パナマ ナインティ プラスとジョセフ・ブロドスキー

パナマ ナインティ プラスとジョセフ・ブロドスキー

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ナインティ プラス

"Ninety Plus - The Understory",Ninety Plus Coffee 2019年3月30日.

ナインティ プラス(Ninety Plus)は、パナマ(Panama)チリキ県(Chiriquí Province)ティエラ・アルタス地区(Tierras Altas District)ボルカン(Volcán)に位置する農園です。

ナインティ プラスは、バル火山(Volcán Barú)の西斜面に位置しています。ナインティ プラスは、2009年に取得した200ヘクタールに至るゲイシャ・エステーツ(Geisha Estates)と、2019年に取得した70ヘクタールのバル・エステーツ(Barú Estates)から構成されています。エチオピアでは、品種が混在して栽培されるエチオピアとしては珍しく、複数の農園と提携して単一品種の栽培を行っていました(現在、ナインティ プラスは、エチオピアから撤退しています)。

ナインティ プラスでは、自然と調和する方法でコーヒーの野生種が栽培されています。農園は生態系、水源、土壌を繁栄させる原生林に囲まれており、コーヒーノキはシェード(日陰)となる植物によって保護され、十分な間隔をとって栽培されています。農園は、コーヒーと労働者が生態系に統合されるサファリパークのように見えるそうです。

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テイスト、ヒューマニティー、エコロジー

テイスト(Taste)、ヒューマニティー(Humanity)、エコロジー(Ecology)を価値の中核とし、革新的な精製方法によって、驚くべき味を生み出すことを試みているコーヒー農園です。

ナインティ プラスは、科学的な手法を用いた革新的な精製方法によって、コーヒーの新しいフレーバーを追求しています。

ナインティ プラスは、倫理的な共同作業、人間らしい文化、大地との優れた関係性がなければ、革新的で新しいフレーバーを創造することはできないと信じています。コーヒー生産はこれまで、低賃金と労働環境の軽視に苦しんできました。ナインティ プラスは、労働環境を改善、賃金と社会保障を充実させることで、労働者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)(Quality Of Life)と幸福の向上を計っています。

ナインティ プラスでは、他のパナマの農園と同様に、パナマの先住民族であるノベ・ブグレ族(Nôbe-Buglé)が主要な労働者です。ナインティ プラスは、彼らに最高の報酬を与えることで、彼らの生活を保護しています。

収穫
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ジョセフ・ブロドスキー

ジョセフ・ブロドスキー

ナインティ プラスの創業者は、アメリカ合衆国(USA)(United States of America)ウィスコンシン州(State of Wisconsin)マディソン(Madison)出身のジョセフ・ブロドスキー(Joseph Brodsky)です。

ナインティ プラスは、100点満点で審査されるカッピング・スコアを意識して付けられた社名で、ナインティ プラスのゲイシャが90点以上のコーヒーであることが示唆されています。

左 ジョセフ 中央 ミシェル 右 ジェイク 出典:WONDERLUST

ジョセフの兄であるミシェル・ジョンソン(Michael Johnson)は、JBC コーヒー・ロースターズ(JBC Coffee Roasters)のオーナーです。また、弟であるジェイク・ブロドスキー(Jake Brodsky)は、ノボ・コーヒー(Novo Coffee)のオーナーであり、兄弟揃ってコーヒーを生業としています。

ジョセフは、子供の頃からコーヒーに興味を持ち、ポップコーン・ポッパーでコーヒーの焙煎を楽しんでいました。彼はザ・エバーグリーン州立大学(The Evergreen State College)に通っていたときに、『コーヒーの基本』(原題:Coffee Basics)というタイトルの本を読み、そこに書かれていたエチオピアのコーヒーのブルーベリーやレモンのようなフレーバーに興味を持ちました。彼はそのコーヒーを探し、味わってみたときに、自分が人生で何をしたいのかを悟りました。

ジョセフが学校を卒業した後の2001年頃、彼はジェイクに焙煎ビジネスの計画を持ちかけ、翌2002年デンバー(Denver)にカフェ・ノボ・コーヒー・ロースターズ(Cafe Novo Coffee Roasters)(現在のノボ・コーヒー(Novo Coffee))を設立しました。そこでエチオピアのコーヒーの焙煎と販売をしていましたが、品質が安定しないことが問題点として見えてきました。

エチオピア

2005年にコーヒーのコンペティションの審査のためにエチオピアを訪れた際、ジョセフは品質が安定しない理由を探るためにエチオピアに滞在しました。彼はそこで、すべてのコーヒーが同じ価格で取引されるため、コーヒー農家に品質向上のインセンティブが働かないことを発見しました。

そこで彼は、現地の農家と協力して新たなコーヒーの試作に着手し、その後4年間に渡ってアメリカ合衆国とエチオピアを行き来し、収穫ごとにカップ・テストを行いました。そして、優れたコーヒーを発見したとき、そのコーヒーを生産したプロセスを、コーヒー農家に複製してもらいました。その中でも際立っていたコーヒーの1つが、「ゲイシャ(Geisha)」でした。そこでゲイシャの栽培を拡大し、最終的に「ナインティ プラス(Ninety Plus) 」の名前で販売を始めました。

こうして2006年に創業したナインティ プラスは、その頃すでに有名になり始めていたパナマのゲイシャに目を向けました。2009年にジョセフは160万ドルの融資を受け、コスタリカ国境近くの牧場を買い取りました。彼は最初に、何千ものトウゴマ(Castor Plants)と、ホワイト・スティック (White Stick)とも呼ばれるパロ・ブランコ(Palo Blanco)の木を植えました。

これらの木は、コーヒーノキのシェードツリーになるもので、コーヒーノキを直射日光から保護し、土壌に栄養分を与えます。そして、土壌の栄養素を奪い合うことがないように、ゲイシャの木を十分な間隔をとって植えました。コーヒーの木が成熟するのに通常3年から4年かかり、その間は利益が出ません。資金不足を補うために投資家たちを惹きつけようと、彼はエチオピアの農家と働き続けました。

ワールド・ブリューワーズ・カップ(WBrC)

"WORLD BREWERS CUP 2016 - WINNER (TETSU KASUYA - JAPAN)",AVOLUTION 2017年9月13日.

