サミュエル・パーチャス『巡礼記』とウィリアム・フィンチのソコトラ島でのコーヒーの観察
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サミュエル・パーチャス『巡礼記』とウィリアム・フィンチのソコトラ島でのコーヒーの観察

サミュエル・パーチャス『巡礼記』とウィリアム・フィンチのソコトラ島でのコーヒーの観察

 さらにイギリスの旅行家、サミュエル・パーチャス(一五二七〜一六二六)が『パーチャス、その巡礼の旅』(一六〇七年刊)、そして、頻繁に引用されるウィリアム・ビダルフの旅行記、『ある英国人たちのアジア、アフリカその他の地への旅行記』が一六〇九年に出版される。

ウィリアム・H・ユーカーズ(2017)『ALL ABOUT COFFEE コーヒーのすべて』,山内 秀文訳・解説,角川ソフィア文庫.p.81

山内 秀文訳のウィリアム・H・ユーカーズ『ALL ABOUT COFFEE コーヒーのすべて』では省略されているが、サミュエル・パーチャスは、ウィリアム・フィンチを引用する形でコーヒーについて述べている。

 イギリスの初期の旅行記収集家であるサミュエル・パーチャス(1527 - 1626)は、1607年の『パーチャスの巡礼記(Purchas His Pilgrimes)』の中で、「ソコトラでの、商人、ウィリアム・フィンチの観察」(ソコトラーインド洋の島)という見出しで、アラブ人の住人について次のように述べている。

 彼らの最高の娯楽は、メッカから持ち込まれたベイベリーのような実から作られた黒くて苦い飲み物である、「カホ」という中国料理で、熱いうちに飲むと頭と胃に良いとされている。

Samuel Purchas (1527–1626), an early English collector of travels, in Purchas His Pilgrimes, under the head of "Observations of William Finch, merchant, at Socotra" (Sokotra—an island in the Indian Ocean) in 1607, says of the Arab inhabitants:

Their best entertainment is a china dish of Coho, a blacke bitterish drinke, made of a berry like a bayberry, brought from Mecca, supped off hot, good for the head and stomache.

William H. Ukers(1935)"ALL ABOUT COFFEE",Second Edition.p.33

ウィリアム・フィンチ(William Finch)は、東インド会社に仕えたイギリスの商人で、ホーキンス船長とともにインドに渡った。ムガル帝国の宮廷で皇帝に仕え、イギリスとインドの貿易関係を築いた。フィンチはその後、インドの様々な都市を探検し、その貴重な記録を日記に残し、後に出版された。彼は陸路でヨーロッパに戻るつもりだったが、1612年にバグダッドで感染症のために死亡した。彼の遺品は保存され、東インド会社に返却された。サミュエル・パーチャスは、東インド会社のアーカイブでフィンチの日記を発見し、その要約版を『巡礼記』の一章で紹介した。

Samuel Purchas"Purchas his pilgrimes"p.419

ユーカーズは、Cohoと引用しているように見えるが、原文はCoboのようにも読める。Coboと読むとすると、その前のChinaもCbinaと読めるが、Cbinaでは意味が通らない。

ソコトラ島はイエメンの南に位置する島であるが、フィンチがなぜこの島を訪れたのか、なぜコーヒーを中国料理(?)と紹介したのかも謎である。

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