上島珈琲焙煎所:グアテマラ エル・インヘルト農園 パカマラ

上島珈琲焙煎所のグアテマラ エル・インヘルト農園 パカマラです。こちらは1932年(昭和7年)創業の老舗、上島珈琲貿易株式会社のお店で、呼称はMUC(マック)。マックコーヒーと呼ばれています。コーヒーメーカーで、実店舗はありません。創業者の上島勝はUCCの上島忠雄の兄に当たりますが、UCCとの間に資本関係はありません。

グアテマラ エル・インヘルト農園 パカマラ

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グアテマラ

グアテマラ(Guatemala)はシェラ・マドレ山脈(Sierra Madre)が縦横に走っている中米北部の国です。シェラ・マドレ山脈はメキシコの北西から南東にかけて連なる大山脈で、北はロッキー山脈に続き、南端に位置するのがグアテマラです。グアテマラは火山国で、グアテマラコーヒーの多くは山脈の斜面で栽培されています。標高1,300m~2,000mの高い標高、降雨量の多い肥沃な火山灰土壌で、高品質なコーヒーの栽培に恵まれた環境です。気象は、太平洋側と大西洋側のそれぞれの熱帯性気候に影響されます。

グアテマラには狭い国土に8つの代表的な産地があり、山脈を挟んで気象条件が違うため、それぞれに特徴が異なります。中央にあるのがアンティグア地区、国を囲むようにしてあるのがフライハネス地区、アカテナンゴ地区、サンマルコス地区、アティトラン地区、ウエウエチナンゴ地区、コバン地区、ヌエボ・オリエンテ地区の8つです。これらの産地は、1960年に設立されたグアテマラ国内のコーヒー生産者を代表する組織であるアナカフェ(スペイン語:Asociación Nacional Guatemalteca de Café (Anacafé))によって認定されています。

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ウエウエテナンゴ

グアテマラのコーヒー生産地、CAFE IMPORTSより

ウエウエテナンゴ(Huehuetenango)はグアテマラ北西部に位置する地区です。ウエウエテナンゴは県の名前であり、同県の県都の名前でもあります。メキシコに国境を接しており、南にサン・マルコス県(San Marcos)、ケサルテナンゴ県(Quetzaltenango)、トトニカパン県(Totonicapán)に接しており、東にエル・キチェ県(El Quiché)に接しています。

ウエウエテナンゴは、グァテマラ北西を横切るクチュマタネス山脈(スペイン語:Sierra de los Cuchumatanes)に位置しており、標高3,850mを超える高地から350mの低地まで起伏に飛んだ地形のため、気候は地形と標高によって様々な違いとして現れます。

グアテマラは北西から南東にグアテマラ・アンデス(スペイン語:Cordillera de Los Andes、英語:Guatemala Andes)が貫いており、クチュマタネス山脈はその支脈です。クチュマタネス山脈は、トドス・サントス・クチュマタン(Todos Santos Cuchumatán)、チャンコル(Chancol)、エマル(Xemal)で最高峰に達します。

クチュマタネス山脈は非火山性の山脈で、山脈の西と南西を流れるセレグア川(Selegua River)によって、火山性のシェラ・マドレ山脈と分かれています。

ウエウエテナンゴは、起伏のある地形と多様な気候のために、様々な作物が栽培されています。温暖な気候の場所では、コーヒー、サトウキビ、タバコ、コショウ、キャッサバ、アナトー、そして様々な果物などが栽培されています。また、涼しい気候の場所では、小麦、大麦、ジャガイモ、豆、アルファルファ、野菜、自生の果物などが栽培されています。

ウエウエテナンゴはグアテマラのコーヒー生産地の中でも、最も標高が高く乾燥した地区です。中央アメリカでは珍しく、非火山性の石灰岩の山々が連なるため、非火山性の石灰性の土壌です。

