新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とコーヒー産業(2021年版)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とコーヒー産業(2021年版)

緊急事態宣言

2020年12月31日に、東京都内で31日、新型コロナウイルスの感染が確認されたのは初めて1000人を超えてこれまでで最も多い1337人となりました。そして1月7日、初めて2000人台を超えて2447人が過去最多になりました。

菅総理大臣(当時)は、政府の新型コロナウイルス対策本部で、2021年(令和3年)1月8日から2月7日まで、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令しました。これに続き、3回目の緊急事態宣言は10都道府県に4月25日から6月20日まで、4回目の緊急事態宣言は東京都に7月12日から9月31日まで、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府に8月2日から9月31日まで発令しました。

コーヒー生産量の減少とコーヒー価格の暴騰

ブラジルのコーヒー産業とアラビカ種コーヒー

アラビカ種コーヒー価格は、1月13日に1ポンド131.75セントまで上昇し、2月25日には1ポンド139.2、5月5日には1ポンド148.5セントまで上昇しました。(「NYコーヒー豆、4カ月ぶり高値 短期的な需給逼迫感で」,日本経済新聞 2021年1月18日.)(「コーヒー豆3年5カ月ぶり高値」,日本経済新聞 2021年2月26日.)(「インスタント向けコーヒー豆、1カ月半ぶり安値」,日本経済新聞 2021年4月1日.)(「コーヒー豆急騰、需給逼迫の懸念 4年2カ月ぶり高値」,日本経済新聞 2021年5月6日.)(「コーヒー豆4年半ぶり高値 接種拡大でカフェ需要に期待」,日本経済新聞 2021年6月14日.)

2021年7月にブラジルで霜害が発生しました。("Frost Hits Brazilian Coffee Lands, Extent of Damage Not Yet Known",Daily Coffee News 2021年7月12日.)("Frosts stain Brazil coffee belt, growers see nearly a third of fields hit",REUTERS 2021年7月31日.)国際コーヒー機関(ICO)は、コーヒー生産量が来シーズンの世界需要を下回る可能性が高いと述べています。("International Coffee Organisation says production to fall below demand next season",RTÉ 2021年7月7日.)

しかし、ブラジルの霜害以前の1月にはすでに、アラビカ種コーヒーの減産が予測されていました。

「世界最大のコーヒー生産者および輸出国であるブラジルは、2021年に5,290万個の60 kg袋を生産すると予想され、2020年に見られた記録的な6,821万袋より23%少ないと輸出業者のGrupo MontesantoTavaresが火曜日に語った。同社の推定によると、ブラジルのアラビカ種コーヒーの生産量は37%減の3,123万袋、ロブスタ種コーヒーの生産量は17%増の2,167万袋になると見られている。」("Brazil coffee crop seen falling 23% in 2021",Business Recorder 2021年1月13日.)

ブラジルの霜害とコロナ禍の金融緩和により、コーヒーの先物価格が暴騰し、2014年10月以来の最高値を記録しました。霜害はミナス・ジェライス州のすぐ南で発生し、被害は約345万袋に及ぶとの予測です(2020年のブラジルの総生産量は4,900万袋)。ブラジルだけでなくベトナムのコーヒーも不足しているため、アラビカ種だけでなくロブスタ種の価格も上昇しました。

「レギュラーコーヒーに使用されるコーヒー豆(アラビカ種)の国際指標であるニューヨーク先物(期近)は20日に急伸し、2016年11月以来、4年8カ月ぶりの高値となった。最大生産国のブラジルで降霜が確認され、減産懸念から買いが集まった。

