帰山人の珈琲遊戯:ニカラグア リモンシリョ農園

帰山人の珈琲遊戯のニカラグア リモンシリョ農園です。帰山人の珈琲遊戯とは、鳥目散帰山人氏という有名なコーヒーマニアの方のホームページのことで、そのホームページでは様々な「お遊び」のコーヒーが公開されています。帰山人氏が焙煎した豆は中川正志氏のフレーバーコーヒーで少量販売されています。帰山人氏が中川氏のフレーバーコーヒーに最初に訪れたのは1992年のことで、それ以来の付き合いになると思います。

ニカラグア リモンシリ農園のコーヒー豆は、帰山人氏が焙煎に好んで用いるコーヒー豆です。

ニカラグア リモンシリョ農園

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は f_14_nicaragua_500p.gif です

ニカラグア

ニカラグア(Nicaragua)は、中米の中央部に位置する共和制国家です。北はホンジュラス、南はコスタリカに接し、東はカリブ海、南西は太平洋に面しています。ニカラグアは中米最大の面積があり、西部には山岳地帯、東部にはジャングルが広がっています。ニカラグアの人口の約半分は低地に集中しており、国土の半分は未開発の熱帯雨林に覆われています。ニカラグアは全土が熱帯気候に属していますが、標高や地域によって大きく異なります。首都のマナグア(Managua)の平均気温は26℃前後です。11月~4月が乾季、5月-10月が雨季ですが、カリブ海岸の低地では雨季と乾季の区別がはっきりしない気候です。1年中高温多湿ですが、中でも4、5月が一番暑く、乾季の12月-1月が比較的過ごし易い時期です。

ニカラグアとパナマは、太平洋と大西洋を結ぶ輸送路として競争関係にありました。元々は19世紀半ば、ゴールドラッシュの時期にアメリカが、ニカラグアの南に位置する大きなニカラグア湖を通って大西洋と太平洋を結ぶニカラグア運河を建設するプランがありました。ニカラグアは川と湖の水路と乗合馬車による陸路をつなぎ合わせた輸送路が大量の人員と物資を輸送して成功を収めましたが、1855年にパナマ地峡鉄道が開通すると、このルートは衰退します。1914年にパナマ運河が開通し、パナマはその繁栄を迎えます。ニカラグアは中南米の中でハイチに次ぐ最貧国ですが、仮にニカラグアに運河ができていれば、現在のような貧困国ではなかったはずです。

アメリカのパナマ運河に対抗すべく、中国が再びニカラグア運河の建設を目指していました。その全長はパナマ運河の3倍以上の259kmにもなり、太平洋側からカリブ海に抜けるルートです。アメリカの影響下にあるパナマ運河を通らずに通航できれば、中国の得られるメリットは大きいわけです。2019年に完成予定でしたが、2018年2月に中止となったと報道がなされ、いまだに未成です。

ニカラグアとコーヒー

ニカラグアコーヒーの主な産地は、北部にホンジュラスと国境を接する北部のヌエバ・セコビア(Nueva Segovia)とヒノテガ(Jinotega)、その南に位置するマタガルバ(Matagalpa)です。リモンシリョ農園(Limoncillo)は、ニカラグアの中部に位置するマタガルパにあります。マタガルパはイサベリア山脈(スペイン語:Cordillera Isabelia)やダーレン山脈(スペイン語:Cordillera Dariense)が走っている標高の高い地域で、標高700m-1,200mの地域でコーヒーが生産されます。リモンリショ農園は平均よりやや標高が高めの850m-1,110mでコーヒーが生産されます。これは高品質なコーヒーを生産する他の農園と比べると低めの標高ですが、リモンシリョ農園のコーヒーの質の高さを鑑みれば、コーヒー豆の風味の素晴らしさは標高だけで決まるわけではないということの証です。

1850年頃、ニカラグアに持ち込まれたコーヒーは、ニカラグア湖北部あたりで栽培が始まっていたとされています。1888年ドイツの地質学者だったブルーノ・ミエリッヒ(Bruno Mierisch)氏が、地質調査と鉄道建設のサポートのためにマタガルパにやってきました。ニカラグア政府が彼の貢献を評価し、マタガルパの北の高地を彼に与えました。1900年代にブルーノ氏は、彼の息子のウィルフリド(Wilfrido)氏とともにコーヒー農園を始めました。これがミエリッヒ家のコーヒーの歴史の始まりです。

