豆香洞コーヒー:パナマ デボラ農園 CMゲイシャ 「イルミネーション」

豆香洞コーヒーのパナマ デボラ農園 CMゲイシャ 「イルミネーション」です。豆香洞コーヒーは2008年福岡県大野城市にオープンしたコーヒー店です。店主の後藤直紀(ごとう・なおき)氏は、2013年に焙煎の世界チャンピオンになられたことで有名です。

パナマ デボラ農園 ゲイシャ CMゲイシャ 「イルミネーション」

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パナマ ボルカン地区

パナマ(Panama)は中米で最も南アメリカ大陸の近くに位置し、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の境であるパナマ地峡を形成しています。西はコスタリカ、東はコロンビアに接し、北はカリブ海、南は太平洋に面しています。

パナマは紀元前1300年以前にはすでに先住民が生活していたと考えられています。パナマ中部や西部のチリキ県から金製品や彩色土器などが出土しているため、パナマにはオルメカ、マヤ、アステカなどの大規模な遺跡文明はありませんでしたが、これらを使用する先住民文化は存在していた考えられています。 1492年のコロンブスの新大陸発見後、パナマもスペインによって植民地化されます。1519年に現在の首都であるパナマシティ(パナマ市)が設立されると、ここがスペイン本国との船の拠点として繁栄しました。

17世紀-18世紀になるとヨーロッパでのコーヒー飲用が本格化したのに伴い、オランダやフランスの植民地でコーヒー栽培が始まり、グアテマラ、コスタリカ、メキシコなど中央アメリカにも18世紀後半にコーヒーが伝わりました。

パナマコーヒーの栽培は、コスタリカ国境に近いパナマ西部チリキ県(Chiriquí Province)ボケテ地区(Boquete District)を中心に行われています。デボラ農園はこのボケテのさらに西にあるチリキ県ボルカン(Volcán)地区に位置しています。

このボルカン地区には、デボラ農園だけではなく、2019年のベスト・オブ・パナマ(Best Of Panama(BoP))で一躍注目を浴びたジャンソン農園(Janson Coffee Farm)や、世界一高額なコーヒーを生産することで有名なナインティプラス(Ninety Plus®)、名門のカルメン農園(Carmen Estate)があります。

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パナマ デボラ農園

デボラ農園、Finca Deborahより

パナマ デボラ農園(Finca Deborah)は他のパナマのコーヒー農園同様に、チリキ県のバル火山周辺に位置しています。「花の谷(VALLEY OF FLOWERS)」、「常春(ETERNAL SPRING)」とも呼ばれる美しいカルデラ渓流を見下ろすバル火山の高地にあり、標高1,900mとパナマでも最も高い標高、最も遠隔の地に位置する農園の1つです。

農園主はアメリカ人のジェイミソン・サベージ(Jamison Savag)氏で、彼の妻はパナマ人のレスリー・H・フレイタグ(Leslie H. Freitag)女史です。

1915年にレスリー女史の祖父母に当たるジョン・S・ヴァンデハンズ(John S. Van der Hans)とジェーン・マリー・ブレッソン・ヴァンエプ(Jane Mary Bresson Van Eps)が、小さなカリブ海の島、キュラソー島からパナマに移り住みました。その地域で当時数少なかった薬剤師として、パナマ運河の建設に携わっていた人々の病気の治療と根絶に取り組みました。レスリー女史は彼らから数えて第4世代目に当たります。

ジャミソン氏はアメリカで投資会社を経営していましたが、2007年にこの農園を購入。標高が高く、コーヒー栽培が難しい場所でしたが、2010年にゲイシャの初収穫がありました。

また、コーヒー品質協会(Coffee Quality Institute、略称CQI)仕様に基づいた気象ステーションと品質管理ラボが、それぞれ2014年と2015年に完成しました。

環境

デボラ農園は農園を複数のセクションに分ける3つの尾根により、3つの異なる微気候(マイクロクライメット、Microclimates)が存在します。 また、珍しい動植物豊かな自然環境にあり、1年間のほとんどが熱帯雨林の雲に覆われています。コーヒー栽培には、有機肥料と有機抑草剤を混合したものが使用され、農薬や除草剤は使用されていません。高い標高に位置しているため、夜は10℃にまで気温が下がるほど、昼夜の寒暖差のある気候です。

収穫

収穫は2月から5月に行なわれます。完熟実のみが手摘みされます。

パナマの他の農園と同様に、デボラ農園の主要な労働者はパナマの先住民族であるノベ・ブグル(Nôbe-Buglé)族です。農園では彼らに快適な住居、社会保障、医療サービス、衣類、個人用の庭、食肉や卵用の鶏を提供しています。

品種

品種はゲイシャ(Geisha,Gesha)です。デボラ農園の火山性の肥沃な土壌は、ゲイシャの栽培に適しています。

ゲイシャは1930年代にエチオピアで発見されました。エチオピアで発見されたゲイシャは、アフリカから1953年に中米のコスタリカの研究所であるCATIE (英語:The Tropical Agricultural Research and Higher Education Center、スペイン語:Centro Agronómico Tropical de Investigación y Enseñanza)に持ち込まれ研究されていました。そして、それはさび病対策として各国の様々な農園に譲渡されていましたが、標高の低い場所では効果がなく、ほとんどの農園が放置するか処分していました。