アラビカ種は終値が1ポンド165.7セントと前日比10.4セント(6.7%)上昇し、上昇幅は7年ぶりの高水準となった。」(「コーヒー豆先物に異変 カフェ再開で高級品急伸 汎用品は巣ごもり反動で低迷、価格差拡大」,日本経済新聞 2021年6月28日.)(「コーヒー豆先物、経済再開映す 高級品、カフェ再開受け高値/汎用品、在宅減で上値重く,日本経済新聞 2021年6月29日)(「コーヒー豆と先物市場とは」,日本経済新聞 2021年6月29日.)(「NYコーヒー豆、4年8カ月ぶり高値 降霜による減産懸念で,日本経済新聞 2021年7月21日.)(「コーヒー豆に買い集中 NY先物、4年8カ月ぶり高値」, 日本経済新聞2021年7月22日.)(「ブラジル南部の寒波で不作、コーヒー豆は7年ぶり高値」,日本経済新聞 2021年7月28日.)(「コーヒー豆、7年ぶり高値 ブラジル南部、寒波で不作」,日本経済新聞 2021年7月28日.)(「コーヒー豆、価格急騰 最大生産国ブラジルで霜害」,AFP 2021年7月27日.)(「コーヒー豆相場が急騰、6年半ぶりの高値水準…投資マネー流入も背景に」,読売新聞 7月31日.)("Coffee Prices Soar After Bad Harvests and Insatiable Demand",The Wall Street Journal 2021年7月12日.)("Frosts hit Brazil's cane, coffee and orange crops, says weather expert",REUTERS 2021年7月21日.)("Freak Brazil frost hits heart of coffee belt, damaging crops",REUTERS 2021年7月22日.)("Brazil’s Frost May Kill Young Coffee Trees, Hurt Crops for Years",Bloomberg 2021年7月22日.)("Brazil's coffee, sugar crops threatened by more frigid temperatures",REUTERS 2021年7月27日.)("Arabica Coffee Prices Decline on Easing Concerns of Brazil Frost",Bloomberg 2021年7月28日.)(”The World Needs Coffee But Don’t Look to Vietnam for Help",Bloomberg 2021年7月29日.)("Analysis: Retail coffee prices to climb as frost and freight costs bite",REUTERS 2021年8月6日.)

「ブラジルのコーヒー生豆の9月の輸出量は、60kg袋で前年同月比29%減の274万袋になったと、輸出業者協会のセカフェが水曜日に発表した。」("Brazil coffee exports fall 29% in Sept on shipping hurdles",REUTERS 2021年10月14日.)

ブラジルの霜害に加え、ラニーニャ現象の発生がさらなる原産の懸念を引き起こしました。

「7月に最大生産国ブラジルを襲った27年ぶりの深刻な霜害の後遺症が心配される中で「ラニーニャ現象」が発生。中南米で天候不順となり生産が減るとの懸念が再燃している。一方、先進国を中心に需要は回復傾向で、海上輸送の混乱も相まって品薄感が強まっている。」(「コーヒー豆10年ぶり高値 霜害と異常気象で減産懸念再燃」,日本経済新聞 2021年11月25日.)(「コーヒー豆10年ぶり高値 霜害やラニーニャで、減産懸念が再燃,日本経済新聞 2021年11月26日.)

コーヒー価格の高騰から、専門家がブラジルのコーヒーノキの数を数えました。("Experts count coffee trees in Brazil as prices hit 10-year highs",REUTERS 2021年12月13日.)

ブラジルの霜害によるアラビカ種コーヒーの危機から("Explainer: The threat posed by frost to coffee crops in Brazil",REUTERS 2021年8月6日.)、ロブスタ種に目を向けてみよう。("If your coffee's going downhill, blame climate change",REUTERS 2021年8月16日.)

ベトナムのコーヒー産業とロブスタ種コーヒー

「インスタントコーヒーに使うコーヒー豆の汎用品、ロブスタ種の国際価格が3年10カ月ぶりの高値を付けた。レギュラーコーヒー向けの高級品に比べて割安感が強まり需要が増加している。最大の生産国であるベトナムで新型コロナウイルスの感染が拡大し、供給懸念が強まっていることも価格を押し上げている。」(「コーヒー豆、3年10カ月ぶり高値 インスタント用」,日本経済新聞 2021年8月27日.)

