カフェ ランバン:コンゴ ルゲンド・サンドライ・ステーション

カフェ ランバンのコンゴ ルゲンド・サンドライ・ステーションです。実店舗は北海道札幌市にある自家焙煎珈琲店です。パナマ エスメラルダ ゲイシャや、エリーゼブルー、コピ・ムサンなど、世界的にも希少なコーヒーを飲むことができる喫茶店です。

コンゴ ルゲンド・サンドライ・ステーション

コンゴ民主共和国

コンゴ民主共和国(Democratic Republic of Congo (DRC))は中央アフリカに位置する250以上の民族で構成されている多民族国家です。旧国名はザイール(Zaire)で、1997年に現在の国名に改められました。同じコンゴでも、コンゴ共和国(Republic of the Congo)とは別の国です。

気候は熱帯性気候で、一年を通して高温で雨季と乾季がはっきり分かれています。アマゾンに次ぐ広大な熱帯雨林地帯を有しています。コーヒーは1900年代初頭のベルギー植民地時代に導入され、アラビカ種のコーヒー栽培は主に東部の北キブ州(Nord-Kivu)と南キブ州(Sud-Kivu)で行われています。

天然資源に関してアフリカで最も豊かな国の一つですが、同時にアフリカで最も貧しい国の一つです。天然ゴムや金鉱を豊富に有しているため、植民地主義の搾取の対象となりました。コンゴ民主共和国には現在のテクノロジーで用いられる金、銅、天然ゴム、コバルトの豊富な埋蔵量があり、これらをめぐる紛争のため、これらは政情の不安定化の大きな要因となっています。

現在のコンゴ民主共和国がヨーロッパ植民地主義の対象となったのは19世紀終わりです。スコットランドの探検家デイヴィッド・リヴィングストン(David Livingston)は、ナイル川の源流を求めて当時「暗黒大陸」と呼ばれていたアフリカ大陸を横断した探検家として有名ですが、彼は第三次アフリカ探検でその消息を絶ちました。しかしその約3年後の1870年11月10日、リヴィングストン捜索に向かったヘンリー・モートン・スタンリー(Sir Henry Morton Stanley)によって、リヴィングストンは「発見」されます。

スタンリーはタンガニーカ湖(Lake Tanganyika)湖畔でリヴィングストンを見つけたとき、「リヴィングストン博士でいらっしゃいますか?(Dr. Livingstone, I presume?)」という言葉を発したことで有名です。

「リヴィングストン博士でいらっしゃいますか?(Dr. Livingstone, I presume?)」、スタンリー(1872)『どのようにして私はリヴィングストンを発見したか(How I Found Livingstone)』のイラスト Wikipediaより

スタンリーがコンゴ民主共和国の歴史を考える上で重要なのは、彼がコンゴ川(Congo river)河口を発見したことです。彼のこの発見は植民地獲得に熱心だったベルギーのレオポルド2世(Léopold II)の注目を引き、それがコンゴ民主共和国のベルギーによる長い植民地支配につながりました。

コンゴ民主共和国のコーヒーの歴史

コンゴ民主共和国のコーヒーについて、SlideShareより

コーヒーは1900年代初頭のベルギー植民地時代に導入されました。1948年までに、コンゴコーヒーはロブスタコーヒー事務所(Office for Robusta Coffee 、略称OCR)、キブ農産物事務所(Office of Agricultural Products from Kivu 、略称OPAK)、キサンガニ農畜産物事務所(Office of Agricultural and Animal Products of Kisangani、略称OPAEKI)と、地理的に分かたれた三つの事務所によって規制されました。この間の時期に、コンゴに9種のアラビカ種と14種のロブスタ種が導入されました。この20世紀前半の時期は、コンゴのコーヒーはブリュッセルとローマで提供される高品質なコーヒーとして知られていました。

1960年にコンゴ共和国が独立、1971年にザイール共和国(République du Zaïre、1971年から1997年まで)と改称すると、 1972年、ザイール共和国政府は上記の3つの規制機関をザイールコーヒー事務所(Zairian Office of Coffee、略称OZACAF)として統合し、コーヒー部門を国有化しました。

1973年から1976年まで、すべての民間のコーヒー農園とドライ・ミルは政府の統制下に置かれますが、この時期のコンゴのコーヒーは農産物輸出の70-85%を占める非常に重要な輸出品でした。コーヒー生産の好調(主にロブスタ種)は1990年代半ばまで続きましたが、1994年のルワンダ大虐殺と1997年のモブツ・セセ・セコ(Mobutu Sese Seko)の独裁体制の崩壊により衰退の一途を辿ります。

モブツ・セセ・セコ、Wikipediaより

2010年代以降、協同組合が設立され始めました。現在は欧米のフェアトレード団体やNPOの支援によって、ロブスタ種だけでなく、アラビカ種のスペシャルティコーヒーの生産に力を入れています。コンゴ民主共和国では、コーヒーはグリーンゴールド(Green Gold)と呼ばれ、これからの産業として再び期待されています。

