スターバックス リザーブ®のコスタリカ ラスロマス イニシアチブです。スターバックスは言わずと知れた世界的なコーヒーチェーンです。スターバックス リザーブ®は一部限定店舗でのみ取り扱われる希少なコーヒー豆です。お店で飲むこともできますが、豆を購入することもできます。お店ではクローバーというスターバックス独自の抽出マシーンで淹れたコーヒーを飲むことができます。
コスタリカ ラスロマス イニシアチブ
コスタリカ
コスタリカ(Costa Rica)は中央アメリカの小さな共和国です。北はニカラグア、南東はパナマと国境を接し、南は太平洋、北はカリブ海に面しています。首都はサン・ホセ(San José)です。この小さな国土の中に、地球上すべての生物種のうち5%が生息しているといわれているほど生態系に富んだ豊かな国土です。環境保護先進国としても名高く、全国土の1/4以上が国立公園・自然保護区に指定されています。コスタリカは1988年からコーヒー栽培を法律によってアラビカ種のみに限定し、ロブスタ種の栽培が禁止されました。そのため、コスタリカはスペシャルティコーヒーがコーヒー生産量の約50%を占める、高品質なコーヒーを栽培する国として知られています。
コスタリカは18世紀の終わりにコーヒー栽培が始まり、それはセントラル・バレー地区の高地にゆっくりと広まっていきました。そして、コスタリカは中米でコーヒーを産業として確立した最初の国となりました。1820年代までに、コーヒーはコスタリカの主要な農産物輸出品となり、1846年にはプンタレナス(Puntarenas)への幹線道路が完成したことにより国内総生産が大幅に増大、コーヒーの農家は牛車によってより簡単に市場へコーヒーを運搬することが可能になりました。
1933年に設立された「コスタリカコーヒー協会(ICAFE)(英語:Coffee Institute of Costa Rica、スペイン語:Instituto del Café de Costa Rica)」がコーヒー農家の支援をしており、環境に配慮したコーヒー生産に取り組んでいます。
コスタリカのコーヒー産地
コスタリカのコーヒー生産地はコスタリカコーヒー協会(ICAFE)によって、7つの代表的な産地に区分されています。ブルンカ(Brunca)、オロシ(Orosi)、タラス(Tarrazú)、トレス・リオス(Tres Rios)、トゥリアルバ(Turrialba)、セントラル・バレー(Central Valley)、ウェスト・バレー(West Valley)の7つです。
コスタリカは複雑な地形で、海から来る風がこの複雑な地形を通ることによってマイクロクライメイト(微気候)がはっきりと生まれます。また、土地は隆起した時代によって土壌が異なるため、少しの場所の違いでも味に変化が生まれやすいです。
コスタリカは、他の中米諸国とは異なり、農園規模が小さく、収穫したコーヒーチェリーを農協系、または大手の加工会社に搬入する分業制が主流でしたが、近年ではマイクロミルの導入が進んでいます。マイクロミルの導入によって、家族や親類などの農園が小規模な水洗処理設備、乾燥設備を共有し、地区特性を反映した高品質のコーヒーを一貫して生産することができるようになります。コスタリカでは現在、150を超えるマイクロミルが導入されていると言われています。
ウェスト・バレー
コスタリカ ラスロマス イニシアチブを生産する「ナランホ生産者協同組合(The Growers’ Cooperative and Multiple Services of Naranjo (Coopronaranjo))」はウェスト・バレーのナランホ(Naranjo)に位置しています。
ウェスト・バレーは首都サン・ホセから最も近い活火山であるポアス火山(Poas)周囲の太平洋側の山地に広がっています。ウェスト・バレーはセントラル・バレーの西側の地区で、肥沃な火山灰土壌、昼夜の寒暖差ある気候、豊富な降雨量など、高品質のコーヒー生産には恵まれた環境です。
この地域は標高1,500m級の高い山々に囲まれ、その周辺に数々のコーヒー農園が広がる高品質コーヒー生産地として知られています。コスタリカ国内の約25%がウェスト・バレー地区で生産されています。
セントラル・バレーは西はアラフエラ州(Alajuela)のサン・ラモン市(San Ramón)から伸び、東のカルタゴ州(Cartago)のパライソ市(Paraíso)にまで広がっていると考えられています。
