工房 横井珈琲:メキシコ サンタ・クルス農園 ゲイシャ メキシコ カップ・オブ・エクセレンス 2019年 第1位

工房 横井珈琲のメキシコ サンタ・クルス農園 ゲイシャ メキシコ カップ・オブ・エクセレンス 2019年 第1位です。工房 横井珈琲は1996年にオープンした札幌市西区に本店があるスペシャルティコーヒー専門店です。現在札幌市内に2店舗展開しています。

メキシコ サンタ・クルス農園 ゲイシャ メキシコ カップ・オブ・エクセレンス 2019年 第1位

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メキシコ

メキシコ(Mexico)は、北アメリカ南部に位置する共和国です。北にアメリカ合衆国、南東にグアテマラ、ベリーズと国境を接し、西は太平洋、東はメキシコ湾とカルブ海に面します。首都はメキシコ・シティ(Mexico City)です。

メキシコは、世界最大のコーヒー産地のひとつです。メキシコ南部のベラクルス州(Veracruz)、オアハカ州(Oaxaca)、チアパス州(Chiapas)が、メキシコのアラビカ種コーヒーの三大産地です。コーヒーはメキシコの主要な輸出品ですが、全日本コーヒー協会の「日本のコーヒー生豆の国別輸入量」によると、メキシココーヒーの輸入量は1,303トン(2017年)と少なく、日本での知名度は低いです。

メキシココーヒーの歴史

メキシコは、古代マヤ文明やアステカ文明など高度な文明が繁栄していましたが、16世紀のアステカ文明の時代にスペイン人によって征服されました。

メキシココーヒーの歴史は、18世紀後半のスペイン植民地時代にキューバとドミニカ共和国からコーヒーノキが持ち込まれした。そしてその数十年後、グアテマラやその他の中米諸国からのドイツやイタリアの移民が集まってきた。  メキシコでは1790年代、ベラクルス州(Vera Cruz)に最初のコーヒープランテーションが開かれましたが、メキシコには銀や金などの鉱物が豊富であったため、長い間コーヒーやその他の農産物は価値を見出されることはありませんでした。

メキシコにコーヒープランテーションが広がったのは、スペイン独立後からです。メキシコ独立戦争は1810年に始まり、1821年にメキシコはスペインから独立しました。

メキシコのヨーロッパ人入植以前の土地所有は、ほとんどが村落共同体の共有地でした。スペイン征服後の植民地時代においてもこの制度は維持されていましたが、メキシコ独立以降は欧米の自由主義思想の影響を受けて、土地の私有化が推進されました。土地登記制度によって、国家に接収された土地は競売にかけられ、国内外の富裕層や大土地所有者がそれまで「未登録」とされていた広大な土地を購入し、村落共同体の共有地は彼らに収奪されることになりました。この先住民からの土地収奪現象は、19世紀後半に出現した独裁者ポルフィリオ・ディアス(Porfirio Díaz)政権下でさらに強まり、全国各地にラティフンディオ(Latifundio)と呼称される大荘園が形成されました。

国内外の富裕層や大土地所有者は自分たちの土地を確保するために、小規模農家を山間へと強制的に追い出し、代わりに先住民の男性を彼らのコーヒープランテーションで奉公させました。このようにして、メキシコは換金作物としてのコーヒー栽培に取り組むことになりました。

一方、山間部へと強制的に追い出された小規模農家は、メキシコ革命後の農業改革により、メキシコ南部の辺鄙な山間地に小さな土地や共有地を所有することを許され、コーヒーを栽培することになりました。そして、1914年の労働法によって農奴が解放され、コーヒープランテーションで奉公していた小作農が、自分たちの地域にコーヒーの苗やコーヒーの栽培技術を持ち帰りました。

20世紀初頭になると、制度的革命党(英語:Institutional Revolutionary Party、スペイン語:Partido Revolucionario Institucional(PRI))の台頭により、メキシコ国立コーヒー研究所(英語:Mexican Coffee Institute、スペイン語:Instituto Mexicano del Cafe(INMECAFE)が創設され、外貨獲得のための国策としてコーヒー栽培が始まります。アメリカなど世界のコーヒー需要の高まりを受けて、メキシコのコーヒー生産は爆発的に発展しました。

メキシコ国立コーヒー研究所は、小規模農家のコーヒー栽培を支援するために設立されました。この組織は、農家に技術支援と貸し付けを提供し、生産したコーヒーの購入と市場への輸送をサポートし、国際コーヒー協定(International Coffee Agreement(ICA))下で、コーヒーを国際市場に送り出しました。

