帰山人の珈琲遊戯 タンザニア キリマンジャロ モシ ゼンショーフェアトレードです。
帰山人の珈琲遊戯(GAME of COFFEE)は、2017年に始まった鳥目散 帰山人(とりめちる きさんじん)氏による焙煎豆販売です。
タンザニア キリマンジャロ モシ ゼンショーフェアトレード
G32キリマンジャロ新協力イニシアティヴ有限合併会社(G32 KNCI-JVE-LTD)とキリマンジャロコーヒー
問:タンザニアコーヒー/キリマンジャロコーヒーについて、以下の言葉を用いて説きなさい。
— 鳥目散 帰山人 (@kisanjin) July 13, 2021
TCB、KNCU、テイラーウィンチ、ドーマン、チボー、マザオ
解答は示しませんが、↓こちらを参考に各自で考えてみてくださいhttps://t.co/Lq7cdDsO2b
もしキリは、タンザニア(Tanzania)北部モシ(Moshi)を拠点とするG32キリマンジャロ新協力イニシアティヴ有限合併会社(G32 KNCI-JVE-LTD)(G 32 KILIMANJARO NEW COOPERATIVE INITIATIVES-JOINT VENTURE ENTERPRISES LIMITED)によって生産された有機栽培のコーヒーです。
モシは、タンザニアで協同組合の発展の長い歴史を持つ地域の1つです。最初の協同組合は、1925年に設立されたキリマンジャロ先住民耕作者協会(KNPA)(Kilimanjaro Native Planters Association)から派生し、1932年に登録されたキリマンジャロ先住民協同組合連合会(KNCU)(Kilimanjaro Native Co-operative Union)です。
‘Kilimanjaro’(キリマンジャロ/地球最高独立峰/標高5895m)の麓にあるモシ地区に初めてコーヒーがもたらされたのは、2013年より120年(2元)前の癸巳1893年で、キリスト教イエズス会の宣教師らによる(という説がある:異説あり)。タンザニア(当初はドイツ領東アフリカ、次いでタンガニーカ)におけるキリマンジャロ山麓でのコーヒーの生産は暫し後の20世紀初頭から始まり、知名は薄いが徐々に栽培域を拡げていった。(中略)
癸巳2013年の現在、「キリマンジャロ」コーヒーの主産地はキリマンジャロから600km以上遠く離れた南部高地に移り、原産地モシ地区で栽培されたものは僅か1割も無い。
「コーヒーウロボロス」,帰山人の珈琲漫考 2013年1月1日.
まぁこれには、タンザニアでダルエスサラーム港が整備される以前は、キリマン生豆は国境を越えてケニアへ運ばれて、ケニアの3等品銘柄としてモンバサ港から欧州へ輸出されていた、という事情があってだな… https://t.co/xyvna098eD
— 鳥目散 帰山人 (@kisanjin) July 12, 2021
そもそも、ケニアには Scott Laboratories があって、東アフリカ地域のコーヒー農業研究の拠点だった。欧州系の研究機関としては最高クラスの一つ。 https://t.co/6j2Z3wIoW1
— Y Tambe (@y_tambe) July 13, 2021
タンザニアで最もよく知られている農業協同組合の形態は、農業マーケティング協同組合(AMCOS)(Agricultural Marketing Cooperative Societies)です。この協同組合の形態は、農業投入物の流通と作物のマーケティングの両方を担っていました。タンザニアの農業マーケティング協同組合(AMCOS)は、取引と価格交渉において不平等を引き起こすにも関わらず、一次産品と国際市場を結びつける伝統的な方法でした。
タンザニアでは、1900年以前は州のコーヒー公社と協同組合が、農業投入物の提供、輸送、精製など、コーヒーにおけるすべてのマーケティングを担っていました。1990年に小規模な改革が行われた後、1994/1995年に包括的な改革が行われ、民間業者が生産者から直接コーヒーを購入し、自らの精製所でコーヒーを処理できるようになりました。一方で国際社会では、1995年に国際協同組合同盟(ICA)(International Co-operative Alliance)の原則が改定されました。
【本物である面白いイワク その1 三つ巴の争いから生まれた】
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かつてタンザニアで生産されたコーヒー豆は、その流通の全てが
タンザニアコーヒー公社(TCB)の統制下にありました。1994年の
流通自由化以後は、自ら買付て自ら落札するという多国籍企業
(テイラーウィンチ、ドーマン、チボー、マザオ)の自作自演が効き、
旧弊たるキリマンジャロ原住民協同組合連合(KNCU)のような
協同組合連合会に対してコーヒー農家たちは反発を強めました。
2000年の高品質豆の直接輸出自由化を機に、翌年度に32の
単位農協が「G32 KNCI-JVE-LTD」という組織を結成して、後に
KNCUを脱退しました。まるで日本でコメ企業と全農と離脱した
革新農協が三つ巴で争うような構図が、キリマンジャロ山麓の
モシの街を舞台に始まったのです。今般の豆は、タンザニアの
コーヒー生産の暴れん坊グループ「G32 KNCI-JVE-LTD」産です。
モシの農業マーケティング協同組合(AMCOS)は、タンザニアでも利益重視の協同組合です。
タンザニアの貧困層の状況を改善する効果的で、利益重視のビジネスの具体例は、農業マーケティング協同組合(AMCOs)と貯蓄クレジット協同組合(SACCOs)の緊密な協力関係に見られる。この場合、主要な組合は農業マーケティング協同組合(AMCO)を通じてコーヒーを販売する。貯蓄クレジット協同組合(SACCOs)のメンバーは、より高い価格をより好都合な時期で支払いを受け取り、組織の透明性が向上する。コーヒーの大部分はフェアトレードコーヒーとして海外の日本に直接販売される。
Concrete examples of effective, profit-driven business that improve the situation for the poor segment of population in Tanzania can be found in the close cooperation between AMCOs and SACCOs. In this case the primary societies market coffee through an AMCO. Members of SACCOs receive higher prices more timely payments and transparency of the organization is better. A large part of the coffee is sold as fair trade coffee directly overseas to Japan.
