
豆香洞コーヒー コロンビア ラス・マルガリータス ルメ・スダンです。
豆香洞コーヒーは、2008年福岡県大野城市に開業したコーヒー店です。店主の後藤 直紀(ごとう なおき)氏は、ジャパン・コーヒー・ロースティング・チャンピオンシップ 2012(Japan Coffee Roasting Chanpionship 2012)で優勝、その翌年のワールド・コーヒー・ロースティング・チャンピオンシップ 2013(World Coffee Roasting Championship 2013)でも優勝し、焙煎の世界チャンピオンになったことで知られています。

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コロンビア ラス・マルガリータス ルメ・スダン

コロンビア
コロンビア(Colombia)はカリブ海と大西洋に面する南アメリカ大陸北部の国です。東にベネズエラ、南東にブラジル、南にペルー、南西にエクアドル、北西にパナマとコーヒー生産国に囲まれています。首都はボゴタ(Bogota)です。ブラジル、ベトナムについで、世界第3位のコーヒー生産大国であり、年間平均生産量は約1,200万袋(1袋60kg)、約720,000トンです。
コロンビアは南北にアンデス山脈が縦断しているため、山岳地帯の面積が広いです。地域によって標高差が大きく、雨季と乾季が異なるため、一年を通じてコーヒーを収穫できます。
コロンビアのコーヒー生産地域は北部、中部、南部の大きく3つに分けることができます。北部・中部の年間平均気温は20.5℃、南部の年間平均気温は19.5℃となっていて、南部より北部のほうが気温が高めです。全体的な風味の傾向としては、南部よりも北部のほうがはっきりとした酸味、しっかりとしたボディ、強いコクが感じられます。
コロンビア国内の大半の生産地では収穫期が1年に2度あります。北部の地域では、主な収穫期が11月、そして5月から6月にかけて第2期の収穫である「ミタカ(Mitaca)」が行われます。南部地域ではそれとは逆に、主な収穫期が5月から6月で、ミタカは11月に行われます。
アンデス山脈では、年間1,600-1,800時間の日照時間が良質なコーヒー栽培にとって最適とされており、日照量をコントロールするためにシェード(遮光)栽培を行っています。この土地の雨季と乾季が交互で訪れる気候条件も、良質なコーヒー栽培には不可欠です。
標高の高い場所は気温が低く、水はけの良い肥沃な火山灰の土壌です。火山灰の土壌は良質なコーヒー生産にとって最適の土壌です。火山灰の土壌は植物が根を張りやすいため、育ちやすいです。また保湿力が高いため、雨の少ない乾季にも植物に十分な栄養を与え続けることが出来ます。また火山灰に多く含まれる硫黄が、コーヒーに豊かな香りを与えます。
コロンビア・コーヒーはマイルド・コーヒーと評されています。柑橘系の芳醇な香りと程よい酸味、滑らかで豊かなコクのあるコーヒーです。
コロンビア・コーヒーの大部分は、多くの小規模農家が生産したコーヒーを協同組合や生産者協会が集積した大ロットです。そのため、単一農園によるシングル・オリジンは珍しく、高品質のコーヒーを他のコーヒーからいかに分離するかが課題となっています。
自然地域区分