「インスタントコーヒーに使うコーヒー豆の汎用品、ロブスタ種の国際価格が9営業日ぶりに反落した。」(「コーヒー豆、9営業日ぶり反落 高値警戒感で売り」,日本経済新聞 2021年9月3日.)

「ベトナムではデルタ株の感染拡大で、厳しいロックダウンが行われている。同国は世界有数のコーヒー輸出国だが、移動規制で輸出が滞っており、これが世界のコーヒー供給に影響しそうだと報じられている。パンデミックで世界のサプライチェーンは多大な被害を受けているが、コーヒーもその波を受けた形だ。」(「コーヒー豆の供給懸念強まる 都市封鎖でベトナム産の輸出停滞」,NewSphere 2021年9月8日.)("Vietnam lockdown adds to global coffee supply concerns",BBC News 2021年8月30日.)

「インスタントコーヒーに使う汎用品のコーヒー豆(ロブスタ種)は、指標となるロンドン先物相場(期近)が上昇を続けている。足元では1トン2160ドル前後と年初から6割ほど高く、約4年ぶりの高値圏にある。ロブスタ種の最大生産国ベトナムでの新型コロナウイルスの感染拡大に伴う供給制約が相場を押し上げている。」(「ベトナム都市封鎖、コーヒー汎用品やゴムにも上昇圧力」,日本経済新聞 2021年9月22日.)

「インスタントコーヒーに使うコーヒー豆の汎用品であるロブスタ種の国際価格が26日、10年2カ月ぶりの高値をつけた。指標となるロンドン先物(期近)は6日続伸し、前日比137ドル(6%)高の1トン2344ドルと2011年8月以来の高値をつける場面があった。」(「汎用コーヒー豆、10年ぶり高値 海上輸送の混乱で,日本経済新聞 2021年10月27日.)

「ベトナムでコーヒーショップの出店が拡大している。新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、大都市圏を中心とした商業地の家賃下落が追い風だ。資本力のある大手企業がコロナ後の経済復興を見据えて、積極投資する動きも出ている。」(「ベトナム、コーヒー店続々 ライバルは路上喫茶」,日本経済新聞 2021年7月2日.)

「キリンホールディングスは、ベトナムの小規模コーヒー農園が国際認証「レインフォレスト・アライアンス認証」を取得するための支援の対象を、これまでの2倍となる700軒に拡大したと発表した。」(「コーヒー農園の国際認証、キリンがベトナムで取得支援,日本経済新聞 2021年5月17日.)(「キリンHD、コーヒー農園支援対象を倍増」,NNA ASIA 2021年5月20日.)

コロンビアのコーヒー産業とコンテナ不足

コロナ禍によって、世界のコーヒーのサプライチェーンが機能不全に陥りました。("The World Is Facing a Coffee Deficit in Supply Chain ‘Nightmare’",Bllomberg 2021年3月24日.)

世界的なコンテナ不足によるコーヒーの供給不足も、コーヒー価格の上昇を後押ししました。(「世界規模でコーヒー豆不足が発生、「過去最高の生産量」にもかかわらずなぜ?」,Gigazine 2021年3月25日.)(「コーヒーが値上がりするかも…ブラジルの干ばつと輸送施設の混雑でコーヒー豆が不足」,Business Insider 2021年3月26日.)(「インスタントコーヒーにも影響波及か、スエズ運河のコンテナ船座礁」,Bloomberg 2021年3月26日.)

コロンビアでは、悪化の一途をたどる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対処するための活動の制限の結果、アラビカ種生豆の輸出が、2019年の1370万袋から2020年の1250万袋に8%減少したと声明で述べました。("Covid travel restrictions hit Colombian coffee exports",MNA 2021年1月8日.)

コロンビアでは、大規模デモが起きたことにより、コーヒー輸送が一時的に停滞していました。(「コーヒー輸送「正常化に数週間」コロンビア生産団体幹部」,日本経済新聞 2021年6月14日.)("Protest road blockades halt Colombian coffee exports, federation says",REUTERS 2021年5月6日.)