John Sumelius,Shimelles Tenaw, Stefan Bäckman, Faustine Bee, Suleman Chambo, Gervas Machimu, Neema Kumburu(2013)"Cooperatives as a Tool for Poverty Reduction and Promoting Business in Tanzania"p.2
G32キリマンジャロ新協力イニシアティヴ有限合併会社(G32 KNCI-JVE-LTD)は、キリマンジャロ先住民協同組合連合会(KNCU)を脱退して以来、外国企業と直接取引をし、2017/2018年期にコーヒー1kgあたりの価格を2,000 - 3,000から4,000 - 5,000に引き上げることに成功しました。
2018年にゼンショーが有機栽培を導入して以来、コーヒー1kgあたりの価格を7,125にまで引き上げました。このことにより、農業マーケティング協同組合(AMCOS)による有機栽培の実践は、さらに促進されることになるはずです。
ムウィカ・キニャンブ農業マーケティング協同組合(AMCOS)と北マンバAMCOSの、ともにモシ地区の農家らは、外国、主に日本へ集荷および販売された有機コーヒー1kgあたり計7,125の価格を獲得した。
「この傾向は、世界市場でつねに競争力のある価格を獲得するため、全国のコーヒー農家が有機コーヒー栽培を実践することを促進するはずである、とG32キリマンジャロ新協力イニシアティヴ有限合併会社(G32 KNCI-JVE-LTD)の農家兼マネージャーであるガブリエル・ウロミ氏は述べた。」
The farmers from Mwika- Kinyamvuo Agricultural Marketing Co-operative Societies (AMCOS) and Mamba- North AMCOS both in Moshi District, earned a total of 7,125/- for every kilogramme of organic coffee collected and sold abroad, mainly in Japan.
“This trend should encourage coffee farmers across the country to practice organic coffee farming as this always fetches competitive prices in the world market, said Mr Gabriel Ulomi, a farmer and Manager of Kilimanjaro New Cooperative Initiative Joint Venture Enterprises Limited,( G32 KNCI-JVE).”
"COFFEE GROWERS DELIGHTED AS THEY POCKET 286.4M/-",Africa Press 2020年1月11日.
しかし、G32キリマンジャロ新協力イニシアティヴ有限合併会社(G32 KNCI-JVE-LTD)は、関係当局から合併事業の登録抹消とキリマンジャロ先住民協同組合連合会(KNCU)への復帰を求められており、この決定を再検討するようジョン・マグフリ大統領に要請していました(彼は2021年3月17日に亡くなりました)。
キリマンジャロ新協力イニシアティヴ合併事業会社(KNCI JVE)は、ジョン・マグフリ大統領に、国内のコーヒー開発のための合弁事業の登録を取り消す決定を再検討するよう要請した。
THE Kilimanjaro New Cooperative Initiative Joint Venture Enterprise (KNCI JVE) has asked President John Magufuli to reconsider the decision to de-register the joint venture for the sake of coffee development in the country.
"Tanzania: Farmers Ask JPM to Save Coffee Business",AllAfrica 2020年11月8日.
また、外国企業による投資は、その企業の都合に左右されるため、持続可能性に疑わしさが残ります。
モシ。 イギリス、ドイツ、イスラエル、タンザニアの投資家が競わせる投資紛争がこの地域で一触即発の状態にあり、キボとキカフの2つの大規模農園でのコーヒー生産を脅かしている。
Moshi. An investment dispute - pitting investors from the United Kingdom, Germany, Israel and Tanzania - is simmering here, threatening coffee output at two large scale farms of Kibo and Kikafu.