コスタリカには4つの山脈と112の火山口が存在しています。セントラル・バレーの北に位置する山々は中央山脈の一部で、ポアス、バルバ(Barva)、イラス(Irazú)、トゥリアルバ(Turrialba)の4つの主要な火山があります。高原を南に囲む山々はタラマンカ山脈(Talamanca)の一部を形成しています。
サンホセ州(San José)とカルタゴ州(Cartago)の境を南北に沿って走るセロス・デ・ラ・カルピンテラ(Cerros de la Carpintera)の丘陵がセントラル・バレーを西と東で分けており、西側がウェスト・バレーです。
ウェスト・バレーはコスタリカの太平洋沿岸の気候パターンの影響を大きく受け、セントラル・バレーはカリブ海沿岸の気候パターン影響を受けます。ウェスト・バレーは夏の貿易風の影響で、乾季と雨季がはっきりと区別されています。
ナランホ生産者協同組合
「ナランホ生産者協同組合(英語:The Growers’ Cooperative and Multiple Services of Naranjo 、スペイン語:Cooperativa de Productores de Café y Servicios Múltiples de Naranjo R.L(Coopronaranjo))」は1968年に91のコーヒー生産者家族によって設立された歴史ある協同組合です。
この協同組合が設立された背景には、当時の景気の低迷があり、家族の暮らしを守るために、農業部門の問題を解決しようとしました。ナランホ生産者協同組合はその創設以来、ナランホの経済成長の中心的な役割を果たしてきました。
現在では、3000以上の小規模生産者が加わるグループにまで成長し、年間で平均500トン近いコーヒーを生産しています。協同組合のメンバーの約95%は10ヘクタール未満の土地で栽培を行う小規模生産者で、約40%は女性です。農園の標高1,300-1,750mに位置しています。
この協同組合の活動の中核は、生産者、家族、地域社会の利益にあり、環境および社会への配慮は非常に重要なものとなります。この協同組合はこれまで、コーヒーの品質、生産者への教育や技術提供、環境への配慮により、さまざまな社会および環境認証を取得してきました。
ナランホ協同組合は組織が大きくなるにつれて、その活動領域を多様化してきましたが、スペシャルティコーヒー市場でもその地位を確立するために活動しています。
ラスロマス イニシアチブ
ナランホ生産者協同組合は、2018年で50周年を迎えました。
ラス・ロマス(Las Lomas)は、2017年から2018年にかけてナランホ生産者協同組合に属する小規模生産者を支援するために始まった特別なコミュニティロット・プログラムです。「ラス・ロマス」は「連なる丘」という意味です。
このプロジェクトで恩恵を受ける主なコミュニティは、ナランホのロス・ロブルズ(Los Robles)、ルルデス(Lourdes)、サン・フアニリョ(San Juanillo)、カニュエラ(Cañuela)、バランカ(Barranca)です。
このマイクロロットに含まれるためには、生産者は各コミュニティの受取人に最高品質のコーヒーチェリーを送る必要があります。この受取人はコーヒーチェリーをウェット・ミル(Wet mill)にコーヒーチェリーを送る前に、厳しい品質管理を監督します。
ラス・ロマスのマイクロロットにはそれぞれ名前がつけられており、「イニシアチブ(Initiative)」というのはこのロット名です。
高品質なコーヒーを高価格で販売することで、生産者家族に直接的な利益をもたらし、また、生産者が得た利益から恩恵を受けるコミュニティに間接的な利益をもたらすことができます。
現在、コスタリカでは小規模生産者がコーヒーで生計を立てることが困難になっています。そのため、ナランホの小規模生産者の子供の多くは、専門職や警備員、コールセンターでの仕事を選んでいます。しかしナランホ生産者協同組合は、スペシャルティコーヒーを通じたより良い生活を実現することで、コーヒー生産を次世代へと繋げようとしています。
コスタリカは法律で、協同組合が労働安全衛生と保全の年間プログラムを実施することを義務付けており、この協同組合はこれに完全に準拠しています。さらに、すべてのメンバーに健康、教育、経済的福祉に関する社会福祉プログラムが提供されています。
品種
ナランホ生産者協同組合は小規模生産者の集まるグループのため、様々な品種が栽培されていますが、主な栽培品種はカトゥーラ(Caturra)、カトゥアイ(Catuaí)です。ラス・ロマスのマイクロロットも、この2つの品種で構成されています。
精製方法