コーヒー価格の上昇は、農家によるデフォルトの懸念を呼び起こしました。("Brazil coffee frost sparks default fears, crop recovery may take years",REUTERS 2021年7月23日.)("EXCLUSIVE Major coffee buyers face losses as Colombia farmers fail to deliver",REUTERS 2021年10月12日.)

オミクロン株の流行がコーヒー産業を脅かす懸念を引き起こしました。("New lockdowns due to Omicron would threaten coffee industry -Colombia coffee chief",REUTERS 2021年12月1日.)

タンザニアとコーヒー炭そ病

「「キリマンジャロ」で知られる東アフリカ、タンザニア産のコーヒー豆価格が急騰している。同国南部は2020年4月ごろから雨が多く、低温多湿を好む「コーヒー炭そ病」がまん延。それまでの豊作見通しから一転して減産が確実となり、先物価格に上乗せする同国産のプレミアム(割増金)が急騰した。」(「「キリマン」コーヒー価格高騰 産地で病害深刻」,日本経済新聞 2021年3月11日.)

その他生産国

グアテマラで、PROCAFEという若い世代へ向けたコーヒーの集団が立ち上げられました。("Innovations at Origin: The Young Coffee Entrepreneurs of PROCAFE",Daily Coffee News 2021年1月7日.)

タンザニアでは、最初のンゴロンゴ・タンザニア・オークションが開催されました。("2021 Tanzania Ngorongoro Private Collection Auction" , ALLIANCE FOR COFFEE EXCELLENCE)("Winners announced in first Ngorongoro Tanzania Auction",Global Coffee Report 2021年1月6日.)

ケニアでは、ナイロビコーヒー取引所(NCE)でのコーヒーの価格を直接販売の価値で決定することが発表されました。("NEW PRICING FORMULA TO BOOST COFFEE FARMERS’ EARNINGS IN KENYA",VENTURES 2021年1月18日.)ケニアでは、スペシャルティコーヒーの生産が増大しました。("Kenya's growing taste for specialty coffee seen spurring output",REUTERS 2021年8月3日.)

「冷蔵設備の大青工業(青森市)は同社の氷温冷蔵熟成技術を使ってケニアのコーヒー農家の支援に乗り出す。コーヒー豆の付加価値を向上させて販売価格を引き上げ、コーヒー農家の所得向上につなげたい考えだ。」(「大青工業、氷温技術でケニアのコーヒー農家支援目指す」,日本経済新聞 2021年3月26日.)

ミャンマーのユアンガンでは、コーヒーの取引価格に大きな変化がありません。("Ywar Ngan coffee prices stable amid COVID-19 outbreak",Myanmar Times 2021年1月27日.)

「コーヒーの生産過程で取り除かれるコーヒーパルプが、コスタリカの熱帯雨林をよみがえらせるのに役立つことが実験で明らかになった。」(「コーヒーが森を劇的によみがえらせる、研究成果」,ナショナル ジオグラフィック 2021年4月2日.)

コーヒー農家の棄民は、引き続き問題となっています。(「焦点:中米諸国に「コーヒー危機」、農場捨て米国目指す移民急増,REUTERS 2021年12月12日.)("Coffee crisis in Central America fuels record exodus north",REUTERS 2021年12月8日.)

消費国

消費

「アレグラ・ワールド・コーヒー・ポータルの最新の市場レポートで確認されたヨーロッパの40カ国のほぼ半分が、COVID-19の影響で過去1年間にコーヒーショップの数が減少していた。また、この年はヨーロッパ全体でコーヒーショップの売上が約30%と劇的に落ち込んだ。」("18 of 40 European Markets Saw Coffee Shop Declines Due to COVID-19, Report States",Daily Coffee News 2021年4月14日.)

「総務省統計局の家計調査によると、2019年の「コーヒー」の1世帯当たり年間支出金額は6378円でした(※1)。2020年はコロナ禍によりおうち時間が増えたため、自宅でコーヒーを飲むことが増えたのではないでしょうか。」(「コーヒーを家で飲む頻度が増えた人が約4割。コーヒーを選ぶとき何を重視してる?」,ファイナンシャルフィールド 2021年1月24日.)