Daniel Mjema"Coffee farming under threat as investors feud",The Citizen 2021年7月7日.
タンザニアのコーヒー生産者の作付けがジリ貧なのは事実だけれど、(先の記事ではハッキリ指摘しないが)仲買いの顔ぶれと輸出業者の顔ぶれが同じ外資の企業体で占めているので、機構で何をどうしても改善し難い。タンザニアの場合は、このマッチポンプ状態が特に酷いからなぁ・・・
— 鳥目散 帰山人 (@kisanjin) May 14, 2018
ゼンショーフェアトレード
ゼンショーホールディングス(ZENSHO)(以下、ゼンショー)は、「世界から飢餓と貧困を撲滅する」という理念のもと、2007年から途上国との「直接提携型」フェアトレードを行なっています。ゼンショーフェアトレードは、事業というよりも社会貢献活動という位置付けです。フェアトレード取り組み国は、アフリカ、アジア、中央および南アメリカの19ヶ国にまたがっています(2021年現在)。
「直接提携型」とは、企業が直接現地の生産者と取引やコミュニケーションを行い、商品を公正な価格で買うだけでなく、生活向上の取り組みや生産に必要な技術指導を行うなど、より現地と密着した取り組みを特徴としています。
「フェアトレードとは」,ゼンショー
ゼンショーフェアトレードは、2007年3月より東ティモールから開始しました。
東ティモールは、ゼンショーがフェアトレードを開始した最初の国です。2002年にインドネシア統治から独立、国内で武力衝突が起き治安が不安定な中、生産者を支援するため2007年よりフェアトレードを開始しました。
「東ティモールでコーヒー豆保管倉庫が完成!」,ゼンショー 2018年2月14日.
タンザニアにおいては、2009年からG32キリマンジャロ新協力イニシアティヴ有限合併会社(G32 KNCI-JVE-LTD)とコーヒーの取引を開始しました。2010年に現地で活動する医療系NPOのタンザニア家族計画協会(UMATI)と提携し、社会開発資金を活用した「母子健康プログラム」を開始しました。
現地を訪ね現実を目の当たりにしたゼンショーは、この問題を解決するため、フェアトレードによって生まれる社会開発資金※を活用して、母子死亡率の低減を目指す取り組みを行うことをコーヒー生産者組合に提案しました。
※社会開発資金・・・原料買取価格の中で現地の人々が必要とする様々な生活改善活動に充てられる金額のこと。
「『母子健康プログラム』でお母さんと赤ちゃんを守る」,ゼンショー 2019年8月23日.
【本物である面白いイワク その2 黒い企業が白い騎士となる】
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暴れん坊グループ「G32 KNCI-JVE-LTD」は、KNCUから復帰の
切り崩し工作を受け、タンザニアの政府とTCBから認可取り消し
で妨害工作を受け続けてきました。それでも、コーヒー産業と
農村の立て直しを模索しつつ苦渋する「G32 KNCII-JVE-LTD」。
そこに、日本の企業から救いの手が差し伸べられました。生豆の
フェアトレード取引はもとより、その一部を社会開発基金として
還元し、母子健康プログラムや災害復興を支援し始めたのです。
それが、「すき家」のワンオペで一躍ブラック企業として悪名高い
ゼンショーホールディングスです。日本の黒い企業が白く輝く
キリマンジャロの山麓へ…タンザニアのコーヒー流通網で孤立
したワンオペ(?)に苦しむ組織の前に、白馬の騎士のごとく
現れたのです。今般の豆は、このゼンショーフェアトレード品です。
ゼンショーは、2012年にアフリカにおけるフェアトレードの拠点として、タンザニアにゼンショーフェアトレードアフリカ事務所を設立しました。
2018年にG32キリマンジャロ新協力イニシアティヴ有限合併会社(G32 KNCI-JVE-LTD)は有機栽培に転換し、2019年に有機JASキリマンジャロコーヒーがゼンショーに向けて出荷されました。
2018年11月にゼンショー社員がキリマンジャロ山麓のコーヒー産地を訪問し、生産者組合と現地の課題を話し合った際、代表のウロミ氏からキリマンジャロとしては珍しい取り組みが提案されました。
「有機栽培への転換を」,ゼンショー 2019年12月19日.
