丸美珈琲店:ホンジュラス リモンシット農園 パライネマ ホンジュラス COE 2018年 第27位

丸美珈琲店のホンジュラス リモンシット農園 パライネマ ホンジュラス CoE 2018年 第27位とホンジュラス アルトス農園のパライネマです。丸美珈琲店は2006年4月に後藤栄二郎氏がオープンした札幌市中央区に本店があるスペシャルティコーヒー専門店です。現在札幌市内に4店舗展開しています。

ホンジュラス リモンシット農園 パライネマ ホンジュラス CoE 2018年 第27位

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ホンジュラス

ホンジュラス(Hounduras)は、西にグァテマラ、南西にエルサルバドル、南東にニカラグアに国境を接し、北にカリブ海、南太平洋に接する中米の国です。コーヒーの生産が有名ですが、その他にバナナ、コーヒー、砂糖などを生産している農業国です。コーヒーは西部から南部にかけての山岳地帯で栽培されます。気候は高温多湿の熱帯気候ですが、標高により気温差が大きいです。

ホンジュラスのコーヒー生産は同じ中央アメリカのグアテマラやコスタリカ、パナマと比較すると有名ではありません。しかし、コーヒーはホンジュラス経済の主要な部分を占め、2011年には中央アメリカで最大のアラビカ種コーヒー生産国となりました。

ホンジュラスのコーヒー産地、Ragá Coffeeより

ホンジュラスのコーヒーの主要産地は、アガルタ(Agalta)、コマヤグア(Comayagua,)、コパン(Copan)、エル・パライソ(El Paraiso)、モンテシリョス(Montecillos)、オパラカ(Opalaca)の6つです。

1990年代の中央アメリカでは、グアテマラやコスタリカが高品質なコーヒーを生産することで知られていましたが、ホンジュラスは2000年代に入るまで、低品質なコーヒーの生産国として知られていました。

ホンジュラスは土壌や標高、気象など、高品質のコーヒーを生産する条件には恵まれていましたが、コーヒー生産や流通のためのインフラストラクチャが整っていなかったために、高品質のコーヒーを生産する国として評価されませんでした。1998年に中央アメリカを襲ったハリケーン・ミッチ(Hurricane Mitch)は、ホンジュラスの農業の80%を破壊しました。その時点では、もはやホンジュラスで生産したコーヒーをホンジュラス産のコーヒーとして販売するメリットがなかったために、ホンジュラスのコーヒーがグアテマラに持ち込まれ、グアテマラ産として輸出されることもあったそうです。

2000年代に入ると、コーヒーのインフラストラクチャ(特に遠隔地のコーヒー生産地域への交通網)の整備や、コーヒー生産に対する財政的な投資が行われ、ホンジュラスのコーヒー生産は急速に成長します。

2000年にホンジュラスコーヒー機関(Instituto Hondureño del Cafe、略称IHCAFE)が設立、2004年にホンジュラスCoE(Cup of Exellence、カップ・オブ・エクセレンス)が始まり、高品質のコーヒー生産の条件が整備されます。

現在ホンジュラスのコーヒー農家の約95%は、2ヘクタール未満の土地でコーヒーを栽培する小規模農家で、ほとんどが家族経営の農園です。

現在ホンジュラスは5年連続で続く干ばつに苦しんでいます。ホンジュラスのいくつかの地域では、この干ばつにより、ホンジュラスの主要作物である豆やとうもろこしの収穫が80%減少するという危機的事態に陥っており、政府は緊急事態宣言を発令しました。

この干ばつはコーヒー生産にも影響を与え、コーヒーさび病菌による被害も後押ししてます。現在ホンジュラスはアラビカ種の一大生産国であるために、世界のコーヒーの取引価格にも影響を与えています。

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リモンシット農園

農園の様子、Alliance for Coffee Excellenceより

ホンジュラス リモンシット農園(Limoncito)は、ホンジュラス最西部、グアテマラ国境近くのラ・エンカルナシオン(La Encarnacion)オコテペケ(Ocotepeque)に位置する農園です。

農園主はロベルト・セラフィン・ラミレス・フェルナンデス氏(Roberto Serafín Ramírez Fernandez)です。80年以上の歴史を持つ家族経営の農園です。農園名の「リモンシット(Limoncito)」は、スペイン語で「小さなレモン」を意味しています。ロベルト氏と彼の家族のコーヒへの情熱と勤勉が素晴らしいクオリティのコーヒーを生み出しています。

農園の歴史は、1930年にロベルト氏の父、ドン・エリサンドロ・ラミレス氏(Don Elisandro Ramírez)がオコテペケにやってきてこの地に定住したことに始まります。彼はホンジュラスの農学研究者、ポンピリオ・オルテガ・ヘルナンデス氏(Pompilio Ortega Hernández)がホンジュラスの市町村に送った小冊子を読み、この国の未来を担うであろうコーヒー生産に興味を持ちました。

