加藤珈琲店:世界規格Qグレード スペシャルティコーヒー エチオピア シダモ

加藤珈琲店の世界規格Qグレード スペシャルティコーヒー エチオピア シダモです。加藤珈琲店は楽天市場では澤井珈琲店と並ぶ大手です。実店舗は愛知県名古屋市にあります。

エチオピア シダモ

エチオピア

エチオピア(Ethiopia)は東アフリカに位置する内陸国です。北をエリトリア、東をソマリア、南をケニア、北西をスーダン、北東をジプチに囲まれています。首都はアディスアベバです。また、かつてエチオピアはアビシニアと呼ばれていました。エチオピアコーヒーの主要な産地として、コーヒーの名の由来といわれるカファ地方、南部のシダマ地方、東部山岳地帯のハラー地方があります。国土のほとんどは高地にあたり、年間平均気温が13℃で涼しい気候です。

エチオピアはグレート・リフト・バレー(Great Rift Valley、大地溝帯)の入り口にあたり、北東の紅海から南西に向かって国土を半分に割るようにグレート・リフト・バレーが貫いています。グレート・リフト・バレーの西と東で、コーヒーノキのタイプに違いが見られます。シダマ地方は東側の南部グループに位置付けられます。東側のコーヒーノキは人工的に栽培されたものがほとんどで、自生のコーヒーノキは見られません。西側には自生のコーヒーノキがみられます。西側には自生のコーヒーノキがみられます。

エチオピアはアラビカ種コーヒー発祥の地であると同時に、外貨獲得の60%がコーヒーを占めるエチオピア経済にとって重要な商品です。エチオピアでは、約1500万人がコーヒー産業に従事していると言われています。

エチオピア シダモ

エチオピアのコーヒー生産地域、Wikipediaより

世界規格Qグレード スペシャルティコーヒー エチオピア シダモは、エチオピア南部諸民族州(Southern Nations, Nationalities, and People's Region(SNNPR))シダマ地方(Sidama Zone)アレタ・ウェンド群(Aleta Wendo Woreda)で生産されたコーヒーです。

シダモ州と南部諸民族州

シダモ州はエチオピア南部にあった州です。州都はイルガレム(Irgalem)にありましたが、1978年以降はアワッサ(Awasa)に置かれました。エチオピアでは、アムハラ(Amhara)という民族グループが近代国家形成を担った支配者民族で、シダモという名前はアムハラから見た被支配者民族としての蔑称でした。

エチオピアでは1995年に憲法改正があり、「エチオピア連邦民主共和国憲法(the Constitution of the Federal Democratic Republic of Ethiopia)」が施行されました。ここからエチオピアは「諸民族」の民族自治による連邦制へと移行しました。

このエチオピア連邦民主共和国憲法のもとで、「諸民族」の民族自治の理念に合わせて、1995年にエチオピアでは行政区画の変更がありました。エチオピアの行政区画は「州(Region または Regional state)」、「地方(Zone)」、「群(Woreda)」の順に区分されることになり、さらに郡の下に行政区画の最小単位として「住民自治組織(Kebele)」が置かれることになりました。

各民族ごとに州を割り当て、シダモ州は「南部諸民族州(Southern Nations, Nationalities, and People's Region(SNNPR))」の一部となりました。現行憲法では一民族ごとに一州が割り当てられていますが、複数の少数民族で構成されている南部諸民族州は、「地方(Zone)」または「特別郡(Liyu Woreda)」が民族構成単位となっています。

また、かつて「シダモ」という蔑称で呼ばれていた民族グループは、「シダマ民族(Sidama
Nationality)」と呼び変えられることになりました。そして新しい行政区画のもと、シダマ民族の住む地域は「シダマ地方(Sidama Zone)」と呼ばれることになりました。

後に見るように、1995年以前の「シダモ州」と現在の「シダマ地方」は、地理的に一致していません。

エチオピアコーヒーと商標

2006年10月26日、オックスファム(Oxfam)がスターバックス(Starbucks)と全米コーヒー協会(National Coffee Association(NCA))に関するレポートを発表しました。

オックスファムはエチオピア政府がシダモ(Sidamo)、ハラー(Harar)、イルガチェフェ(Yirgachefe)を全米コーヒー協会に商標出願したことを、スターバックスが阻止しようと働きかけたとの声明を発表しました。しかし、スターバックスはエチオピア政府の商標登録出願に異議を申し立てたこともなく、原産地の所有権を主張したこともないと反論しました。