パナマでは1963年、ドン・パチ(Don Pachi)農園のフランシスコ・セラシン・シニア(Sr. Francisco Serracin)氏がコスタリカからパナマへゲイシャを持ち込み、栽培を始めました。この時は好奇心から試しに植えてみたといった程度で、収穫量が低く、栽培が難しかったことから、数年後にはそのまま放置されました。

それから長い時を経て、2003年にパナマ エスメラルダ農園のダニエル氏が買い取った農園に生えていたゲイシャを焙煎してみたところ、その優れた味わいに驚き、エスメラルダ農園で栽培を開始することになりました。そして、2004年のベスト・オブ・パナマ(Best of Panama(BoP))というコーヒーの国際品評会で、パナマ エスメラルダ農園のゲイシャが当時破格の落札価格を記録したことから一躍有名となりました。

精製方法

精製はカーボニック・マセレーション・ウォッシュト(Carbonic Maceration Washed)です。CMゲイシャのCMとは、カーボニック・マセレーション(Carbonic Maceration)の略です。

デボラ農園のゲイシャはウォッシュト(Washed、湿式)、ナチュラル(Natural、乾式)、ハニー(Honey、半水洗式)で精製されますが、このロットは特別な精製方法が用いられています。

カーボニック・マセレーションはフランスのボジョレー(Beaujolais)でよく用いられるワインの製造技術で、フラージュ(Foulage、破砕)の前に二酸化炭素の多い環境でぶどうを発酵させます。

カーボニック・マセレーションはこの手法をコーヒーに転用した精製方法です。

コーヒーチェリーを収穫後、果肉を付けた状態でステンレスタンクの中に密閉します。すると酵母の働きによって二酸化炭素などを中心とするガスがタンクの中に充満します。爆発を防ぐためにタンクの天井に設けられたワンウェイバルブから酸素が抜けることによって、果肉の嫌気発酵が進みます。この過程で生じる化学反応が独特のフレーバーを生むとされています。

スペシャルティコーヒーの競技会で使用されるコーヒー豆に多く用いられる精製方法で、一般の市場にはほとんど流通していません。

今回の「イルミネーション(Illumination)」というロットは、ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(World Barista Championship(WBC))でよく使用される特別なロットです。

パナマ デボラ農園とWBC

バーグ・ウー氏の2016年WBC、源譯咖啡Starling Glowerより

パナマ デボラ農園は、2016年にこの農園のゲイシャを使用した台湾代表のバーグ・ウー(Berg Wu)氏が、ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(World Barista Championship(WBC))で優勝したことで、世界的に有名な農園となりました。現在デボラ農園のゲイシャはWBCでよく使用されるコーヒー豆として知られています。

リポーゾ(REPOSO)

精製された後のゲイシャは倉庫で保管され、休養の時間が与えられます。この休養の時間のことを「リポーゾ(REPOSO)」と言います。

パーチメント(Parchment)付きの状態でコーヒー豆に休養時間を与えることで、コーヒー豆を湿度や温度の変化から保護し、長持ちさせ、コクのある味わいにするといった、良い効果があると考えられています。

パナマ ゲイシャはジャスミンやワインのような強烈なゲイシャフレーバーが特徴です。すっきりした甘味を伴ったベルガモットやオレンジのような柑橘系の酸味がフレーバーの印象を引き立てます。

ゲイシャをカーボニック・マセレーションで精製することで、シルクのような口当たり、複雑で濃厚な果実感のあるフレーバーと酸味、長く続く余韻が生まれます。

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豆香洞コーヒーのパナマ デボラ農園 CMゲイシャ 「イルミネーション」

このパナマ デボラ農園 CMゲイシャ 「イルミネーション」はイベント用に用意された特別なコーヒーで、お店での販売は行っていません。

豆香洞のチラシ

豆香洞コーヒーの後藤直紀氏は「Japan Coffee Roasting Chanpionship 2012」で優勝、その翌年の「World Coffee Roasting Championship 2013」で優勝された方です。

パナマ ゲイシャに特有のジャスミンのような強いフレーバーが印象的ですが、カーボニック・マセレーションで精製することで、フレーバーがより華やかで複雑、濃厚なものになっています。ジャスミンに加え、ベリーのような明るいフレーバー、グレープ、プラムのような濃厚なフレーバーは他のゲイシャにはない特徴です。柑橘系の酸味がフレーバーの印象を引き立てており、後味がすっきりしていますが、フレーバーの余韻が長く続きます。シルクのような非常に滑らかな口当たりで、とても華やかで美しい印象のコーヒーです。色で例えるとシルバーパープルで表現できます。

<参考>

旦部 幸博 「パナマとパナマコーヒーの歴史(概観)」,『バッハコーヒー・インフォメーション』<http://www.bach-kaffee-planandconsul.jp/Panamacoffee.pdf

Finca Deborah<http://www.fincadeborah.com/jp/>

「FINCA DEBORAH GEISHA」,Caravan Coffee Roasters<https://www.caravancoffeeroasters.co.uk/pages/finca-deborah-geisha>

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