スターバックス リザーブ®:ボリビア ブエナビスタ エステート ゲイシャ

スターバックス リザーブ®のボリビア ブエナビスタエステート ゲイシャです。スターバックスは言わずと知れた世界的なコーヒーチェーンです。スターバックス リザーブ®は一部限定店舗でのみ取り扱われる希少なコーヒー豆です。お店で飲むこともできますが、豆を購入することもできます。お店ではクローバーというスターバックス独自の抽出マシーンで淹れたコーヒーを飲むことができます。

ボリビア ブエナビスタ エステート ゲイシャ

ボリビア

ボリビア(Bolivia)は、南アメリカの共和国です。北東をブラジル、南をアルゼンチン、南東をパラグアイ、南西をチリ、北西をペルーに囲まれた内陸国です。憲法上の首都はスクレ(Sucre)ですが、実際上の首都はラパス(La Paz)です。

アンデス山脈はボリビア西部にまたがり、3つの主要地域を形成しています。西部の山岳地帯の高地とアルティプラーノ(Altiplano、2つかそれ以上の山脈の間に広がる標高の高い平坦な高原地帯)、東部の山の斜面にある亜熱帯のユンガス地域(Los Yungas)と温帯の渓谷、そして、リャノ (llano)またはオリエンテ (Oriente)と呼ばれる北部と東部に広がるアマゾン熱帯の低地です。

ボリビアは金・銀・錫・石油・天然ガス・リチウムなどの豊富な天然資源を持っていますが、かつて「黄金の玉座に座る乞食」と形容されたように、ラテンアメリカで最も開発が低く貧しい国です。この深刻な貧困国にとって、経済、社会、そして環境の持続可能性を支える質の高い製品を生み出すのに必要なインフラストラクチャや技術を開発することが問題となっています。

ボリビアのコーヒーの歴史は、ブラジルからコーヒー農園の黒人奴隷が逃亡したときに苗木を持ち込んだのが始まりです。ボリビアのコーヒー生産はラパスの北東にあるユンガス(Los Yungas、地元のケチュア語で「暖かい谷」の意味)の農村地域に集中しており、そこでボリビアの約95%のコーヒーが生産されます。ユンガス地方のマイクロクライメット(微気候)、高い標高(1,400-2,100m)、肥沃な土壌、温暖な気候は高品質なコーヒー生産に最適です。他のコーヒー生産地域にはサンタクルス(Santa Cruz)、ベニ(Beni)、 コチャバンバ(Cochabamba)、タリハ(Tarija)、パンド(Pando)があります。

ボリビアコーヒーの歴史

ボリビアのコーヒー生産は1880年代にさかのぼります。ボリビアでは長年にわたり、ほとんどのコーヒー農園は裕福な大規模土地所有者によって所有されていました。ボリビア政府は1991年の土地改革によって、大部分の大規模土地所有を収用し、それらを農村の23,000の農家に再分配しました。1〜8ヘクタールの小さな区画が再分配され、ボリビアのコーヒーの85〜95%を生産しています。そこで栽培される品種のほとんどが有機栽培のアラビカ種です。

ボリビアコーヒー業界全体では、28の民間企業がコーヒー輸出貿易の70%以上を支配しています。残りの30%は、ボリビアの17のコーヒー協同組合によって取引されています。民間部門と協同組合部門の両方がボリビアコーヒー委員会であるコボルカ(Cobolca、Comite Boliviano del Cafeの略)のメンバーです。ボリビアのコーヒーのほとんどは、アメリカ、ドイツ、その他のヨーロッパ諸国、ロシア、日本に輸出されています。

ボリビアでは2004年からカップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence)が始まり、ボリビアコーヒーの認知度を高めましたが、ボリビアコーヒーは世界で最も高い標高と最も低い緯度で生産されるため、この国で生産される様々なコーヒーはまだ市場に充分に紹介されていません。

ボリビアは、高い標高、肥沃な土壌、定期的な雨期など、高品質のコーヒー生産のためのすべての条件が揃っています。しかし、険しい地形とインフラや技術の欠如により、収穫後の品質管理は困難な課題となっています。ボリビアコーヒーはかつてはブレンドにのみ適した低品質のコーヒー生産国と考えられていましたが、現在、コーヒー産業の変革に取り組んでいます。