ミエリッヒ農園の所有農園

ミエリッヒ農園のロゴ、ミエリッヒ農園のホームページ

ニカラグア リモンシリョ農園(Fincas Limoncillo)はエルイン・ミエリッヒ氏(Erwin Mierisch)の農園です。ミエリッヒ氏はジャバニカ(Javanica)やイエロー・パカマラ(Yellow Pacamara)という品種を世界に送り出し、またファンキー(Funky)やペルラ・ネグラ(Perla Negra )という精製方法を考案するなど、ニカラグアを代表する世界的に有名なコーヒー生産者です。ミエリッヒ氏の運営するミエリッヒ農園(Fincas Mierisch)は現在、国内外に11の農園を所有しています。以下がそのリストです。

ニカラグア マダガルパ

  • リモンシリョ
  • ロス・プラセレス(Los Placeres)
  • ラ・ウェイア(La Huella)
  • ママ・ミーナ(Mama Mina)
  • ススピロ(Suspiro)

ニカラグア ヒノテガ

  • ラス・デリシアス(Las Delicias)
  • サン・ホセ(San Jose)
  • ラ・エスコンディダ(La Escondeda)
  • ロス・アルトス(Los Altos)
  • ミラグロス(Milagros)

ホンジュラス

  • セロ・アズール(Cerro Azul)

リモンシリョ農園

リモンシリョ農園の滝、ミエリッヒ農園 ホームページより

リモンシリョ農園は、ニカラグアのマタガルパ県(Matagalpa)ラ・ダリア(La Dalia)に位置する農園です。2008年のニカラグアのカップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence(CoE))で91.43点を獲得し第2位に入賞した受賞歴もある、ミエリッヒ家が所有する農園の中でも代表的なコーヒー農園です。

リモンシリョ農園は「小さなレモン」を意味し、1930年にミエリッヒの祖父が購入したミエリッヒ家の所有農園では2番目に古い農園です(一番古い農園はロス・プラセレス)。

環境

リモンシリョ農園は、自然豊富な山奥の山林に位置し、木々、竹林、滝が庭園のように美しく管理されています。 リモンシリョ農園には、この農園のシンボルとも言える滝があり、水資源が豊富ですが、精製処理には出来るだけ水を使用せず、水資源を汚染しない方法でコーヒーが栽培されています。農園はレインフォレスト・アライアンス(Rainforest Alliance、略称RA)認証やUTZ認証を獲得しています。 

コーヒーの栽培面積は171マンサーナ(manzana)=約120ヘクタール("manzana"はコスタリカやニカラグアなど一部の国で用いられる面積の単位)、自然保護区域は77マンサーナ=約54ヘクタールです。標高は850m-1,100m、日中の気温は最高気温25℃、最低気温17℃です。収穫時期は12月から1月です。

子供のケア

ミエリッヒ農園では、すべての農園に託児所サービスを提供し、児童労働は禁止されています。収穫期間は子供に無料で食事が提供されます。

品種

リモンシリョ農園では、1990年代まではティピカ(Typica)が唯一の栽培品種でしたが、その後気候変動、不安定な市場価格、コーヒーさび病菌の流行などの理由により、多様な品種を栽培し始めます。

リモンシリョ農園の栽培品種はジャバ(Java)、レッド・パカマラ(Red Pacamara)、イエロー・パカマラ(Yellow Pacamara,)、エチオサル(Ethiosar)、レッド・カツアイ (Red Catuai)、レッド・ブルボン(Red Bourbon)を栽培しています。

精製方法

リモンシリョ農園のコーヒーは、ウォッシュト(Washed、湿式)、フル・ナチュラル(Full Natural、乾式)パルプト・ナチュラル(Pulped Natural、半水洗式)で精製されます。

ドン・エステバン・ドライ・ミル(Don Esteban Dry mill)

ドン・エステバン・ドライ・ミル、 Square Mile Coffee Roasters ホームページより

ミエリッヒ農園は上記の農園の他にも、ドン・エステバン・ドライ・ミル(Don Esteban Dry mill)を所有しています。これはニカラグアで最初のフルトレーサビリティ・ドライ・ミルで、収穫されたコーヒーチェリーからコーヒー生豆を完成させる全ての工程を行うことのできるマイクロ・ミルです。ここではニカラグア国内にあるミエリッヒ家のすべての農園からコーヒーが集められ、乾燥作業が行われています。

