キマ・コーヒーとイエメンの新しい品種 イエメニア
キマ・コーヒー
キマ・コーヒー(Qima Coffee)は、2016年に設立されたイエメン スペシャルティコーヒーの生産者および垂直統合型の大手輸出業者です。創業者は、ファリス・シェイバーニー(Faris Sheibani)(فارس الشيباني)です。
「キマ(Qima)」とは、アラビア語で「山頂」または「山の最高地点」を意味しています。キマ・コーヒーは、イエメン中央部と北部の小規模農家や協同組合と協力し、スペシャルティコーヒーの生産と輸出を行っています。また、農家に栽培のトレーニングやインフラストラクチャを提供することで、生産の意欲向上と収入の増大を図っています。
キマ・コーヒーは、キマ財団(Qima Foundation)を通じて、年間利益の10%を教育および農業プロジェクトに寄付することを約束しています。
イエメン・コーヒーとワールド・オブ・コーヒー アムステルダム 2018
2018年6月21日から6月23日まで、アムステルダムでワールド・オブ・コーヒー(WOC)(World of Coffee)が開催されました。しかし、このイベントに参加予定だったイエメン・コーヒーの代表団は、イエメン内戦のためにビザが拒否され、このイベントに参加することができませんでした。イエメンのコーヒーだけは、イベント会場に届けられました。
内戦とパンデミック コーヒー産地に迫る危機:https://www3.nhk.or.jp/news/special/new-middle-east/yemen-coffee/
オランダ政府が、イエメンのコーヒー農家が彼らのコーヒーと国を代表する機会を拒否するという決定に対して、ファリスとイエメンのコーヒー農家それぞれから、オランダ政府に対してビデオ・メッセージが送られました。
フランスのNGOであるアクテッド(ACTED)(Agency for Cooperation and Technical Development)は、ヨーロッパ・外務省(英語:Ministry of Europe and Foreign Affairs、フランス語:Ministère de l'Europe et des Affaires étrangères)の危機・支援センター(CDCS)(英語:The Crisis and Support Centre、フランス語:Le Centre de crise et de soutien)と欧州連合(EU)(European Union)の支援を受けて、コーヒーの栽培、収穫、精製、水源の修復を支援することで、1,600人のコーヒー農家を生み、イエメンのライマ(Raymah)の小規模生産者に新しい機会を創出するプロジェクトを立ち上げました。
アクテッド(ACTED)は、1年間に渡るプロジェクトの終了を祝うために、ワールド・オブ・コーヒー(WOC)のイベントに参加しました。彼らは、キマ・コーヒーの展示ブースにも出席しました。
プライベート・コレクション・オークション
カップ・オブ・エクセレンス(CoE)(Cup of Excellence)を主催するアライアンス・フォー・コーヒー・エクセレンス(ACE)(Alliance for Coffee Excellence)はキマ・コーヒーと提携し、イエメン・コーヒーのプライベート・コレクション・オークション・プログラム(Private Collection Auction Program)を立ち上げました。
アライアンス・フォー・コーヒー・エクセレンス(ACE)が、カップ・オブ・エクセレンス(CoE)の枠組みの外に出る初の試みです。
2019年に、最初のプライベート・コレクション・オークションが開催されました。オークションに出品された33のロットに、香港、中国、台湾、ニュージーランド、ドイツ、日本、オーストラリア、英国、米国、韓国のコーヒー会社から、440を超える入札がありました。
2022年には、ベスト・オブ・イエメン(Best of Yemen)としてプライベート・コレクション・オークションが開催されました。これはキマ・コーヒーの農家ネットワークにとどまらず、イエメンのすべてのコーヒー農家に参加を呼びかけ、2,900軒以上の農家が参加した過去最大規模のオークションでした。この年のオークションのテーマは、「平和と繁栄の触媒(Catalyzing Peace and Prosperity)」でした。
イエメンの新しい品種 イエメニア
2020年8月14日に、キマ・コーヒーは「イエメニア(Yemenia)」という新しい母体品種群を発表しました。「イエメニア(Yemenia)」は、アラビア語で「イエメンの母(The Yemeni Mother)」という意味です。
キマ・コーヒーとRD2・ビジョン(RD2 Vision)のCEOであるクリストフ・モンタニョン(Christophe Montagnon)は、R&Dプラグラム(R&D programme)の一環として、25,000平方キロメートル以上の面積をカバーしたイエメン史上最大の遺伝子調査を行いました。イエメニアは、この調査の結果として発見された新しい母体品種群です。
Unveiling a unique genetic diversity of cultivated Coffea arabica L. in its main domestication center: Yemen:http://link.springer.com/article/10.1007/s10722-021-01139-y
TAZA KNOWLEDGE SERIES WEBINAR: AUG 14 @ 7AM PT
— Cup of Excellence (@cupofexcellence) August 13, 2020
After several years of research Qima coffee in partnership with Dr. Christophe Montagnon, have mapped out Yemen’s unexplored coffee genetic landscape for the first time in coffee’s history. Please join us: https://t.co/rgObIN8DDW pic.twitter.com/bsEAeNgXWt
イエメニアは、SL-28のようなベリー系のフレーバー、イエロー・ブルボンのような甘さ、ゲイシャのような複雑なアロマがあり、非常にクリーンな味わいが特徴とされています。イエメニアは、キマ・コーヒーの2020年の第2回プライベート・コレクション・オークションから入手可能になりました。
そもそもイエメンのコーヒーこそが"heirloom"を名乗るにふさわしいのよな。エチオピアのは西南部だと野生種/半野生種の方が妥当だし(ハラーあたりならheirloomでもいい)
— Y Tambe (@y_tambe) August 24, 2020
たぶん、この間のこの論文がベースなんだとは思うんだが。
— Y Tambe (@y_tambe) August 24, 2020
A single polyploidization event at the origin of the tetraploid genome of Coffea arabica is responsible for the extremely low genetic variation in wild and cultivated germplasmhttps://t.co/0Ivu2TrMc3
あとはspecial processの詳細が知りたいな
— Y Tambe (@y_tambe) August 24, 2020
いま、いちばん危機的状況なところの一つは、イエメン(モカ)だと思われ。
— Y Tambe (@y_tambe) October 31, 2017
まぁでも、そういった社会的な問題を含めて、イエメンモカが問題を抱えてるのは間違いなくて…そういう意味ではUSDAの取り組みも判るのだけど、でもかと言って、今後のエチオピアみたいになるのが幸せなのか、といわれると、それも迷う。
— Y Tambe (@y_tambe) December 19, 2011
それに加えて、品種や栽培環境だけでなく、精製方法の問題もあるからなぁ…それらが全部合わさって、イエメンモカの独特さが生まれてるわけだけど、それはそれとして、もし水洗できたらとか、パルプドナチュラルにしたらどうなるだろう、とか想像を逞しくせずにはいられない部分も、正直ある。
— Y Tambe (@y_tambe) December 19, 2011
USDAのいうように、イエメンのコーヒーを"moving forward"して…つまり、elephant bean比率が低くなるような育種や、水洗式/半水洗式精製に切り替えていくことで、「新しいコーヒー」が生まれる可能性がある一方で、古い伝統が失われる可能性もある。
— Y Tambe (@y_tambe) December 19, 2011
イエメニア Yemenia:https://real-coffee.net/category/varieties/yemenia