「コーヒーチェーン店の利用頻度を尋ねたところ、「週に1回以上」が7.5%で、「月に1回以上」が50.1%でした。
 
前回調査(2018年4月)では「月に1回以上」が59.9%だったのと比較すると、10%近く減少しています。コロナ感染リスクを恐れて、全般的に飲食店を利用する人が減ったと思われます。」(「この1年でコーヒーチェーン店の利用や喫茶代の支出金額はどれくらい減った?」,ファイナンシャルフィールド 2021年6月25日.)

コーヒーと様々な飲食物のコラボが進んでいるそうです。(「さまざまな飲食物とコーヒーが融合!コロナ禍で伸びるコーヒー消費量と新たな食文化とは」,DIAMOND Chain Store 2021年5月14日.)

イタリアでは、バールに行く機会が減った代わりに、自宅でコーヒーを飲む機会が増えました。(「コロナでも変わらない?イタリア人のコーヒー愛」,WorldVoice 2021年2月1日.)("How has the coronavirus crisis changed Italy’s coffee culture?",THE LOCAL 2021年3月9日.)デロンギの株式売却はピーク・コーヒーと呼ぶそうです。("De Longhi’s share sale calls peak coffee",REUTERS 2021年9月14日.)

アメリカ合衆国では、コーヒーを飲む機会が減ったそうです。(「米国でコーヒー飲用機会が減少、コロナ禍が影響か=調査」,REUTERS 2021年4月2日.)

「世界の大森林の伐採を防ぐ手助けをしようとする画期的な法律案に基づき、森林破壊に関連する牛肉、パーム油、ココアなどの製品は、欧州連合(EU)への持ち込みが禁止される。」("EU aims to curb deforestation with beef and coffee import ban",The Guardian 2021年11月17日.)

スターバックス

スターバックス・コーヒージャパンは1月12日から、1都3県の店舗で20時までの短縮営業を実施することを、1月8日に公式サイトで発表しました。「新型コロナウイルスによる緊急事態宣言や各自治体からの要請を考慮し行うもので、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川の4都県内の店舗で1月12日から、営業時間を20時までに短縮する。」(「スタバ 緊急事態宣言で短縮営業、1月12日から夜8時までに/スターバックス コーヒー ジャパン」,食品産業新聞社 2021年1月8日.)スターバックスは、カナダ全土で最大300のコーヒー・ショップを閉鎖する計画が3月末までに完了すると述べています。("Starbucks says closure of up to 300 stores in Canada to be completed by end of March",CTV News 2021月1月12日.)

「150以上の主要なコーヒー生産者、トレーダー、ロースター、小売業者の世界的な連合は、21世紀半ばまでにCO2排出量を「少なくとも」1.5ギガトン削減することを共同で約束し、小規模農家と熱帯林の回復への投資を増やす計画を発表した。」("The biggest players in coffee pledge to slash 1.5 gigatonnes of CO2 by 2050",GreenBiz 2021年1月8日)

「世界のトップレベルのコーヒー焙煎業者や貿易業者による人権や環境の侵害を防止するための取り組みが効果を上げているという証拠はほとんどなく、ほとんどの農家は損失を出し、持続的な生産ができない状態にあるという。」("Little evidence coffee companies' sustainability efforts have impact: report",REUTERS 2021年1月14日.)

伊藤忠商事

「伊藤忠商事はコーヒー豆の生産や流通、販売までの供給ルートをデジタル技術で追跡するシステムを開発したファーマーコネクト(スイス)と資本・業務提携した。」(「伊藤忠、コーヒー流通をデジタルで追跡 スイス社に出資,日本経済新聞 2021年3月16日.)

アサヒ

アサヒは、ニュージーランドのコーヒー豆販売、オールプレス・エスプレッソを買収すると発表しました。(「アサヒ、NZのコーヒー豆販社を買収,日本経済新聞 2021年4月30日.)