「多くの生産者が皮膚や喉など問題を持つようになっている。私達はコーヒー栽培にも使用している農薬が原因の一つではないかと考えている。彼らの健康のためにも農薬を使用しない有機栽培への転換をしたい。」
タンザニアのコーヒーは、タンザニア南部のコーヒー生産の減少により、価格が上昇しています。量の減少による価格の上昇は、一定量と価格を同時に担保するフェアトレードの取り組みには、大きな影響を与えることはないかもしれません。
「キリマンジャロ」で知られる東アフリカ、タンザニア産のコーヒー豆価格が急騰している。同国南部は2020年4月ごろから雨が多く、低温多湿を好む「コーヒー炭そ病」がまん延。それまでの豊作見通しから一転して減産が確実となり、先物価格に上乗せする同国産のプレミアム(割増金)が急騰した。
「キリマンジャロ、ぜいたく品? タンザニア産コーヒー豆急騰、1年で3倍」,日本経済新聞 2021年3月12日.
当該のCBD被害に苦しんでいるタンザニア南部は北部(の一部が本来のキリマン産地)より大規模なコーヒー畑があるので量的に深刻かも。 https://t.co/xBbZaMc12a
— 鳥目散 帰山人 (@kisanjin) March 12, 2021
今、貧国の可耕地は外国の大企業からの争奪の対象となっていてモノポリー(喩えがアナログに古くてスマン)状態。コーヒーにおいても、「我が社は生産地に直営農園を広大に持ってます」と消費者に自慢する企業にも、場合によって生産国側からみれば「土地資源を支配権ごと奪取された」ということも。
— 鳥目散 帰山人 (@kisanjin) March 12, 2021
FLJに限らずフェアトレードに関連する運動や団体は、コーヒー価格の高騰期にはそれに直接的に触れる言説がめっきり少なくなる傾向にある、と私は感じている。コーヒー市場価格の低迷期にその低価格を社会的不当と声高に訴えかける論法が、保証価格を超えることで説明し難く「自分の首が締まる」状況を生むのであろう。
「欺瞞の倫理」,帰山人の珈琲漫考 2011年3月4日.
モリバコーヒー
ゼンショーは、本社および119の関連会社、計120社(2021年現在)によって構成されており、フード事業を行っています。フード事業は、外食事業と小売事業に大きく分けられ、外食事業はさらに牛丼カテゴリー、レストランカテゴリー、ファストフードカテゴリーに分けられます。
ファストフードカテゴリーで、2015年に株式会社 善祥カフェのモリバコーヒー(MORIVA COFFEE)が設立され、ゼンショーフェアトレードのコーヒーが提供されています。
小川 賢太郎
ゼンショーの小川 賢太郎(おがわ けんたろう)は、全共闘に参加した新左翼の残党として、株式会社による世界変革を考えています。
小川 旧民主党の幹部たちと会うと、もうイデオロギーの時代は終わった、みたいな認識なんだよね。違うんだよ。今こそ必要なのに。
「小川賢太郎(国民生活産業・消費者団体連合会会長) 【佐藤優の頂上対決/我々はどう生き残るか】」,デイリー新潮 週刊新潮 2019年11月21日号掲載.
帰山人の珈琲遊戯 タンザニア キリマンジャロ モシ ゼンショーフェアトレード
承前) 丸豆の集団から平豆だけを手選別する場合は、通常と逆になるので目が慣れなくて格段に精度が落ちます。先の画像にも明らかに平豆とわかる粒が3つほど混じっています。この後に再選別して、「もしキリ」は丸豆率99%保証(?)で仕上げています(100%と言うのは怖いw)
— 鳥目散 帰山人 (@kisanjin) July 4, 2021
【生豆と焙煎の仕立て】
タンザニア連合共和国 キリマンジャロ州
モシ地区 G32 KNCI-JVE-LTD
ゼンショーフェアトレード THINK-EARTH
PB(ピーベリー等級) 有機JAS/ECOCERT認証
ブルボン・ケント・ゲイシャ他 ウォッシュト(湿式精製) 100%
原料生豆は等級もロットもピーベリー(PB)ですが、
実際には平豆(フラットビーン)も1割以上混じって
いるので、手元で徹底選別(もちろんワンオペです)。
本当に丸豆(ピーベリー)99%以上に揃えました。直火の手廻し釜で火力一定の「一本焼き」18分25秒、
フレーバー通販ページ
(もちろんワンオペです)。原料豆のカワイイ形状に
騙されやすい(?)ですが、本物のキリマンジャロ
コーヒーだけあって、半端な火通りではかなり強烈な
酸味がザラっと舌に残る感じで出てきます。今般の
珈琲遊戯では、このザラつき感が完全に消失して、
独特の強い酸味が柔らかな感じで甘苦さに溶け込み
きるところまで、深煎りに仕立てました。ちょっと
面白いイワク付きの丸豆「もしキリ」、ご笑味ください。
味
すっきりとした柔らかい口当たりと深煎りでもはっきりと感じられる酸味が印象的です。キリマンジャロ特有の強い酸味がはっきりと感じられますが、深煎りの焙煎によって酸味がまろやかになり、柔らかい味わいに仕上がっています。