パナマ バル・インディアン・ハイとハラミージョ・コーヒー・エステート
スアレス家
スアレス家(Suarez Family)は、パナマ(Panama)チリキ県(Chiriquí Province)ボケテ地区(Boquete District)のコーヒー生産一家です。
19世紀後半、様々な国からの移民が、運河建設のためにパナマへとやって来ました。これらの移民のなかに、アブデル・ハド・サウジ(Abdel Had Saudi)がいました。彼は1890年にベツレヘム(Bethlehem)からパナマへ、運河建設の最初の請負業者の一員としてやって来てました。フランスによる初期の建設計画が失敗した後、移民の一部はより良い生活を求めてボケテ地区へと移住しました。彼もまたボケテ地区へと移住し、アルト・キエル(Alto Quiel)に最初の70ヘクタールの土地を取得し、7万本のコーヒーノキを植えました。彼はボルカンシト(Volcancito)、カルデラ(Caldera)のエル・ナンセ(El Nance)、パルミラ(Palmira)にさらに土地を買い増しました。この地域の人々にとって、彼の名前は発音が難しかったために、アブデル・ハド・サウジはやがてドミンゴ・スアレス(Domingo Suarez)と改名しました。彼は、1943年に亡くなるまでコーヒー生産を続けました。
ドミンゴ・スアレスの息子の1人であるヴィダル・スアレス(Vidal Suárez)は、カルデラ(Caldera)に畜産のための土地を、バホ・ボケテ(Bajo Boquete)、ハラミージョ(Jaramillo)のオルケタ(Horqueta)、ロス・ラホネス(Los Naranjos)、パルミラ(Palmira)にコーヒーと野菜の栽培のための土地を取得しました。バホ・ボケテとカルデラにあった2つの農園は売りに出されましたが、ヴィダルが亡くなったとき、第3世代のエイラ・マリア・スアレス(Eira Maria Suarez)によって、これらの農園が再構築されました。また、同じく第3世代のノルベルト・スアレス(Norberto Suarez)とドミンゴ・スアレス(Domingo Suarez)は、ロス・ラホネス、ハラミージョ、パルミラの農園を継続しました。
現在スアレス家の農園は、エイラ(Eira)、ノルベルト(Norberto)、ドミンゴ(Domingo)の第3世代によって管理されています。エイラは、ハラミージョ・コーヒー・エステート(Jaramillo Coffee Estate)という女性のみで管理される農園を経営しており、ノルベルトとドミンゴは、バル・インディアン・ハイ(Barú Indian High)のブランドを展開しています。
ノルベルト・スアレス(Norberto Suarez)は、コロンビアのボゴタ(Bogotá)にあるサジェ大学 (Universidad de La Salle)で農業経営学を学び、高品質なコーヒーの栽培と輸出に全力を注いでいます。彼は、パナマコーヒー加工・輸出業者協会(ANBEC)(Asociación Nacional de Beneficiadores y Exportadores de Café )の会長を務めています。
バル・インディアン・ハイ
バル・インディアン・ハイ(Barú Indian High)は、スアレス家のノルベルト・スアレス(Norberto Suarez)とドミンゴ・スアレス(Domingo Suarez)の兄弟によるコーヒーのブランドです。ノルベルト・スアレスがフィンカ・ラ・グロリア(Finca La Gloria)、ドミンゴ・スアレスがフィンカ・サン・セバスチャン(Finca San Sebastian)を所有しています。
フィンカ・ラ・グロリア
フィンカ・ラ・グロリア(Finca La Gloria)は、1904年に農園として登録され、その時点ですでに12ヘクタールにコーヒーが植えられていました。農園は、ボケテ地区の標高1,360m - 1,500mに位置しており、ティピカ(Typica)、カツーラ(Caturra)、ゲイシャ(Geisha)が栽培されています。
農園はノルベルト・スアレスが所有しており、彼の妹であるエイラが所有するフィンカ・オルティガル(Finca Hortigal)と、彼の兄弟であるドミンゴ・スアレスが所有するフィンカ・サン・セバスチャン(Finca San Sebastian)に隣接してます。
フィンカ・サン・セバスチャン
フィンカ・サン・セバスチャン(Finca San Sebastian)は、ボケテ地区ロス・ラホネスに位置する農園です。農園はドミンゴ・スアレスが所有しており、標高1,400m - 1,500m、19ヘクタール以上の土地で、ティピカ(Typica)、カツーラ(Caturra)、カツアイ(Catuai)が栽培されています。
ハラミージョ・コーヒー・エステート
ハラミージョ・コーヒー・エステート(Jaramillo Coffee Estate)は、エイラ・マリア・スアレス(Eira Maria Suarez)と彼女の3人の娘、カルメン(Carmen)、ルーデス(Lourdes)、ナディア(Nadeía)による、女性によってのみ管理されている農園です。フィンカ・ハラミージョ(Finca Jaramillo)とフィンカ・オルティガル(Finca Hortigal)の隣接する2つの農園から構成されています。
フィンカ・ハラミージョ
フィンカ・ハラミージョ(Finca Jaramillo)は、ボケテ地区ハラミージョ・アリーバ(Jaramillo Arriba)に位置する農園です。
フィンカ・ハラミージョ内には、ハラミージョ・エステート(Jaramillo Estate)とゲイシャ・パナマ・オスカルシト・エステート(Geisha Panama Oscarcito Estate)の2つの農園があります。標高1,350m以上でティピカ(Typica)、カツーラ(Caturra)を、標高1,500m以上でゲイシャ(Geisha)を栽培してます。
フィンカ・オルティガル
フィンカ・オルティガル(Finca Hortigal)は、ボケテ地区ロス・ラホネス(Los Naranjos)に位置する農園です。
農園は1920年からスアレス家によって所有されており、現在は女性によってのみ所有および管理されています。標高1,400m - 1,600mに位置しており、34.5ヘクタールでティピカ(Typica)とカツーラ(Caturra)を栽培してます。
ベネフィシオス・デ・カフェ・デ・ボケテ
スアレス家は、ドレガ地区(Dolega District)コチェア(Cochea)にベネフィシオス・デ・カフェ・デ・ボケテ(Beneficios de Café de Boquete, S.A.)という精製所を所有しています。この精製所は、1989年から運用している家族所有の精製所です。