キーコーヒー

「キーコーヒーは1月23日、業界初の試みとして、主催者と参加者34人がライブでつながり一緒にコーヒーの焙煎を行う「オンラインイベント ホームメイド焙煎」を開催した。」(「コーヒーで科学実験!?「ホームメイド焙煎」実況中継 キーコーヒーが業界初の試み リモートで参加者34人と一体感創出」,食品新聞 2021年1月16日.)

業務用コーヒーが苦戦したキーコーヒーは(「キーコーヒー9年ぶり最終赤字、業務用苦戦 21年3月期」,日本経済新聞 2021年5月17日.)、イノダコーヒと提携し、家庭用コーヒーを強化しました。(「キーコーヒー、京都のイノダコーヒと提携,日本経済新聞 2021年6月18日.)

カフェ

コロナ禍でコーヒー店が苦戦するなか、コメダは堅調だそうです。(「赤字転落のルノアール、粘る椿屋と圧勝するコメダ、その差はどこに?」,M&A Online 2021年2月19日.)(「ドトール、サンマルク、コメダ珈琲…見た目の減収率と違う「カフェ格差」の実態」,ダイヤモンド・オンライン 2021年12月21日.)(「コメダHD、純利益38%増 21年3~11月」,日本経済新聞 2022年1月12日.)

中国

「中国でコーヒー豆の輸入が急速に伸びている。中国税関総署によると、今年上半期(1~6月)のコーヒー豆の輸入量は前年同期比で2倍に伸びた。コーヒーの消費拡大が輸入量を押し上げた形だ。輸入額も76%増加した。」(「コーヒー豆の上期輸入量2倍、消費拡大で」,NNA ASIA 2021年8月25日.)

「中国ではコーヒーの消費規模が年々拡大している。ここ数年の伸び率は30%前後で、関連機関の試算によると、今年は1千億元(1元=約17円)を超えるとみられる。

中国税関総署の統計によると、今年1~6月のコーヒー豆輸入量は前年同期の2倍で、輸入額は76%増加した。うち、生豆の輸入量は2.2倍の5448万3千キログラムで、輸入額は極端な天候や新型コロナウイルスなどの影響で40%以上値上がりしたことを受け2.4倍になった。

関連機関の最新調査によると、中国のコーヒー消費者のうち、週に3杯以上飲む人の割合は6割を超えた。1人当たりのコーヒー消費量は北京、上海、広州、深圳の4都市で既に日本や米国に並んでおり、省都や主要地方都市の消費規模も急拡大している。」(「中国でコーヒー消費規模が拡大 今年は1兆7000億円台に」,36Kr 2021年8月25日.)

中国では、コーヒーの消費量と新たにオープンするコーヒーショップが増えていますが、コロナ不況で閉店するコーヒー店も多くあったようです。("Live: China's coffee craze extends to country's southwest",CGTN 2020年2月8日.)(「<コラム>お茶よりもコーヒー?今の中国人のコーヒー事情」,Record China 2021年2月7日.)(「個人店100万店が廃業、コーヒー店は83%閉店 中国にのしかかるコロナ不況」,AFPBB News 2021年3月10日.)(「巨大市場になるか?中国コーヒー消費」,JBpress 2021年5月15日.)(「変わる中国コーヒー店、異業種参入の意外な目的,JBpress 2021年5月16日.)

エチオピアには中国資本が入り込んで、コーヒー産業の発展を計っています。("Ethiopia aspires to penetrate Chinese coffee market to boost export earnings",EXPLORE XINHUANET 2021年6月26日.)

「<新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業要請や移動制限の影響を受け、世界における需要と供給のバランスを保つため、日本からは特にロシア、アメリカ向けの輸出が増加していること>

<家庭内における需要の増加が、家庭外での需要減少を上回り、世界的に需要が増加していること>

<中国において、カフェ等の進出により、若い世代へのコーヒーへの認知度が高まっていること>

やはりコロナ禍の影響を色濃く反映した結果のようであるが、ロシア、中国というこれまでコーヒー文化になじみが薄い国への輸出が上位に来ている点が興味深い。」(「ロシアで日本の「コーヒー」がはやる意外な事情」,東洋経済オンライン 2021年3月16日.)