コロンビアは、アンデス山脈が3つの連峰に枝分かれしており、アマゾン川、オリノコ川、マグダレナ川といった大河が流れています。入り組んだ山と川が、国土を分断しています。
コロンビアは、その地理的特徴から大きく5つの自然地域にされます。
カリブ自然地域
カリブ自然地域(英語:The Caribbean (natural) region、スペイン語:La región Caribe (de Colombia))は、コロンビア北部のカリブ海沿岸地域です。森林、サバンナ、砂漠まで、多様な生態系を特徴とする地域で、ラ・グアヒーラ県(英語:La Guajira Department、スペイン語:Departamento de La Guajira)の砂漠地帯からアンティオキア県(英語:Antioquia Department、スペイン語:Departamento de Antioquia)北部のウラバ湾岸(Gulf of Urabá)までがこの地域です。
コーヒー生産地としては、アンティオキア(Antioquia)、マグダレナ(Magdalena)がここに位置しています。
アンデス自然地域
アンデス自然地域(英語:The Andean (natural) region、スペイン語:La región Andina (de Colombia))は、アンデス山脈の広がる地域で、3つの連峰に挟まれた渓谷や高原が含まれます。
この地域にはコロンビアの人口が集中しており、コロンビアの首都ボゴタもこの地域に位置しています。肥沃な土壌のため、多様な作物が栽培されています。コロンビアのコーヒー生産地は、この地域に集中しています。
コーヒー生産地としては、ノルテ・デ・サンタンデール(Norte de Santander)、サンタンデール(Santander)、カルダス(Caldas)、トリマ(Tolima)、キンディオ(Quindio)、クンディナマルカ(Cundinamarca)、リサラルダ(Risaralda)、バジェ・デル・カウカ(Valle del Cauca)、カウカ(Cauca)、ウィラ(Huila)がここに位置しています。
太平洋沿岸/チョコ自然地域
太平洋沿岸/チョコ自然地域(英語:The Pacífico/Chocó (natural) region、スペイン語:La región del Pacífico (de Colombia))は、コロンビア西部のチョコ県(英語:Chocó Department、スペイン語:Departamento de Chocó)からナリーニョ県(英語:Nariño Department、スペイン語: Departamento de Nariño)を含む地域です。
西に太平洋、東にアンデス山脈西部に挟まれた地域で、降水量が多く、生物多様性のホット・スポットとなっています。
この地域の主な栽培作物は砂糖ですが、近年はコーヒーの生産が増えています。
コーヒー生産地としては、バジェ・デル・カウカ(Valle del Cauca)、カウカ(Cauca)、ナリーニョ(Nariño)がここに位置しています。
オリノキア自然地域
オリノキア自然地域(英語:The Orinoquia (natural) region、スペイン語:La región de la Orinoquía (de Colombia))は、アンデス山脈の東側連峰からベネズエラの国境まで続く平原地帯です。
コロンビア国土の20%を占める地域に、草原や森林地帯が広がっています。草原地帯を活かした牧畜が盛んな地域です。
コーヒー生産地としては、カサナレ(Casanare)、メタ(Meta)がここに位置しています。
アマゾン自然地域
アマゾン自然地域(英語:The Amazonía (natural) region、スペイン語:La región Amazónica (de Colombia)、またはAmazonía)は、アマゾンのジャングル地帯で、動植物の豊かな生態系に恵まれた地域です。この地域には、先住民が多く居住しており、数多くの国立公園があります。
コーヒー生産地としては、カケタ(Caquetá)がここに位置しています。
バジェ・デル・カウカ
コロンビアのコーヒー産地の文化的景観
コロンビアでは、「エヘ・カフェテロ(スペイン語:Eje Cafetero)」、または「コロンビアのコーヒー産地の文化的景観(英語:Coffee Cultural Landscape of Colombia)」と呼ばれる地域でコーヒーが生産されてきました。
この地域には、アンデス山脈西側のカルダス(Caldas)、リサラルダ(Risaralda)、キンディオ(Quindio)、バジェ・デル・カウカ(Valle del Cauca)が含まれており、ユネスコ(UNESCO)の世界遺産に登録されています。
しかし、近年は気候変動の影響で栽培面積が減少しており、より涼しい南部のウイラ(Huila)、ナリーニョ(Nariño)、カウカ(Cauca)にコーヒー栽培地が移っています。
バジェ・デル・カウカ
バジェ・デル・カウカ(Valle del Cauca)という名前はカウカ谷に由来しています。太平洋に面する最西部に位置しており、コロンビアで人口第3位のサンティアゴ・デ・カリ(Santiago de Cali)(通称、カリ)が県都です。
アンデス地方のバジェ・デル・カウカは標高1,200m-1,800mと高地で、平均気温24℃と温暖な気候、年間雨量2,300mmと豊富な降雨量があり、良質なコーヒー生産に恵まれた条件が揃っています。収穫時期は、中央地域が3月-6月、北部が9月-12月です。
バジェ・デル・カウカは、水はけが良い火山灰の土壌です。火山灰の土壌は良質なコーヒー生産にとって最適の土壌です。火山灰の土壌は植物が根を張りやすいため育ちやすく、また保湿力が高いため、雨の少ない乾季にも植物に十分な栄養を与え続けることが出来ます。また火山灰に多く含まれる硫黄が、コーヒーに豊かな香りを与えます。
コロンビアのコーヒーは、北部のサンタマルタ(Santa Marta)、同じく北部のカルタヘナ(Cartagena)、西部のブエナベントゥラ(Buenaventur)の3つの主要な港湾都市から輸出されます。
バジェ・デル・カウカにあるブエナベントゥラからは、バジェ・デル・カウカとその近隣にある県で生産されたコーヒーが輸出されています。
カフェ・グランハ・ラ・エスペランサ
カフェ・グランハ・ラ・エスペランサ(Cafe Granja La Esperanza)は、リゴベルト・へレラ・コレア(Rigoberto Herrera Correa)氏が経営するコロンビアの大手コーヒー生産会社です。カフェ・グランハ・ラ・エスペランサは、自らが所有するコーヒー農園で、様々な品種の栽培や精製方法などの実験的な試みを行っています。
ドン・リゴ氏(リゴベルト・コレア氏の愛称)は、コレア家の第3代目のコーヒー生産者です。彼の祖父母は、祖父であるフアン・アントニオ・へレラ(Juan Antonio Herrera)が22才、祖母であるブランカ・リジア・コレア(Blanca Ligia Correa)が15才の時に結婚しました。そして、「アンティオキアの入植」(スペイン語:La Colonización Antioqueña、 英語:The Antiochian Colonization)と呼ばれる文化、経済、社会にまたがる運動の一環として、バジェ・デル・カウカに入植し、1930年、カイセドニア(Caicedonia)にポトシ(Potosi)という農園を設立しました。この運動では、主にコロンビアのアンティオキア(Antioquia)に住んでいた多くの家族が、空いている土地を求めてコロンビアの中部と南部に入植しました。
カフェ・グランハ・ラ・エスペランサの歴史は、1945年にフアン・アントニオ氏が、それまで栽培していたティピカに加え、イエロー・ブルボン(Yellow Bourbon)、レッド・ブルボン(Red Bourbon)、カツーラの3つの新しい品種の栽培を始めたことに遡ります。
ドン・リゴ氏の父親であり、コレア家の第2代目のコーヒー生産者であるアロンソ・ホセ・コレア(Alonso José Correa)氏には、11人の子供がおり、全員が農園で働いていました。彼らのうち、コーヒー生産に特別な関心を持ったのは、ドン・リゴ氏と彼の兄弟ルイス氏の2人でした。
1990年代後半に、カフェ・グランハ・ラ・エスペランサは、農作を有機栽培に切り替えました。そして、有機栽培を拡大するために、バジェ・デル・カウカのトルヒージョ(Trujillo)にラ・エスペランサ(La Esperanza)という新しい農園を設立しました。カフェ・グランハ・ラ・エスペランサは、2003年にダイレクト・トレードを開始し、2007年にはオーガニックコーヒーの生産者として高い評価を獲得するにまで至りました。
ドン・リゴ氏は、2007年にパナマのボケテ地区(Boquete District)地区に位置するラ・カルレイダ(La Carleida)という農園を経営する機会を得ました。その1年後の2008年、パナマスペシャルティコーヒー協会(SCAP)(Specialty coffee Association of Panama)が主催するコーヒー品評会であるベスト・オブ・パナマ(BoP)(Best of Panama)において、ラ・カルレイダは第1位に輝きました。 彼はこの時にゲイシャをコロンビアに持ち込むことを決めたのです。そして、このラ・カルレイダのゲイシャが、カフェ・グランハ・ラ・エスペランサの所有農園であるセロ・アスール(Cerro Azul)に持ち込まれ、コロンビアで初となるゲイシャの栽培が始まりました。
カフェ・グランハ・ラ・エスペランサの所有農園