ポンピリオ・オルテガ・ヘルナンデス

ポンピリオ・オルテガ・ヘルナンデス、Wikipediaより

ポンピリオ氏はアメリカ合衆国のノートルダム大学(University of Notre Dame)で農学を学んだ後、1925年にホンジュラス中部のコマヤグア県(Comayagua)サン・ジェロニモ(San Jerónimo)農業学校に設立された教員養成機関 (スペイン語:Escuela normal)の学校長になりました。彼はまた、ホンジュラスで最初のボーイスカウトグループ、「ホンジュラスのスカウト協会(スペイン語:La Asociación Scout de Honduras (ASH) )」創設者兼初代代表で、その後、最初のコーヒー会社を設立し、雑誌「ニュース・アバウト・コーヒー(スペイン語:Noticias sobre Café、英語:News about Coffee)」を創刊しました。

ホンジュラスのコーヒーの歴史

ホンジュラスへのコーヒーの導入の起源と正確な日付はよくわかっていませんが、ホンジュラスの州知事、ラモン・デ・アンギアノ氏(Ramón de Anguiano)が1801年に発表した鉱業と農業に関する国の改善についてのレポートで、コーヒーの生産に関する記録が残されています。

ホンジュラスのコーヒーがどこから導入され、最初にどの場所に植えられたのかは詳しくはわかっていませんが、ポンピリオ氏の記録によると、パレスチナ国籍の行商人がコスタリカからホンジュラスにコーヒーを持ち込んだのが最初で、最初のコーヒーはオランチョ県(Olancho)の小さな村、マント(Manto)に植えられたようです。

農園の始まり

ドン・エリサンドロ・ラミレス氏はグアテマラからホンジュラスへと流れ込むレンパ川(英語:Lempa river)近くに1マンサーナ(manzana)=約0.7ヘクタールの小さな土地を取得し、その土地にティピカ種(Typica)を植えました。このレンパ川はグアテマラではリオ・オロパ(スペイン語:Río Olopa)と呼ばれ、ホンジュラスに入るとリオ・レンパ(スペイン語:Río Lempa)とその名前が変わります。

栽培品種はティピカ種から1985年までにカツーラ種(Caturra)に変更されましたが、コーヒーさび病菌の被害で全滅しました。現在はカツアイ(Catuaí)とパライネマ種(Parainema)が栽培されています。

リモンシット農園のパライネマ種は、2018年のホンジュラスCoEで86.93点を獲得、第27位に入賞を果たしました。今回はこのコーヒーについてです。

品種

パライネマ種、ワールド・コーヒー・リサーチより

農園の標高は1,100mとそれほど高くありませんが、パライネマ種(Parainema)という新しい品種の生産には適切な環境でした。

この品種はホンジュラスコーヒー機関(Instituto Hondureño del Cafe、略称IHCAFE)によって開発された新しい品種です。標高がそれほど高くない場所での生産に適応し、コーヒーさび病菌(Coffee Leaf Rust)といくつかの線虫に耐性があります。交配種でありながら、カップクオリティに優れていることで、現在注目を浴びている品種です。

パライネマ種は、高生産性を誇るコスタリカ由来の矮性ブルボンであるビジャ・サルチ種(Villa Sarchi)と、アラビカ種とロブスタ種の交雑種であるティモール・ハイブリット種(Timor Hybrid)の交配種、T5296というサチモール(Sarchimor)系統の品種からの選抜種です(ティモール・ハイブリット種に関しては旦部幸博氏の百珈苑BLOG「続いていた探索とティモールの奇跡」や「さび病耐性品種の発展」などを参照してください)。

T5296は遺伝的に不安定な品種でしたが、ここから選択的育種が行われ、ホンジュラスのパライネマ種、エルサルバドルのクスカトレコ種(Cuscatleco)、プエルトリコのリマニ種(Limani)、ブラジルではオバタ・ロホ種(Obata Rojo)、トゥピ種(Tupi)、IAPAR 59種が生まれています。

パライネマ種の「パラ(Para)」は「抵抗(Against)」を、「ネマ(Nema)」 は「線虫(Nematodes)」を意味し、コーヒーさび病菌に対する耐性と同時に線虫に対する耐性も持っていることからその名前が付けられました。

通常、このような交配種はカップクオリティが低く評価されるのが常ですが、このパライネマ種は交配種でありながら、ゲイシャを思わせるような上品で華やかなフレーバーを持っています。

ホンジュラスCoEとパライネマ種

エル・ローレン農園のパライネマ種、Greitより

2015年のホンジュラスCoEで、ロス・ジョジョス農園(Finca Los Yoyos)のパライネマ種が91.19点を獲得し優勝、また2017年のホンジュラスCoEで、エル・ローレン農園(El Laurel farm)のパライネマ種が91.81点を獲得し優勝するなど、近年注目を浴びている品種です。

精製方法

精製方法はウォッシュト(Washed、湿式)です。ウォッシュトは収穫したコーヒーチェリーをパルピング(pulping、果肉除去)し、発酵と水洗い後、パーチメント(Parchment)付きコーヒー豆を乾燥させ脱穀する方法です。ウォッシュトでは水洗いするためキレイな味わいに仕上がります。

柑橘系の果実感のあるフレーバーと酸味、チョコレートのようなボディ、ハチミツのような甘味と滑らかな口当たりが特徴です。通常の交配種には見られない、華やかなフレーバーと上品な口当たりが特徴です。