その他消費国

「The Guardian によると、現在オランダにて『オランダに居住者のみ大麻を扱う「コーヒーショップ」に入店可能となり、外国人観光客は「コーヒーショップ」の利用を禁止』する新法律が提案されているそうだ。」(「【海外旅行】「麻薬観光を減らし「低価格観光」を縮小させるため、来年度からオランダ・アムステルダムで有名な「コーヒーショップ」に外国人観光客は入店できなくなる条例が施行される可能性が」,iFLYER 2021年1月13日」)

ブレグジットによって分離した後、イギリスは国際コーヒー機関(ICO)に加入しました。("Following Brexit, UK Joins the International Coffee Organization",Daily Coffee News 2021年1月28日.)

ユリウス・マインル(Julius Meinl)は「Say Hello」キャンペーンを始めました。(「ユリウス・マインル・コーヒーが「Say Hello」キャンペーンで1年の「最も惜しまれている機会」を取り戻す」,PRWire 2021年5月12日.)

韓国では、コーヒーショップの出店ラッシュが続いています。(「<鳳仙花>◆コロナ下の韓国コーヒー文化◆」,東洋経済日報 2021年4月23日.)

インスタントコーヒー

コロナ禍でも、ペットボトルやスティックコーヒーの需要が好調だそうです。(「外出自粛・テレワーク、自宅でお茶・コーヒーの飲用増加 ストック需要・簡便性ニーズで、大型ペットボトル・スティック飲料好調」,@Press 2021年3月30日.)

日本では、家庭用レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーの需要が拡大しました。(「コーヒー、豆商品が好調 おうち時間の増加で“挽く”一手間に広がり」,食品新聞 2021年2月26日.)(「コーヒー・コーヒー用クリーム特集」,日本食糧新聞 2021年2月26日.)(「コロナ禍でインスタントコーヒーの需要拡大 在宅勤務の拡大などを背景」,SankeiBiz 2021年3月1日.)

「注目に値するのは、コロナ禍が新興コーヒーブランドの成長に一役買ったことだ。感染症流行期間中は販路を絶たれたカフェやテイクアウト専門のコーヒーに代わり、インスタントのスペシャルティコーヒーが脚光を浴びるようになり、新たな消費者層を引きつけた。統計によれば、天猫のコーヒー部門の売上高はコロナ後に100%以上も増加、スペシャルティコーヒーのインスタント製品に限っては前年同期比1000%も増加したという。」(「インスタントコーヒーの代名詞だったネスレ、中国新興勢力の登場により市場縮小続く」,36Kr Japan 2021年1月4日.)

ネスレは、コロナ禍の在宅消費の増加で増益になりましたが、感染再拡大やコーヒー価格の上昇が冷水を浴びせる結果となりました。(「ネスレ、在宅増加でコーヒー好調 1~3月決算,日本経済新聞 2021年4月22日.)(「再送-ネスレ第1四半期、売上高が10年ぶり高い伸び コーヒーなど寄与」,REUTERS 2021年4月22日.)(「[FT]原料高騰、世界に食品インフレの懸念,日本経済新聞 2021年5月31日.)(「世界企業の増益、問われる持続力 感染再拡大で消費に影」,日本経済新聞 2021年8月18日.)(「東南アジアでコーヒー開拓競う サントリーは無糖で参入」,日本経済新聞 2021年11月18日.)

「一方、ブラジルの2020年の60kgインスタントコーヒー袋の出荷量は、2019年に比べて2.4%増の410万個となり、過去最高を記録した。「サウジアラビア、ブラジル産コーヒーの輸入量が低迷、鶏肉は安定」」

「年々、業者はより高品質で、有機登録されたコーヒーを要求し、農家のコストは増加している。「コーヒーは利益よりも仕事を生み出す 」と、アルモナシドは訴える。」("Cocaine: falling coffee prices force Peru’s farmers to cultivate coca",University of Reading 2021年2月8日.)