カフェ・グランハ・ラ・エスペランサの所有農園は、以下の通りです。
ポトシ
農園名:ポトシ(Potosi)
場所:バジェ・デル・カウカ、カイセドニア
標高:1,400m-1,860m
面積:49,4ヘクタール
品種:コロンビア(Colombia)、カツーラ(Caturra)、シドラ(Sidra)(または、シダラ)
ラス・マルガリータス
農園名:ラス・マルガリータス(Las Margaritas)
場所:バジェ・デル・カウカ、カイセドニア(Caicedonia)
標高:1,570m-1,850m
面積:29,6ヘクタール
品種:ゲイシャ(Geisha)、ローリナ(Laurina)、レッド・ブルボン(Red Bourbon)、イエロー・ブルボン(Yellow Bourbon)、ブルボン・テキシック(Bourbon Tekisic)、パカマラ(Pacamara)、ルメ・スダン(Rume Sudan)
セロ・アスール
農園名:セロ・アスール(Cerro Azul)
場所:バジェ・デル・カウカ、トルヒージョ(Trujillo)
標高:1,700m-2,000m
品種:ゲイシャ
コロンビア セロ アズールは、セロ・アスール(または、セロ・アズール)で栽培されたゲイシャのウォッシュト(Washed)精製です。
ラ・エスペランサ
農園名:ラ・エスペランサ(La Esperanza)
場所:バジェ・デル・カウカ、トルヒージョ
標高:1,430m-1,760m
面積:26,1ヘクタール
品種:ゲイシャ、ローリナ、イエロー・ブルボン、ティピカ、コロンビア
ハワイ
農園名:ハワイ(Hawaii)
場所:クンディナマルカ(Cundinamarca)、ササイマ(Sasaima)
標高:1,800m-2,000m
面積:10,4ヘクタール
品種:モカ(Mokka)
ラス・マルガリータス ルメ・スダンと〈まるい〉珈琲マルシェ2019
〈まるい〉珈琲マルシェ2019
ラス・マルガリータス ルメ・スダンは、カフェ・グランハ・ラ・エスペランサの所有農園であるラス・マルガリータスで栽培されたルメ・スダンです。