スターバックスがエチオピアの有名産地のブランド名を使用することによって高い利益を上げる一方で、現地の農家は低い利益しか得ることができないため、エチオピア政府とオックスファムはスターバックスにエチオピア政府とライセンス契約を結ぶように求めました。

2007年6月20日、エチオピア政府とスターバックスは流通、マーケティング、ライセンスに関する契約を締結することで決着しました。

また、エチオピア政府と日本の間でも商標登録を巡って争いが起きていました。

エチオピア政府と日本の間では、エチオピアの「シダモ」と「イルガチェフェ」が「商標」であるのか「産地名」であるのかをめぐり、長い間訴訟が起きていましたが、エチオピア政府が商標登録することで決着がつきました。そのため、「シダモ」はその産地(シダマ地方)で生産されたコーヒーというよりも、ブランド名として認識した方が良さそうです。

シダモとシダマ

1995年以前のシダモ州、Wikipediaより

まとめると、シダモはかつてエチオピアにあった州であり、現在シダマ民族の名前で呼ばれている民族グループの古い名称です。また、エチオピア政府が商標登録しているコーヒーのブランド名です。

シダマ地方で生産されたコーヒーだけではなく、シダマ地方の東に隣接するアルシ地方(Arsi Zone)とバレ地方(Bale Zone)、西に隣接するガモ・ゴファ地方(Gamo Gofa Zone)で生産されたコーヒーも、シダマ地方で生産されているコーヒーと多くの似た特徴を有するために、「シダモ」ブランドのコーヒーとして扱われるようです。

現在のシダマ地区、Wikipediaより

シダマは、かつて「シダモ」の名前で呼ばれていた民族グループの現在の名称で、南部諸民族州の地方の名前です。

そして上の二つの画像で見て取れるとおり、かつてのシダモ州と現在のシダマ地区は地理的に一致していません。

シダマ地方アレタ・ウェンド群

シダマ地方の郡、ResearchGateより

アレタ・ウェンド群(Aleta Wendo Woreda)は、シダマ地方(Sidama Zone)を構成する郡の一つです。南のダラ郡(Dara Woreda)、西のチェコ郡(Chuko Woreda)、北のダレ郡(Dale Woreda)とウェンショ郡(Wensho Woreda)、東のブルサ郡(Bursa Woreda)、南東のフラ郡(Hula Woreda)に囲まれた、シダマ地方の中央部に位置する郡です。

アレタ・ウェンド群で栽培されている重要な換金作物としては、トウモロコシ、麦、豆などが挙げられます。

アレタ・ウェンド群には、アレタ・ウェンド(Aleta Wendo)という群と同名の町があり、アレタ・ウェンド群行政の中心地となっています。

ムレゲ・コーヒー・輸出業者

ムレゲ、Mullege Coffee Exportより

世界規格Qグレード スペシャルティコーヒー エチオピア シダモは、エチオピアのコーヒー輸出業者である「ムレゲ(Mullege PLC)」の取り扱いです。

ムレゲの歴史は1953年にアウェル(Awel)氏が輸出業者向けのコーヒー供給業を始めましたことに遡ります。彼は息子のムスタファ・アウェル(Mustafa Awel)氏にコーヒービジネスの教育を施しました。ムスタファ氏は1970年代に、ロバを使ってコーヒー農家と輸出業者の仲介業を行っていました。

ムスタファ氏は1996年にムレゲを設立、供給業者から輸出業者へとビジネスを進化させました。ムレゲでは、現在もムスタファ・アウェル氏が代表を務めています。

ムレゲは現在、エチオピアの様々な場所に、10の果肉除去所(Pulping Station)と3つの脱穀所(Hulling Station)を所有しており、アディスアベバに2つの輸出用のプラントがあります。

このコーヒーは、シダマ地方のアレタ・ウェンド群にある「ダングラ・果肉除去所(Dangura Pulping Station)」精製のコーヒーです。標高1,800m-1,900mにある農園で生産されたコーヒーが集められます。コーヒーのブランドとしては、「シダモ」ブランドとして販売されます。

