カフェ・ド・カルモ ギシルコーヒーです。
カフェ・ド・カルモ(Cafe do Carmo)は、東京都昭島市にある自家焙煎珈琲と日本茶の専門店です。オーナーは、繁田 武之(はんだ たけゆき)です。
ギシルコーヒー
ギシルコーヒー
ギシル(Qishr)とブン(Bunn)は、イエメンで伝統的に飲まれているコーヒーです。ギシルはコーヒーチェリーの果皮を煮出して作るコーヒー、ブンはコーヒー豆から作るコーヒーです。
まずはギシルコーヒー。モカ・マタリの産地として知られるイエメンでは、我々が使うコーヒー豆で作った飲み物を「ブン」と呼び、乾燥した果肉を香辛料と一緒に煮出したものを「ギシル」と呼ぶ。繁田さんによれば、現地では農家が収穫したコーヒーの実を天日乾燥し、これを仲買人が石臼で脱穀してコーヒー豆を取り出し、果肉部分を市場で売る。ギシルはイエメンでは古くから庶民に親しまれてきたポピュラーな飲み物だ。そもそもイエメンではコーヒー豆は貴重な輸出品なので、ブンは一般的にあまり飲まれてこなかったという。
「コーヒーの実でお茶を入れてみたら… 3種類飲み比べ」,日本経済新聞 2021年5月23日.
イエメンでは、ブンよりもギシルの方が一般的に飲用されているようです。
エチオピア南西部では古くからコーヒーの実を脂と混ぜ合わせたものをオロモ人(ガラ族)が戦地に赴くときの携帯食にしたと言われており、またラーゼス(アッ・ラーズィー)が記したように、生豆(ブン、ブンカム)の煮汁を薬用にしていたと言われている。これがおそらく14-15世紀頃に(辻調の山内先生が考察されてるように)イエメンに伝えられ、そこで(おそらくはアントニー・ワイルド『コーヒーの真実』での想像ほど極端ではないにせよ)イスラム僧の錬金術的な試みの過程で、さまざまな「調理法」が検討された。一つには、コーヒー以前に中国から伝わっていた茶を手本にしてコーヒーノキの葉から作った「カティ」、そして甘く熟した実を煮出した「カフア・アル・ギシル」、そして実の中にある、大きな種子の殻を割って取り出した胚乳(=コーヒー豆)から作った「カフア・アル・ブン」。おそらくその後、コーヒー豆を焙煎することで、より嗜好に適した香しい飲み物になることが見いだされ、それがイエメンのブンとして、今日我々が楽しんでいるコーヒーの系譜につながっている。
今日のイエメンでは、ブンよりもギシルを使ったカフアの方がありふれた飲み物だそうだ…一つには生豆は対外的な商品的な価値が高く輸出に回すことが優先され、実と殻(パーチメント)が必然的に大量の廃棄物になってしまい、国内で消費する習慣が根付いたという可能性もあるだろう。しかしもう一つの面として森光さんが指摘しているように、乾燥果実であるギシルの方が、コーヒー豆よりも日持ちしないため、そもそも生産地以外では利用できなかったから、という要素も非常に大きいと思われる。
「(エッセイ風に)」,百珈苑BLOG(はてなブログ版) 2010年4月24日.
繁田 武之(はんだ たけゆき)の主催する上海繁田珈琲焙煎倶楽部で、ギシルコーヒーを飲む会が開催されたことがあるそうです。
上海繁田珈琲焙煎倶楽部でギシルコーヒーを飲む会が開催された
「ギシルコーヒー」とはコーヒーの実(豆)を飲むのでなく
コーヒーの実のまわり皮をつかった飲み物
現在でもイエメンなどでは飲まれているとのこと
イエメン産 ギシル
インド産 カルダモン
スリランカ産 シナモン
中国産 ジンジャー
中国産 クローブ
ブラジル産 シュガー
以上が材料
これをくたくた煮て飲む
「ギシルコーヒー」,讃喫茶室 2012年4月1日.
カフェ・ド・カルモ ギシルコーヒー
1袋に、ギシル20g、シナモン、カルダモン、ジンジャー、クローブを加えた1パックが2つ入っています。これを600mlの水、付属の砂糖3本とともに煮出して作ります。
味
カルメ焼きのようなフレーバーと濃厚な甘さと質感が印象的です。冷めてくると、コーヒーチェリーの果実味のある酸味の印象が強くなります。スパイスの複雑さがありながらすっきりと綺麗な味わいです。