丘の上珈琲(珈琲考房):エチオピア モカ シダモ
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丘の上珈琲(珈琲考房) エチオピア モカ シダモです。丘の上珈琲は北海道夕張郡にある自家焙煎珈琲店です。

エチオピア モカ シダモ

エチオピア

エチオピア(Ethiopia)は東アフリカに位置する内陸国です。北をエリトリア、東をソマリア、南をケニア、北西をスーダン、北東をジプチに囲まれています。首都はアディスアベバです。また、かつてエチオピアはアビシニアと呼ばれていました。エチオピアコーヒーの主要な産地として、コーヒーの名の由来といわれるカファ地方、南部のシダマ地方、東部山岳地帯のハラー地方があります。国土のほとんどは高地にあたり、年間平均気温が13℃で涼しい気候です。

エチオピアはグレート・リフト・バレー(Great Rift Valley、大地溝帯)の入り口にあたり、北東の紅海から南西に向かって国土を半分に割るようにグレート・リフト・バレーが貫いています。グレート・リフト・バレーの西と東で、コーヒーノキのタイプに違いが見られます。シダモは東側の南部グループに位置付けられます。東側のコーヒーノキは人工的に栽培されたものがほとんどで、自生のコーヒーノキは見られません。

モカ

「モカ(Mokha、Mocha Coffee)」は、コーヒーのブランド名です。この「モカ」という名前は、イエメンの紅海に面した西海岸の港町「モカ」から由来しています。

「モカ」というブランド名の冠するコーヒーには、イエメン南西部サナア州(Sana'a Governorate)バニー・マタル(マタリ)(Bani Matar District)地区で生産される「モカ・マタリ(Mokha Mattari)」に代表されるイエメン産、エチオピア東部ハラリ州(Harari Region)で生産される「モカ・ハラー(Mokha Harrar)」に代表されるエチオピア産の二つがあります。

「モカ」の特徴は、「モカ臭」と呼ばれる独特の発酵臭です。また、コーヒー豆の形や大きさも不揃いで、最高グレードでも欠点豆が多いです。イエメン・モカは麝香を思わせる芳醇な香り、コクのなかに酸味を感じさせる複雑な味わいが他の豆にはない特徴です。それに対してエチオピア・モカは、フローラルでフルーティーな甘く明るいフレーバーと酸味を特徴にしています。

エチオピア シダモ

エチオピアのコーヒー生産地域、Wikipediaより

エチオピア シダモ(Sidamo)は、エチオピア南部諸民族州(Southern Nations, Nationalities, and People's Region(SNNPR))シダマ地方(Sidama Zone)で生産されたコーヒーです。

シダモ州と南部諸民族州

シダモ州はエチオピア南部にあった州です。州都はイルガレム(Irgalem)にありましたが、1978年以降はアワッサ(Awasa)に置かれました。エチオピアでは、アムハラ(Amhara)という民族グループが近代国家形成を担った支配者民族で、シダモという名前はアムハラから見た被支配者民族としての蔑称でした。

エチオピアでは1995年に憲法改正があり、「エチオピア連邦民主共和国憲法(the Constitution of the Federal Democratic Republic of Ethiopia)」が施行されました。ここからエチオピアは「諸民族」の民族自治による連邦制へと移行しました。

このエチオピア連邦民主共和国憲法のもとで、「諸民族」の民族自治の理念に合わせて、1995年にエチオピアでは行政区画の変更がありました。エチオピアの行政区画は「州(Region または Regional state)」、「地方(Zone)」、「群(Woreda)」の順に区分されることになり、さらに郡の下に行政区画の最小単位として「住民自治組織(Kebele)」が置かれることになりました。

各民族ごとに州を割り当て、シダモ州は「南部諸民族州(Southern Nations, Nationalities, and People's Region(SNNPR))」の一部となりました。現行憲法では一民族ごとに一州が割り当てられていますが、複数の少数民族で構成されている南部諸民族州は、「地方(Zone)」または「特別郡(Liyu Woreda)」が民族構成単位となっています。

また、かつて「シダモ」という蔑称で呼ばれていた民族グループは、「シダマ民族(Sidama Nationality)」と呼び変えられることになりました。そして新しい行政区画のもと、シダマ民族の住む地域は「シダマ地方(Sidama Zone)」と呼ばれることになりました。

後に見るように、1995年以前の「シダモ州」と現在の「シダマ地方」は、地理的に一致していません。

エチオピアコーヒーと商標

2006年10月26日、オックスファム(Oxfam)がスターバックス(Starbucks)と全米コーヒー協会(National Coffee Association(NCA))に関するレポートを発表しました。

オックスファムはエチオピア政府がシダモ(Sidamo)、ハラー(Harar)、イルガチェフェ(Yirgachefe)を全米コーヒー協会に商標出願したことを、スターバックスが阻止しようと働きかけたとの声明を発表しました。しかし、スターバックスはエチオピア政府の商標登録出願に異議を申し立てたこともなく、原産地の所有権を主張したこともないと反論しました。

