日本の総合商社である伊藤忠商事株式会社(ITOCHU Corporation)(以下、伊藤忠商事)は、グアテマラとインドネシアでコーヒー事業を展開しています。
グアテマラ ウネックス(グアテマラ)株式会社とインドネシア アネカ・コーヒー産業株式会社
ウネックス(グアテマラ)株式会社
ウネックス(グアテマラ)株式会社(UNEX (GUATEMALA), S.A.)(以下、ウネックス)は、伊藤忠商事がグアテマラで展開するコーヒーの精製・輸出業者です。本社はグアテマラ(Guatemala)の首都であるグアテマラ・シティ(Guatemala City)に置かれています。
Unexグアテマラ社は,グアテマラ輸出シェア第二位の輸出業者であり,日欧米全てに出荷している。伊藤忠商事は中米のグアテマラとエルサルバドルを拠点に活動するUnex社2社に対して資本出資をする一方で,日本と両国のコーヒーのサプライチェーンとして重要な役割を果たしている。
水尾 順一(2013)「サスティナブル・コーヒーによるBOPビジネスとCSV (共益の創造)に関する一考察―スターバックスとそのサプライチェーンにおけるCSR活動の事例に学ぶ― 4. 1 Unexグアテマラ社とアロテナンゴ農業協同組合の連携」p.164
歴史
ウネックスは、1940年にCompañía Mercantil De Solaとして設立されました。
1973年にComercial Pamplona, S.A.と社名を変更し、コーヒーの精製処理を専門とし、1998年にComercial Pamplona, S.A.の最初の株主のほとんどの人によって設立されたエル・サルバドルの企業であるUNEX S.A. de C.V.が、主要株主となりました。
2000年にComercial Pamplona, S.A.からUNEX (Guatemala), S.A.へと社名が変更されました。
2004年にUNEX (Guatemala), S.A.の株主である伊藤忠商事に合併され、2010年に伊藤忠商事が大株主となり、新たな視点で事業を展開することとなりました。
ミル
ウネックスは、サカテペケス県(Sacatepéquez Department)アロテナンゴ(Alotenango)にサンタ・バーバラ(Santa Bárbara)という最先端のウェット・ミル(Wet Mill)を所有しています。コーヒーは水洗後、広大なパティオで乾燥され、乾燥機で乾燥されます。また、サンタ・ローサ県(Santa Rosa Department)にサン・アントニオ(San Antonio)という新しいウェット・ミルが建設されました。
また、ウネックスは、グアテマラ県(Guatemala Department)ビージャ・ヌエバ (Villa Nueva)にイシュチェル(Ixchel)というドライ・ミルを所有しています。十分に換気された巨大な倉庫では、数ヶ月間品質を低下させることなくパーチメントを保管することができます。
ウネックスは、精製の委託事業も行っています。
スペシャルティコーヒー
ウネックスは、いくつかの農園や生産者協会を取引し、世界中の輸入業者や焙煎業者にスペシャルティコーヒーを提供しています。
リオ・コロラド・エステート
リオ・コロラド・エステート(Rio Colorado Estate)は、グアテマラ・シティから62km離れたパレンシア(Palencia)に位置する農園です。この農園は、元々1920年に父親から農場を受け継いだコロム兄弟(Colom brothers)によって所有されていました。1950年に、農学の研究を終えてカリフォルニアから戻ったホセ・コロム(José Colom)によって所有されました。彼はパレンシアにおけるコーヒーの先駆者であり、コーヒーがパレンシアの主要作物になるように無料で苗木を提供することで、コーヒーを広めました。
現在リオ・コロラド・エステートは、アナ・ベアトリス・コロン(Ana Beatriz Colom)と彼女の夫、彼らの2人の子供たちが経営する家族経営の企業です。この農園は伝統的なウェット・ミルを所有しており、コーヒーはパルピング(果肉除去)され水洗されます。パルプは、コーヒー農園用の有機肥料を生産するために使用されます。残留水は、河川の汚染を防ぐために、タンクで処理されます。
リオ・コロラド・エステートでは、ブルボン(Bourbon)、カツーラ(Caturra)、マラカツーラ(Maracaturra)、カツアイ(Catuai)、パカマラ(Pacamara)が栽培されています。収穫時期は12月から4月です。
リオ・コロラド・エステートの近くには、農園名の由来となったコロラド(Colorado)、ダンタ(Danta)、サン・ミゲル(San Miguel)の3つの美しい川が流れています。さらに、533ヘクタールの自然林保護区があり、主に松、ヒノキ、オークが生育しています。
リオ・コロラド・エステートは、ミミズの堆肥を有機肥料として使用したパレンシアで最初の農園です。そのためミミズ用のベッドがあり、リサイクルされたコーヒーの廃棄物も使用しています。
アロテナンゴ小規模生産者協会