(ナランホ生産者協同組合の英語版ホームページのこの画像では、ウェット・ルート(Wet route)とドライ・ルート(Dry route)が逆になっていますので、ウェット・ルートとドライ・ルートの文字を入れ替えて読んでください。スペイン語版ホームページでは、正しく表示されています。)
生産者が生産したすべてのコーヒーは手摘みで収穫され、各コミュニティにある受け取り所に送られます。そこで完熟実のみが選別されます。各受け取り所にはコーヒーチェリーの選別の厳しい要件が書かれたリストがあり、スタッフはこれらの要件を満たすことが要求されています。
その日の終わりに、コミュニティによって距離は違いますが、コーヒーチェリーは8-70km離れた中心部のウェットミルに送られます。コーヒーチェリーはペナゴス・パルパー(Penagos pulper)というエコ・パルパーで果肉除去され、豆の重量とサイズに応じて選別されます。
ナランホ生産者協同組合のコーヒーは、ほとんどがウォッシュト(Washed、湿式)で精製されます。このコスタリカ ラスロマス イニシアチブもウォッシュト精製です。ナランホ生産者協同組合では、ウォッシュとの他にも、ナチュラル(Natural、乾式)やハニー(Honey、半水洗式)での精製も行われています。
乾燥は天候に応じて、パティオによる乾燥か、グアルディオラ乾燥機(Guardiola drier)が用いられます。
スターバックスとコスタリカ
スターバックスは世界のコーヒー生産各国の支援と発展を目的として、生産各国にファーマーサポートセンターを開設しています。2004年コスタリカに最初のファーマーサポートセンターを開設しました。また2013年には、スターバックス最初の自社農園であるハシエンダ アルサシア®農園を購入しました。
スターバックスのハシエンダ アルサシア®農園については、以下の記事を参照してください。
スターバックス リザーブ®のコスタリカ ラスロマス イニシアチブ
STARBUCKS RESERVE®とは
私たちは毎年、すばらしいコーヒーを求めて世界中を旅しています。
時として、すぐにでも持ち帰って、たくさんの人に味わっていただきたい希少で個性的なコーヒーに出会うことがあります。
私たちのコーヒーバイヤーやファーマーサポートセンターの農学者たちは世界中のコーヒー農家を訪れて信頼関係を築くことでそういったコーヒーの発見、そして調達にまでこぎつけたのです。
カッピングと呼ばれる風味テストを年間25万杯以上も繰り返すスターバックスの専門テイスターが厳選した、最も個性豊かなコーヒー。
それが、スターバックス リザーブ® コーヒーです。
スターバックス ホームページより
※ラベルデザイン
「ラスロマス イニシアチブ」には、ナランホ周辺の6つの山々で栽培された中でも、特に品質の高いコーヒーが集められています。熱心にコーヒー栽培に取り組む生産者たちはアグロノミストやコーヒーの加工場と協力しながら、コーヒーの質を高めるための様々な知識やノウハウを共有しています。一粒のコーヒーチェリーが農園からスターバックスの店舗に届くまでの長い旅は、数多くの人々の努力に支えられ、しっかりとしたトレーサビリティが確保されています。このカードのデザインでは、ラスロマス イニシアチブに取り組む人々の機会と努力、そして多様で明るい未来を、色彩豊かに表現しました。
スターバックス ホームページより
焙煎
スターバックスは、コーヒーをローストのレベルで、スターバックスブロンドロースト(浅煎り)、スターバックスミディアムロースト(中煎り)、スターバックスダークロースト(深煎り)の3つに分類しました。豆ごとに少しずつ異なるローストの時間や温度を40年もの蓄積された経験と技術をもったマスターロースターが探求しています。こちらのコスタリカ ラスロマス イニシアチブはスターバックスミディアムローストであると思われます。
焙煎:スターバックスミディアムロースト
バランスのとれた、まろやかさと豊かな風味が特長。
味
シトラス系のフレーバーとチョコレートのようなまろやかさは感じられますが、スモーキーなフレーバーが前面に出ており、焙煎がうまくいっていないように思います。
<参考>
CooproNaranjo<https://www.coopronaranjorl.com/en/>2019年12月25日アクセス.
「Lomas 3 Mesas (Coopronaranjo) - Costa Rica」,MERCANTA<https://www.coffeehunter.com/the-coffee/lomas-3-mesas-coopronaranjo/>2019年12月25日アクセス.