2018年には、ワールド・コーヒー・リサーチ(World Coffee Research、略称WCR)によって、ロブスタ種の最初の多地域作物栽培学試験(MLAT)がコンゴ民主共和国に設置されました。

ルゲンド・サンドライ・ステーション

ルゲンドCWS、アタカ通商ホームページより
ルゲンド・サンドライ・ステーション、アタカ通商ホームページより

ルゲンド・サンドライ・ステーション(Congo Lugendo Sundried Station)はコンゴ東部の南キブ州(Sud-Kivu)カバール(Kabare)に位置しています。カバールはギブ湖を挟んで向かい側がルワンダになります。

ルゲンドCWS(Coffee Washing Station、コーヒー・ウォッシング・ステーション)は、ヴィルンガ・コーヒー・カンパニー(Virunga Coffee Company)が経営しているCWSです。

キブ州(現在は3州に分割されている)は、1994年のルワンダにおけるジェノサイド(虐殺)で100万人以上のルワンダ系住民(バニャルワンダ)が逃亡した場所です。第一次コンゴ戦争(1996年-1997年)と第二次コンゴ戦争(1998年-2003年)の二度にわたる内戦の起点となった地域で、これらの内戦によってこの地域の経済はほとんど壊滅しました。ルワンダ内戦で被害を受けたコンゴ民主共和国の地域は、コーヒー栽培地域です。キブでは、1980年代に約120,000トンのコーヒーを生産していましたが、 2010年には約20,000トンにまで激減しました。内戦中、多くのコーヒー農家はキブ湖の危険な密輸ルートにより、近隣諸国に豆を販売していました。コンゴ民主共和国のコーヒーは近隣のルワンダやウガンダのコーヒーとして売られていました。この"troc"と呼ばれる交換の過程で、多くの人々が命を落としました。

2011年ヴィルンガ・コーヒー・カンパニーはこの状況を変えようと、コーヒー農家から標準よりも大幅に高い価格で直接購入し、コンゴ民主共和国のコーヒーを自社ブランドで世界市場に持ち込みました。このヴィルンガ・コーヒー・カンパニーが取り扱うキブ州のコーヒーは、アフリカファインコーヒー協会(African Fine Coffees Association、略称AFCA)主催のテイスト・オブ・ハーベスト(Taste of Harvest)で、エチオピアやケニアを破り第2位に輝き、国際市場で知られるコーヒーとなりました。

現在ヴィルンガ・コーヒー・カンパニーのコーヒーは、南アフリカで初めてフェアトレード認証コーヒーの焙煎業者であるビーン・ゼア・コーヒー・カンパニー(Bean There Coffee Company)などで取引されています。

規格(グレード)

規格(グレード)はK3(キブ3)です。コンゴ民主共和国のアラビカ種の規格(グレード)はK2-K7まであり、K2,K3がスペシャルティコーヒーに分類されます。K3はヴィルンガ・コーヒー・カンパニーの中でも最高規格です。コンゴ民主共和国でk2のコーヒーはほぼ存在しません。スクリーンは16アップです。

品種

ヴィルンガ・コーヒーは主にブルボン(Bourbon)系統の品種のコーヒーを取り扱っていますが、このコーヒーは珍しいブルーマウンテン(Blue Mountain)です。

旦部幸博氏の調査によると、コンゴのブルーマウンテンはケニアのスコット研究所(Scott Laboratories、現在は国立農業研究所(National Agricultural Research Laboratories、略称NARL))の種苗コレクションにあった「ブルーマウンテン・ジャマイカ(Blue Mountain Jamaica)」と「ブルーマウンテン・ケニア(Blue Mountain Kenya)」が、1933年ヤンガンビ(Yangambi)に設立された「ベルギー領コンゴの農学研究のための国立研究所 (L'Institut National pour l'Etude Agronomique du Congo Belge、略称INEAC)」へと渡り、試験栽培されたのが最初のようです(詳しくはツイッターのここここへ)。

ちなみにコンゴにはイトゥリ県北東部アルバート湖湖畔にモン・ブルー(フランス語:Monts Bleus、英語:Blue Mountains)という山脈があり、西側斜面はイトゥリ川(Ituri River)が流れています。

精製方法

精製方法はナチュラル(Natural、乾式)です。ナチュラルは、収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日干し乾燥させ、その後パルピング(Pulping、果肉除去)し、パーチメント(Parchment、内果皮付きのコーヒー豆)を脱穀してコーヒー生豆を取り出す方法です。ナチュラルでは乾燥工程における果肉の発酵の作用によって、より複雑な味わいとなります。