ドン・エステバン・ドライ・ミルで精製したコーヒー生豆には、農園名、生産者名、品種、乾燥方法等を記入したトレーサビリティカードが発行され、厳密な管理がされています。ドライ・ミルは別名、ベネフィシオ(Beneficio)とも呼ばれます。

ニカラグアやコスタリカなどの小規模生産者の多い中米諸国では、コヨーテと呼ばれる仲介人が各農園を回ってチェリーを買い集め大規模精製所に持ち込みます。そこでは買い集められたチェリーが、すべて混合されて処理されます。小規模農園は精製処理の手間なくすぐに現金収入が得られますが、それはコモディティコーヒーとして流通して、付加価値による対価を得ることはできません。小規模農園はマイクロ・ミルを所有することによって、トレーサビリティを明確にし、努力に見合った対価を得ることができるようになります。

鳥目散帰山人の焙煎

私、鳥目散帰山人の焙煎は、特徴があるようです。原則として、焙煎の工程で火力を一切動かしません。主に使っている手廻し釜は、覆いもなく排気装置もなく計器もありません。ほぼ一定の火力で燃えている炎の上に生豆をかざして、焙り焼きをしているだけです。それでも、物によって時によって、気温や湿度によって、一釜ごとに二度と同じ工程にはなりません。一定に決める火加減、焙煎中の手廻しの回転速度、焼き上がりのタイミング…これを調整するだけで私には精一杯です。「一本焼き」と名付けました。この焙煎の手法を他人に強要するつもりもありませんが、どんな焙煎機を使用した場合でも「一本焼き」を基準に考えるのが、私の珈琲の焙煎に対する考え方です。

「焙煎のこと」,帰山人の珈琲遊戯ホームページより

帰山人氏の焙煎は「一本焼き」と名付けた焙煎です。パンチングメッシュの手回しの焙煎機で、最初から最後まで火力調整を一切せず、そのまま焼き上げる方法です。

帰山人氏が手廻しの焙煎機を手に入れた経緯は以下の通りです。

その1週前の1995年1月10日には、開業して間もないコーヒー店を訪ねた。出色のコーヒーを飲ませる稀代の迷店(?)となる「東明茶館」(都築直行)である。この当時に、私が自宅で焼いていたコーヒーは、手網による直火焙煎(最大約400g投入)が最も多かった。「東明茶館」が使用する焙煎機を見た‘その時’、私は「あっ!」と喫驚の声を上げた。手網をそのまま釜型にしたような、私が理想とする極めて簡素な構造の約1kg容量の直火式焙煎機だったから。後日、この「東明茶館」の焙煎機に倣って、パンチングメッシュの釜部はそのままに電動モーターを止めて手廻しにした仕様を、同じ富士珈琲機械製作所(寺本一彦)へ特注をした。この特製の手廻し釜の焙煎機を私が入手したのは、1996年2月26日である。だが、震災が発した頃の私には、「東明茶館」の釜が垂涎の的だった。

「地界の殺戮」,帰山人の珈琲漫考,2015年1月17日

帰山人氏は理論的に焙煎を考えるカフェ・バッハの田口護氏とは異なり、焙煎にマニュアルはないという考えです。

コーヒーの焙煎とは何か? コーヒーの焙煎でも自動化やIT化が進んでいるものの、コーヒーの香味を好んで楽しむ主体が人間である限り、そのコーヒーを作り出すのは人間である。焙煎の本性は人間の手にあるのだ。つまり、「焙煎手にある人」であり、「バイセンテニアル・マン」(Bicentennial Man)であるから焙煎を200年ほど続けなくてはならない。200年ほど生きてバイセンテニアル・マンとなったアンドリュウ・マーチンは、最期に「リトル・ミス」と言った。だが、もしこれが「焙煎手にある人」であるならば、小さなミスも見逃さずに焙煎を200年ほど続けなくてはならない。コーヒー狂は、手間(てま)隙(ひま)をかけて拵える「シン・コシラ」を作り出す。焙煎にマニュアルはない。コーヒーの焙煎は、人の手にある。