この地区では、ほとんどの農園が独自の精製所を持っています。この地区では数多くの川や小川が流れているため、どの場所でも精製所を設立することができます。

品種

主な栽培品種は、ブルボン(Bourbon)、カトゥーラ(Caturra)、カトゥアイ(Catuai)です。

収穫時期

収穫時期は、1月-4月です。

ウエウエテナンゴのコーヒーは一般的に、高い酸味、フルボディ、ナッツやフルーツのようなフレーバーを特徴としています(実際の味は、農園や品種、精製方法によって異なります)。

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エル・インヘルト農園

エル・インヘルト農園、El Injerto Coffeeより

グアテマラ エル・インヘルト農園(Finca El Injerto)は、メキシコとの国境に近いウエウエテナンゴ地区ラ・リベルタ(La Libertad)に位置しています。

エル・インヘルト農園は、コーヒー農園としては1900年から続く歴史のある名門です。総面積750ヘクタールの広大な農園であり、グアテマラのスペシャルティコーヒー生産で最も有名な農園の一つです。

農園主は3代目のアルトゥロ・アギーレ・エスコバル(Arturo Aguirre Escobar)氏で、息子で4代目のアルトゥロ・アギーレ・ジュニア(Arturo Aguirre Jr.)氏とともにコーヒー生産を行なっています。

エル・インヘルト農園、Cafeólogoより

エル・インヘルト農園は標高は1,500m-1,920mの高地にあり、平均気温22℃、年間降水量1,800-2,000mm、湿度70%、日照時間7-8時間の恵まれた環境でコーヒーが生産されます。クチュマタネス山脈から吹く冷気と、メキシコのオアハカ盆地(Oaxaca Valley)から吹く暖気がぶつかり合うことで微気候(マイクロクライメット)を生み出し、標高の高いこの地域を霜害から守っています。また、熱帯性の低木が石灰性の土壌を覆い守っています。

エル・インヘルト農園は総面積750ヘクタールの内、400ヘクタールでコーヒー、果実、穀物、観葉植物が栽培されています。コーヒー農園は245ヘクタールです。

これらの栽培地は、残り350ヘクタールを占める1,000年前から未開拓の原生林に囲まれています。この森が農園に特殊な微気候を生み出し、豊かな土壌を育み、山中の泉の清らかな湧き水を提供します。 除草剤や殺虫剤を使用せずにミミズや堆肥を用いた有機栽培がなされています。この豊かな環境が高品質なコーヒー生産を可能にする秘密となっています。

シェードツリーに、インガ(Inga spp)、シルキーオーク(Gravillea robusta)、マカダミア(Macadamia integrifolia)が植えられています。

エル・インヘルト農園の歴史

エル・インヘルト農園の歴史、El Injerto Coffeeより

エル・インヘルト農園の歴史は、ヘスス・アギーレ・パナマ(Jesús Aguirre Panamá)が1874年にこの農園を買い取ったことから始まりました。彼はトウモロコシ、豆、タバコ、サトウキビの栽培と砂糖を固化したパネラ(Panela)の製造を始めました。(このパネラを水に溶かした「アグアパネラ(Aguapanela)」は、中米でよく飲まれている飲み物です)。コーヒー栽培は1900年頃に始まり、農園はインヘルト(Injerto)というこの地域に自生するサポテ(Zapote)のような果物から、「エル・インヘルト(El Injerto)」と名付けられました。

彼の死後、農園は2人の息子に譲渡されたため、ペニャ・ブランカ(Pena Blanca)という川を挟んで、1939年から「エル・インヘルト・ウーノ(El InjertoⅠ)」と「エル・インヘルト・ドス(El Injerto Ⅱ)」という2つのエリアに区分されています。「ウーノ」エリアは、カップ・オブ・エクセレンス3連覇を成し遂げるなど、高品質なコーヒー生産で有名です。

現農園主のアルトゥロ・アギーレ・エスコバル氏は、1956年から農園で働いています。その当時の農園のコーヒー生産量は1袋100ポンド換算で約300袋程度でしたが、そこから彼は現在の世界的大農園にまで成長させました。

