
カフェ ランバンのイエメン ホワイトキャメル モカ・マタリ アルハムニダです。実店舗は北海道札幌市にある自家焙煎珈琲店です。
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イエメン ホワイトキャメル モカ・マタリ アルハムニダ


イエメン
イエメン(Yemen)は中東のアラビア半島最南端に位置する国です。紅海とアデン湾を挟んだ対岸に、ジブチ、エリトリア、そしてコーヒー発祥の地と言われるエチオピアがあります。首都はサナア(Sana'a)です。
イエメンはエチオピアからコーヒーが持ち込まれ、コーヒーの商業栽培が始まった最初の国です。
コーヒーの飲用の歴史は、かつてのイエメンの首都であったアデンのイスラム聖者、シーク・ゲマレディン(Sheik Gemaleddin)(ザブハーニー)が、1454年に旅行先のアビシニア(現在のエチオピア)でコーヒーの効能を知り、アラビア半島でコーヒー飲用を広めたのが始まりと言われています。
それとほぼ同時期に、イエメンの山岳地帯でコーヒーの商業栽培が始まります。そのイエメンの山岳地帯で、現在に至るまで栽培され続けているのが「モカ」です。
「モカ(Mokha、Mocha)」という冠がつくコーヒーは、イエメン南西部サナア州(Sana'a)バニー・マタル(Bani Matar)地方で生産される「モカ・マタリ」に代表されるイエメン産、エチオピア東部ハラール州で生産される「モカ・ハラール」に代表されるエチオピア産の2つがあります。
この「モカ」という呼び名は、イエメンの紅海に面した西海岸の港町「モカ」から由来しています。イエメンの山岳地帯で収穫されたコーヒーは「モカ」に集められ、イスラム諸国、ヨーロッパへと輸出されていきました。
「モカ」の特徴は、「モカ臭」と呼ばれる独特の発酵臭です。また、コーヒー豆の形や大きさも不揃いで、最高グレードでも欠点豆が多いです。イエメン・モカは麝香を思わせる芳醇な香り、コクのなかに酸味を感じさせる複雑な味わいが他の豆にはない特徴です。それに対して、エチオピア・モカはコクは控えめで、さわやかな味わいと酸味が特徴です。
イエメンのコーヒーの産地は西部を南北に走る高地山岳地帯に集中しており、コーヒーは急峻な山肌に作られた標高1,700-2,300mにあるテラス(段々畑)と、伏流水となっているワジ(涸れ川)に沿った標高1500-1,700mにある農地で生産されます。
代表的な産地として、バニー・マタル(Bani Matari)、バニー・イスマイル(Bani Ismaili)、ハラズ(Haraz)、ライマ(Raima)、ヤーフェ(Yaafe)などがあります。コーヒーの植え付け面積は、1ヘクタールあたり900-1,000本です。
アルハムニダ・モカ社

アルハムダニ・モカ社(Al-Hamdani Mocha)はイエメンの南西部サナア州(Sana'a)バニー・マタル地方(Bani Matar)に位置するコーヒー生産者および輸出業者です。
バニー・マタル地方は古くからイエメンコーヒー最高の産地とされており、アルハムダニ・モカ社はこの地方の多くの農園を所有しています。

アルハムダニ・モカ社は、130年以上の歴史を持つイエメンでも最古のコーヒー会社です。アル・ハムダニ家(Al Hamdani family)によって経営されており、現在の会長はアフマド・アリー・アル・ハムダニ(Ahmed Ali Al Hamdani)氏です。彼はアル・ハムダニ家の第4世代目にあたり、1980年代に家業を継ぎました。
アルハムダニ・モカ社は130年以上前に、アフマド・ナセール・アフマド・アル・ハムダニ(Ahmed Naser Ahmed Al Hamdani)とその息子アフマド(Ahmed)によって設立されました。彼らはバニー・マタル地方で栽培されたコーヒーを集荷し、アデン(Aden)やホデイダ(Hodeidah)に港に卸していました。

1990年、首都サナアに本社が開設されました。バニ・マタル地方から約25km離れた場所にあるサナア本社を開設したことは、イエメン国外での事業拡大に大きな役割を果たしました。
1995年、アルハムダニ・モカ社は、カナダ、アメリカ合衆国、日本の他に、多くのヨーロッパ諸国を輸出先に加えました。
2000年、アルハムダニ・モカ社は、サウジアラビア(Saudi Arabia)とカタール(Qatar)に、グリーン・ゴールド社(Green gold Corporation)という最初の支店を開設しました。
2006年、クウェート(Kuwait)にグリーン・ゴールド社の他支店が開設されました。 2008年には、高い生産量を誇る最新式の精製所が、イエメンに建設されました。
アルハムダニ・モカ社はこのように、サウジアラビア、カタール、その他のアラブ湾岸諸国にコーヒーを直接輸出することでビジネスを発展させ、多くの支店を設立して会社を拡張することができました。
アルハムダニ・モカ社は、イエメンコーヒーの集荷、生産、輸出ならびにマーケティング、国内外の多くのイベントへの参加に加えて、多くの会議や国際展示会への参加、無料サンプルの配布を通じたプロモーションを主な任務としており、イエメンコーヒーの代表的な輸出業者として積極的な役割を果たしてます。
2007年、アルハムダニ家はアルカブス家(Al-Kabous Family)とともに、イエメンモカコーヒー協会(Yemen Mocha Coffee Association)を創設しました。この協会はイエメン全域でコーヒー農家のサポートを行っており、「モカ」の名称の乱用を防ぎ、イエメン・モカの品質と評判を維持しています。
アルハムダニ・モカ社は、「モカ」の名称の乱用、公的機関のサポートの欠如、水不足など、イエメン・コーヒー産業が抱える問題に直面しています。
アルハムダニ・モカ社は地元の農家のコーヒー栽培をサポートするため、70年前から無利子のローンを提供しており、近年になってローンの提供を急激に増やしました。
コーヒー生産にはインフラへの投資を多く必要としますが、イエメンのコーヒー農家は公的な援助を受けられないことが多いため、財政面での負担とコーヒー栽培の援助の問題を抱えています。
アルハムダニ・モカ社は創業以来、多くの課題を乗り越えてきたことで現在の成功を手にしました。現在は、これらの問題にどのように立ち向かうかが課題となっています。
モカ・マタリ