「焙煎手にある人」,帰山人の珈琲漫考,2018年11月9日

以下は帰山人氏が「焙煎するときの天候」について質問を受けたときの回答です。

私の経験と推論でお答えします。示された時季に限らず、焙煎時の晴雨や寒暑によって、焙煎中の匂いや煙(の出方や量や色)に差があること、また、焙煎したコーヒー豆の質感や匂い(の経時変化の緩急)や抽出したコーヒー液の香味にも違いがあること、それは私も捉えています。雨の日に焼いたものは(私は軽いとは思いませんが)香味が強く濃く出る感じがしますが、4~5日以上の経時変化は(良くも悪くも)激しく感じます。しかしそれは、焙煎する直前(投入時)と直後(冷却時)の豆の状態と(観念的な意味ではなくて科学的な意味での)雰囲気が、晴雨や寒暑によって異なるからだろう、と捉えています。釜であれ網であれ、焙煎中の豆の雰囲気条件が決定的に影響するものとは考えていません。したがって、《どうにか対処できないか》については、晴雨や寒暑によって全く影響を受けない空間で、「事前から生豆を保存し、焙煎機を作動させ、予熱も焙煎も冷却も行い、焙煎豆を保管して、それを抽出して喫飲する」ことの全てを実施するしかありません。つまり、厳密に対処することはほぼ不可能である、と諦めています。色気が無い回答で恐縮ですが、差は認めるが、その因子がどうして質感や香味の差になるのか機序が不明だけれども、そこに物理的かつ化学的な原因以外は認めない、と捉えています。

「子ども珈琲電話相談」コメント欄の帰山人氏のコメント,帰山人の珈琲漫考,2016年8月1日

帰山人氏のコーヒーは深煎りです。

もう一つは、先に触れた手廻し釜(穴あき直火のブタ)による焙煎の場合。
これが私自身も含めて家族や知人と常飲するための珈琲用の焙煎度。
この焙煎度には幅があり、「気まぐれ」なのだが、
概ね2ハゼのピークあたりから2ハゼ終了前まで、
俗にいう焙煎度でいえばフルシティ~フレンチ、ダークローストである。
但し、前述の通り豆色では真の焙煎度は規定できないわけだが、
自身の傾向としては、巷のアグトロン値での判断以上に
「深煎り」の味になる傾向で仕上げている場合が多い、という自覚がある。

「私的珈琲論序説〜(3)深煎り派 その2」,帰山人の珈琲漫考,2009年2月6日.

さて、肝心のナゼ「深煎り」か?という理由について。
端的に言えば、私にとってコーヒーは「にがい」ものだからである。
巷間「にがいだけではおいしいコーヒーとは言えない」という話は多い。
特に昨今ではSCAAを筆頭とする味覚基準では、
「質の良い酸味」や「フルーティな味や香り」を重視する傾向が顕著だ。
一概にそれらの味覚要素を否定するつもりも無いが、
私は「にがい」ことを排除していく評価傾向にはなじめない。
「苦味」にも「良い」「悪い」があるとの話もよく聞くし、それには賛同する。
ならば、「良い苦味」を追求することこそがコーヒーのコーヒーたる身上、
それが私を「深煎り派」と自認させている原点の志向である。

「私的珈琲論序説〜(3)深煎り派 その2」,帰山人の珈琲漫考,2009年2月6日.

帰山人氏が深煎りを好むところは、幼い頃に漢方を無理やり飲まされたことと愛煙家であることが関係していると思います。帰山人氏が愛飲しているタバコは、「アメスピ」(ナチュラル アメリカン スピリット)(無添加で無着香の紙巻き煙草)で、ライターは1941年レプリカモデル(4バレル/7ホール/ラウンドコーナー)のアメスピZIPPO(ジッポー)です。

鳥目散帰山人の抽出

週刊フレーバー・帰山人式抽出法、flavorcoffeeフレーバー放送局 2015年2月11日

ユキワのポットによる点滴抽出です。ユキワのポットにはスキッターが付けられており、細い湯のコントロールが可能になっています。帰山人氏はスケールやタイマーなどの近代的な道具を使用せず、コーヒー豆や粉の様子と対話しながら抽出しています。

帰山人氏のブログ、帰山人の珈琲漫考にはドリップの奇怪と題された、ドリップに関する考察があります。

ドリップの奇怪ドリップの奇怪2 解題篇ドリップの奇怪3 余考篇ドリップの奇怪4 再奔篇です。他では読むことのできない面白い情報が多くありますので、コメント欄とともに参照してみてください。