ムレゲは、カファ地方(Kafa Zone)に「ムレゲ・ボンガ農園(Mullege Bonga Estate)」という農園も所有しています。

ちなみに、エチオピアの会社名に見られる"PLC"とは、"Private Limited Company"の略で、エチオピアの法人形態の一つです。

精製方法

精製方法はウォッシュト(Washed、湿式)です。ナチュラル(Natural、乾式)で精製されることの多いエチオピアコーヒーでは珍しく、とてもクリーンな味わいに仕上がります。

シダマ地方で生産されるコーヒーは、一般的に「モカフレーバー」と呼ばれる独特のフレーバー、ベリー系や柑橘系の酸味が特徴です。

加藤珈琲店のモカ・シダモ

加藤珈琲店の「モカ・シダモ」のコマーシャル・コーヒーに、「エチオピア モカ レジェンド」があります。

加藤珈琲店のエチオピア モカ レジェンドについては、以下の記事を参照してください。

加藤珈琲店の世界規格Qグレード スペシャルティコーヒー エチオピア シダモ

この珈琲豆は、エチオピアのシダモ地区のnon農園によって栽培され、世界規格Qグレードスペシャルティーコーヒーの認証を得た選りすぐりのコーヒー豆です。洗練されたクリーンで上品な酸味と、甘く花のような香りが特徴。口に含んだ後、鼻に抜ける香りの心地よさをご堪能ください。

香り:★★★★

コク:★★☆☆

甘味:★★★☆

苦味:★☆☆☆

酸味:★★☆☆

加藤珈琲店ホームページより

カッピング

カッピング評価、加藤珈琲店 商品ページより

世界規格Qグレード スペシャルティコーヒー エチオピア シダモは、Qグレードのスペシャルティコーヒーです。

Qコーヒーは、アメリカスペシャルティコーヒー協会SCAAの基準で、味覚評価80点以上の高品質のコーヒーです。

CQIが認定した3人のQグレーダーによって厳しく品質の味がチェックされています。

そして、合格した珈琲豆がコーヒー生産国から、日本へ輸出されます。

消費者の皆様はQグレードのコーヒーは、第三者による認証を受けていることから信頼と安心、間違いない風味のよいコーヒーを得ることができます。

ぜひお求めください。

加藤珈琲店 ホームページより

Qグレードのコーヒーとは、カッピングの資格を持つQグレーダーが、甘さ、酸味、質感、風味、後味、バランスなどの各カッピング項目に基づき、コーヒー豆を複合的に評価し、合計で80点以上で評価した豆のことです。

世界の珈琲鑑定士が認めた高品質コーヒーの称号です。

Qグレード(Q-Grade)とは高い品質をもつコーヒーに与えられる称号で、SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)のカッピング採点基準に基づき80点以上の高評価を獲得した珈琲ロットにQの称号が与えられます。SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)の関連団体であるCQI(Coffee Quality Institute)の認証です。世界規格認定のスペシャルティコーヒーなのです。

加藤珈琲店 ホームページより

Qグレーダーとは、米国スペシャルティコーヒー協会(Specialty Coffee Association of America(SCAA))が定めた基準・手順にのっとってコーヒーの評価ができると、コーヒー品質協会(Coffee Quality Institute(CQI))、場合によっては米国スペシャルティコーヒー協会とコーヒー品質協会の両方が認定した技能者のことです。

日本でも日本スペシャルティコーヒー協会(Specialty Coffee Association of Japan(SCAJ))が試験を行っており、Qグレーダーの資格を取得することができます。

評価方法は、コーヒー生産者またはその代理者がコーヒー品質協会の協力機関(In-Country Partner(ICP))に生豆サンプルを送ります。生豆サンプルを受け取った協力機関が3人のQグレーダーを選び、当該生豆サンプルの評価を委嘱します。選ばれたQグレーダー3人がSCAA方式のコーヒー評価法に基づいて当該生豆サンプルを評価します。80点以上の評価を受けることができれば、その生豆はQグレードを名乗ることができます。

このロットのICPは、「メタッド社(METAD Agricultural Development PLC)」です。

焙煎

焙煎はシティローストです。中深煎り程度です。

フローラルな甘いフレーバーがありますが、未成熟の豆が多く混ざっているため、青臭いフレーバーが強いです。少し深めの焙煎のため、柑橘系の酸味よりも、ワインのようなこってりとしたボディが感じられます。

<参考>

Mullege PLC<http://www.mullege.com/>





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