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ブラジルの季節労働者 ボイアス・フリーアス(Bóias Frias)

ボイアス・フリーアス(Bóias Frias)

"Bóias Frias (1974)",EMPLASA 2014年11月27日.

ブラジルのサン・パウロ大学コミュニケーション芸術学部(ECA)(英語:School of Communications and Arts、ポルトガル語:Escola de Comunicação e Artes) が作成した、コーヒー農園で働く季節労働者のドキュメンタリーがある。

この季節労働者は、ボイアス・フリーアス(Bóias Frias)と呼ばれる。彼らは様々な作物の生産周期に合わせて、ある農業地域から別の農業地域へと移動するブラジルの賃金労働者である。彼らは自らの土地を持っておらず、また雇用関係を持たない日雇い労働者である。

郊外に住む彼らを仲介人が採用し、自宅から農園までトラックで移動する。場所は作物の収穫時期などによって様々である。弁当を持って夜明けとともに家を出ていくが、温める手段がなく冷たい状態で食べなければならないため、ポルトガル語のスラングで「食事」を意味する「ボイア(Boia, Bóia)」と「冷たい」を意味する「フリーオ(ア)(Frio, Fria)」から、「ボイアス・フリーアス(Bóias Frias)」と呼ばれるようになった。

1日の労働時間は10時間から12時間で、冷めた昼食を短い時間でかき込む。遅くに自宅に連れて帰られ、翌日も同じ労働を繰り返す。閑散期になると仕事がなくなるため、ある地域から別の地域へと移動する。彼らはサンパウロ州、パラナ州、ミナスジェライス州、ゴイアス州、マトグロッソ州、マトグロッソ・ド・スル州を行き来し、特にサトウキビ、綿花、コーヒー、オレンジの収穫に従事する。

ボイアス・フリーアスが出現した背景は、農作業の機械化が一因と考えられる。かつて農園に住み込みで働いていた労働者は、そこで賃金を受け取り、さらに自らの小さな農園で収穫した作物を自ら消費したり、近隣の都市に販売して生計を立てていた。しかし、農作業の機械化により不要となった労働者は、都市へと流れていった。大地主が報酬を生産物の一部ではなく、金銭で提供するようになると、彼らは賃金労働者として農園で働くプロレタリアート(無産階級)となった。

ボイアス・フリーアスは、ほとんどが学がない低賃金労働者のため、高収入を得るためには厳しい肉体労働を強いられる。搾取された労働力として、摘発の対象となることもある。

<参考>

"Picked by slaves: coffee crisis brews in Brazil",REUTERS<https://www.reuters.com/article/us-brazil-coffee-slavery/picked-by-slaves-coffee-crisis-brews-in-brazil-idUSKBN1YG13E>

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