ラス・マルガリータス ルメ・スダンは、2019年10月9日から14日まで開催された〈まるい〉珈琲マルシェ2019で販売された特別ロットです。
品種

品種はルメ・スダン(Rume Sudan)です。
ルメ・スダンは、1942年にスーダン南東部、エチオピア国境近くのボマ高原(Boma Plateau)にあるルーメ村(Rume)で発見された野生種です。 比較的耐病性はありますが、 生産性が低い品種です。商業栽培向けではなく、主に交配種のための研究向けの品種であるため、この品種を栽培している農園は限られており、非常に珍しい品種です。
ルメ・スダンは、ラス・マルガリータスの位置するアンデス山脈中央山脈のマイクロクライメイト(微気候)に合った品種で、ゲイシャと同様に非常にクオリティの高いカップを提供します。
ラス・マルガリータスのルメ・スダンは、カフェ・グランハ・ラ・エスペランサで91点(2019年現在)が付けられています。また、1997年に開設されたアメリカの老舗コーヒー・レビュー・サイトである「コーヒー・レビュー(COFFEE REVIEW)」では、93点(Water Avenue Coffee)を獲得しています。
Colombia Las Margaritas Sudan Rume:https://wateravenuecoffee.com/blogs/blog/colombia-las-margaritas-sudan-rume
この品種は、日本語ではルメ・スダン、ルメ・スーダン、スダン・ルメ、スーダン・ルメなど、お店によって表記の仕方は様々ですが、栽培品種名としては「ルメ・スダン(Rume Sudan)」が正式です。
精製方法
ラス・マルガリータスのルメ・スダンは、いくつかの方法で精製されますが、競技会用に栽培されるルメ・スダンはナチュラル(Natural)で精製されます。
19時間から22時間の発酵時間、35℃から45℃での機械乾燥で、水分含有量10.5%まで乾燥させます。
味
Fragrance and aroma: Floral, vanilla, apricot, red fruits, chocolate. Taste and aftertaste: Blueberry, raspberry, citrus, spicy, very good sweetness, tartaric acidity, creamy body.
「Cup Profile」,Cafe Granja La Esperanza.
シナモンのようなフレーバー、カルダモンのようなスパイシーさ、また、グレープやラズベリーのようなフレーバーと酸味が特徴です。冷めるとブルーベリーのようなフレーバーが強くなります。
豆香洞コーヒー コロンビア ラス・マルガリータス ルメ・スダン



味
シナモンのようなフレーバー、カルダモンのようなスパイシーさが印象的です。また、グレープやラズベリーのようなフレーバーと酸味があり、冷めるとブルーベリーのようなフレーバーが強くなります。他の品種にはない非常に特徴的なフレーバーのコーヒーです。
<参考>
Café Granja la Esperanza<https://cafegranjalaesperanza.com/>
「Colombia Las Margaritas Sudan Rume」,Water Avenue Coffee<https://wateravenuecoffee.com/blogs/blog/colombia-las-margaritas-sudan-rume>
「コーヒーの産地、バジェ・デル・カウカ(Valle del Cauca)」,FNC コロンビアコーヒー生産者連合会<http://cafedecolombia.jp/colombia/origin-valle/>