1973年から1990年にかけて、メキシコ国立コーヒー研究所の支援により、農村部でのコーヒー生産は飛躍的に増加しました。しかし、政府はコーヒーの生産以外の支援を怠っていたために、チアパス州とオアハカ州の農民は、地方自治体の支援や基本的な公共サービスを欠いた、メキシコで最も疎外された人々のままでした。

そのため、これらの地域では、社会運動が盛んになりました。農民はさらなる土地の分配を要求するための運動を組織し、労働団体は労働者の権利と債務労働の禁止を求めました。また、先住民族のグループは何世紀にもわたって居住していた土地と資源に対する権利を主張し始めました。

1980年代、メキシコ政府は、主に多額の対外借入と原油価格の急落により、債務不履行になったため、新自由主義改革の道を歩み始めました。この10年間で、メキシコ政府は徐々にコーヒー農家と農業に対する支援を止め、1989年にメキシコ国立コーヒー研究所は空中分解しました。同じ年、国際コーヒー協定の輸出割当制度が停止されたこともまた、コーヒー農家の壊滅的な影響を与えました。

1985年に8億8200万ドルの農業輸出額を占めていたコーヒーは、1991年には3億7千万ドル以下にまで落ち込みました。農家からのコーヒーの買取価格は急落し、貸付は枯渇し、農家はコーヒーを売る方法を失いました。

メキシコ国立コーヒー研究所に代わって、コヨーテ(Coyote)と呼ばれるコーヒーのブローカーが台頭し始めました。彼らはメキシコ国立コーヒー研究所の空中分解によって失われた情報や貸付、輸送へのアクセスの欠如を利用しました。その後の数年間で、耕作放棄した農民の都市への移住とアメリカ合衆国への移民が急増しました。

コヨーテの搾取から農民を保護するために、やがて協同組合が結成されるようになりました。これら協同組合は、メキシコ国立コーヒー研究所に代わる役割を果たしただけでなく、オーガニックコーヒーの生産を積極的に推奨しました。これによって肥料などの資本集約的な投資への依存を減らし、安定した高い価格でのコーヒーの取引を可能にしました。

またこれら協同組合は、経済活動の多様化、環境への配慮、学校や病院などの社会サービスの提供とロビー活動を行うことにより、政府の支援から疎外されていたこれら地域の農民たちにも自己決定権を与えました。このようにしてメキシコの協同組合運動と市民運動は、世界で最も説得力のある社会運動のいくつかの基盤を形成しました。

メキシコのオーガニックコーヒー

メキシコは、世界の約60%(2000年)のオーガニックコーヒーを生産する世界最大のオーガニックコーヒーの生産地です。メキシココーヒー、特にオーガニックコーヒーのほとんどは、約50万人の小規模農家によって、オアハカ州とチアパス州の険しい山岳地区の急斜面で栽培されています。

オアハカ州とチアパス州はメキシコ国内の中でも先住民が多く住み、経済面ではメキシコ国内でも最も貧しい地域でした。これらの地域では、1982年にオアハカ州の「イスモ地区先住民族共同体組合(英語:Union of Indigenous Communities of the Isthmus Region、スペイン語:Unión de Comunidades Indígenas de la Región del Istmo(UCIRI))」、1989年にオアハカ州の「オアハカ州コーヒー生産者組合(英語:Oaxacan State Coffee Producers Network、スペイン語:Coordinadora Estatal de Productores de Café de Oaxaca(CEPCO))」、1993年に「チアパス州のチアパス州先住民有機連合(英語:Indigenous Ecological Federation of Chiapas、スペイン語:Federación Indígena Ecológica de Chiapas(FIECH))」と、コーヒー生産協同組合を設立され、オーガニックコーヒーとフェアトレードの運動が始まりました。

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サンタ・クルス農園

サンタ・クルス農園、ACEより

サンタ・クルス農園(Santa Cruz Farm)は、メキシコ南部チアパス州(Chiapas)ラ・コンコルディア(La Concordia)サンタ・クルス(Santa Cruz)に位置する農園です。農園主は、クルス・ホセ・ アルゲリョ・ミセリ(Cruz José Arguello Miceli)氏です。

農園は「エル・トリウンフォ生物圏保護区(El Triunfo Biosphere Reserve)」に位置しており、動植物の楽園となっています。エル・トリウンフォ生物圏保護区は、シエラ・マドレ・デ・チアパス山脈(Sierra Madre de Chiapas)の熱帯林と雲霧林の生物多様性の豊かな場所です。