スターバックスがエチオピアの有名産地のブランド名を使用することによって高い利益を上げる一方で、現地の農家は低い利益しか得ることができないため、エチオピア政府とオックスファムはスターバックスにエチオピア政府とライセンス契約を結ぶように求めました。

2007年6月20日、エチオピア政府とスターバックスは流通、マーケティング、ライセンスに関する契約を締結することで決着しました。

また、エチオピア政府と日本の間でも商標登録を巡って争いが起きていました。

エチオピア政府と日本の間では、エチオピアの「シダモ」と「イルガチェフェ」が「商標」であるのか「産地名」であるのかをめぐり、長い間訴訟が起きていましたが、エチオピア政府が商標登録することで決着がつきました。そのため、「シダモ」はその産地(シダマ地方)で生産されたコーヒーというよりも、シダマ地方とその周辺地域で生産されたコーヒーのブランド名です。

シダモとシダマの違い

1995年以前のシダモ州、Wikipediaより

まとめると、シダモはかつてエチオピアにあった州であり、現在シダマ民族の名前で呼ばれている民族グループの古い名称です。また、エチオピア政府が商標登録しているコーヒーのブランド名です。

シダマ地方で生産されたコーヒーだけではなく、シダマ地方の東に隣接するアルシ地方(Arsi Zone)とバレ地方(Bale Zone)、西に隣接するガモ・ゴファ地方(Gamo Gofa Zone)で生産されたコーヒーも、シダマ地方で生産されているコーヒーと多くの似た特徴を有するために、「シダモ」ブランドのコーヒーとして扱われるようです。

現在のシダマ地区、Wikipediaより

シダマは、かつて「シダモ」の名前で呼ばれていた民族グループの現在の名称で、南部諸民族州の地方の名前です。

そして上の二つの画像で見て取れるとおり、かつてのシダモ州と現在のシダマ地区は地理的に一致していません。

品種

品種はエチオピア在来種(Ethiopia Heirloom)です。

エチオピアでは、遺伝的に多様な、様々なコーヒーの品種が栽培されています。

精製方法

エチオピアは、世界のコーヒー生産量の5%を占めるといわれるコーヒー大国ですが、そのほとんどは、有機肥料で栽培されるナチュラル(Natural、乾式)コーヒーです。

エチオピアモカ シダモはウォッシュト(Washed、湿式)とナチュラル(Narural、乾式)の両方で精製されますが、このコーヒーはウォッシュト精製です。

ウォッシュトは収穫したコーヒーチェリーをパルピング(Pulping、果肉除去)し、水槽発酵と水洗い後、パーチメント(Parchment)付きコーヒー豆を乾燥させ脱穀する方法です。ナチュラルでは乾燥工程における果肉の発酵の作用によって、より複雑な味わいとなりますが、ウォッシュトでは水洗いするため綺麗な味わいに仕上がり、コーヒーが持つ本来の風味を楽しむことが出来ます。

エチオピアコーヒーのグレードは、欠点豆の混入率によって、G1~G8までに分けられています。日本に輸入されているコーヒーはG5以上のもので、ウォッシュトコーヒーはG2に格付けされています。

味の構成、丘の上珈琲ホームページより

甘く芳醇な「モカフレーバー 」と呼ばれるモカ特有のフレーバー、上品な酸味が特徴です。シダモのモカはエチオピア・モカのなかでも最もポピュラーで、香りつけのためにブレンドにも使用されることが多い豆です。

丘の上珈琲(珈琲考房)のエチオピア モカ シダモ 

酸味を引き立たせるモカの香り。
アラビカコーヒーの原産地であるエチオピアでは、森や庭先にコーヒーの木が自生するほど文化に根付いています。
珈琲の伝統を守る土地のエキゾチックな香りと独特な酸の質感が特徴的の珈琲をお楽しみください。

丘の上珈琲 ホームページより

焙煎

丘の上珈琲は、コーヒーを中煎りで焙煎しています。取り扱いのコーヒーはすべてハイローストからシティロースト程度で焙煎され、それぞれの豆の特性に合わせて強めに焼いたり、弱めに焼いたりしているものと思われます。

焙煎の深さ、丘の上珈琲 ホームページより

エチオピアモカは丘の上珈琲が取り扱うコーヒーのなかでは、最も酸味が強めです。

挽き目の細かさ、エチオピアモカ シダモ  ウォッシュトは中粗挽き

抽出

ドリップのコツが付いてきます。泡が落ちる前にドリッパーを外すのがコツです。

「【丘の上珈琲】コーヒー淹れ方講座」,丘の上珈琲 2017年10月12日.

「モカフレーバ」と呼ばれる独特のフレーバーと柑橘系の上品な酸味が印象的です。焙煎が若干深めのため、しっかりとしたボディとワインのようなこってりとした味わいがあります。とても上質なエチオピア・モカです。





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