Minas Cheese)」というチーズの生産地、あるいは避暑地としてブラジル国内で知られていました。

ブラジルがポルトガルの植民地だった頃、ミナス・ジェライス州はたくさんの鉱山があることで知られていました。金をはじめ、ダイヤモンドやその他の鉱物を採掘するために、多くの人が働きに出る場所でした。職場に持ち運ばれていたチーズが、良質な牛乳から作られて、味の評判も良かったため、いつしかミナス・チーズと呼ばれる名産品になっていきました。

カルモ・デ・ミナスは、この地域に住んでいた一部の古い世代に、この地域で栽培される果実が特別なものであると信じられていました。この背景から、1990年代にカルモ・デ・ミナスでコーヒーの品質を求める動きが始まり、この運動が後のアプロカム設立の起源となっています。

1999年からブラジルでカップ・オブ・エクセレンス(CoE)(Cup of Excellence)(当時はベスト・オブ・ブラジル(Best of Brazil))が開催されるようになり、カルモ・デ・ミナス周辺の農園が次々と上位入賞や優勝を果たしてから、カルモ・デ・ミナスはコーヒー生産地として有名になりました。

さらに、2012年から始まった、その時点では世界で唯一のナチュラルのカップ・オブ・エクセレンス(CoE)、ブラジル・ナチュラルズ(Brazil Naturals)では、2015年12月大会までの5回とも、優勝農園はマンチケーラ・デ・ミナスから輩出されています。

ブラジル・ナチュラルズでは、2012年はカルモ・デ・ミナスのコリナス農場(Sítio Colinas)がブルボン カツアイ(Bourbón Catuai)のナチュラルで91.66点を獲得し第1位、2013年はコンセイサン・ダス・ペードラス(Conceição das Pedras)のサン・ジョアキン農場(Sítio São Joaquim)がイエロー・カツアイ(Yellow Catuai)のナチュラルで92.13点を獲得し第1位、2014年はカルモ・デ・ミナスのノッサ・セニョーラ・アパレシダ(Nossa Senhora Aparecida)のナチュラル(品種不明)が92.22点を獲得し第1位、2015年1月はマンチケーラ・デ・ミナスのクリスチーナ(Cristina)のバイサダーオ農場(Sítio Baixadão)のナチュラル(品種不明)が95.18点を獲得し第1位、2015年12月はマンチケーラ・デ・ミナスのクリスチーナのサン・セバスチアン農園(Sitio São Sebastião)のナチュラル(品種不明)が94.47点を獲得し第1位に輝いています。

このことから、カルモ・デ・ミナスを含むマンチケーラ・デ・ミナスは、優良なコーヒー産地として一躍に有名になりました。

マンチケーラ・ミナス(Mantiqueira de Minas):https://real-coffee.net/category/coffee-origin/south-america/brasil/state-of-minas-gerais/mantiqueira-de-minas

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