ワクチン

コロナウイルスの変異株が世界各国で発見され、インド型変異株(デルタ株)や南アフリカ型変異株(オミクロン株)が猛威を振るいました。

2020年12月2日に世界で初めてイギリスでワクチンが承認され、8日から接種が始まりました。また、アメリカ合衆国でも緊急使用の許可が出され、12月14日からワクチン接種が始まりました。 日本では、2021年2月17日からファイザー製ワクチンによる医療従事者への接種が始まり、4月12日から高齢者等への接種が始まりました。(「米マクドナルド、コーヒーカップでワクチン接種推進に協力へ」,CNN 2021年5月12日.)

フランスのカフェでは、ワクチン接種証明が必要となりました。("Coffee and croissant in a French cafe? You'll need a COVID pass for that",REUTERS 2021年8月10日.)

兵庫県西宮市では、ワクチン接種推進のため、コーヒーチケットを配布する取り組みを始めました。(「若い世代のワクチン接種促進へコーヒーチケット配布 兵庫 西宮」,NHK 2021年9月17日.)

COVID-19とコーヒーさび病菌

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による社会経済的条件の悪化、コーヒー農園への投資の欠如が、コーヒーさび病菌を広げる結果をもたらすという研究が発表されました。("COVID-19 Shocks Likely to Cause ‘Severe Production Crisis,’ Research Finds",Daily Coffee News 2021年6月29日.)

コーヒーの値上げ

UCC上島珈琲を皮切りに、コーヒー各社は次々と値上げに踏み切りました。

「UCC上島珈琲は8日、9月1日出荷分からスーパーマーケットなどで販売する家庭用レギュラーコーヒー製品を約20%値上げすると発表した。対象は約40品で、価格の見直しは2014年11月に約25%引き上げて以来、約7年ぶりとなる。コーヒー豆相場の高騰や円安で調達コストが上昇しているため。」(「UCC、レギュラーコーヒー値上げ 家庭用で7年ぶり」,日本経済新聞 2021年7月8日.)

ブラジルの裏作による減産、ブラジルの霜害、コンテナ不足、ワクチン接種などによる消費国でのカフェ需要の増加、中国のコーヒー消費量の増加などが、コーヒー価格を押し上げる要因となっています。(「コーヒー豆に香る新興国の台頭 価格高騰で「高根の花」? 消費量、所得・若年人口に連動 モロッコなどで急増」,日本経済新聞 2021年10月14日.)(「コーヒー豆、市場で高騰 でもドリップ式は2%高」,日本経済新聞 2021年12月4日.)(「高級コーヒーに香る中国マネー 価格は4年で4倍  日本人には高根の花に」,日本経済新聞 2021年12月28日.)

「コーヒー豆の急騰が、コーヒーEC業界に激震を与えている。コーヒー豆の価格が、昨年比で2~3倍に上昇した産地もあるという。これを受け、コーヒーEC各社は21年秋以降、続々と値上げに踏み切っている。20%前後の値上げを行う企業が多いようだ。それでも、原価の高騰分をすべて値上げで吸収できる企業は少なく、利益の捻出が課題となっている。」(「〈コーヒーECの原価高騰〉 仕入れ額3倍の企業も/20%の値上げが主流か (2021年12月9日号)」,日本ネット経済新聞 2021年12月9日.)

コーヒー価格の高騰後、次はインフレが懸念されます。

「コーヒーの先物価格が木曜日に上昇し、2012年1月以来の高値を記録した。これは、今年に入ってから80%以上も値上がりしている商品にとっては、まさに最新の高騰と言えるだろう。
残念ながら、これはコーヒーを飲む人が、今後数ヶ月の間に食料品店やコーヒーショップで高い値段を支払うことを意味する。そしてそれは、現在何百万人ものアメリカ人を不安に陥れているインフレ圧力に拍車をかけることになるだろう。」("Inflation is coming for your cup of coffee next",CNN Business 2021年11月18日.)

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