アギーレ・エスコバル氏は標高ごとに様々な品種を栽培し、さらに同じ標高においても細かく区画を分けてコーヒーを生産しています。

社会的責任

エル・インヘルト農園には、定期労働者と臨時労働者の両方に住居が用意され、電力、浴室、飲料水、衣類用洗面台、食堂などの基本的なサービスをすべて提供しています。

電力は環境負荷の少ない1000KW以上を発電する2つの水力発電所から供給されています。農園で使用する水は特殊なフィルターで浄化され、再び使用されます。

コーヒーのパルプはワーム・コンポスト(Worm Compost)を作るために利用され、パーチメントは乾燥機のオーブンに利用されます。

農園内には、労働者のための安全用品店があります。また、機械やコンピューターの講座が受けられます。一般的な病気を軽くするための薬の提供も行なっています。

認証

エル・インヘルト農園は10年以上レインフォレスト・アライアンス認証(RainForest Alliance Certified)を取得しています。また、農園はカーボン・ニュートラル認証(CO2 NEUTRAL Certified)を取得したグアテマラで最初のコーヒー農園です。

コーヒーショップ

エル・インヘルト農園は地元の人にも最高品質のコーヒーを味わってほしいと、地元にもコーヒーを卸しています。農園はディートリッヒ社のディートリッヒ IR-24(Diedrich IR-24)という焙煎機を所有しており、農園で生産したコーヒーを農園で所有する焙煎機で焙煎し、コーヒーショップに提供することができます。

品種

品種はパカマラ(Pacamara)です。

1950年代にエルサルバドルで発見されたブルボンの突然変異種パーカス(Pacas)とブラジルで生まれたティピカの突然変異種マラゴジペ(Maragogype)の交配種で、エルサルバドルコーヒー研究所(スペイン語:Instituto Salvadoreño para Investigaciones del Café、英語:Salvadorean Institute for Coffee Research)によって最初に開発されました。「コーヒーハンター」のホセ(Jose.)・川島良彰氏が留学していたコーヒー研究所です。

パカラマを世界で最初に栽培した農園はエルサルバドルのモンテ・カルロス農園です。

パカマラには赤いコーヒーチェリーのレッドパカマラ(Red Pacamara)と、黄色いコーヒーチェリーのイエローパカマラ(Yellow Pacamara)があります。スクリーンS18+が95%以上を占める非常に大粒の豆です。

エル・インヘルト農園のコーヒー農園は245ヘクタールあり、70%でブルボン(Bourbon)、30%でその他の品種が栽培されています。

エル・インヘルト農園では、レッド・ブルボン(Red Bourbon)、レッド・カツアイ(Red Catuai)、パカマラ(Pacamara)、カツアイ・アマレロ(Catuai Amarelo)、マラゴジぺ(Maragogype)、パナマ・ゲイシャ(Geishas Panama)、マラウィ・ゲイシャ(Geisha Malawi)、SL-28、モカ(Mocca)が栽培されており、他にも試験的に栽培されている品種があります。

エル・インヘルト農園とカップ・オブ・エクセレンス

エル・インヘルト農園のパカマラは、世界で最も高く評価されているコーヒーの一つで、エル・インヘルト農園を世界的な有名農園にした品種です。

エル・インヘルト農園は、1990年代にエルサルバドルからパカマラを持ち帰り、栽培を始めました。

エル・インヘルト農園のパカマラは、2008年のグアテマラのカップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence(CoE))で93.68点を獲得し第1位で優勝、グアテマラのオークションの当時史上最高額、1ポンドあたり80.20ドルで落札されました。

そして、その翌年の2009年は91.98点を獲得し第1位で優勝、2010年は90.09点を獲得し第1位で優勝、史上初の3連覇を成し遂げました。カップ・オブ・エクセレンスで3年連続第1位に輝いた農園は、いまだにエル・インヘルト農園以外にはありません。