帰山人の珈琲遊戯のニカラグア リモンシリョ ブルボン ナチュラル

帰山人氏のよる商品紹介、「週刊フレーバー・アカイアを使って松屋式」,flavorcoffeeフレーバー放送局 2019年10月30日より

ニカラグアのリモンシリョ農園の

ブルボンのナチュラル(乾式精製)。

それを深煎りにした「スカーレット」

緋色、緋色になる時、それは今。

北大路魯山人は、作陶に信楽(しがらき)の土を好んで用いて、

その焼き上がりで緋色(ひいろ)の効果を上げていました。

鳥目散帰山人は、焙煎にリモンシリョの豆を好んで用いて、

その焼き上がりで緋色(ひいろ)の効果を上げています。

ニカラグアの名門ミエリッヒが所有するリモンシリョ農園、

今般のナチュラル精製したブルボンは特に、信楽焼の

緋色(ひいろ)、つまりスカーレット(scarlet)を心象させる

‘窯あじ’を感じさせます。緋色、緋色になる時、それは今。

フレーバー 通販ページより
緋色、コトバンクより

「緋色」はおおよそこのような色です。「スカーレット」は「鮮やかな緋色」とされることが多く、「緋色」とは若干色調が異なります。

北大路魯山人 (信楽壷(友斎箱)、アート飛田より、

北大路魯山人の信楽焼は、このように「緋色の効果」を上げています。

珈琲遊戯PV「緋色になる時、それは今。」、鳥目散帰山人より

品種

レッド・ブルボン、ミエリッヒ農園 ホームページより

品種はブルボン(Bourbon)です。

ブルボンはティピカと並ぶアラビカ種の代表的な品種です。ティピカよりも若干生産性の高い品種で、小粒の豆ですが密度が高く、身が引き締まっています。香り高く、ほのかな甘味のある品種です。1700年代初頭にフランスの宣教師がイエメンからブルボン島(現在のレユニオン島)に持ち込んで栽培されたのが、その名前の由来です。1800年代半ばから、宣教師たちがアフリカと南アメリカ大陸に持ち込み、世界のコーヒー生産各地に広がりました。

ミエリッヒ農園では、レッド・ブルボンとオレンジ・ブルボン(Orange Bourbon)を栽培していますが、リモンシリョ農園ではレッド・ブルボンが栽培されています。

ブラウンシュガー、チョコレート、チェリー、シナモンのテイストがあります。

精製方法

フル・ナチュラル、ミエリッヒ農園 ホームページより

精製方法はフル・ナチュラル(Full Natural、乾式)です。コーヒーの代表的な精製方法にウォッシュト(Washed、湿式)とナチュラル(Natural、乾式)のふたつがあります。ナチュラルは、収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日干し乾燥させ、その後パルピング(Pulping、果肉除去)し、パーチメント(Parchment、内果皮付きの生豆)を脱穀してコーヒー生豆を取り出す方法です。ナチュラルでは乾燥工程における果肉の発酵の作用によって、より複雑な味わいとなります。

ミエリッヒ農園では完熟実が収穫された後、ドライ・ミルに運ばれ、そこで薄く広げられます。これらのコーヒーチェリーは割り当てられたスペース内で1日に約3回、ダメージを与えないように注意深く移動されます。

フル・ナチュラル精製は、気象条件に応じて20-30日、水分含有量12%以下になるまで乾燥させます。このプロセスが完了後、輸出のために脱穀をする前に、最低30日間はコーヒー豆を寝かせます。脱穀後、出荷されるまでさらに30日間寝かせます。

ブルボンはウォッシュトで精製されることが多く、ナチュラル精製は比較的珍しいです。

生豆と焙煎

【生豆と焙煎の仕立て】

ニカラグア共和国 マタガルパ地区 リモンシリョ農園

 ブルボン ナチュラル(乾式精製)  100%

直火の手廻し釜で火力一定の「一本焼き」、20分45秒で

浅めの深煎りに仕立てて、「スカーレット」と名付けました。

《モカを思わせる、特有なアロマとフレーバーを併せ持った》

などと生豆問屋のフライヤーで紹介されていましたが、

それが発酵系の匂いを指すのであれば、モカとは少し

異なるし、臭ってもファンキーナチュラルほどではありません。

他方で、赤ワイン様の甘酸っぱさを指すのであれば、

この豆のフレイバーの特徴を示すに相応しい表現です。

緋色、緋色になる時、それは今。ご笑味ください。

フレーバー通販ページより

控えめに香る赤ワインのような上品なフレーバーが印象的です。帰山人氏の深煎りコーヒーに特徴的な苦味とじんわりとした甘味のバランスがよく、「緋色」の上品なイメージが浮かび上がります。

