
ヒロコーヒーのエチオピア ゲシャ・ヴィレッジ ゴリ・ゲシャ ハニーです。ヒロコーヒーは大阪吹田市に本社を置く、1977年創業のコーヒー会社です。大阪、兵庫に直営店舗があります。
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エチオピア ゲシャ・ヴィレッジ ゴリ・ゲシャ ハニー

エチオピア
エチオピア(Ethiopia)は東アフリカに位置する内陸国です。北をエリトリア、東をソマリア、南をケニア、北西をスーダン、北東をジプチに囲まれています。首都はアディスアベバです。エチオピアは200以上の言語を話す70以上の民族グループを持っています。かつてエチオピアはアビシニア(Abyssinia)と呼ばれていました。
エチオピアはナイル一帯の高原地帯に位置している、面積113万平方キロメートル以上のアフリカ最大の国の一つです。エチオピアには海抜マイナス100mをきるアファール盆地(Afar Depression)があるダナキル砂漠(Danakil Desert)と、海抜約4,600mのエチオピアの最高峰、ラス・ダシャン山(Ras Dashan)までの険しい地形が広がっています。
エチオピアはグレート・リフト・バレー(Great Rift Valley、大地溝帯)の入り口にあたり、北東の紅海から南西に向かって国土を半分に割るようにグレート・リフト・バレーが貫いています。グレート・リフト・バレーの西と東で、コーヒーノキのタイプに違いが見られます。西側には自生のコーヒーノキがみられ、ゲイシャは西側で採取できるエチオピア起原の野生種です。
南部諸民族州

ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステート(Gesha Village Coffee Estate)は、エチオピア南部諸民族州(Southern Nations, Nationalities, and People's Region(SNNPR))ベンチ・マジ 地方(Benchi-Maji Zone)に位置しています。
エチオピアでは1995年に憲法改正があり、「エチオピア連邦民主共和国憲法(the Constitution of the Federal Democratic Republic of Ethiopia)」が施行されました。ここからエチオピアは「諸民族」の民族自治による連邦制へと移行しました。
このエチオピア連邦民主共和国憲法のもとで、「諸民族」の民族自治の理念に合わせて、1995年にエチオピアでは行政区画の変更がありました。エチオピアの行政区画は「州(Region または Regional state)」、「地方(Zone)」、「群(Woreda)」の順に区分されることになり、さらに郡の下に行政区画の最小単位として「住民自治組織(Kebele)」が置かれることになりました。
「南部諸民族州(Southern Nations, Nationalities, and People's Region(SNNPR))」は、1995年にエチオピアが各民族に州を割り当てた際、かつては独立していた各民族を一つの州にまとめ、形成された州です。現行憲法では一民族ごとに一州が割り当てられていますが、複数の少数民族で構成されている南部諸民族州は、「地方(Zone)」または「特別郡(Liyu Woreda)」が民族構成単位となっています。
ベンチ・マジ地方
ベンチ・マジ地方(Benchi-Maji Zone)は、エチオピア西南部の南スーダン(South Sudan)に国境を接する地方です。北東にケッファ地方(Keffa Zone)に接しています。
コーヒーは主な換金作物で、南部諸民族州の約10%、エチオピア全土の約4%のコーヒーを生産しています。
ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステート
ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステート(Gesha Village Coffee Estate)は、南スーダンの国境から数kmのジャングルに、471ヘクタールの広大な農園が広がっており、そのうちの320ヘクタールでコーヒーが栽培されています。

ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステートは、アメリカ生まれのアダム・オーバートン(Adam Overton)氏と、エチオピア生まれのレイチェル・サミュエル(Rachel Samuel)夫人によって経営されています。
アダム&レイチェル夫妻は、2007年にエチオピア政府からコーヒーのドキュメンタリー映画製作の依頼をきっかけに、2011年からコーヒー農園の開拓を始めました。アダム&レイチェル夫妻は、現地の先住民であるメアニット(Meanit)族との対話することで、彼らの理解、協力を得ることに成功しました。
アダム&レイチェル夫妻は、「ブート・コーヒー(Boot Coffee)」を運営しているコーヒー教育者、コンサルタントのウィレム・ブート氏(Willem Boot)(または、ウィリアム・ブート)から、高品質なコーヒーの栽培についての基礎を学びました。
ブート氏もまた、彼らと同様にゲイシャに対する情熱を持っています。彼は、2006年11月に「ゲシャを目指す旅」を企画しました。
二〇〇六年一一月、著名なコーヒーコンサルタントのウィレム・ブートが企画した調査旅行も、それが目的だった。米国カリフォルニア州在住のドイツ人であるウィレムは、ゲイシャに深く入れ込むあまり自身もコーヒー農家になり、投資目的で購入していたパナマの土地にゲイシャの木を植えていた。事前の調べで、ケファ(kefa)もしくはカファ(kafa)として知られる町の近くにはゲシャ(Gesha)と呼ばれる町が少なくとも三つあることがわかっていた。ウィレムは、そのすベてを訪れ、ゲイシャ特有の細長い葉をつけたひょろ長いコーヒーノキを探すつもりだった。
ウィレムの指揮のもと西洋人とエチオピア人を乗せた三台のキャラバンが編成され、ゲシャの町からゲシャの町へと金の実のなるスペシャルティコーヒーの木を探す旅が実行された。この調査旅行は、米国の人気リアリティ番組「サバイバー」を地で行くような旅となった。参加者は極限まで追い込まれ、人間の醜さと尊さを曝(さら)け出すことになる。遠路はるばるエチオピア南部の高地のとりでまで、車では進行不能な岩だらけのでこぼこ道を進むのだ。途中、降りやまない豪雨に見舞われ、事態はますます悪化した。沼のような泥道を足首まで沈ませながら六時間歩き続けるなかで年長のエチオピア人が一人、脚を痛めてしまった。その後、ある町ではエチオピアの貴重なコーヒー資源を盗み出すつもりかと地元の役人に責められ、追い出された。アフリカでも最悪の部類に入ると思われるホテルで一晩過ごしたこともあった(トイレも穴があるだけで、強烈な臭いを放っていた)。
マイケル・ワイスマン(2018)『スペシャルティコーヒー物語: 最高品質コーヒーを世界に広めた人々』久保 尚子(訳), 旦部 幸博 (監修), 楽工社.p.80-81
アダム&レイチェル夫妻は、ブート氏からコーヒー栽培の基礎について学んだ後、エチオピアに戻り、何ヶ月もかけてゲイシャの栽培に適した土地を探し求めました。彼らは標高の高い高地、豊富な降水量、温暖な気候、その他の自然条件が揃った土地を、ベンチ・マジ地方(Benchi-Maji Zone)に見つけました。
彼らは、この土地から約20㎞離れた場所に隣接する「ゴリ・ゲシャの森(Gori Gesha Forest)」というジャングルから、ゲイシャを採取しました。これは、ゴリ・ゲシャ(Gori Gesha)という品種として栽培されています。
アグロフォレストリー
ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステートはアグロフォレストリーを採用しており、コーヒーはシェードツリーの木陰で栽培されています。在来の植物がシェードツリーに使用されています。コーヒーの持続可能な生態系を創造するために、3万本以上の在来種のシェードツリーが植えられています。
アダム&レイチェル夫妻が、ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステートを建設した土地にたどり着いたとき、土地の約25%の森林が破壊されていました。そこでアグロフォレストリーの専門家による環境調査を実施し、この環境に適合する在来種を用いテロワールを活性化するように注意を払いました。1ヘクタールあたり2,000本の適度な密度で在来種を植えられています。
収穫期は、12月初旬から1月中旬までです。
ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステートは標高1,909m-2,069mの高地で、約70万本のコーヒーノキが栽培されています。農園の設立から6年目の2017年には、1,200袋を超える生産量(生産2年目)となりました。
ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステートの8つの区画と品種

ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステートは、8つの「ブロック(Block)」と呼ばれる区画で、3つの品種が栽培されています。各区画で生産されたコーヒーは、それぞれにタグが付けられ、生産履歴の追跡が可能になっています。
ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステートの区画
農園地域 | ヘクタール | 標高 | 品種 | フレーバー・プロファイル | 区画の説明 |
---|---|---|---|---|---|
バンギ(Bangi) | 54 | 1,911-2,001m | ゴリ・ゲシャ(Gori Gesha) | スイカズラとスパイスの豊かなアロマ。メキシコのモーレ、レッド・フルーツ、ブラック・ティー、糖蜜、ブラック・カラントのニュアンスを持つダークチョコレートとスパイスで満たされた強烈なフレーバー。 | 農園の東に隣接するバンギ・チチュル(Bangi-Chichuru)からは、農園で働く労働者の大多数がやってくる。 |
ディッマ(Dimma) | 28.7 | 1,966-2,019m | イルバボールの森(Illubabor Forest) | 鋭い酸味と爽やかな柑橘系の後味を持つ、コーヒーの花、ストーン・フルーツのいきいきとしたフレーバー・プロファイル。 | 農園の北に位置するディッマの有名な金鉱の町に因んで名付けられた。 |
ガイレー(Gaylee) | 34.8 | 1,916-1,982m | イルバボールの森(Illubabor Forest) | ジャスミンのフローラルな印象とストーン・フルーツの甘味で満たされた、マジパン、レモングラス、ハイビスカスの強烈な甘味、フルーツとスパイスのしっかりと結びついたプレーバー・プロファイル。 | ゲシャ・ヴィレッジの水源であるイエゴルドン川(Yetgordon river)が流れている、公式にはガイレー・ゲシャ(Gaylee-Gesha)と呼ばれる、農園に隣接する南東向きのケベレ。 |
オマ(Oma) | 67.6 | 1,931-2,040m | ゲシャ 1931(Gesha 1931) | ジャスミンの深みのある香りのティー・ローズのエキゾチックなアロマ。 ハチミツの甘味で支えられたピーチ、アプリコット、砂糖漬けのフルーツ、メロン、温州みかんの繊細なフレーバー。 | メアニット(Meanit)族に尊敬され愛される宗教指導者にちなんで名付けられた。 |
ナルシャ(Narsha) | 5.3 | 1,963-1,977m | ゲシャ 1931(Gesha 1931) | クリーンなピリッとした酸味、ベルガモットの余韻の長い後味を持つ、スイカズラ、イエロー・フルーツ、ライム、ダーク・チョコレート、ピーチ、アプリコット、ローズ。 | 農園の南部に位置する最も小さな区画。この地域に豊富にある在来種にちなんで名付けられた。 |
サーマ(Surma) | 45.9 | 1,909-2,063m | ゲシャ 1931(Gesha 1931) | 柔らかく、香り高い。 ジャスミン、ダマスカス・ローズ、イチゴ、熟したスイカ、赤リンゴ、繊細なスパイス。 | 眼下の谷の息をのむような景色が特徴のこの区画は、南西部の低地で生活する牧畜民の民族グループ、サーマ(Surma)にちなんで名付けられた。 |
シェワ・ジバブ(Shewa-Jibabu) | 48.5 | 1,973-2,069m | ゴリ・ゲシャ(Gori Gesha) | スパイス、イチゴ、熟したピーチ、パパイヤ、フローラル、ダーク・チョコレート、タマリンド、オレンジ、ベルガモットが混ざったフレーバ。 | 北向きのこの区画は、農園で働く労働者の多くがやってくる、農園に隣接する山とケベレにちなんで名付けられた。 |
シャヤ(Shaya) | 36.5 | 1,926-2,069m | ゴリ・ゲシャ(Gori Gesha) | ジャスミン、ベルガモット、オレンジの繊細なアロマ。赤りんごの甘さを持つ、 ダーク・チョコレート、タンジェリン・ジュース、アメリカン・チェリー、糖蜜、マイヤー・レモンの深いフレーバー。 | コミュニティを統治、助言、協力するメアニット族のリーダーにちなんで名付けられた。 |
品種
ゴリ・ゲシャ
ゴリ・ゲシャ(Gori Gesha)は、2011年にゴリ・ゲシャの森から採取されたゲイシャです。バンギ(Bangi)、シェワ・ジバブ(Shewa-Jibabu)、シャヤ(Shaya)で栽培されています。
ゴリ・ゲシャは、スイカズラのような甘味とスパイシーさを伴ったフレーバー、ピーチ、ハチミツ、チョコレートのような甘味とコクを特徴としています。
ゲシャ 1931
ゲシャ 1931(Gesha 1931)は、植物の形態、豆の形と大きさ、そしてカップ・プロファイルからパナマ・ゲイシャによく似ている品種として選別されたゲイシャです。オマ(Oma)、ナルシャ(Narsha)、サーマ(Surma)で栽培されています。
ゲシャ 1931は、ジャスミン、ローズ、ピーチ、アプリコットのような繊細で柔らかいフレーバーを特徴としています。
ゴリ・ゲシャよりもゲシャ 1931のコーヒーチェリーのほうが、赤みが強く、ワインのような色味があります。
イルバボールの森
イルバボールの森(Illubabor Forest)は、1974年にイルバボールの森から発見された病害虫に強い品種です。ディッマ(Dimma)、ガイレー(Gaylee)で栽培されています。イルバボールの森は、エチオピアの研究所からもたらされた品種です。
このロットの品種は、ゴリ・ゲシャです。
精製方法
精製方法はハニー(Honey、半水洗式)です。
ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステートでは、ウォッシュト(Washed)、ナチュラル(Natural)、ハニー(Honey)の精製方法が採用されています。
ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステートで生産されるコーヒーは、品種、区画によってそれぞれ味に違いがありますが、それらを様々な方法で精製することによって、多様な味わいを生み出しています。
ゲシャ・ヴィレッジ・コーヒー・エステートでは、川の水をできるだけ使用しないようにするために、エコ・パルパーとムシラージ除去装置を使用しています。自然環境の保全のために、再循環と廃水のろ過システムを採用しています。
ハニー精製では、パルパーでパルピング(果肉除去後)、ムシラージ(粘着質)を残したまま11%の水分含有量まで乾燥させます。
味
ゲイシャ特有のジャスミンやベルガモットのようなフレーバーに、ハニー精製の甘味が加わったフレーバーが特徴です。
ヒロコーヒーのエチオピア ゲシャ・ヴィレッジ ゴリ・ゲシャ ハニー

現在、世界のコーヒーシーンを席巻する「ゲイシャ」。
ヒロコーヒー ホームページより
我々はコーヒーのルーツに近い苗のひとつから生み出されたこのゲイシャ原初の地をアフリカ・エチオピアに見つけました。
名前の由来となった近隣の「ゲシャ村」にほどちかいゴリ-ゲシャの森で育まれたカップはゲイシャの原初にふさわしい野趣と繊細さを併せ持ち、現在のコーヒーシーンへの「究極の回答」とも言えるでしょう。

味
ゲイシャ特有のジャスミンやベルガモットのようなフレーバーとほのかな甘味、綺麗な柑橘系の酸味が印象的です。非常にクリアでスムースな口当たりです。
<参考>
Gesha Village Coffee Estate<https://www.geshavillage.com/>