2012年は92.47点を獲得し第1位で優勝、2013年は93.14点を獲得し第1位で優勝、2014年は90.08点を獲得し第2位に入賞、2015年は90.72点を獲得し第1位で優勝、2016年は91.06点を獲得し第3位に入賞、2018年は86.13点を獲得し第31位に入賞、2019年は90.03点を獲得し第3位に入賞しています。これらはすべてパカマラでの出品です。

その他には、2002年に第3位に入賞、2006年にブルボン・テキシック(Bourbon Tekisic)で92.57点を獲得し第1位で優勝、2007年にブルボン・テキシックで88.28点を獲得し第6位に入賞、2011年にマラゴジぺ(Maragogype)で89.58点を獲得し第3位、2017年にゲイシャ(Gesha)で90.19点を獲得し第2位に入賞しています。

エル・インヘルト農園は、グアテマラでカップ・オブ・エクセレンスが始まった2001年から、ほぼ毎年のように上位に入賞しています。パカマラでの優勝回数が6回、ブルボン・テキシックでの優勝回数が1回の、計7回の優勝経験を誇ります。

精製方法

ウェット・ミル

エル・インヘルト農園のウォッシュト

精製方法はウォッシュト(Washed、湿式)です。厳選して収穫したコーヒーチェリーを水槽で選別した後、果肉除去、特製のタンクで発酵させます。水洗後、パティオでの予備乾燥の前に24時間水に浸します。

エル・インヘルト農園は、収穫、ウェット・ミル(果肉除去・水洗処理・乾燥処理)、ドライ・ミル(脱穀・選別)、輸出まですべての工程を独自に行う稀有な農園です。

収穫は熟練のピッカーによって、完熟実のみが手摘みされます。エル・インヘルト農園に熟練のピッカーが集まるのは、この農園の賃金と労働環境が群を抜いて良く、農園が労働者への徹底的なケアを行っているためです。労働環境の改善と労働者への徹底的なケアの結果、コーヒーの品質が向上し、その利益によってさらなる改善が可能になるという好循環が生まれました。

ドライ・ミル

パカマラ オークションロットのドライ・ミル、El Injerto Coffeeより

エル・インヘルト農園はパーチメントを脱穀する特別な機器を有しており、これは生産したコーヒーを農園から直接消費国へと輸出することを可能にします。コーヒーはパーチメントから生豆にする過程で、重量、サイズ、密度によって分類されます。最終的に行われるカッピングによって、品質管理が完了します。

パカマラは浅煎りではフルーティーな果実感のあるフレーバーが特徴ですが、深煎りになるとダークチョコレートのような深く濃厚な甘味とボディが加わり、両者が濃縮され渾然一体となった複雑な味わいのコーヒーとなります。

エル・インヘルト農園のパカマラは、ピーチのような果実感のある芳醇で甘いフレーバー、ダークチョコレートやキャラメルのような深く厚みのある濃厚な甘さが際立っています。ピーチとチョコが一体となって濃縮された味わいは他に類を見ない別格のコーヒーです。

上島珈琲焙煎所のグアテマラ エル・インヘルト農園 パカマラ

グアテマラのエル・インヘルト農園は世界最大のコーヒー品評会カップオブエクセレンスにおいてグアテマラで圧倒的な優勝回数を誇る農園です。この農園を有名にしたのが柑橘系果実やピーチを連想させる香りが特徴のパカマラ種でした。その原点とも言える味わいをお楽しみください。

上島珈琲焙煎所ホームページより

ピーチやアプリコットのような果実感のあるフレーバー、ピーチや柑橘系の甘味と酸味、ダークチョコレートのような濃厚でまろやかな口当たりが印象的です。ピーチや柑橘系の明るいフレーバーとダークチョコレートのような濃厚なボディが合わさり、複雑な印象を生み出しています。





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