画廊喫茶カフェ・ミ・カーサ ドミニカ メロ・ハマヤ農園 ティピカです。
画廊喫茶カフェ・ミ・カーサ(Café Mi Casa)は、北海道小樽市にある自家焙煎珈琲店です。画廊として「ハイチ絵」の展示、販売も行っています。
ドミニカ メロ・ハマヤ農園 ティピカ
メロ・ハマヤ農園
メロ・ハマヤ農園(Melo Hamaya)は、ドミニカ共和国の南西部の高山地帯であるバラオーナ(Barahona)に位置する農園です。
ドミニカ共和国は、地理的区分として3つの「マクロ地域(Macro-region)」と10の「地域(Region)」があり、行政区分として31の「県(Province)」と1つの「首都特別区(National District)」から構成されています。
バラオーナは、南マクロ地域(Sur Macro-region)エンリキージョ地域(Enriquillo Region)に位置する県です。バオルコ山脈(英語:Bahoruco Mountain Range、スペイン語:Sierra de Bahoruco)の走る高山地帯で、冷涼で多雨な気候、水捌けの良い土地、シェードツリーの木陰でなければ育たない厳しい環境でコーヒーが栽培されています。
メロ・ハマヤ農園は、画廊喫茶カフェ・ミ・カーサのオーナーである濱谷 均の濱谷家とミゲル・メロ(Miguel Melo)のメロ家が共同でコーヒーを生産しています。
濱谷 均とドミニカのコーヒー
濱谷 均は岩内高校卒業後に、画家を目指して上京しました。山岸 正巳(やまぎし まさみ)に師事し、彼が働いていた西村 計雄(にしむら けいゆう)事務所で学びました。
しかし、濱谷は1958年の19歳のとき、移民として家族とともにドミニカ共和国へと渡ることとなりました。鉱山会社を定年退職した父親の勧めでしたが、画家の夢を諦め、運送の仕事をしていた濱谷にとっても、喜ばしい話でした。
しかし、「カリブの楽園」で移住者を待っていたのは、銃を構えた兵士の監視下でのコロニア農奴としての厳しい労働でした。300タレア(Tarea)(18ヘクタール)の肥沃な土地が無償で譲渡されるはずでしたが、配分されたのはその半分以下の荒廃した土地で、地権もありませんでした。初年度で100万円を超えると言われていた年収は、実際は6,000円程度のわずかな金額でした。
移住者の生活は困窮を極めました。濱谷家は、コーヒー栽培の他にも野菜の行商などで糊口を凌ぎました。
1961年に独裁政権が倒れたことを機に、濱谷は首都のサント・ドミンゴ(Santo Domingo)に上京し、ソニーのドミニカ総代理店に職を得ました。彼は日本とのパイプや堪能な語学力を買われ、外務省の日本派遣特使随行など様々な役目を任されるようになっていきました。
食べる物にも事欠く生活から抜け出た濱谷でしたが、「ドミニカのコーヒーを日本に輸出したい」という夢を胸に抱いていた彼は、1964年にメロ家とともにメロ・ハマヤ農園を設立しました。
メロ家は、代々コーヒーの輸出業者を営む家系で、濱谷がコロニア農奴として生産したわずかなコーヒーの行商をしていたとき、メロ家がコーヒーを買い取ってくれたことから付き合いが始まりました。
そして、日本への輸出向けに生産を始めた1964年から約20年を経た1985年に、メロ・ハマヤ農園のティピカの日本輸出が実現しました。
濱谷は、1997年に2人の娘の教育のために、日本に帰国しました。そして、彼は彼の生産したコーヒーを故郷で広めたいとの思いから、2000年5月5日に彼の故郷である小樽市に画廊喫茶カフェ・ミ・カーサを開店しました。
2000年7月、濱谷も名を連ねたドミニカ移住者の原告団は、国を相手に損害賠償を求めて東京地方裁判所に訴訟を起こしました。2006年6月7日、東京地方裁判所は賠償責任は「時効」として棄却しましたが、外務省と農林水産省は責任を認めました。2006年7月21日、小泉 純一郎元首相は「ドミニカ共和国移住問題の早期かつ全面的解決に向けて」という内閣総理大臣談話を閣議決定し、全移民者への特別一時金の給付なども決定しました。
これを受け、原告団は東京高等裁判所への控訴を取り下げ、「戦後最悪の移民政策」と呼ばれるドミニカ移民政策の問題は、約50年の時を経て決着しました。
濱谷は現在、ドミニカ移民訴訟で集めた膨大な資料をまとめた史書を執筆しています。
品種
品種はティピカ(Typica)です。
バラオーナ一帯の歴史のある農園では、古くからティピカが栽培されています。
精製方法
精製方法はウォッシュト(Washed)です。
味
バラオーナ一帯で生産されるコーヒーは、酸味を特徴としています。
画廊喫茶カフェ・ミ・カーサ ドミニカ メロ・ハマヤ農園 ティピカ
ドミニカ メロ・ハマヤ農園 ティピカ
抽出
焙煎度合#1 浅煎り
味
焙煎度合い#1は当店で最も浅煎りのナンバーです。
柔かくフルーティーな味わいがあり、軽い酸味が前面に出ています。
画廊喫茶カフェ・ミ・カーサ
透明感のあるクリーンなフレーバーと酸味が印象的です。豊かなフレーバー、非常にクリーンな口当たり、酸味主体の良質ティピカの味わいです。
焙煎度合#2 やや浅煎り
味
焙煎度合い#2は当店ではやや浅煎りのナンバーです。
心地良いほのかな酸味と爽やかな苦みは気分を高揚させてくれます。
画廊喫茶カフェ・ミ・カーサ
透明感のあるクリーンなフレーバーと酸味が印象的です。焙煎度合#2も焙煎度合#1と同様に、酸味が主体の味わいです。
焙煎度合#3 やや深煎り
味
焙煎度合い#3はやや深煎りのナンバーです。
強めの苦みは気だるさを飛ばし、微かな酸味が喉をたたきます。
パンチの効いたボディーと上品な苦みはゴージャスそのもの!
ブラックで香りを愉しむも良し、甘めのカフェオレにするも良し
画廊喫茶カフェ・ミ・カーサ
焙煎度合#3になるとボディ感が生まれ、苦味の印象が強くなります。4段階の焙煎度合のなかでは、酸味と苦味、ボディのバランスに最も優れた味わいです。
焙煎度合#4 深煎り
味
焙煎度合い#4は深煎りのナンバーです。
画廊喫茶カフェ・ミ・カーサ
強い苦みと豊潤な香りがディナーの重みを和らげてくれます。
深煎りの苦味が主体の味わいです。苦味の奥に酸味がほのかに残るクリーンな味わいです。
<参考>
『北の焙煎人』,クナウマガジン.
「「ドミニカの食卓を豊かにした日本人移住者」ドミニカ共和国 日本人農業移住 50 年」 食文化研究家 宮城県農業大学校非常勤講師 遠藤 凌子」<https://www.kikkoman.co.jp/pdf/no23_j_015_022.pdf>