農園は標高1,640m、農園面積20ヘクタールのうち、10ヘクタールでコーヒーが栽培されています。

雨季は5月から9月で、コーヒーの収穫期は12月に始まり4月に終わります。収穫期には、近隣のコミュニティから、50人の協力者を雇っています。

シェードツリー 、ACEより

シェードツリーには、チャルム(Chalum、学名:Humiriastrum procerum)、マンダリンやアボカドの木が用いられます。

農園はORGANIZACIÓN DE CAFETALEROS LA CONCORDIA, S.P.R. DE R.L.というコーヒー生産者団体に属しており、米国市場向けには全米オーガニックプログラム(National Organic Program)、ヨーロッパ市場向けにはCEマーク、メキシコ市場向けにはメキシコオーガニックスタンダード(Mexican Organic Standards (LPO))を取得しています。

品種

コーヒーノキ、ACEより

品種はゲイシャ(Geisha,Gesha)です。

ゲイシャは1930年代にエチオピアで発見されたアラビカ種の野生種です。2004年にベスト・オブ・パナマ(Best of Panama(BoP))に出品されたパナマ エスメラルダ農園のゲイシャが、当時破格の落札価格を記録したことから一躍有名となった品種です。

ゲイシャは、農園の5ヘクタールで栽培されています。

農園ではゲイシャの他に、ブルボン(Borbuon)ティピカ(Typica)、サルチモール(Sarchimor)、オバタ(Obata)が栽培されています。

パナマ エスメラルダ農園については、以下の記事を参照してください。

http://real-coffee.net/panama-haciendalaesmeralda

精製方法

天日乾燥、ACEより

精製方法はナチュラル(Natural、乾式)です。

コーヒーチェリーを収穫後、そのまま天日乾燥させ、干し葡萄状態になった殻(Husk、ハスク)を取り除きます。ゲイシャのナチュラル精製では、より複雑で強いフレーバーに仕上がります。

受賞歴

2019年 メキシコ カップ・オブ・エクセレンスの様子、Daily Coffee Newsより

メキシコでは、2012年からカップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence)が始まりました。2019年のカップ・オブ・エクセレンスで、サンタ・クルス農園のゲイシャのナチュラルが、93.07点を獲得し第1位に輝きました。

このカップ・オブ・エクセレンスでは248のサンプルが出品され、85点以上を獲得した40ロットにまで絞り込まれました。そのうち5のロットが、90点以上を獲得しました

アルゲリョ・ミセリ氏はかねてからカップ・オブ・エクセレンスに参加することを望んでいましたが、このイベントのサポーターであるメキシココーヒー生産者協会(Asociación Mexicana de la Cadena del Café, A.C.(AMECAFÉ))との兼ね合いから、これまでは参加することができませんでした。

2019年カップ・オブ・エクセレンスに初めて参加し、初優勝を成し遂げました。

ゲイシャはジャスミンやベルガモットのような華やかなフレーバーと柑橘系の酸味を特徴としています。ナチュラルで精製すると、フレーバーの複雑さと強さが増します。

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工房 横井珈琲のメキシコ サンタ・クルス農園 ゲイシャ メキシコ カップ・オブエクセレンス 2019年 第1位

サンタ・クルス農園は、グアテマラ国境に近い、メキシコのチアパス州ラ・コンコルディアにあります。

同農園はエル・トリウンフォ生物保護区内に位置しており、周辺は豊かな自然と肥沃な土壌に恵まれています。

5月から9月は雨期にあたり、12月から翌年4月までがコーヒーの収穫期です。収穫期になると、周辺のコミュニティから50人ほどの協力者がやってきます。

サンタ・クルス農園の中ではチャルムと呼ばれる常緑樹やマンダリンオレンジ、アボカドの木がシェードツリーの役割を果たしています。

サンタ・クルス農園の所属するラ・コンコルディアのコーヒー生産者団体は、メキシコ国内と米国、ヨーロッパ市場のオーガニック認証を受けています。

工房 横井珈琲 ホームページより

カップ・オブ・エクセレンスのカッピングノートは、以下の通りです。

Aroma/Flavorjasmine, bergamot, lemongrass, vanilla, honesuckle, orange, plum jam, perfumed, port wine, nougat, prune, lavendar, very sweet
Aciditymalic, refined, malic and citric, delicate,
Otherblueberry,well defined, transparent, juicy, complex, elegant, rhubarb, buttery, rich mouthfeel, taste held.

ゲイシャ特有のジャスミンやベルガモットのようなフレーバーに加えて、プラムやブルーベリーのようなフレーバーが強く感じられます。ジャムのようなとろみのある口当たりは、ナチュラル精製由来であるように思います。他のゲイシャに比べて、ブルーベリー系の印象が強いコーヒーです。

<参考>

「93.07」,ACE<https://allianceforcoffeeexcellence.org/directory/93-07/>

「Five Microlots Score 90+ at Mexico Cup of Excellence Competition」,Daily Coffee News<https://dailycoffeenews.com/2019/07/02/five-microlots-score-90-at-mexico-cup-of-excellence-competition/>

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