ボリビアの高品質なコーヒー生産は、アメリカが麻薬戦争の一環としてボリビアのコーヒー生産を支援したことが始まりです。アメリカからの開発援助によって、コーヒー農家の近くに精製加工施設が設立されるようになりました。それまでコーヒー生産者は、自分たち農園でコーヒーチェリーをパルピング(Pulping、果肉除去)してから、それをコーヒー生産地域から遠く離れたところにある集中処理所に運んでいました。まだ乾燥していないコーヒー豆は、山を通り抜ける長い曲がりくねった道で様々な高度や気候条件で運ばれるため、極端に変化する気温にさらされることになり、ダメージを受けていました。しかし、精製加工施設が農家の近くに設立されることによって、運送の手間と労力がなくなり、コーヒー豆が傷むことなく、精製することができるようになりました。

ボリビアのコーヒー生産量の減少

ボリビアのコーヒー生産量、Melbourne Coffee Merchantsより

しかし、ボリビアのコーヒー生産量は年々減少しています。2006年の年間輸出は約8万5000袋で、 2010年約7万袋でした。(これはブラジルの1つの大農園の年間生産量に相当します)。 2014年には年間輸出3万袋にまで半減しました。

ボリビアのコーヒー生産量の減少、TeleSUR Englishより

この減少に寄与するいくつかの要因があります。 1つは、コーヒー生産はボリビアで伝統的に栽培されるコカと競合していることにあります。コカは一年中収穫でき、儲けやすいため、農家はコーヒー栽培よりもコカ栽培を選びます。しかし長期的に見ると、コカ畑はコミュニティと土地に壊滅的な影響を与えます。手付かずのままの熱帯雨林はコカ栽培のために違法に破壊され、そしてシェードツリーの欠如は侵食に繋がる大きな問題を起こします。コカ生産者が作物を強くするために殺虫剤を過剰に使用すると、土壌も時間の経過とともに不毛になります。そこには他に何も育てることができないので、その土地は放棄されます。

コーヒー生産を支援し促進する中央組織が存在しないことも、ボリビアのコーヒー貿易の活力を脅かしています。グアテマラやブラジルのような他のコーヒー生産国とは異なり、ボリビアのコーヒー生産者は政府や国の農業団体からの支援を受けていません。歴史的には、アメリカの麻薬戦争の一環として、コカの代替作物としてコーヒー栽培が支援されていました。しかし、先住民族出身のエボ・モラレス(Evo Morales)が大統領になると、彼はアメリカによる支援を止めました。それは彼が元コカ生産者で、アメリカ帝国主義の象徴であるコーヒー生産よりも、ボリビアの伝統的な農産物としてコカ栽培を推進しているためです。

ブエナビスタ エステート

ペドロ・ロドリゲス氏のインタビュー、Market Lane Coffeeより

ブエナビスタ エステート(Buena Vista Eatate)はラパス県ユンガス地方南部カラナビ(Caranavi)にあります。カラナビは人口約50,000人のユンガス地方最大の都市です。ペルーとボリビアにまたがる古代湖、3,890mの天空に近いチチカカ湖(Titicaca)周辺の都市の一つです。

農園主はペドロ・ロドリゲス氏(Pedro Rodriguez)です。

ブエナビスタを構成する小規模農園は標高の高い場所に位置し、2,000mにまで達する農園もあります。この地域もコーヒー栽培がコカ栽培と競合し、高品質のコーヒー生産が難しくなっています。ペドロ氏は高品質コーヒーの生産のためのインフラストラクチャの整備と教育に尽力する、力のあるコーヒー生産者の一人です。

ペドロ・ロドリゲスとアグリカフェ

アグリカフェのロゴ、アグリカフェ ホームページより

ペドロ氏は「アグリカフェ(Agricafe)」というユンガス地方と南ユンガス地方の1,000以上の小規模生産者を代表する組織を運営しています。

ペドロ氏は1986年にコーヒー業界に入り、生産者との信頼と相互利益の構築に焦点を当てたアグリカフェを始めました。彼は2000年代前半にスペシャルティコーヒーの可能性を認識し、ボリビア・スペシャルティコーヒーの第一人者となりました。アグリカフェは現在、彼の息子ペドロ・パブロ氏(Pedro Pablo)、娘のダニエラ女史(Daniela)とともに運営されています。

ブエナ・ビスタ・ミル

ブエナ・ビスタ・ミル、アグリカフェ ホームページより

アグリカフェはカラナビ地方と南ユンガス地方の100以上の小規模生産者を代表しています。カラナビの小規模生産者が生産したコーヒーは、カラナビにあるブエナ・ビスタ・ミル(Buena Vista Mill)に持ち運ばれます。このミルはフル・トレーサビリティ・ミルで、ロットごとに個別の精製加工ができ、個々の生産者の生産履歴が追跡可能となっています。