2014年にナインティ プラスは、パナマのゲイシャの最初の販売を始めました。 その同じ年のワールド・ブリューワーズ・カップ(WBrC)(World Brewers Cup)で、ギリシャのバリスタであるステファノス・ドマティオティス(Stefanos Domatiotis)が、ナインティ プラスの「バッチ 163(Batch 163)」を使用し優勝しました。

ナインティ プラスのゲイシャは、ワールド・ブリュワーズ・カップ(WBrC)で、2014年2015年2016年2017年、2019年と5回優勝しているため、ジョセフは「競技会の帝王」と呼ばれています。

日本においては、粕谷 哲(かすや てつ)がナインティ プラスのゲイシャを使用し、2016年のワールド・ブリュワーズ・カップ(WBrC)で優勝を果たし、アジア人初の世界チャンピオンとなりました。

ホセ・アルフレッド・ゲシャ・シリーズ・ロット 227

"WORLD BREWERS CUP 2017 - WINNER (CHAD WANG - TAIWAN)",AVOLUTION 2017年9月17日.

2017年に、ナインティ プラスの「ホセ・アルフレッド・ゲシャ・シリーズ・ロット 227(José Alfredo Gesha Series Lot 227)」が、1キログラムあたり5,001.50ドル(1ポンドあたり約2,273ドル)の当時世界最高額で非公式に取引されました。

このロットは、「エロティックな神経支配(Erotic Innervation)」を呼び起こす、などと形容されました。

ステファノス・ドマティオティスは、このロットのフレーバーを、「白桃、水仙、グレープフルーツの皮、ライラック、ビワ、ラズベリー、ジャックフルーツ、叙情的、浮揚性、カカオニブ、スターアニス、グアバ、コーラ、藤、ドライオレンジ、メープルシロップ、ビロード、ベルベットで表現され、色で言うと「ピンク」」と例えました。

台湾のバリスタであるチャド・ワン(Chad Wang)は、2017年ワールド・ブリューワーズ・カップ(WBrC)でこのロットを使用し、優勝を果たしました。

また、「ホセ・アルフレッド・ゲシャ・シリーズ」の「ロット 236(Lot 236)」は、ジョージ・ハウエル・コーヒー(George Howell Coffee)で取り扱われました。

バッチ 2105

2019年に、ナインティ プラスのバッチ 2105(Batches 2105)は、1キログラムあたり10,000ドル(1ポンドあたり約4,535ドル)の価格で非公式に取引され 、2017年の自らの記録1キログラムあたり5,001.50ドルを更新し、当時世界最高額で取引されました。

バッチ 2105は、「プロトタイプ・コーヒーズ(Prototype Coffees)」というシリーズの、独自の革新的な精製技術を取り入れた実験的なマイクロロットです。このロットは、同じコーヒーチェリーを使用した精製方法の異なる「バッチ 2105」と「バッチ 903」の対照的なスタイルのロットの1つです。

この2つのマイクロロットは、ザ・エスプレッソ・ラボ(The Espresso Lab)の創業者であるアラブ首長国連邦(UAE)の起業家、イブタヒム・アル・マルーヒ(Ibrahim Al Mallouhi)を虜にしました。

革新的な精製方法とフレーバー

"【比賽】2016 WBC 亞軍 Yoshikazu Iwase 岩瀨由和 日本代表 中文字幕",源譯咖啡 Starling Glower 2018年3月16日.

ナインティプラスは、独創的で発酵技術を多用した精製方法を採用しており、そこから生まれるフレーバーは、良かれ悪しかれ斬新です。

ナインティプラスは、おそらく世界で初めてコールド・ファーメンテーション(Cold Fermentation)という精製を行いました。これは10日間川の水にコーヒーを浸し、毎日2回それらを反転させて精製したコーヒーで、ジョセフによると、シャンパンの香りがしたそうです。

このコーヒーを使用した岩瀬 由和(いわせ よしかず)は、2015年のジャパン・バリスタ・チャンピオンシップ(JBC)(Japan Barista Championship)で優勝し、翌2016年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(WBC)(World Barista Championship)で第2位に入賞しました。

プロダクトライン

ナインティプラスは、シグネチャー(Signature)、イノベーション(Innovation)、ファウンダーズ・セレクション(Founder's Selection)、リミテッド・エディション(Limited Edition)、アセント(Ascent)というシリーズを展開しています。

パートナー

ナインティ プラスは、パナマを拠点とする投資ファンドであるグルーポ・エレタ(Grupo Eleta)のCEOであるギレルモ・デ・サン・マロ・エレタ(Guillermo de Saint Malo Eleta)がパートナーとなっています。グルーポ・エレタは、コーヒー部門としてカフェ・エレタ(Café Eleta)とウニド・コーヒー・ロースターズ(Unido Coffee Roasters)を所有しており、ナインティ プラスに非公開の投資を行っています。

ナインティ プラス Ninety Plus:https://real-coffee.net/category/coffee-origin/central-america/panama/tierras-altas/volcan/ninety-plus

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