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丸美珈琲店のホンジュラス リモンシット農園 パライネマ ホンジュラス CoE 2018年 第27位

<このコーヒーについて>

2018年ホンジュラスで開催されたカップオブエクセレンス(CoE)において86.93点を獲得し27位に入賞したコーヒーです。

CoEとはその年に収穫されたコーヒーの中から最高品質の物に送られる賞で、中南米を中心に各国で行われているコーヒーのコンテストです。

国内予選を勝ち抜き、国際審査員による厳正なる審査を受け、最高のコーヒーとして評価されたごくわずかなコーヒーだけが授与される称号でもあります。

このコーヒーはCoE入賞という部分もそうですが、もう一つ”パライネマ種”とういう品種にも注目することができます。

パライネマ種とはコーヒーの品種の1つで、ホンジュラスのコーヒー機関(IHCAFE)が耐病品種として新しく作った品種です。

その味わいはハイブリット品種ながらまるでゲイシャなのではと思うほど華やかで上品な風味があり、2017年にCoE1位を獲得したコーヒーもこの品種でした。

今最注目とも言えるこの品種のコーヒーをぜひお試しください。

丸美珈琲店 商品ページより
後藤栄二郎氏の紹介

後藤栄二郎氏は2013年の焙煎技術日本大会で優勝し、2014年のイタリア開催の焙煎技術世界大会で日本代表世界第6位になった方です。

焙煎

焙煎は浅煎りです。

焙煎度、商品ページより

パライネマ種はこのように大粒です。

Aroma/Flavor:Tropical fruit, chocolate, honey, tamarind, sweet molasses

Acidity:Lively, tangerine, vibrant, sparkling

Other:syrupy, silky, sticky mouthfeel, complex

「ホンジュラス CoE 2018 86.93」、ACE ホームページより

フレッシュな果実のようなジューシーさと蜜を思わせるコクのある甘さ

上品な風味が心地よく長く続きます。

後藤栄二郎のテイスティング評価、丸美珈琲店 商品ページより
味のバランス、丸美珈琲店 商品ページより

トロピカルフルーツのような華やかなフレーバーと柑橘系の酸味、ハチミツのような甘味と滑らかな口当たりが印象的です。酸味がとても華やかで、甘味がとても上品な印象のコーヒーです。

丸美珈琲店のホンジュラス アルトス農園 パライネマ

ホンジュラス アルトス農園(Finca Los Altos)については、詳しい情報が見当たりませんでした。

<このコーヒーについて>

2019年春にオーナーの後藤がホンジュラスを訪れた際に買い付けを決めたコーヒーです。

このコーヒーは今再注目のコーヒーの品種の1つとも言えるパライネマ種のコーヒーです。

パライネマ種はホンジュラスのコーヒー機関(IHCAFE)が耐病品種として作った品種です。

その味わいはハイブリット品種ながらまるでゲイシャなのではと思うほど華やかで上品な風味があり、2017年にCoE1位を獲得したコーヒーもこの品種でした。

ホンジュラスのコーヒー生産地として名高いサンタバーバラ県で作られる今話題の品種のコーヒーをぜひお試しください。

丸美珈琲店 商品ページより

焙煎

焙煎は浅煎りです。

焙煎度、商品ページより

オレンジやベルガモットを思わせる爽やかな風味

シロップのような滑らかで心地よい甘さと質感が続きます。

後藤栄二郎のテイスティング評価、丸美珈琲店 商品ページより
味のバランス、丸美珈琲店 商品ページより

オレンジやベルガモットのような柑橘系のフレーバーと強い酸味、ハチミツのような甘味と滑らかな口当たりが印象的です。オレンジやベルガモットのような強い酸味がハチミツのような甘味によって柔らかくなり、上品な印象を生み出しています。

<参考>

「Honduras」,Mercanta<https://www.coffeehunter.com/coffee-country/honduras/>2019年11月30日アクセス.

「Coffee Prices Rise as Bad Harvests Squeeze Supply: Reports」,The Epoch Times<https://www.theepochtimes.com/coffee-prices-rise-as-bad-harvests-squeeze-supply-reports_3158542.html>2019年11月30日アクセス.

「The Origin of Coffee in Honduras」,Turquoise Coffees<https://www.turquoisecoffees.com/blogs/news/the-origin-of-coffee-in-honduras>2019年11月30日アクセス.

「Honduras Coffee Origin」,The Blending Room<https://www.theblendingroom.co.uk/blog/honduras-coffee-origin/>2019年11月30日アクセス.

「Pompilio Ortega」,Wikipedia<https://es.wikipedia.org/wiki/Pompilio_Ortega>2019年11月30日アクセス.

「86.93」,Alliance for Coffee Excellence<https://allianceforcoffeeexcellence.org/directory/86-93-8/>2019年11月30日アクセス.

「Arabica Coffee Varieties - Parainema」,World Coffee Research<https://varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/parainema>2019年11月30日アクセス.

「Arabica Coffee Varieties - T5296 Sarchimor」,World Coffee Research<https://varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/t5296>2019年11月30日アクセス.

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