このミルから遠く離れた場所で生産されたコーヒーであっても、品質の高いコーヒーは買い取ります。これらのコーヒーは生産者が自身で精製した後、ミルに送られ、アグリカフェの品質管理チームによって評価と承認を受けます

ペドロ氏と彼のチームは、最善の方法を共有し、生産者に品質を改善するために必要な情報とサポートを提供することで、長期的な視野で彼らと生産者がともに利益になるような関係を築いています。

アグリカフェは、ブエナ・ビスタ・ミルの他にエル・フェルテ・ミル(El Fuerte Mill)のウェット・ミルを所有しており、エル・フェルテ農園(Finca El Fuerte)で生産されたコーヒーはすべてこのミルで精製されます。

ドライ・ミル

ムーン・ミル、アグリカフェ ホームページより

また、ドライ・ミルとして、ムーン・ミル(Moon Mill)を所有しています。このミルはラパス県カヌーマ(Kañuma)に位置しており、ウェット・ミルで精製処理されたコーヒーはここに集められ、選別、梱包、そして輸出されます。

ロス・ロドリゲス農園

ロス・ロドリゲス農園、アグリカフェ ホームページより

2012年にボリビアではコーヒーさび病菌が流行しました。ペドロ氏はボリビアのコーヒー生産が全滅することを危惧し、最低限の供給を維持できるようにする必要があると考えました。彼はカラナビのブエナ・ビスタ・ミル近くに土地を購入し、ラ・リンダ農園(Finca La Linda)という最初の農園を設立しました。

現在では、自らの名前を冠したロス・ロドリゲス農園(Fincas Los Rodriguez)の名の下に、12の農園と130ヘクタールの土地を所有しています。このうち7つはカラナビに、5つはボリビア東部のサンタ・クルス(Santa Cruz)サマイパタ(Samaipata)にあります。

カラナビにある農園の1つにクシロ ファームがあり、クシロ ファームのジャバは、スターバックス リザーブ®で取り扱いがあります。

クシロ ファームについては以下の記事を参照してください。

ソル・デ・ラ・マニャーナ

ソル・デ・ラ・マニャーナのロゴ、Melbourne Coffee Merchantsより

ロス・ロドリゲス農園プロジェクトの最高の成果の1つは、地元のコーヒー生産への貢献です。地元の小規模生産者に現代の農業技術を指導することで、彼らが持続可能な方法でコーヒーを生産できることを示しました。

ソル・デ・ラ・マニャーナ、MCMより

この成果をもとに、ロドリゲス家は「ソル・デ・ラ・マニャーナ(Sol de la Mañana)」というプログラムを始めました。これは国内初の生産者指導プログラムで、コーヒー農法の体系的かつ科学的アプローチを地元の生産者と共有し、より高品質のコーヒーをより多く生産できること、コーヒーを生産者にとって持続可能な作物にすることを目的としています。

ロドリゲス家がこのプログラムを設立した理由は、上記で見たボリビアのコーヒー生産の減少です。現在、ボリビアのコーヒー生産者の平均生産量は、1ヘクタールあたり2.5袋(1袋=60kg)です。コーヒー生産者は1-3ヘクタールの土地しか所有していないことを考慮すると、彼らはせいぜい10袋程度しか生産していないことになります。

持続可能な生産モデルを実現するには、1ヘクタールあたり30-35袋のコーヒーを生産する必要があります。ロドリゲス家は、この問題を解決するためのカリキュラムを作成し、一人ひとりの生産者の生産量を増やし、品質を向上させるために必要なスキルとトレーニングを提供することを決定しました。

苗床、Melbourne Coffee Merchantsより

このプログラムでは、苗床の作り方、肥料の使用方法と時期、剪定方法、収穫する実の選び方などを指導します。ロドリゲス家は、ブエナ・ビスタ・ミルにモデル農園と苗床を作りました。

2017年にこのプロジェクトの最初の成果がは発表されました。品質は向上し、1ヘクタールあたりの生産量も20袋と上昇しましたが、結果は満足のいくものではありませんでした。最初は10のメンバーで始まったこのプログラムは、現在では60の生産者がメンバーに登録しています。

品種

品種はゲイシャ(Geisha,Gesha)です。

ゲイシャは1、930年代にエチオピアで発見されたアラビカ種の野生種です。エチオピアで発見されたゲイシャはアフリカから1953年に中米のコスタリカの研究所であるCATIE (英語:The Tropical Agricultural Research and Higher Education Center、スペイン語:Centro Agronómico Tropical de Investigación y Enseñanza)に持ち込まれ研究されていました。そして、それはさび病対策として各国の様々な農園に譲渡されていましたが、標高の低い場所では効果がなく、ほとんどの農園が放置するか処分していました。