帰山人の珈琲遊戯のニカラグア リモンシリョ レッドパカマラ パルプト・ナチュラル

品種

レッド・パカマラのパルプト・ナチュラル、ミエリッヒ農園 ホームページより

品種はレッド・パカマラ(Red Pacamara)です。

ブルボンの突然変異種パーカス(Pacas)とブラジルで生まれたティピカの突然変異種マラゴジペ(Maragogype)の交配種で、エルサルバドルコーヒー研究所(スペイン語:Instituto Salvadoreño para Investigaciones del Café、英語:Salvadorean Institute for Coffee Research)によって最初に開発されました。パカマラにはイエロー・パカマラ(Yellow Pacamara)もありますが、レッド・パカマラは深い赤色のコーヒーチェリーです。スクリーンS18+が95%以上を占める非常に大粒の豆です。

リモンシリョ農園のレッド・パカマラは、リンゴのような果実感のある酸味、ブラウンシュガーのような甘味、チョコレートのようなコクとボディ、なめらかな口当たりが特徴です。

カップ・プロファイルはダークチョコレート、レッドアップル、ブラウンシュガー、ブラックベリーのテイストに傾きがちです。 シトラス、果実、酸味のバランスが取れたクリーミーで豊かなボディがあります。

ミエリッヒ家のレッド・パカマラはウォッシュト、フル・ナチュラル、パルプト・ナチュラルで精製されますが、このロットはパルプト・ナチュラル精製です。

精製方法

パルプト・ナチュラル、ミエリッヒ農園 ホームページより

精製方法はパルプト・ナチュラル(Pulped natural)です。別名ハニー(Honey)とも呼ばれます。

コーヒーチェリーはピッキングの後、夜の間水の中で保管されます。翌朝にウェット・ミルで、最小限の水を用いて(できれば水を使わずに)果肉を取り除きます。ムシレージ(Mucilage、粘液質のこと、一般的にはミューシレージとも)を100%残した状態でドン・エステバンに送られ、ドライ・ミルに入ります。

ドン・エステバン・ドライ・ミルでは、アフリカベッドでの乾燥工程に入る前に、ムシレージを乾燥させるために、最初の2日間はプラスチックの防水シートで乾燥させます。 この工程では、パーチメント付きコーヒー豆を1日3-4回移動させます。 その後、水分含有量が12%に下がるまで12-15日間、50%の日陰で乾燥の仕上げを行います。 合計乾燥時間は約14-16日です。

乾燥工程が終了後、輸出用の脱穀を行う前に、30日間コーヒー豆を寝かせます。

生豆と焙煎

【生豆と焙煎の仕立て】

ニカラグア マタガルパ地区 リモンシリョ農園
レッドパカマラ パルプトナチュラル(半乾式精製) 100%

直火の手廻し釜で火力一定の「一本焼き」、
20分15秒で中深煎りに仕立てて、「アンタレス L」と名付けました。
(※この珈琲豆はチップ=10円ハゲが多く出ました。
焙煎後にも手選別をしていますが、香味づくりの調整上、
チップした豆が多めにあることを、ご承知おきください)
見た目は巨大ですが、香味は大味ではありません。
抽出してゆっくりと味わうと、中深煎りのパカマラ特有のトロンと
粘性のある甘酸っぱさが拡がっていきます。ご笑味ください。

フレーバー通販ページより

リモンシリョ農園 レッドパカマラ パルプトナチュラルは、「夏の南の夜空に明るく輝く恒星」から、「アンタレス」と名付けられました。中深煎りに仕立てた「アンタレス L」、深煎りに仕立てた「アンタレス D」があり、こちらは中深煎りの「アンタレス L」です。

ライムのような清涼感のあるフレーバーとリンゴのような甘味と酸味、中深煎りの苦味との相性がとても良いです。とろみのある口当たりがあり、全体としては他のコーヒーでは感じられない独特の印象を残します。

<参考>

「Fincas MIERISCH」<http://fincasmierisch.com/>2019年8月14日アクセス.

「Nicaragua Finca Limoncillo Red Bourbon Anaerobic Honey」,Bodhi Leaf Coffee Traders<https://www.bodhileafcoffee.com/products/nicaragua-finca-limoncillo-red-bourbon-honey>2019年8月14日アクセス.

「ニカラグア リモンシリョ農園、他 レポート」,SPECIALTY COFFEE WATARU<https://www.specialty-coffee.jp/wp/archives/5440>2019年8月14日アクセス.

「ニカラグア ジャバニカ ウォッシュト エル・リモンシリョ農園」,焙煎香房シマノ<https://www.baisenkoubou-shimano.com/menu0204.html>2019年8月14日アクセス.

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