ブルーマウンテンは通常ウォッシュト(Washed、湿式)で精製されますが、このブルーマウンテンはナチュラルで精製される非常に珍しいコーヒーです。

ブルーマウンテンに特徴的な酸味、甘味、コクのバランスのとれたコーヒーです。ナチュラル精製によって甘味とコクの強いコーヒーに仕上がっています。

カフェ ランバンのコンゴ ルゲンド・サンドライ・ステーション

今回入荷のロットはベルギーの植民地時代にジャマイカからブルーマウンテンが持ち込まれた時のものです。精製方法はナチュラルでやわらかい甘みがあります。非常に珍しいブルーマウンテンのナチュラル精製をお楽しみ下さい。

カフェ ランバンホームページより

カフェ ランバンでは、コーヒー豆の焙煎度を選ぶことができますが、こちらのコンゴ ルゲンド・サンドライ・ステーションは浅煎り(ライトロースト)、中煎り(ミディアムロースト)、深煎り(フレンチロースト)、極深煎り(イタリアンロースト)から選択できます。

浅煎り(ライトロースト)

焙煎

焙煎:ライトロースト(8段階中1番目)

最も浅煎りです。ライトローストでは香りもコクも引き出すことができないので、ライトローストのコーヒーはほぼ存在しません。

カフェ ランバンでは浅煎りでも、充分に香りが引き出されています。その他の苦味、コクなどがないため、香りの印象がダイレクトに伝わっています。

こちらはライトローストです。欠点豆若干あります。

ブルーマウンテンの酸味、甘味、苦味のバランスのとれたコーヒーですが、甘味が優っています。酸味と甘味がキレイに感じられます。

中煎り(ミディアムロースト)

焙煎

焙煎:ミディアムロースト(8段階中3番目)

中浅煎りです。ちょうど基準となる焙煎度です。1ハゼが終わったぐらいの焙煎度です。酸味が強く、苦味は弱いです。焙煎する最初の段階の時にちゃんと水分抜きを行わないと、渋みが目立って、飲みにくくなります 。コーヒー豆の品質が味にわかりやすく表現される焙煎度合いです。高級豆はこのミディアムローストが多いです。

こちらはミディアムローストです。

ブルーマウンテンの酸味、甘味、苦味のバランスのとれたコーヒーですが、より味が濃厚で甘味に優れています。ブルーマウンテンではあまり感じることのないまろやかな口当たりが印象的です。

深煎り(フレンチロースト)

焙煎

焙煎:フレンチロースト(8段階中7番目)

フランス式の極深煎りです。2ハゼ(ピチピチという音)の終わりぐらいの焙煎度です。カフェオレやウィンナーコーヒー・エスプレッソなどに向いています。 
酸味はほとんどなく苦味が強く感じられます。苦味、コクに加えて厚みが出てきます。コーヒー豆の色はほ黒に近いこげ茶で、油が滲みます。エスプレッソやクリームを加えて飲むフランスやイタリアのコーヒー向きの焙煎です。

欠点豆少しあります。

ブルーマウンテンを濃厚にしたような味わいで、甘味と苦味のバランスに優れています。深煎りになるにつれ、口当たりがよりまろやかになっています。

極深煎り(イタリアンロースト)

焙煎

焙煎:イタリアンロースト(8段階中8番目)

イタリア式の極深煎りです。最も深煎りです。2ハゼ(ピチピチという音)超えたぐらいの焙煎度です。エスプレッソやカプチーノのなどに向いています。 
酸味はなく苦味が強く感じられます。コーヒー豆の色は油で黒光りします。エスプレッソやクリームを加えて飲むフランスやイタリアのコーヒー向きの焙煎です。

欠点豆少しあります。

ブルーマウンテンを濃厚にしたような味わいで、甘味と苦味のバランスに優れています。この焙煎度になると苦味が強くなってきます。

<参考>

ルゲンド・サンドライ・ステーション, ATC Specialty Coffee<http://www.specialtycoffee.jp/beans/2256.html>2019年9月25日アクセス.

Virunga Coffee Company」,African Fine Coffees Association<https://afca.coffee/wp-content/uploads/2016/12/Virunga.pdf>2019年9月25日アクセス.

「Democratic Republic of Congo」,Mercanta - The Coffee Hunters<https://www.coffeehunter.com/coffee-country/dr-congo/>2019年9月25日アクセス.

「Congo Coffee's Comeback」,Coffee Magazine<https://www.coffeemagazine.co.za/blog/1/5638/congo-coffees-comeback>2019年9月25日アクセス.

「Congo’s Specialty Brews Look to Be the ‘Future of Coffee’」,The New York Times<https://www.nytimes.com/2017/08/23/world/africa/democratic-republic-congo-specialty-coffee.html>2019年9月25日アクセス.

「Understanding congo's coffee ; the RDC coffee county profile」,SlideShare<https://www.slideshare.net/kamungele/understanding-congos-coffee-the-rdc-coffee-county-profile>2019年9月25日アクセス.

「From the Shores of Lake Kivu」, Roast Magazine<https://equalexchange.coop/sites/default/files/Roast_JanFeb16.pdf>2019年9月25日アクセス.

Bean There Coffee Company<https://beanthere.co.za/>2019年9月25日アクセス.

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