1963年、ドン・パチ(Don Pachi)農園のフランシスコ・セラシン・シニア(Sr. Francisco Serracin)氏がコスタリカからパナマへゲイシャを持ち込み、栽培を始めました。この時は好奇心から試しに植えてみたといった程度で、収穫量が低く、栽培が難しかったことから、数年後にはそのまま放置されました。

それから長い時を経て、2003年にパナマ エスメラルダ農園のダニエル氏が買い取った農園に生えていたゲイシャを焙煎してみたところ、その優れた味わいに驚き、エスメラルダ農園で栽培を開始することになりました。そして、2004年のベスト・オブ・パナマ(Best of Panama(BoP))というコーヒーの国際品評会で、パナマ エスメラルダ農園のゲイシャが当時破格の落札価格を記録したことから一躍有名となりました。

エスメラルダ農園のゲイシャについては、以下の記事を参照してください。

そこからパナマはもとより、他のコーヒー生産各国でもこのゲイシャが栽培されることとなりました。ブエナビスタエステートのゲイシャは、パナマの生産者から分けてもらった種が元となっています。

ペドロ氏と彼のチームのコーヒー生産は、非常に科学的なアプローチを取っています。彼らの農園では、コーヒーの品質と生産量を最適化するための様々な農業技術と品種が試行されています。

ブエナビスタ エステートで栽培されているコーヒーは、カツーラ(Caturra)、カツアイ(Catuai)、ティピカ(Typica)、SL-28など様々な品種で構成されています。コーヒーは品種ごとに整理され、栽培されています。

精製方法

製方法はウォッシュト(Washed、湿式)です。ウォッシュトは収穫したコーヒーチェリーをパルピング(pulping、果肉除去)し、発酵と水洗い後、パーチメント(Parchment)を乾燥させ脱穀する方法です。ウォッシュトでは水洗いするためキレイな味わいに仕上がります。

ブエナビスタでは、出来るだけ水を節約するために、発酵工程で水を用いません。

ブエナビスタのコーヒーはクリーンな味わいを特徴としています。このゲイシャは、ほのかなハチミツのような甘味のある、キレイな味が特徴です。ゲイシャ特有のジャスミンのようなフレーバーがわずかに感じられます。

スターバックス リザーブ®のボリビア ブエナビスタエステート ゲイシャ

STARBUCKS RESERVE®とは

スターバックス リザーブ® コーヒーは、世界中のスターバックスの中でも限定店舗で販売しております。また、ご注文ごとにコーヒー豆を挽き、一杯ずつおいれしたコーヒーのご提供をしています。

スターバックスホームページより

こちらが商品説明のカードです。コーヒーについて詳しい説明が書いてあります。

※ラベルデザイン
ゲイシャは栽培が難しい品種の一つとして知られています。このデザインは、農園の周囲の地形と険しい山々をモチーフとしたものです。デザイナーは、日の出と日の入りの色味をつかってこのコーヒー豆の希少性を表現しました。朝焼け、夕焼けが見られるのが一日の中でわずかな時間だけであるのと同じくらい、ゲイシャのこのコーヒーは特別なのです。

スターバックス ホームページより

焙煎

スターバックスは、コーヒーをローストのレベルで、スターバックスブロンドロースト(浅煎り)、スターバックスミディアムロースト(中煎り)、スターバックスダークロースト(深煎り)の3つに分類しました。豆ごとに少しずつ異なるローストの時間や温度を40年もの蓄積された経験と技術をもったマスターロースターが探求しています。こちらのボリビア ブエナビスタエステート ゲイシャはスターバックスミディアムローストであると思われます。

焙煎:スターバックスミディアムロースト

バランスのとれた、まろやかさと豊かな風味が特長。

ほのかなハチミツのような甘味のあるキレイな味のコーヒーです。しかし、ゲイシャ特有の香味はほとんど感じられません。

<参考>

Agricafe<http://agricafe.com.bo/>

「Meet Pedro Rodriguez」, Melbourne Coffee Merchants<https://melbournecoffeemerchants.com.au/meet-pedro-rodriguez/>

「Sol de la Mañana」, Melbourne Coffee Merchants<https://melbournecoffeemerchants.com.au/sol-de-manana/>

「Field Notes: Bolivia Buenavista」, Stumptown Coffee Roasters Blog<https://www.stumptowncoffee.com/blog/bolivia-buenavista-field-notes-2015>

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