イエメン ホワイトキャメル モカ・マタリ アルハムニダは、アルハムダニ・モカ社が、バニー・マタル地方で収穫されたイエメンの在来種を、標高2,500mの高地に位置する小規模農家から買い集め、現地で更に選別した最高級豆です。
イエメンのコーヒーは、収穫された産地の形容詞形で名前が呼ばれます。バニー・マタル地方で収穫されたコーヒーは、「マタリ」と呼ばれています。
「モカ・マタリ」は、イエメンのコーヒーの中でも最も有名なブランドです。
アタカ通商とホワイトキャメル


ホワイトキャメル(White Camel)は、アタカ通商のイエメン・モカのブランドです。
アタカ通商では、様々な仲介人による、ハラズ(Haraz)、ハイミ(Haimi)、ライミ(Raimi)、ヤフィー(Yaffi)の様々なイエメン・モカが取り扱われていました。
2013年からアルハムダニ・モカ社が仲介業者となりました。
カフェ ランバンでは、バニー・イスマイル地方で収穫されたバニー・イスマイリの取り扱いもありました。
品種
品種はイエメン在来種です。コーヒーの起源と言われるエチオピアやイエメンには、他の国にはない在来種が多く存在しています。
イエメンの在来種はその特徴によって、ダワイリ(Dahairi)、トゥファーイ(Toufahari)、ウダイニ(Odaini )、ブラーイ(Bura’ee)の4つのタイプに分けられます。これらは政府機関の調査で分類されました。
ダワイリ | 樹高1~4m | 大きく丸いコーヒーチェリー |
トゥファーイ | 樹高2~6m | 大きいリンゴ型のコーヒーチェリー |
ウダイニ | 樹高2~4m | 小さく丸いチェリー |
ブラーイ | 樹高1~3m | 小さく楕円形のチェリー |
この中でウダイニが、他の品種と多く共通点が見られるため、イエメン品種の原型ではないかと考えられています。
精製方法
精製方法はナチュラル(乾式)です。
コーヒーの代表的な精製方法にウォッシュト(Washed、湿式)とナチュラル(Natural、乾式)のふたつがあります。イエメンでは安定した水源確保ができないため、コーヒー豆は伝統的にすべてナチュラルで精製されます。
ナチュラルは、収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日干し乾燥させ、その後パルピング(Pulping、果肉除去)し、パーチメント(Parchment)付きコーヒー豆を脱穀してコーヒー生豆を取り出す方法です。ナチュラルでは乾燥工程における果肉の発酵の作用によって、より複雑な味わいとなります。
アルハムダニ社では10日から最大2週間天日乾燥させます。
規格(グレード)
イエメンでは国全体で統一されたグレードの基準はありませんが、モカ・マタリとモカ・イスマイリが最高グレードです。
イエメン国内で栽培されたコーヒーは、各産地からサナアの業者により集買されます。イエメン国内からサナアの業者に集められたコーヒーの中で、産地の特定できないものは、一般的にサナニ(Sanani)グレードとして輸出されます。サナニよりも低いグレードとして、シャーキ(Sharki)、ホデイダ(Hodeida)が続きます。
味
イエメンのコーヒーは、他のコーヒー生産国とは異なる非常に独特な気候条件で栽培されています。そのため、イエメンのコーヒーは非常に独特なフレーバーを持っています。
イエメン・モカは、ワイン、スパイス、ナッツ、フルーツのような複雑なフレーバーを特徴としています。ワインのように気品がありながらスパイスのような野生味があり、フルーツのような甘さがありながら土っぽい素朴な味わいがあり、極めて香り高く、複雑な味わいのコーヒーです。
エチオピアのナチュラルに赤ワインのような特徴があるとすれば、イエメンのナチュラルには白ワインのような特徴があります。
カフェ ランバンのイエメン ホワイトキャメル モカ・マタリ アルハムニダ

モカマタリ特有の優雅な香りと優しい酸味を持っています。従来のマタリが白ワインだとするとホワイトキャメルは赤ワインといった香味があります。
カフェ ランバン ホームページより
カフェ ランバンでは、コーヒーの焙煎度を選ぶことができます。イエメン ホワイトキャメル モカ・マタリ アルハムニダは浅煎り(ライトロースト)と中煎り(ミディアムロースト)の2つから選択できます。
浅煎り(ライトロースト)

味
優雅で甘いワインフレーバーが印象的です。イエメンモカ特有の複雑なフレーバーよりも、甘さとクリーンさが支配的な印象です。
中煎り(ミディアムロースト)

味
優雅で甘いワインフレーバーとイエメンモカ特有の複雑なフレーバーが印象的です。焙煎が深くなると、イエメンモカ特有の複雑なフレーバーが強く出てきます。甘味とクリーンさに優れています。
<参考>
Al-Hamdani Export Mocha Coffee<https://coffee-yemen.com/>