アロテナンゴ小規模生産者協会(スペイン語:Asociación pequeños productores de Alotenango)は、サカテペケス県(Sacatepéquez Department)アロテナンゴ(Alotenango)に位置する生産者協会です。
アロテナンゴ小規模生産者協会は、1999年に生産者たちが肥料を共同購入した際、コーヒーを共同で取引するというアイディアから生まれました。最初の1年間で27の生産者が参加し、2002年に協会が組織されました。 ウェット・ミルを探している際に、ウネックスとサンタ・バーバラ・ウェット・ミルの存在を知り、2003年からコーヒーの精製処理と販売を始めました。
現在は標高1,174m - 1,900mでコーヒーを栽培する175の生産者が参加しています。ブルボン(Bourbon)、カツーラ(Caturra)、サルチモール(Sarchimor)、マルセジェサ(Marsellesa)が栽培されています。
主な目的:コミュニティ内でコーヒー生産を促進し、適正な農業規範の開発、天然資源の尊重、生産の改善を支援する活動への参加に焦点を当て、小規模生産者の経済的安定性を改善するために、高品質なコーヒー生産のための機会を提供しています。
2011 年には60世帯が組合に参加していたが,コーヒー価格が急落したため,2012 年には38世帯にまで参加数も減少した。組合維持経費に見合った収入がなければ組合参加のメリットがないと判断する農民たちも少なくない。退会した元組合員は,目先の利益に惑わされ買取価格が高い業者に収穫したコーヒーを販売しようとしたが,結局は業者の口車に乗せられただけで,そう高く売ることはできなかった。中には回収不能で代金を踏み倒された農民もいるという。農民は銀行口座もなく,売上収入を受け取るのに苦労し,時には詐欺にあうようなこともあった。しかし,組合に加入することで,組合をつうじて確実に金銭の授受ができることもメリットであった。こうしたことから組合員の数も徐々に回復し,現在では2011 年のレベルに近づいている
水尾 順一(2013)「サスティナブル・コーヒーによるBOPビジネスとCSV (共益の創造)に関する一考察―スターバックスとそのサプライチェーンにおけるCSR活動の事例に学ぶ― 4. 2 組合加入のメリット」p.165
コマル ウエウエテナンゴ
コマル(COMAL)(スペイン語:Asociacion Civil Comercializadora Maya Alternativa)は、ウエウエテナンゴ県(Huehuetenango Department)サン・ペドロ・ネクタ(San Pedro Necta)に位置する女性生産者で構成される女性協同組合です。カチモール(Catimor)、カツーラ(Caturra)、パチェ(Pache)、カツアイ(Catuai)、ブルボン(Bourbon)が栽培されいています。
ラ・スイサ農園
ラ・スイサ農園(La Suiza Estate)は、エスクイントラ県(Escuintla Department)サン・ビセンテ・パカヤ(San Vicente Pacaya)に位置する農園です。カツーラ(Caturra)、パチェ(Pache)を栽培しており、年間生産量825袋です。
中南米|主要子会社および関連会社|伊藤忠商事株式会社:https://www.itochu.co.jp/ja/about/partner/latin_america/index.html
Unex (Guatemala), S.A. Exportadora de Café:https://www.unexguatemala.com/en/
UNEX Guatemala:https://www.instagram.com/unexguatemala/
Exportadora de Cafe UNEX Facebook:https://www.facebook.com/unexguate
アネカ・コーヒー産業株式会社
アネカ・コーヒー産業株式会社(ACI)(PT. Aneka Coffee Industry)は、1995年にプラシダ・アネカ・ニアガ株式会社(PT Prasidha Aneka Niaga)、伊藤忠商事株式会社、UCC上島珈琲株式会社の合弁会社として設立されました。
アネカ・コーヒー産業株式会社(ACI)は、インドネシア(Indonesia)東ジャワ州(East Java)シドアルジョ県(Sidoarjo Regency)にある東南アジアで最大のインスタントコーヒー製造業者です。年間で3,600トンのインスタントコーヒーと2,400トンの挽き売りコーヒーの生産能力を持っています。
アネカ・コーヒー産業株式会社(ACI)は、世界中にインスタントコーヒー製品を輸出しており、「プリマ(Prima)」ブランドのインスタントコーヒー製品と「アラミ(Alami)」ブランドの挽き売りコーヒー製品を国内および国際市場で販売しています。
アジア|主要子会社および関連会社|伊藤忠商事株式会社:https://www.itochu.co.jp/ja/about/partner/asia/index.html
PT. Aneka Coffee Industry:https://anekacoffee.com/